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鈴木 光弘; 中村 秀夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 47(12), p.1193 - 1205, 2010/12
被引用回数:2 パーセンタイル:17.28(Nuclear Science & Technology)機構が、PWRを模擬するROSA計画大型非定常試験装置(LSTF)を用いて行った小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)と異常過渡事象に関する13回の模擬実験を対象に、炉心の過熱を検出してアクシデントマネジメント策開始の判断に用いられる炉心出口温度計(CET)の特性を系統的に調べ、あらためて次の諸点をまとめた。LSTFは、高さ実寸,実機圧力で容積比1/48を有する世界最大のPWR模擬装置である。(1)一般にCETで炉心過熱の検出が可能であるが、炉心過熱部と比べて検出時間と温度上昇に遅れを伴う。(2)この遅れの共通原因の1つは、炉心出口と外周部の金属構造材による冷却効果である。(3)著しく高圧あるいは低圧の条件下では、CET温度の代替指標として、その過熱度が必要である。(4)ホットレグから著しい量の流下水がある場合には、CETは過熱温度を検出しなかった。さらに、これらの実験結果のPWRへの適用性を検討した。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 中村 秀夫
JAEA-Research 2009-057, 188 Pages, 2010/02
加圧水型原子炉(PWR)頂部の小破断冷却材喪失事故を模擬し、高圧注入系(HPI)不作動時のアクシデントマネジメント策の効果を調べるため、ROSA-V計画の大型非定常試験装置を用いて一連の破断サイズパラメータ実験(SB-PV-07, SB-PV-08)を実施した。本報では、破断サイズ1.00.1%(コールドレグ破断相当)における頂部破断LOCA事象の特徴的現象、すなわち破断口蒸気流出と頂部水位の関係,1次系保有水量と炉心露出の関係,炉心過熱を検出する炉心出口温度計(CET)の特性及び炉心と出口部の3次元蒸気流れ等を明らかにした。炉心ボイルオフ過程で623KへのCET温度上昇により開始した1.0%破断実験のHPI回復操作と、0.1%破断実験の蒸気発生器減圧操作とは、ともに炉心冷却を直ちに回復する効果を示した。
鈴木 光弘; 中村 秀夫
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-13) (CD-ROM), 17 Pages, 2009/09
日本原子力研究開発機構が大型非定常試験装置(LSTF)を用いて行った小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)と異常過渡事象に関する12回の模擬実験を対象として、炉心出口温度計(CET)の特性とそのPWRアクシデントマネジメント措置への適用性をまとめた。LSTFは、高さ実寸で容積比1/48を有する世界最大のPWR模擬装置である。これらの実験より、次の一般的CET特性を明らかにした。(1)CETは大部分のケースで炉心過熱の検出が可能であるが、炉心過熱部と比べて検出時間と温度上昇に遅れを伴う。(2)この遅れを生じる原因の1つは、炉心出口と外周部の構造材による冷却効果である。(3)蒸気発生器による減圧操作を伴う微少破断の場合には、10%低温側配管破断と同様、ホットレグからの著しい流下水の影響でCETは過熱温度を検出しなかった。(4)著しく高圧あるいは低圧条件下では、CET温度の代替指標として、その過熱度が必要である。
鈴木 光弘; 中村 秀夫
JAEA-Research 2009-011, 155 Pages, 2009/07
本報は、ROSA/LSTFで実施した12実験の炉心出口温度計(CET)特性をまとめたものであるが、これには10件の小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)模擬実験と2件の異常過渡模擬実験を含み、既に検討されたOECD/NEA ROSAプロジェクト実験6-1の結果に対する追加資料として作成したものである。すなわちこの内容は、PWRアクシデントマネジメント策にCETを利用するうえで必要な知識基盤を再検討し統合するため、2008年4月に新たに設置されたOECD/NEA WGAMAのタスクグループに対して準備され、提出された。これらの実験は、破断サイズや位置,1次系圧力,炉心出力,リフラックス水流下の有無及び運転員操作等の広範囲の実験条件を含む。各々の実験について炉心温度履歴に対応するCET温度特性を調べ、時間遅れや温度上昇の緩慢さに焦点を当てたCETの一般特性をまとめた。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 中村 秀夫
Journal of Power and Energy Systems (Internet), 3(1), p.146 - 157, 2009/00
本報は、LSTFで実施したOECD/NEA ROSAプロジェクトの最初の実験であるTest 6-1に関して、PWR頂部小破断LOCA模擬条件における炉心過熱検出用炉心出口温度計(CET)の特性をまとめたものである。破断サイズは1.9%コールドレグ破断相当であり、CET温度623K以上を検出した場合にアクシデントマネジメント(AM)として蒸気発生器2次系急減圧操作を開始することとした。しかし、炉心過熱状態の検出には約230sの時間遅れが生じ、またCETsと炉心最高温度部との温度乖離が大きかった。炉心と炉心出口部の3次元蒸気流れを含めてこれらの原因を解明するとともに、PWR条件でのCET特性への適用可能性と、原子炉水位計のような兆候ベースプラント計装による早期AM開始のための代替指標可能性とについて検討結果を述べた。
鈴木 光弘; 中村 秀夫
JAEA-Research 2008-087, 148 Pages, 2008/10
本報は、ウェスティングハウス社型4ループPWRを模擬するROSA/LSTF実験装置で実施した、低温側配管10%破断LOCA実験(SB-CL-09)の主要な結果をまとめたものである。この実験では高圧注入系ECCSの故障を仮定し、次の事象が確認された。(1)比較的破断サイズが大きいため、1次系と2次系の圧力逆転は早く、2分以内に生じた。(2)ループシールクリアリング(LSC)過程は破断後約1分に全ループで開始し、炉心水位はほぼ下端まで低下した。これが解消した後も炉心水位は中央高さにとどまった。これは、蒸気発生器伝熱管の下降側に比べて上昇側に高い水位が維持された結果である。(3)炉心上部の昇温はLSC後も続き、ヒーター最高温度を制限するために111sに炉心出力を停止した。(4)LSC過程では、健全ループ高温側配管側で流下水により露出炉心の一部が冷却され、破断ループ高温側配管側では炉心の昇温が進行するという3次元での流動と温度分布が確認された。(5)炉心の昇温時間帯(67-153s)に、20点の炉心出口温度計はすべて飽和温度に維持され、過熱温度を検出しなかったが、これは流下水の影響と判断された。
竹田 武司; 浅香 英明; 鈴木 光弘; 中村 秀夫
Proceedings of 12th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-12) (CD-ROM), 3 Pages, 2007/09
PWR圧力容器上部ヘッド1%小破断LOCAを模擬したROSA/LSTF実験のRELAP5コード解析を行い、コードの予測性能を検証した。解析では、maximum bounding theoryに基づく、二相破断流の流出係数Cdを0.61とした破断モデルを組み込んだ原子力機構改良版RELAP5/MOD3.2.1.2コードを使用した。実験を通じて、圧力容器水位が制御棒案内管(CRGT)下端の貫通孔に低下するまで上部プレナム内の冷却材はCRGTを介して上部ヘッドに流入することから、上部ヘッド水位が破断流量に多大な影響を与えることを見いだした。圧力容器上方の水位及び冷却材流れを模擬するため、上部ヘッド,上部プレナム,CRGT間の流路形状を正確にモデル化したが、コードは二相流放出過程における破断口上流のボイド率を過小評価し、破断流量を過大評価した。破断流量を予測するため二相破断流のCdを0.58に調整し、破断面積が炉心冷却に与える影響を調べた。破断面積が12.5%のうち、1%破断の場合被覆管最高温度(PCT)が最大であること、より大きい破断の場合蓄圧注入水上の蒸気凝縮がループシールクリアリングを誘発し、効果的に炉心冷却を促進するため、PCTが1200K以下に抑えられる可能性があることを示した。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAEA-Research 2007-037, 150 Pages, 2007/03
ROSA-V計画で、PWR小破断冷却材喪失事故を模擬したLSTF実験(SB-PV-06)を実施し、以前に行った実験との比較により、高圧注入系の不作動と蓄圧注入系からの非凝縮性ガス流入を想定した場合に、アクシデントマネジメント(AM)策の1つである2次系急減圧操作の実施時期が炉心冷却に及ぼす影響を調べた。破断口は原子炉容器底部の計装管10本破断を模擬したが、これはコールドレグ0.2%破断に相当する。次の点が明らかになった。(1)急減圧操作は炉容器水位が1次系配管以下に低下した時点(4545s)で開始したが、流入ガスにより減圧が阻害され、低圧注入系作動以前に全炉心露出に至った。(2)急減圧開始の代替方策として、蒸気発生器出口プレナムの水位低下検出(2330s)によると、炉心露出は限定されるため、より有効なAM策の指標になると予測される。本報告書は、本実験結果とこれらの急減圧操作開始時期の効果をまとめたものである。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAEA-Research 2006-072, 144 Pages, 2006/11
ROSA-V計画における加圧水型原子炉(PWR)の底部計装管小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)模擬実験の1つとして、全高圧注入系不作動時のアクシデントマネジメント策と蓄圧注入系からのガス流入防止の効果を検証する実験(SB-PV-05)を実施した。使用装置は大型非定常試験装置(LSTF)で、計装管9本破断を想定し、AM策として蒸気発生器(SG)逃がし弁による定率(-55K/h)減圧と補助給水系の30分間作動を実施した。この結果、炉心露出に至ることなく低圧注入系(LPI)が作動し、長期冷却条件を確保した。AISガス流入を想定した類似SB-PV-03実験に比較して、SBLOCA時のAM策有効性にガス流入防止措置が大変重要であることを示した。
鈴木 光弘
日本機械学会誌, 109(1056), P. 40, 2006/11
加圧水型原子炉(PWR)のアクシデントマネジメント(AM)策に重要な技術の1つとして、冷却材喪失事故(LOCA)時における大部分の保有水量変化を検出する新たな手法を開発した。AM操作として原子炉注水を実施する場合の重要パラメータに、OECD諸国において炉心出口温度計(CETs)を使用する国は多いが、原子炉水位計を使用する国は少ない。ここで、CETsは炉心過熱状態を表示するものではあるが、1次冷却材量の変化を示すものでないことは明らかである。この新たな手法は、著者が各蒸気発生器(SG)出口側領域水位を計測するよう設計した1次循環ループ(PL)水位計と、ウェスティングハウスタイプPWRの原子炉水位計(RVLIS)及び加圧器水位計の3種を使用するものである。著者はROSA/LSTF実験を通して、これら3種の水位計組合せが、初期状態から炉心過熱状態までの全保有水量変化の80%以上を検知することに役立つことを明らかにした。RVLISは炉心露出開始前兆過程で保有水量検出不感帯を有しているが、PL水位計がその不感帯の大部分を補う役割を担っている点を理解することが重要である。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAEA-Research 2006-018, 140 Pages, 2006/03
大型非定常試験装置を使用したROSA-V計画において、加圧水型原子炉(PWR)の小破断冷却材喪失事故模擬実験を実施し、全高圧注入系不作動時に重要なアクシデントマネジメント(AM)策の炉心冷却効果を調べた。原子炉底部計装管10本破断を模擬した実験(SB-PV-04)で、蒸気発生器逃がし弁全開操作と補助給水作動によるAM策は、蓄圧注入系からの非凝縮性ガス流入による著しい減圧阻害にもかかわらず、低圧注入系が作動して炉心露出防止に効果的であることを示した。AM策として1次系冷却速度-55K/hの減圧操作を実施した前実験では炉心露出に至ったことに比較し、急減圧操作は1次系保有水量を多く保存する効果があり、炉心冷却上有用であることを明らかにした。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(1), p.55 - 64, 2006/01
被引用回数:10 パーセンタイル:56.85(Nuclear Science & Technology)原研のROSA-V/LSTFを用いてPWRの原子炉容器底部計装管破断を模擬する小破断LOCA実験を行い、高圧注入系不作動時にアクシデントマネージメント(AM)策として行う蒸気発生器(SG)の2次系減圧を通じた1次系冷却操作に、蓄圧注入系(AIS)から流入する非凝縮性ガスが及ぼす影響を明らかにした。AISからガス流入がない場合の計装管9本破断実験では、工学的安全施設作動(SI)信号から10分後に定率(-55K/h)のSG減圧を開始することで、低圧注入系(LPI)を作動させることができた。しかしガス流入を想定した計装管10本破断実験では、SG伝熱管の凝縮熱伝達が低下して1次系減圧が阻害され、LPIの作動以前に炉心露出が生じた。これに対し、SGの2次系逃がし弁全開による急減圧と補助給水系の連続作動を仮定した実験では、炉心露出以前にLPIが作動し長期冷却の可能性を示した。これらのガス流入によるSG伝熱管内凝縮熱伝達阻害についてRELAP5/MOD3コードを用いた解析を行い、実験結果をよく再現できた。さらに、PWRの事故過程を的確にとらえ、AM策の実施判断を行ううえで、1次系圧力と保有水量を指標とするマップが有用なことを示した。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
日本機械学会2005年度年次大会講演論文集, Vol.3, p.223 - 224, 2005/09
PWR冷却材喪失事故(LOCA)時における運転員の的確なアクシデントマネジメント(AM)操作に必要な原子炉計装として、保有水量検出システムと炉心出口温度計(CET)を取り上げ、それらの特性に関する実験結果を述べる。原研のROSA-V/LSTF実験施設を使用した実験では原子炉底部小破断LOCAを模擬し、高圧注入系の不作動と蓄圧注入系からの非凝縮性ガス流入がある場合に、AM策の1つである2次系減圧の効果について明らかにした。その中で水位計3種による保有水量検出システムは、初期状態から炉心露出に至る過程で大部分の保有水変化を検出した。また炉心過熱条件を検出するためのCETの特性は、2次系減圧操作時の凝縮水流下により著しく阻害された。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
JAERI-Research 2005-014, 170 Pages, 2005/06
大型非定常試験装置(LSTF)を使用したROSA-V計画において、加圧水型原子炉(PWR)の小破断冷却材喪失事故(SBLOCA)模擬実験を実施し、高圧注入系(HPI)不作動時に重要なアクシデント・マネージメント(AM)策の炉心冷却効果を調べた。LSTFはウェスティングハウス社の4ループPWR(3423MWt)を実高,容積比1/48で模擬する装置である。この実験(SB-PV-03)では、PWRコールドレグ0.2%破断に相当する原子炉容器底部計装管10本破断を模擬し、HPIの不作動と蓄圧注入系(AIS)からの非凝縮性ガス流入を想定し、定率-55K/hでの2次系減圧と30分間の補助給水(AFW)作動を運転員のAM操作として実施した。その結果、これらのAM操作はAIS注入終了圧力1.6MPaまでは1次系減圧に効果的であったが、その後、非凝縮性ガスが流入したため減圧効果は低下した。このため低圧注入系(LPI)の作動開始が遅れ、破断口では水流出が継続していたので全炉心露出に至った。本報ではこれらの熱流動現象に加え、1次系保有水量の推移及びAM操作と関連づけた炉心加熱挙動、1・2次系間の熱伝達及び1次系ループへの非凝縮性ガス流入等に関する解析結果について述べる。
竹田 武司; 浅香 英明; 鈴木 光弘; 中村 秀夫
Proceedings of 13th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-13) (CD-ROM), 8 Pages, 2005/05
制御棒駆動装置貫通ノズルの周方向のクラックは、PWRの小破断LOCAを引き起こす可能性がある。しかし、原子炉容器上部ヘッド小破断LOCAに関する実験的及び解析的研究は少ない。このため、LSTFを用いて、破断サイズ0.5%の上部ヘッド小破断LOCA模擬実験を行った。実験において、上部ヘッドにおける蓄水が、破断流量を制御する現象となることを見いだした。制御棒案内管の貫通孔近傍が蒸気中に露出するまで、制御棒案内管を介して、上部プレナム内の冷却材は上部ヘッドに流入した。また、二相流放出過程において、上部ヘッドコラプスト水位の振動現象が見られた。RELAP5/MOD3コードは、二相流放出過程における破断流量を過大評価し、実験より早く炉心のボイルオフが開始した。そこで、二相流放出過程における放出係数を破断流量の測定値と比較し補正することにより、上部プレナムと炉心のコラプスト水位は実験結果とよく一致した。この二相流放出係数を用いて、高圧注入系不作動条件下で破断面積が炉心冷却に与える影響を調べた。破断面積が1.52.5%の場合、1次系圧力が蓄圧注入系の作動圧力まで低下することにより、炉心の温度上昇が抑制される可能性があることを示した。
鈴木 光弘; 竹田 武司; 浅香 英明; 中村 秀夫
Proceedings of 6th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics, Operations and Safety (NUTHOS-6) (CD-ROM), 14 Pages, 2004/10
原研のROSA-V/LSTFを用いてPWRの原子炉容器底部計装管破断を模擬する小破断LOCA実験を行い、高圧注入系(HPI)不作動時にアクシデント・マネージメント(AM)策として行う蒸気発生器(SG)の2次系減圧を通じた1次系冷却操作に、蓄圧注入系から流入する非凝縮性ガスが及ぼす影響を明らかにした。蓄圧注入系からのガス流入がない場合を想定したコールドレグ0.18%破断に相当する計装管9本破断実験では、工学的安全施設作動(SI)信号から10分後に定率(-55K/h)のSG2次系減圧を開始することで、低圧注入系(LPI)を作動させることができた。しかしガスの流入を想定した計装管10本破断実験では、SG U字管の凝縮熱伝達率が低下して1次系減圧が阻害され、LPIの作動以前に炉心露出が生じた。これに対し、SGの2次系逃がし弁全開による急減圧と補助給水系の連続作動を仮定したパラメータ実験では、炉心露出以前にLPIが作動して長期冷却の可能性を示した。このようなガス流入によるSG伝熱管内の凝縮熱伝達阻害についてRELAP5/MOD3コードを用いた解析を行い、実験結果をよく再現できた。さらに、PWRの事故過程を的確にとらえAM策の実施判断を行ううえで、1次系圧力と保有水量を指標とするマップが有用なことを示した。
鈴木 光弘
JAERI-Review 2004-013, 123 Pages, 2004/05
本報告は、OECD各国におけるシビアアクシデントの対応策や研究成果を総括した最新の報告書をOECD/NEAの許可を得て訳し紹介するものである。国によって対応策や考え方,規制との関係等に違いはあるが、基本となるシビアアクシデント防止手順と影響緩和策には共通する部分が多いことが示されており、水炉の対応策が中心となっている。第2章にはシビアアクシデント発生の指標や重要な意志決定事項である損傷炉心への注水操作,原子炉冷却系の減圧操作及び格納容器に関する対応策等がまとめられている。第3章には各国の対応策の現況について概説し、その詳細は付録Aとその一覧表に示されている。また、各国の事故対応組織の特徴や、対応策と研究に関する今後の課題等もまとめられており、我が国原子力発電所の事故対応策や研究の進展に有用な資料と考えるものである。
鈴木 光弘
JAERI-Tech 2002-071, 171 Pages, 2002/10
本報は大型非定常試験装置(LSTF)を用いて実施した全交流電源喪失実験の加圧器熱流体挙動を解析したものである。LSTFでは米国のAP600型原子炉をモデルとした上記実験を実施したが、その長時間の原子炉冷却・減圧過程で、一旦喪失した加圧器水位が再上昇し、蒸気配管まで満水にする特徴的事象が見られた。実験結果の分析により、これは自然循環が停留した蒸気発生器伝熱管内で冷却材が減圧沸騰を開始した条件下で、加圧器蒸気配管で蒸気凝縮が継続したことに起因するものと判断された。本報はRELAP5/MOD3コードによる解析と実験結果の分析により、蒸気配管部の凝縮減圧効果と加圧器壁の熱源効果という、2種類の構造材-冷却材熱的相互作用を定量的に解明した。また加圧器系の熱損失特性を評価した。加えて実機加圧器系との熱的特性の相違についても明らかにした。
小林 英男; 鈴木 徹; 千葉 正彦; 佐藤 光弘; 川崎 雅史; 平沢 正*; 大内 勇一*
JNC TN8440 2001-005, 33 Pages, 2001/02
プルトニウム燃料センターにおいて、プルトニウム・ウラン同位体分析および濃度分析のために、4台の質量分析装置を使用している。それらの装置の管理のために、試料分析の都度プルトニウム・ウランの標準試料を測定しており、それらのデータを評価した結果、質量分析における分析誤差は、保障措置分析に関する国際目標値を十分満足するとともに、従来法からトータルエバポレーション法に変更したことにより、特にプルトニウム同位体分析において顕著にランダム誤差が改善されたことが確認できた。
鈴木 光弘; 安濃田 良成
JAERI-Tech 2000-016, p.173 - 0, 2000/03
本報告は大型非定常実験装置(LSTF)において実施した0.5%低温側配管破断LOCA実験結果をまとめ、2次系減圧操作の効果と炉心過熱事象が繰り返し発生する原因を明らかにしたものである。本実験(SB-CL-24)では、高圧注入系と蒸気発生器補助給水系が作動しない場合を想定し、蒸気発生器逃し弁開作動により1次系の減圧を促進した。この結果、蓄圧注入系が作動したが、低圧注入系の作動圧力(1.29MPa)まで1次系圧力が低下しないうちに2次系保有水が喪失して1次系は昇圧し、蓄圧注入系の停止後にボイルオフ状態で炉心の上半分が過熱状態になった。加圧器逃し弁等の1次系減圧操作で急減圧し、低圧注入系作動により炉心過熱状態は解消した。過渡条件下でループシールクリアリングは3回発生した。本報では、事故検出計装による炉心冷却不全事象の検出特性等についても詳細に評価した。