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河村 聖子; 富安 啓輔*; 幸田 章宏*; Sari, D. P.*; Asih, R.*; Yoon, S.*; 渡邊 功雄*; 中島 健次
JPS Conference Proceedings (Internet), 21, p.011007_1 - 011007_5, 2018/03
RbCuMoOは、スピンフラストレートしたS=1/2ジグザグ鎖をもつ量子スピン系である。この系の磁気基底状態は、非整合なスピン1重項であることが、理論研究から予想されている。また最近では、磁場中でこの系が強誘電性を示すことも報告されている。我々は、この系の磁気的性質を調べるため、ミュオンスピン緩和法を用いた実験を行った。測定した温度領域0.06K250Kにわたり、核双極子場による遅いミュオンスピン緩和が観測された。この結果は、この系の基底状態が非磁性であることを明確に示している。さらに、内部磁場の分布が、10K以下でわずかに増加していることがわかった。この温度変化は、磁場中の電気分極の振る舞いに似ていることから、局所的な磁気状態の変化あるいは分極が、零磁場中でも生じている可能性を示唆している。
河村 聖子; 富安 啓輔*; 幸田 章宏*; Sari P., D.*; Asih, R.*; Yoon, S. W.*; 渡邊 功雄*; 中島 健次
no journal, ,
RbCuMoOは、Cuのスピン1/2による1次元ジグザグ鎖を持つ量子スピン系で、強磁性的な最近接相互作用と反強磁性的な次近接相互作用の比から、この系の磁気基底状態は非整合なスピン1重項であることが予想されている。しかしながら、非磁性基底状態の直接的証拠を示す報告は未だなされていない。我々は、この系の磁気基底状態とダイナミクスを明らかにするため、J-PARC物質・科学生命実験施設のミュオンビームラインD1および理化学研究所-RALミュオン施設(英国)においてSR測定を行った。零磁場下の時間スペクトルは、室温から20K付近までは温度依存性を示さないが、20Kから1.5Kの間でミュオンスピン緩和のわずかなエンハンスメントが観測された。さらに1.5Kから50mKまでは再び温度変化を示さないことが明らかになった。この結果から、RbCuMoOの基底状態は非磁性であることが実証された。また、縦磁場下の時間スペクトルの解析から、スピン1重項形成に伴う内部磁場およびそのダイナミクスの変化をとらえることにも成功した。