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神山 健司; Brear, D. J.*; 飛田 吉春; 近藤 悟
Journal of Nuclear Science and Technology, 43(10), p.1206 - 1217, 2006/10
被引用回数:25 パーセンタイル:83(Nuclear Science & Technology)高速炉の仮想的な炉心崩壊事故の影響を合理的に評価するため、溶融炉心物質の移行について機構論的シミュレーションが必要とされている。溶融炉心物質が炉心領域に配置されている流路に侵入した際の固化挙動は、燃料の炉心領域からの排除に影響するため、重要な役割を持つ。したがって、固化挙動を扱う機構論的モデルを開発し、高速炉安全解析コードSIMMER-IIIに導入した。結晶体の微視的物理学に基づいた2つの重要な想定、すなわち、流路壁面近傍での溶融物質の過冷却及び融体と壁面との不完全な接触による接触熱抵抗を導入した。その結果、二酸化ウラン及び金属の固化試験で得られた溶融物質の侵入長さ及び固化形態について、良い一致を得ることができた。さらに、開発したモデルの信頼性向上のため、過冷却温度を予測する実験相関式を導いた。この新しい実験相関式を含んだモデルにより、ステンレス・スティール及びアルミナの固化挙動も再現することができた。
山野 秀将; 藤田 哲史; 飛田 吉春; 神山 健司; 近藤 悟; 守田 幸路*; Fischer, E. A.; Brear, D. J.; 白川 典幸*; 曹 学武; et al.
JNC TN9400 2003-071, 340 Pages, 2003/08
核燃料サイクル開発機構(サイクル機構)では、高速炉の仮想的な炉心損傷事故を評価するために新たな安全解析コードSIMMER-IIIの開発を進めてきた。SIMMER-IIIは、2次元,3速度場,多相多成分,オイラー座標系の流体力学モデルを中核として、物質配位及びエネルギー状態に対応した空間依存の核計算モデルを有機的に結合したコードである。現在までに、本コード開発プロジェクトの当初に計画していた全てのモデル開発を終了したことになり、いよいよ実機の安全解析や複雑な多相流解析に本格的に適用できる段階に達した。また、コード開発と併行して、体系的なモデル検証研究を欧州研究機関と共同で進めており、その結果、モデルの高度化により従来のSIMMER-IIコードで問題とされた適用限界の多くが解消できるとの見通しを得つつある。本報告書では、SIMMER-III Version 3.Aの詳細なプログラム解説に加えて、各要素物理モデル,数値計算アルゴリズム及びコードの特徴について述べる。今後さらにモデル改良を行うことが望まれる分野についてもとりまとめた。新たに完成したSIMMER-III Version 3.Aにより、高速炉の安全解析における信頼性と適用範囲が飛躍的に向上できるものと期待されている。
近藤 悟; Brear, D. J.
Nuclear Engineering and Design, 189, p.337 - 357, 1999/00
被引用回数:32 パーセンタイル:88.95(Nuclear Science & Technology)本論文では,高速炉安全解析コードSIMMER-IIIにおいて開発された多相流成分系での構成方程式,流動様式モデル及び熱及び質量移行モデルについて概説し,炉心損傷事故時の重要現象の一つである燃料-冷却材相互作用(FCI)現象を対象とした検証解析の結果について議論する。本研究では,高速炉に特徴的なナトリウム系でのpremixing(THINA試験・独FZK)挙動に対するコードの妥当性を検証するだけでなく,水系でのpremixing(FARO-LWRL06試験・伊JRC Ispra)及びpropagation(KROTOS 28試験・伊JRC Ispra)挙動にも適用することで,FCI現象を記述する基本モデルの適用性を確認した。
Brear, D. J.
PNC TN9410 98-005, 53 Pages, 1998/01
仮想的な炉心損傷事故時において、溶融燃料は燃料集合体ラッパ管等のスティール構造材と接触した場合には、燃料は固化して構造材表面にクラストを形成するとともに、構造材の表面は溶融する可能性がある。このような溶融・固化過程は、燃料の固化挙動、すなわち燃料の炉心からの流出挙動に影響を及ぼす。この場合、燃料およびスティールの中に形成される温度勾配によって、燃料からのスティールへの熱移行速度が計算されることになる。本研究では、初期に液体状態にあるUO2が固体スティールに接触する場合に1次元非定常熱伝導方程式を適用し、最新の物性値を用いることで、燃料クラストの形成およびスティール溶融が生じる条件を予測した。また、その一方もしくは両方の物質が相変化する時の界面温度を計算するための簡易解析手法を作成した。本研究で予測されたスティール溶融条件を既存の実験結果と比較して、モデルの妥当性を確認した。
守田 幸路; Brear, D. J.; 飛田 吉春; 神山 健司; 近藤 悟
動燃技報, (101), p.21 - 28, 1997/00
本発表では、欧州機関との協力を活用して実施した高速炉安全解析コードSIMMER-IIIの検討計画の現在までの主要成果を報告する。第1期検証計画では、流体力学対流アルゴルズム、流動様式および運動量交換、熱伝達、溶融・固体、蒸発・凝縮の5分野主要モデルに対する系統的検証問題(計34題)を研究した。報告ではSIMMER-IIIコードの流体力学モデルと検証計画を概括した後、各分野・モデルの検証研究の成果を述べる。全体成果として、SIMMER-IIIコードは従来の手法に比べて高度化されたものであることが確認されたこと、本検証計画を通じて個別モデルの検証が進み総合的な多相流解析や実機安全評価に適用できる段階に達したこと、検証研究を通じて今後のモデル改良を含む研究について有益な知見が得られたことなどを報告する。
近藤 悟; Brear, D. J.; 飛田 吉春; 守田 幸路
Proceedings of 8th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics (NURETH-8), Vo.3, p.1340 - 1348, 1997/00
本発表では、欧州機関との協力を活用して実施した高速炉安全解析コードSIMMER-IIIの検証計画の現在までの主要成果を報告する。第1期検証計画では、流体力学対流アルゴリズム、流動様式および運動量交換、熱伝達、溶解・固体、蒸発・凝縮の5分野主要モデルに対する系統的な検証問題(計34題)を研究した。報告ではSIMMER-IIIコ-ドの流体力学モデルを概括した後、各分野・モデルの検証研究の成果を述べる。全体成果として、SIMMER-IIIコ-ドは従来の手法に比べて高度化されたものであることが確認されたこと、本検証計画を通じて個別モデルの検証が進み総合的な多相流解析や実機安全評価に適用できる段階に達したこと、検証研究を通じて今後のモデル改良を含む研究についての有益な知見が得られたことを報告する。
小西 賢介; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; Brear, D. J.
動燃技報, (98), p.59 - 64, 1996/06
高速炉の炉心損傷時に想定されるジェット状の融体と冷却材との相互作用を解明するために、模擬物質を用いた実験研究を行った。低融点合金の融体ジェットと水の相互作用試験の結果、両液体の温度の組み合わせに応じて現れる4種の基本相互作用モードを明らかとした。さらに、これらのモード間の違いを適切に説明できる最小膜沸騰温度モデルを作成し、その有効性を確認した。これらの知見を高速炉の酸化物燃料-ナトリウム系条件への予備的に適用した結果、ジェット状に侵入しない、比較的穏やかな相互作用により、燃料の効果的な分散・冷却が達成される可能性が高いとの見通しを得た。
守田 幸路; 近藤 悟; 飛田 吉春; Brear, D. J.
Nuclear Science and Engineering, ,
本論文では,高速炉安全解析コードSIMMER-IIIにおいて開発された多相流多成分系での構成方程式,流動様式モデル及び熱及び質量移行モデルについて概説し,炉心損傷事故時の重要現象の一つである燃料一冷却材相互作用(FCI)現象を対象とした検証解析の結果について議論する。本研究では,高速炉に特徴的なナトリウム系でのpremixing(THINA試験・独FZK)挙動に対するコードの妥当性を検証するだけでなく,水系でのpremixing(FARO-LWR L06試験・伊JRC Ispra)及びpropagation(KROTOS 28試験・伊JRC Ispra)挙動にも適用することで,FCI現象を記述する基本のモデルの適用性を確認した。