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澤田 真一; Ursino, C.*; Galiano, F.*; Simone, S.*; Drioli, E.*; Figoli, A.*
Journal of Membrane Science, 493, p.232 - 242, 2015/11
被引用回数:53 パーセンタイル:88.33(Engineering, Chemical)熱誘起相分離(TIPS)法によるポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜の作製において、人体に有害な溶媒を用いることが問題視されている。そこで本研究では、毒性が非常に低いことで知られているアセチルトリブチルシトレート(ATBC), アセチルトリエチルシトレート(ATEC), トリエチルシトレート(TEC)の3種類のクエン酸エステルを溶媒として初めて用い、TIPS法によってPVDF多孔膜を作製した。PVDF膜の空孔サイズは用いた溶媒の種類に依存し、ATBC(0.82-0.93m), ATEC(2.44-2.98m), TEC(3.90-7.24m)の順で大きくなった。PVDFとの相溶性もATBC, ATEC, TECの順で向上することから、相溶性の高い溶媒は高分子溶液中において分子運動性が高く、相分離過程で互いに凝集して巨大な相をつくるため、結果として大きなサイズの空孔を形成したと考えられる。PVDF膜を用いて純水のマイクロフィルトレーションを行ったところ、空孔サイズの違いに応じて水透過率を広範囲に渡って制御できた。
澤田 真一; Ulsino, C.*; Galiano, F.*; Simone, S.*; Drioli, E.*; Figoli, A.*
no journal, ,
熱誘起相分離(TIPS)法によるポリフッ化ビニリデン(PVDF)膜の作製プロセスにおいて、人体に有害な溶媒を用いることが近年問題視されている。そこで本研究では、毒性が非常に低いことで知られるクエン酸エステルとして、アセチルトリブチルシトレート(ATBC), アセチルトリエチルシトレート(ATEC), トリエチルシトレート(TEC)を初めて溶媒に用い、TIPS法によってPVDF多孔膜の作製を試みた。膜の作製は、各種溶媒を用いたPVDF粉末の均一溶液の調整、PVDF溶液のガラス基板上への塗布、TIPSによる膜の成形、ガラス基板からの膜の剥離、という手順で行った。均一溶液におけるPVDF濃度が16%以下のとき、いずれの溶媒を用いてもPVDF多孔膜を作製できた。膜の空孔サイズは用いた溶媒の種類に依存し、ATBC(0.82-0.93m), ATEC(2.44-2.98m), TEC(3.90-7.24m)の順で大きくなった。PVDFとの相溶性もATBC, ATEC, TECの順で向上することから、高相溶性の溶媒は分子運動性が高く、TIPS過程で凝集して巨大な相をつくるため、結果として大きなサイズの空孔を形成したと考えられる。