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鈴土 知明; Golubov, S. I.*; Stoller, R. E.*; 山口 正剛; 都留 智仁; 蕪木 英雄
Journal of Nuclear Materials, 423(1-3), p.40 - 46, 2012/01
被引用回数:8 パーセンタイル:52.49(Materials Science, Multidisciplinary)原子炉構造材料の照射効果を明らかにするため、損傷エネルギーが200keVまでのカスケード損傷の分子動力学シミュレーション結果を用いてキネティックモンテカルロ法による長時間の時間発展の解析を行った。われわれは特に残留する欠陥数が損傷エネルギーや温度によってどのように変化するかを詳細に調べた。この結果は照射下の微細構造発達の速度論方程式の入力パラメータとして使える。また本解析により、アニーリング中サブカスケードはほぼ独立して時間発展すること、そしてアニーリング結果の温度依存性は空孔拡散と空孔のクラスターからの脱離確率の温度依存性によって説明できることがわかった。
鈴土 知明; Golubov, S.*; Stoller, R.*; 山口 正剛; 都留 智仁; 蕪木 英雄
Proceedings of Joint International Conference of 7th Supercomputing in Nuclear Application and 3rd Monte Carlo (SNA + MC 2010) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2010/10
分子動力学は原子炉構造材料中でのカスケード照射損傷を解析するのに適したツールであるが、その手法で追える時間は100ピコ秒程度である。それに対してキネティックモンテカルロ法によるカスケードアニーリングシミュレーションはカスケード損傷後の長いシミュレーションに適している。そこでわれわれは-鉄においてそのようなアニーリングシミュレーションを包括的に行った。PKAエネルギーが10keV以上の場合ではカスケード事象直後に残存する弾き出し量のNRT標準値に対する比が0.3程度あるが、300Kにおけるアニーリングによってその約3割が再結合で消失することがわかった。また再結合率はアニール温度を上げると高くなることがわかった。これらの結果は、速度論を用いたカスケード蓄積シミュレーションのモデリングに有用なデータを提供する。以上のように、本成果は原子力分野の材料研究開発に資する成果である。
鈴土 知明; 山口 正剛; 都留 智仁; 濱口 大; Golubov, S.*; Stoller, R.*
no journal, ,
原子炉構造材料中の照射カスケード損傷を実験的に観察することは不可能であり、その解析は分子動力学(MD)に頼らざるを得ないことが知られている。しかし、MDが追える時間スケールは100ピコ秒程度であり、損傷の長期的な変化を解析することはできないため、MDで得られたカスケード損傷データを入力として、キネティックモンテカルロ法によるアニーリングシミュレーションが重要となる。このような背景がある中、最近、鉄中の格子間原子クラスターの運動に関する理論に進展があったため、新たなアニーリングシミュレーションが可能となり、シミュレーションを実際に行ってみた。その結果、従来よりも照射損傷効果が少なくなることがわかった。この事実は、従来の研究において、照射損傷を過大評価していたことを意味しており、今後のさらなる検討が必要である。以上のように本成果は原子力分野の材料研究開発に資する成果である。
鈴土 知明; Golubov, S.*; Barashev, A.*
no journal, ,
金属における転位バイアス因子の理論的評価値は実験値よりも大きいことが知られている。われわれは自己格子間原子(SIA)と転位の相互作用が従来のモデルに取り入れられていないことがその原因であると予測している。本研究では、転位バイアス因子の再評価のため、刃状転位近傍でのSIAの拡散シミュレーションをより正確に行うキネティックモンテカルロコードを開発した。新しいコードでは、SIAは転位との相互作用を考慮した移動障壁に従って拡散するようにした。Fe結晶を対象としたシミュレーションでは、転位近傍でdumbbell型のSIAが転位と反発するcrowdion型のSIAに変化することが確認され、バイアス因子の理論値が下がる可能性があることが示唆された。