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Plompen, A. J. M.*; Cabellos, O.*; De Saint Jean, C.*; Fleming, M.*; Algora, A.*; Angelone, M.*; Archier, P.*; Bauge, E.*; Bersillon, O.*; Blokhin, A.*; et al.
European Physical Journal A, 56(7), p.181_1 - 181_108, 2020/07
被引用回数:321 パーセンタイル:99.41(Physics, Nuclear)本論文では、核分裂と核融合のための統合評価済み核データファイルのバージョン3.3(JEFF-3.3)について説明する。中性子との反応が重要な核種のU, U, Pu, Am, Na, Ni, Cr, Cu, Zr, Cd, Hf, Au, Pb, Biについて、新しい核データ評価結果を示す。JEFF-3.3には、核分裂収率, 即発核分裂スペクトル, 核分裂平均中性子発生数の新しいデータが含まれる。更に、放射崩壊, 熱中性子散乱, ガンマ線放出, 中性子による放射化, 遅発中性子, 照射損傷に関する新しいデータも含まれている。JEFF-3.3は、TENDLプロジェクトのファイルで補完しており、光子, 陽子, 重陽子, 三重陽子, He核, アルファ粒子による反応ライブラリについては、TENDL-2017から採用した。また、不確かさの定量化に対する要求の高まりから、多くの共分散データが新しく追加された。JEFF-3.3を用いた解析の結果と臨界性, 遅発中性子割合, 遮蔽, 崩壊熱に対するベンチマーク実験の結果を比較することにより、JEFF-3.3は幅広い原子核技術の応用分野、特に原子力エネルギーの分野において優れた性能を持っていることが分かった。
荒川 雅*; 鍵 裕之; Fernandez-Baca, J. A.*; Chakoumakos, B.*; 深澤 裕
Geophysical Research Letters, 38, p.L16101_1 - L16101_5, 2011/08
被引用回数:15 パーセンタイル:39.44(Geosciences, Multidisciplinary)水素の配置が秩序化した強誘電性の氷XIが宇宙に存在することは、その強いクーロン力の存在により、宇宙物理学や物理化学の分野の関心になっている。しかしながら、強誘電性氷が形成可能な温度領域が狭いことから、その宇宙全体への影響は限られていると考えられてきた。われわれは、中性子回折の実験から、微小な水素秩序領域が従来予測より高い温度で存在し、この秩序領域が氷XIを大きくバルク状に成長させることを発見した。この微小秩序領域は氷XIの残留構造であることから、これを氷の水素秩序化の「メモリー」と名付けた。このメモリーは少なくとも111Kまでは存在し、その影響により、太陽系の多くの氷が水素秩序化しており強誘電体でもあると推定される。この微小秩序領域は氷がかかわる宇宙化学的特性や進化の過程を支配している。
深澤 裕; 荒川 雅*; 鍵 裕之; 山内 宏樹; Chakoumakos, B. C.*; Fernandez-Baca, J. A.*
Physics and Chemistry of Ice 2010, p.421 - 428, 2011/03
宇宙に存在する氷が強誘電体として存在するか否かは、その強い電気的な引力が宇宙での物質進化や水素結合にとって重要な要素であることから、大きな関心が寄せられている。われわれは、中性子回折と中性子散乱の実験から、カリウム,ナトリウム,リチウムといった不純物を混入させて秩序化の触媒として機能させた試料を育成し、その構造と物性を研究した。時間分割の回折実験は、水素秩序配置を有する強誘電性の氷XIが核生成し、約5日間、時間の経過に伴って成長することを示した。不純物を含有させた氷のうち、一度XIに変化した経験のある試料がそうではない試料に比べてより強い強誘電性を有することを見いだした。高圧下で強誘電性氷が存在することや、加圧下のアモルファス氷から強誘電性氷が発生することも示した。
荒川 雅*; 鍵 裕之; Fernandez-Baca, J. A.*; Chakoumakos, B. C.*; 深澤 裕
Physics and Chemistry of Ice 2010, p.329 - 338, 2011/03
KOD, NaOD, LiOD, Ca(OD)及びNDを含有させた氷の中性子回折を測定した。KOD及びNaODを含有させた氷試料においては、通常の氷(Ih)の水素秩序相である氷XIの存在が確認された。一方で、Ca(OD)及びNDを含有させた氷試料では氷XIが発生しなかった。すべての試料に対してリートベルド解析を用いて試料中の氷XIの質量比()を求めた。一度氷XIに変化した経験のある試料は、経験したことのない試料よりも高いの値を有することがわかった。この結果は、微小な水素秩序領域が氷XIとIhの転移温度以上で存在することが示唆している。また、に対する含有物の種類と量の影響を分析したところ、低濃度の場合に高いの値を示すことも明らかになった。以上の結果は、太陽系などに存在する氷の天体に大量の水XIが存在していることを示している。さらに、この論文では微小な水素秩序領域と原始太陽系における氷粒子の進化について考察した。
深澤 裕; 星川 晃範*; Chakoumakos, B. C.*; Fernandez-Baca, J. A.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 600(1), p.279 - 281, 2009/02
被引用回数:12 パーセンタイル:62.36(Instruments & Instrumentation)氷には14種類以上の結晶構造が存在し、複数の準安定状態,アモルファル状態が存在する。氷の多様な状態は、水素結合系の物性研究の対象として興味深いことに加えて、最近では、天体観測や惑星探査による氷天体の惑星科学からも注目されている。現在、150K以下で生じるさまざまな構造相転移について、オークリッジ国立研究所の研究用原子炉の中性子ビームを用いて研究している。本講演では、これまでの取り組みで得られた成果を発表するとともに、今後の研究展開の概要について報告する。
深澤 裕; 星川 晃範; 石井 慶信; Chakoumakos, B. C.*; Fernandez-Baca, J. A.*
Astrophysical Journal, 652(1, Part2), p.L57 - L60, 2006/11
被引用回数:47 パーセンタイル:72.23(Astronomy & Astrophysics)強誘電体の氷は低温で安定構造として存在するのだろうか?この問題は固体物理の分野はもとより天文学の分野(例えば、冥王星に強誘電体の氷は存在するのか?)でも関心が高い。私たちは、中性子回折の研究から、最も少ないレベルの不純物のドープによって最大の強誘電体氷が形成される温度条件を見いだした。この発見は、強誘電体の氷が安定構造であることを明瞭に示している。したがって、本研究で見いだした温度条件を満たす宇宙空間において自然に発生した強誘電体の氷が存在するものと予見される。
Circone, S.*; Stern, L. A.*; Kirby, S. H.*; Durham, W. B.*; Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; Rondinone, A. J.*; 石井 慶信
Journal of Physical Chemistry B, 107(23), p.5529 - 5539, 2003/06
被引用回数:162 パーセンタイル:95.12(Chemistry, Physical)本報告は、二酸化炭素ガスを内包した水化物の合成法,組成,構造及び振る舞いを調べ、その結果をメタン水化物のそれと対比したものである。二酸化炭素ガス包摂水化物結晶の格子定数の温度依存性はJRR-3に設置された高分解能中性子粉末回折装置(HRPD)における測定から決定した。得られたパターンをリートベルト解析した結果、格子定数及びその温度依存性が他の研究者の値と非常に良い一致がみられた。このことは本二酸化炭素包摂水化物が上手に合成されていることを示している。また、この良質な合成試料のTEM観察や二酸化炭素ガスの分解などについて調べ、新たな成果を得たので発表する。
Rondinone, A. J.*; Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; 石井 慶信
Journal of Physical Chemistry B, 107(25), p.6046 - 6050, 2003/06
被引用回数:21 パーセンタイル:49.29(Chemistry, Physical)本研究は、重化したトリメチレン包摂水化物からの回折強度をJRR-3炉室に設置されている高分解能中性子粉末回折装置(HRPD)を用いて広い温度範囲(10Kから250K)に渡って測定し、トリメチレン包摂水化物のI及びII型構造のトリメチレン包摂水化物における小さな篭の体積膨張は10Kから160Kの温度範囲で著しく増加し、160Kから220Kの範囲において逆に減少することがわかった。一方、大きな篭の体積膨張は温度の上昇に伴って単調に増加した。また、II型構造の体積膨張はI型における大きな篭のそれとほぼ同じ傾向を持つことがわかった。このことから、I型構造の小さな篭に内包するトリメチレン包摂水化物の中性子回折実験から、上記の新たな成果を得たので発表する。
Jones, C. Y.*; Marshall, S. L.*; Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; 石井 慶信
Journal of Physical Chemistry B, 107(25), p.6026 - 6031, 2003/03
被引用回数:38 パーセンタイル:68.4(Chemistry, Physical)本論文は、水化物構造II型を持つテトラヘドロンフラン(CHO+nHO)を低温7Kから265Kまでの温度範囲にわたりJRR-3に設置してある高分解能中性子粉末回折装置(HRPD)を用いて測定し、その結晶構造をリートベルト解析により精密化したものである。その結果、テトラヘドロフラン包摂水化物全体としては、格子の熱膨張は等方的であるが、内包テトラヘドロフランの原子配置変化は強い温度依存性を示すことが新たにわかった。大きい籠の体積が7Kから140Kまでの温度範囲において温度の上昇とともに減少し、140Kから205Kの温度範囲において増加する。また、小さい籠の温度依存性は大きい籠の逆の現象を示すことを明白にした。ほとんど水分子で構成されるガス水化物の結晶構造の解明には中性子回折が重要であることを暗に示すことができ、上記の新たな結果を得たので発表する。
Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; Rondinone, A. J.*; Marshall, S. L.*; Stern, L. A.*; Circone, S.*; Kirby, S. H.*; Jones, C. Y.*; Toby, B. H.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.655 - 658, 2002/05
メチレン・エチレン混合ガスから作った水化物の中性子回折実験を広い温度領域で行い、回折パターンを観測した。測定は主にJRR-3Mに設置してある高分解能中性子粉末回折装置(HRPD)を使用して行い、補助的に米国NISTのHRPDも用いた。観測データをリートベルト法に従って解析し、ガス水化物結晶パラメーターの精密化を行った。この結果、構成原子の配置位置及び熱振動パラメーターを精度良く決定できた。混合ガス組成を持つ水化物の基本的物理量を決定したことは非常に有意義であることから、横浜で開催の第4回ガス水化物国際会議で発表する。
Rawn, C. J.*; Rondinone, A. J.*; Chakoumakos, B. C.*; Marshall, S. L.*; Stern, L. A.*; Circone, S.*; Kirby, S. H.*; Jones, C. Y.*; Toby, B. H.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.595 - 598, 2002/05
多原子で構成しているガス水化物の結晶構造及び熱振動振幅等の多岐にわたるパラメータを一度に決定することは、現段階で、非常に困難である。そこで、まずガス分子を剛体とみなして、これまで主にJRR-3Mの高分解能粉末回折装置(HRPD)及びNISTのHRPDを用いて観測した水化物回折パターンをリートベルト法により解析した。その結果、非常に精度良く観測パターンを説明できた。さらに剛体ガス分子の熱振動振幅パラメータの温度依存性を明らかにした。上述の如く、ガス分子を剛体とみなす一次近似ではあるが、これまでの解析手法を一歩進めたことで意義がある。さらにこの熱振動パラメータはガス水化物の分解と密接に関係することから、得られた知見,解析法について国際会議で発表する。
Rondinone, A. J.*; Chakoumakos, B. C.*; Rawn, C. J.*; 石井 慶信
Proceedings of 4th International Conference on Gas Hydrates (ICGH-4), p.625 - 629, 2002/05
重水化したトリメチレン酸化物(TMO)水化物の中性子回折実験をJRR-3Mに設置してある高分解能中性子粉末回折装置により回折パターンを広い温度範囲に渡って観察した。観察したパターンをリートベルト解析して、I型結晶構造及びII型結晶構造の結晶パラメータを決定した。その結果、両者の格子定数の温度変化が100K以上の温度範囲では直線的であることを見いだした。さらに両タイプの水化物の酸素座標位置から、大きな篭の体積と小さな篭の温度変化を導き出した。その結果I型では、160から220Kの温度変化で体積が減少することを明らかにした。また原子の振動振幅の温度依存性を求めた結果、振動振幅は190Kで最大となり、それ以上の温度範囲では温度の増加につれて減少した。これは、温度の上昇に伴ってゲスト分子の回転自由度が生じ、回転したためであろうと結論した。水素(重水素)原子等軽原子からの散乱を観測できる唯一の測定法である中性子回折を行い、上述の新たな知見を得たので発表する。
深澤 裕; 星川 晃範*; Chakoumakos, B.*; Fernandez-Baca, J. A.*
no journal, ,
米国オークリッジ国立研究所で実施の中性子回折の実験結果について報告する。氷XIの核生成と成長の過程を時間分割の粉末中性子回折実験で分析した。冥王星等と同じ温度圧力領域にて氷XIが発生可能であることを発表する。
深澤 裕; 星川 晃範*; Chakoumakos, B.*; Fernandez-Baca, J. A.*
no journal, ,
原始太陽系に漂う氷粒は、冥王星のような巨大な氷の塊に成長した。氷粒が強誘電体の氷なら、静電力の存在により、重力のみを考えた場合より成長が早まっていた可能性がある。冥王星に強誘電体の氷が現存すればその証拠になる。本講演では、冥王星における強誘電体氷の分布の解明を目的とした研究展開について報告する。現在、原子力機構がオークリッジ国立研究所(ORNL)の研究用原子炉(HFIR)に設置の高感度な中性子回折装置(Wide Angle NeutronDiffractometer: WAND)を利用して、低温高圧下における氷の構造研究を進めている。
深澤 裕; 星川 晃範*; Chakoumakos, B.*; Fernandez-Baca, J. A.*
no journal, ,
オークリッジ国立研究所にて、氷XIが発生可能な圧力範囲を詳しく調べた。0.4GPaまでの圧力で氷XIが発生することが新たにわかった。0.5GPa以上の圧力を加えた場合、氷XIIIと呼ばれる別の水素秩序構造が発生した。1GPa程度まで加圧すると、まずはじめにアモルファス氷が発生したが、一定以上の時間が経過すると、次第に結晶化して水素が揃う様子が捉えられた。以上の結果から、非常に低い温度で存在する氷の天体は、表面から内部にかけてほぼ水素の秩序化した氷で構成されると思われる。ガス分子等を包摂したハイドレートでも同様の秩序化が観察されたので、大気の存在にかかわらず水素は揃うのだろう。氷XIと氷XIIIは宇宙に広く存在すると思われる。これらの氷を観測で発見したいと考えており、実験室で赤外スペクトルを測定している。
荒川 雅*; 小松 一生*; 飯塚 理子*; 鍵 裕之; Fernandez-Baca, J. A.*; Chakoumakos, B.*; 山内 宏樹; 深澤 裕
no journal, ,
0.1から0.0001mol/lの不純物濃度の氷をさまざまな温度で静置した後、中性子回折の測定を行った。得られた回折パターンのリートベルト解析を行い、生成した氷XIの割合を決定し、どのような条件で氷XIが生成するのかを詳しく調べた。すると、氷XIの生成に要する時間や生成量は不純物の種類によらず、不純物濃度と温度履歴のみに依存することがわかった。一連の実験結果から、不純物由来のOH-が相転移の触媒としてはたらき、カチオンに由来する結晶歪みやクーロン力の影響はないと結論された。以上のことは、宇宙における氷XIの存在を裏付ける。さらに、相転移に適した不純物濃度及び温度履歴を明らかにした。
荒川 雅*; 鍵 裕之; Fernandez-Baca, J. A.*; Chakoumakos, B.*; 深澤 裕
no journal, ,
水素配置の秩序化した強誘電性の氷XIが宇宙に存在することは、その強い電気的な力のために、天文学や物理化学の分野で興味をもたらしている。しかしながら、その氷はある限られた温度範囲でのみ発生可能であることから、これがもたらす影響は限られているとも考えられていた。われわれは、中性子回折の実験から、強誘電性を持つ小さな水素秩序領域がより高い温度でも存在し、しかもその秩序領域がより大きな氷XIの成長を促していることを発見した。この微小な秩序領域は、氷XIの残留的な構造と言えるので、水素秩序氷の「メモリー」と名称した。このメモリーの存在が惑星科学にもたらす影響を本講演では考察する。
深澤 裕; 荒川 雅*; 鍵 裕之; Chakoumakos, B.*; Fernandez-Baca, J. A.*
no journal, ,
中性子回折の実験から小さな水素秩序領域が高い温度で存在することが明らかになった。この小さな秩序領域は過去に形成された長周期秩序構造の残留構造であることから氷の「メモリー」構造と名称した。このメモリーは150K程まで存在しており、太陽系の氷の多くが強誘電体であることが予測される。この秩序構造は宇宙化学物質の進化の過程に深くかかわっている。
関根 由莉奈; 深澤 裕; Songxue, C.*; Chakoumakos, B.*; Fernandez-Baca, J. A.*
no journal, ,
高分子ゲルに存在する水は、界面における他の分子との相互作用やその空間的制限からバルク水とは異なる構造や性質を示す。例えば、それらの水は熱的性質により自由水,中間水,束縛水の3種類に区別される。ゲル中に存在する水の状態は材料の性質や生体機能と密接に関係するためその物性を調べることは重要である。本研究では、Poly-N,N-Dimethylacrylamide (PDMAA)ゲルにおける水の物性を明らかにすることを目的として10-300Kの温度領域における中性子回折スペクトルの変化を観察した。273K-300KにおいてはDOの回折パターンにも見られるブロードなバンドが観察された。このバンドの半値幅はDOと比べて大きく、ピーク位置は低角側へシフトしていた。この結果は、PDMAAゲル中の水分子はバルクの状態に比べて水分子間の距離が長く不均一であることを示す。10-260Kでは、ブロードなバンドは消失して20-30において氷に特徴的なピークが観察された。この結果は、10-260Kの温度領域においてゲル中に氷が形成したことを示す。本発表では、得られた中性子回折パターンより明らかとなったゲル中の水及び氷の構造について詳しく述べる。
関根 由莉奈; 深澤 倫子*; 山内 宏樹; Songxue, C.*; Chakoumakos, B.*; Fernandez-Baca, J. A.*; 深澤 裕
no journal, ,
ハイドロゲル中の水の構造及び性質を調べるため、重水素化したポリジメチルアクリルアミドゲルの中性子回折を測定した。270K以下の回折ピークより、ゲル中に氷が形成していることを確認した。これらの氷のピーク位置は普通の氷よりも低角側へシフトしていた。このシフトを解析したところ、ゲル中に形成した氷のc軸の格子定数は通常の氷Ihよりも0.3%大きいことを明らかとした。この変化は、PDMAAゲル中に低密度の氷が形成していることを示す。これらの結果は、ゲル中においてポリマーと強く相互作用した水は通常の水分子と異なり、ゲルの化学的物理的性質に大きな役割を果たすことを示唆するものである。