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浅井 栄大*; 太田 幸宏; 川畑 史郎*; 町田 昌彦; Nori, F.*
Physical Review B, 89(22), p.224507_1 - 224507_7, 2014/06
被引用回数:9 パーセンタイル:39.03(Materials Science, Multidisciplinary)集団励起現象は超伝導材料の特性探索および応用可能性を調べる上で重要である。本論文では、多バンド超伝導を含むジョセフソン接合デバイスにおいて、その固有の集団励起、ジョセフソン・レゲットモードの寄与を系統的かつ精密に評価し、量子デバイス特性と関わる巨視的量子トンネル効果を記述する理論を提案する。得られた理論により、ジョセフソン・レゲットモードが有する役割が明らかになる。すなわち、(1)零点振動によるトンネルレートの増強、(2)量子摩擦によるトンネルレートの抑制、である。この相反する特性は、今回の論文によりはじめて予測されるものである。加えて、得られた理論は効果(1)が効果(2)より優勢であることを示す。したがって、多バンド超伝導ジョセフソン接合では、量子効果は非常に観測しやすいと結論される。
小林 恵太; 町田 昌彦; 太田 幸宏*; Nori, F.*
Physical Review B, 88(22), p.224516_1 - 224516_5, 2013/12
被引用回数:17 パーセンタイル:59.41(Materials Science, Multidisciplinary)近年、鉄系超伝導物質などの多バンド超伝導体が注目を集めており、バンド間に働く相互作用により特異な超伝導状態が引き起こされる可能性が指摘されている。本発表では多バンド超伝導体における時間反転対称性の破れた状態、及び集団励起の解析を行った成果を報告する。まず多バンド超伝導模型がフラストレーションのあるスピンモデルにマッピングできることを示し、スピンモデルに対し平均場解析を行うことにより、超伝導状態、集団励起を調べた。時間反転対称性の破れるパラメーター領域を調べ、さらに集団励起の解析を行ったところ、いくつかの集団励起がギャップレスになる領域が存在することが判明した。集団励起は物質の比熱などと結びつく量であることから、ギャップレスな集団励起は超伝導物性において重要な役割を果たすと考えられる。今回の計算手法は多バンドを持つ様々な超伝導物質に適用可能であり、今後の発展が期待される。
太田 幸宏*; 小林 恵太; 町田 昌彦; 小山 富男*; Nori, F.*
Physics Procedia, 27, p.352 - 355, 2012/00
被引用回数:3 パーセンタイル:73.79相転移点近傍にある超伝導体は、微量な熱量を受け取ることにより超伝導状態から通常の伝道体状態への相転移を引き起こす。この性質を利用することにより、中性子,単一光子,分子などに対し精度の高い検出が可能となる。これは中性子などの検出対象が検出器に衝突したときに生じる熱が超伝導体中を流れる電流の変化として現れるためである。この現象は超伝導体の相転移現象,電磁気,熱拡散などを含む非常に複雑な非平衡現象であるが、今回、われわれは超伝導現象を記述するランダウ・ギンツブルグ方程式、マクスウェル方程式,熱伝導方程式を連立させ、超伝導検出器に対する大規模数値シミュレーションを行った。結果として、超伝導体表面に検出対象が衝突することによる超伝導体内の電流変化などを再現することに成功した。今回の計算手法は超伝導検出器の詳細なメカニズム解明,精度向上などに役立つことが期待される。
中島 督*; 加藤 勝*; 小山 富男*; 町田 昌彦; 石田 武和*; Nori, F.*
Physica C, 468(7-10), p.769 - 772, 2008/04
被引用回数:4 パーセンタイル:21.91(Physics, Applied)d-ドットとは、d波超伝導体とs波超伝導体の2種類の超伝導体による複合ドット構造であり、両者の界面にて半磁束量子が形成されることが知られている。本論文発表では、この半磁束量子の時間変動を2成分ギンツブルク・ランダウ方程式を基に解析するシミュレーションについて述べた後、シミュレーションにより、d-ドットが論理回路デバイスとして動作することを明らかにする。また、複数のd-ドットの相互干渉についても、シミュレーションし、情報の交換がどのように行われるかを明らかにする。
太田 幸宏; 小林 恵太; 町田 昌彦; Nori, F.*
no journal, ,
鉄系超伝導体に代表される多バンド超伝導体は、豊富な物質群、高い転移温度等の超伝導材料として優れた特性を有しており、機能材料として着目されている。本成果は、その物質特性の鍵を握るとされるバンド間相互作用の理解に向けた発表である。すなわち、バンド間相互作用に競合効果に由来するフラストレーションにより発現する、超伝導秩序と集団励起の理論分析である。主たる結果は、(1)バンド数が3以上で時間反転が破れた秩序の出現を確認、(2)バンド数が4以上で、その破れた状態と通常の状態の間のエネルギー差が消失し、その兆候は音波的な集団励起(ゼロ質量レゲット・モードと呼ぶ)の出現で捉えられることの予測、である。多バンド超伝導体の集団励起では、「ゼロ質量ではない」レゲット・モードの出現はよく知られていた。本成果は、従来とは全くことなるレゲット・モードの出現を予測し、かつその出現と超伝導秩序との関わりを理論的かつ数値シミュレーションにより明らかにしたものである。得られた成果は、今後の多バンド超伝導体の新規応用研究にとって意義があると考えられる。