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Bandyopadhyay, I.*; Gerhardt, S.*; Jardin, S.*; Sayer, R. O.*; 中村 幸治*; 宮本 斉児; Pautasso, G.*; 杉原 正芳*; ASDEX Upgrade Team*; NSTX Team*
Proceedings of 23rd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2010) (CD-ROM), 8 Pages, 2010/10
垂直移動現象(VDE)とプラズマの電流崩壊(メジャーディスラプション:MD)は、ITERの機器に大きな電磁力を及ぼす。ITERの堅牢な設計のためには、これらの現象で生じる電磁力を的確なモデルにより評価しなければならない。従来、ITERの電磁力評価は、ディスラプション解析コードDINAを用いて行われてきた。しかし、特定のコードで用いられているハローモデルのさまざまな前提条件によって、VDEやMDのシミュレーション結果が大きく影響されるため、トカマクシミュレーションコード(TSC)のような他のコードによって計算結果を検証するとともに、実験データによりコードを検証し、モデルを改良していくことが重要である。NSTXトカマクとASDEX-Uトカマクという特性の異なるトカマクにおけるVDEとMDをTSCによって解析したところ、装置によらず同じハローモデルで実験データを説明できることがわかった。また、両トカマクの実験データを用いて改良を行ったモデルによって、ITERにおけるモデル計算を行った。電流崩壊が速い場合には、TSCの計算結果と従来行われてきたDINAの計算結果は比較的一致したが、電流崩壊が遅い場合には大きな違いが見られ、その原因を探ることが今後の課題である。
中村 幸治*; Pautasso, G.*; 杉原 正芳*; 宮本 斉児; 利光 晋一; 芳野 隆治; ASDEX Upgrade Team*
Proceedings of 37th European Physical Society Conference on Plasma Physics (EPS 2010) (CD-ROM), 4 Pages, 2010/06
ITERの真空容器及び容器内構造物への電磁力負荷の要因として特に重要なものは、VDE(垂直移動現象)の際に流れる大きなハロー電流である。これまでに、DINAコードによるJT-60のハロー電流解析の例は知られているものの、ハロー電流モデルの開発はまだ十分とは言えない状況である。最近、幾つかの実験グループによりハロー電流データが系統的に取得されており、軸対称2次元自由境界コードであるTSCによりデータを検証し、ハロー電流モデルを発展させることが必要とされている。本研究では、VDEの挙動と最大ハロー電流値の関係について理解を深めるため、ASDEXアップグレードのディスラプション放電を対象として解析を行った。高温のプラズマがゆっくりと下方向に動いていき、電流崩壊の間に急激な下方向VDEが起こるという観測結果を模擬するために、TSCにより系統的シミュレーションを行った。ハロー領域の温度と幅は、観測されているハロー電流値を再現するように決定した。この場合の下向きVDEの挙動は、実験での観測と良く一致した。ITERのディスラプション時のハロー電流挙動の予測を行うためには、ASDEXアップグレードの他の放電に対しても同様な解析を行っていくことが必要であり、現在実施中である。
Hender, T. C.*; Wesley, J. C.*; Bialek, J.*; Bondeson, A.*; Boozer, A. H.*; Buttery, R. J.*; Garofalo, A.*; Goodman, T. P.*; Granetz, R. S.*; Gribov, Y.*; et al.
Nuclear Fusion, 47(6), p.S128 - S202, 2007/06
被引用回数:916 パーセンタイル:100(Physics, Fluids & Plasmas)本論文は、1999年の"ITER Physics Basis"の刊行以降に世界各国の装置で得られた重要な成果について記述したものであり、本章ではMHD安定性及びディスラプションに関する成果が記述されている。MHD安定性に関しては、(1)鋸歯状振動,(2)新古典テアリングモード,(3)抵抗性壁モード,(4)誤差磁場,(5)先進シナリオにおけるMHD安定性に関する成果が記述されていて、ディスラプションに関しては、(1)ディスラプションの特徴・原因・頻度,(2)サーマルクエンチによるエネルギーの損失と堆積,(3)電流クエンチのダイナミクス,(4)ディスラプションにより発生する逃走電子,(5)統合モデルとシミュレーション,(6)ディスラプションの回避・予測・緩和に関する成果が記述されている。
Lipschultz, B.*; 朝倉 伸幸; Bonnin, X.*; Coster, D. P.*; Counsell, G.*; Doerner, R.*; Dux, R.*; Federici, G.*; Fenstermacher, M. E.*; Fundamenski, W.*; et al.
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
国際トカマク物理活動(ITPA)スクレイプオフ層(SOL)及びダイバータ物理トピカルグループが、各国のトカマク実験データを検討した成果を発表する。(1)ELMによりSOLへ排出されたプラズマが極性ドリフトにより第一壁方向へ輸送されるモデルを、リミターでの熱負荷計測結果に基づき提案した。この場合、ITERにおいてELMによるリミターが受ける熱負荷は損失エネルギーの10-20%と考えられる。(2)ディスラプション時のダイバータへの熱負荷について最近のデータをまとめた。高密度ディスラプションでは、熱崩壊時以前に最大80%のエネルギーが放射損失により失われること,熱崩壊時は熱流束の幅が広がることなどが実験データベースから明らかとなった。ITERにおけるダイバータへの熱負荷は以前の予測よりも減少した。ただし、内部輸送障壁の崩壊や垂直変異イベントでは大きな熱負荷と考えられる。また、不純物のガスジェット及びペレット入射による熱負荷の緩和結果についても述べる。ほかに(3)ITERにおけるトリチウムの蓄積量の予測,(4)タングステンタイル、及び炭素タイルにおける複合プラズマ材料相互作用に関してもまとめる。
中村 幸治; Pautasso, G.*; Gruber, O.*; Jardin, S. C.*
Plasma Physics and Controlled Fusion, 44(8), p.1471 - 1481, 2002/08
被引用回数:12 パーセンタイル:38.18(Physics, Fluids & Plasmas)軸対称MHDシミュレーションによって、ディスラプションの際発生する垂直移動現象(VDE)を支配している新しい機構を明らかにした。単一ダイバータ・プラズマで急激なプラズマ電流分布の平坦化が起きると、プラズマはダイバータ側に向かって大きく引き寄せられ、その際のダイバータ配位に応じて上下偏ったVDEが発生しやすくなる。リミター配位のプラズマは本来ダイバータを持たないため、この引き寄せ効果が存在せず、VDEは常に上下方向等しい確率で発生する。この新しい効果は、 ASDEX-Upgradeの実験でも確認することができ、これとこれまでの研究で明らかにしてきた「中立平衡点」による効果によって、ディスラプション挙動の全体像を初めて明らかにした。
中村 幸治; 芳野 隆治; Granetz, R. S.*; Pautasso, G.*; Gruber, O.*; Jardin, S. C.*
プラズマ・核融合学会誌, 78(4), p.347 - 355, 2002/04
トカマク・ディスラプションの際発生する垂直移動現象(VDE)を回避するうえで有利な「中立平衡点」を、国際共同研究によって、JT-60U,Alcator C-Mod及びASDEX-Upgrade トカマクで調べた。米国のAlcator C-Modトカマクでは、キラー粒子を入射することで強制的にディスラプションを発生させ、VDEの様子を調べた。その結果、計算機シミュレーションの結果通り、赤道面から数cm上に「中立平衡点」が存在することを確認した。一方、ドイツASDEX-Upgradeトカマクのディスラプション・データベースを解析し、トカマク装置によってVDEに個性があり明確な「中立平衡点」が存在しないことがわかった。その原因を計算機シミュレーションで調べた結果、ディスラプションの最中生じているプラズマ電流分布の変化が垂直移動現象に強く影響していることを明らかにした。