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Redmann, F.*; 河裾 厚男; Petters, K.*; 伊藤 久義; Krause-Rehberg, R.*
Physica B; Condensed Matter, 308-310, p.629 - 632, 2001/12
被引用回数:3 パーセンタイル:22.29(Physics, Condensed Matter)バルクSiC中には、既に多くの成長欠陥が存在する。これらの欠陥は、結晶の電気的・光学的特性に影響を与えるが、結晶の複雑な熱履歴から、その特定は難しい。そこで本研究では、電子線照射によって素性の知れた欠陥を導入し、陽電子消滅法で、それらの欠陥の性質を調べた。電子線照射により、欠陥濃度の増加が認められた。主たるアニールステージは、10001400Cに現れることがわかった。このアニールステージは、エピ膜を用いた陽電子消滅とDLTS測定で見いだされた原子空孔とE1/E2準位のアニールステージに対応している。光学励起による陽電子消滅実験から、上記の原子空孔に関係する陽電子寿命が、光子エネルギー0.47eVを閾値として変化することが見いだされた。このエネルギーは、E1/E2準位のそれ(0.44eV)ともよく一致している。同時計数ドップラー拡がり測定の結果、観測された原子空孔は炭素原子により囲まれていることが示唆された。すなわち、原子空孔は、シリコン空孔を伴う複合欠陥であると考えられる。
Redmann, F.*; 河裾 厚男; Petters, K.*; Krause-Rehberg, R.*; 伊藤 久義
Materials Science Forum, 363-365, p.126 - 128, 2001/05
炭化ケイ素(SiC)半導体中の欠陥は電気・光学特性に大きな影響を与えるため、欠陥挙動の解明は物理的にも工学的にも重要な課題である。SiC半導体における欠陥挙動解明研究の一環として、われわれはn型6H-SiCに2MeV電子線を110/cm照射し、光照射下で陽電子寿命測定を行った。この結果、電子線照射により陽電子寿命の増加が観測され、空孔型欠陥の形成が確認できた。さらに、150K以下の温度において光照射により陽電子寿命が減少することを見いだした。これは、光照射により欠陥の荷電状態が負から中性あるいは正に変化して、欠陥の陽電子捕獲が抑制されることに起因すると考えられる。また、この光照射効果は永続的ではなく、18Kでは光遮断後約30分で回復する結果が得られた。この挙動は、DLTS測定で観測されるE1/E2欠陥が示す光照射後の準安定状態と類似しており、E1/E2準位が空孔型欠陥に起因することが示唆される。