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岩元 洋介; 松田 洋樹; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 中本 建志*; 吉田 誠*; 石 禎浩*; 栗山 靖敏*; 上杉 智教*; 八島 浩*; et al.
Proceedings of 61st ICFA Advanced Beam Dynamics Workshop on High-Intensity and High-Brightness Hadron Beams (HB 2018) (Internet), p.116 - 121, 2018/07
放射線挙動計算コードPHITSにより放射線照射による材料損傷評価の基礎データを解析するため、入射粒子と核反応から生成する二次粒子によるターゲット1次はじき出し原子(PKA)のエネルギーを考慮した照射損傷モデルを開発した。このモデルを用いた解析により、100MeV以上の高エネルギー陽子による照射損傷において、二次粒子により生成したターゲットPKAの寄与が入射陽子によるPKAの寄与に比べて大きいことがわかった。また、高エネルギー陽子照射に対する照射損傷モデルを検証するため、サンプルを極低温まで冷却するギフォード-マクマフォン冷凍機を用いた陽子照射装置を開発した。本装置を用いて、125及び200MeV陽子を照射した銅とアルミニウムについて、はじき出し断面積に関連する極低温での欠陥に伴う電気抵抗率変化を測定した。実験値と計算値の比較の結果、欠陥生成効率を考慮したはじき出し損傷の計算値が実験値を良く再現することがわかった。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
Proceedings of 11th Meeting of the Task Force on Shielding Aspects of Accelerators, Targets and Irradiation Facilities (SATIF-11), p.91 - 98, 2013/10
高エネルギー加速器機器の放射線による照射損傷の指標として、DPA(原子あたりのはじき出し数)があり、この評価精度が施設設計や運転管理に大きく影響する。本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて、荷電粒子に対するDPA値を正確に計算するために、クーロン弾性散乱からの寄与を含むように拡張した。その結果、陽子エネルギー20MeVを超える領域では、核反応により発生する荷電粒子の照射損傷に対する影響が大きくなることを明らかにした。一方、PHITS以外の計算コード(FLUKA, MARS等)において照射損傷モデルが近年開発された。高エネルギー領域のDPA値に関する実験データがほとんど無いことから、計算コード間の相互比較が損傷モデルの検証において重要となるが、ほとんど行われていない。そこで、本研究ではPHITSとMARSによるDPA値の計算結果の相互比較を行った。重イオン加速器で利用される130MeV/u Ge+Wにおいては、PHITSとMARSの計算結果はよく一致した。会合では、FLUKAとの比較、及び高エネルギー陽子・中性子照射についても言及する。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 303, p.120 - 124, 2013/05
被引用回数:10 パーセンタイル:60.75(Instruments & Instrumentation)"原子あたりのはじき出し数(DPA)"の関数で評価される放射線損傷は、原子炉,核融合炉施設及び大強度ビーム加速器施設等に関して重要な課題の一つである。本研究では、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて、DPA値を正確に計算するために、原子核弾性散乱や核反応から生成する二次荷電粒子のクーロン散乱からの寄与を含むように拡張した。その結果、陽子及びヘリウムのエネルギーが20MeVを超える領域では、核反応により発生する荷電粒子の照射損傷に対する影響が大きくなることを明らかにした。さらに、中性子に対するDPA値については、熱領域からGeV領域の10桁に渡るエネルギー範囲で評価が可能となった。本成果により、PHITSコードを用いたさまざまな粒子に対する照射損傷の評価精度を格段に向上させた。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 274, p.57 - 64, 2012/03
被引用回数:25 パーセンタイル:85.66(Instruments & Instrumentation)"原子あたりのはじき出し数(DPA)"の関数で評価される放射線損傷は、大強度ビーム、特に重イオンに関して重要な課題の一つである。最近、われわれは粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに含まれるDPA計算モデルを、輸送荷電粒子のクーロン弾性散乱からの寄与を含むように拡張した。100MeVを超える陽子及びヘリウム入射によるタングステンでは、核反応により生成する二次粒子のDPAへの寄与が顕著となることがわかり、高エネルギー領域において、本研究により改良したPHITSコードは、一般に材料損傷計算に使用される、核反応を取り扱えないSRIMコードよりもDPA導出に関して信頼できることがわかった。また、銅とタングステンに関して、広いエネルギーに対する欠陥生成効率をPHITSコードに組み込むことにより、はじき出し断面積の実験値をよく再現することがわかった。このように、改良したPHITSコードを用いて、広いエネルギー,さまざまな粒子に対するはじき出し断面積の評価を行うことを可能とした。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
JAEA-Conf 2011-002, p.157 - 162, 2011/09
"原子あたりのはじき出し数(DPA)"の関数で評価される放射線損傷は、大強度ビーム、特に重イオンに関して重要な課題の一つである。最近、われわれは粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに含まれるDPA計算モデルを輸送荷電粒子のクーロン弾性散乱からの寄与を含むように拡張した。具体的には、6つのパラメータ(入射粒子と生成粒子の電荷、質量数及び入射粒子の運動エネルギーと散乱角)の関数からなるラザフォード微分断面積の代わりに、J. Lindhard等による統合的な1つのパラメータの微分断面積の式を採用した。核子あたり130MeVの76Ge入射による184Wの深さ方向のDPA計算を拡張後のPHITSと、2次元損傷計算で一般に使用されるTRIMコードによる計算結果とを比較したところよく一致した。クーロン弾性散乱を含まない拡張前のPHITSはこれらの結果より約100倍ほど小さく、特に重イオンに対してクーロン弾性散乱からの寄与は無視できないことがわかった。その他のエネルギー、ターゲット等の系統的なDPA計算についても発表を行う。
岩元 洋介; Ronningen, R. M.*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 269(3), p.353 - 363, 2011/01
被引用回数:7 パーセンタイル:48.56(Instruments & Instrumentation)米国希少放射性同位元素ビーム施設(FRIB)等の重イオン加速器施設の遮蔽設計において、モンテカルロ輸送計算コードを使用することは膨大な計算時間を要する。そのため、施設の遮蔽概念設計の初期の段階では中性子線量に対する各遮蔽材の減衰定数を用いた簡易評価式が頻繁に使用される。そこで、FRIBでの使用が予定されるイオンビーム(核子あたりのエネルギーがそれぞれ200及び400MeVのU, 300及び500MeVのCa, 800MeVのHe、並びに1GeV陽子)が厚い銅ターゲットへ入射した場合のコンクリート,鉄及び複合遮蔽体である鉄/コンクリートの各遮蔽体における中性子線量の減衰定数をPHITSコードで算出した。AgosteoらによるFLUKAコードの結果に対して、PHITSコードによる計算結果はよく再現した。また、1m厚さの鉄とコンクリートの複合遮蔽体での線量率減衰に関して、両遮蔽体の境界付近で中性子の線量率が大きく減少することがわかった。得られた減衰定数を組み込んだ表計算ソフトを作成した結果、遮蔽体の厚さを入力することにより各イオンビームに対する中性子線量が簡便に導出できるようになった。
岩元 洋介; Ronningen, R. M.*; 仁井田 浩二*
Health Physics, 98(4), p.591 - 596, 2010/04
被引用回数:4 パーセンタイル:30.41(Environmental Sciences)重イオン加速器施設の設計では、低エネルギーの重イオンに起因する高レベル放射線場における線量の予測法の確立と遮蔽設計が必要となる。粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、核子あたり100MeVを超える高エネルギー重イオン加速器施設周辺の放射線レベル予測に使用されているが、核子あたり10MeV付近の重イオン反応による放射線レベル計算に関するPHITSコードの妥当性は十分調べられていない。そこで本研究ではまず、核子あたり6.25MeVと10MeVのCイオン及び核子あたり10MeVのOイオンが銅ターゲットに入射した際の中性子生成エネルギースペクトルの測定データを用いて、PHITSコードにおける原研版量子分子動力学モデル(JQMD)から蒸発モデル(GEM)への"切り替え時間"の妥当性を検証した。その結果100fm/cが最もよく測定データを再現することがわかった。また、この切り替え時間を用いて、Ohnesorgeらによる核子あたり3-16MeVの重イオン入射による中性子線量率データの詳細解析を行い、測定データをよく再現する計算結果が得られた。さらに、線量当量率は入射する重イオンの種類には依存しないが、ターゲット材質に対しては依存することがわかった。
岩元 洋介; Ronningen, R. M.*; 仁井田 浩二*
Proceedings of 2009 Particle Accelerator Conference (PAC '09) (DVD-ROM), p.1683 - 1685, 2009/05
粒子・重イオン輸送計算コード(PHITS)は、おもに100MeV/uを超える高エネルギー重イオン加速器施設での中性子線量を計算することに使用されている。しかしながら、10MeV/u付近の低エネルギー重イオン施設での中性子生成と線量レベルの予測にも望まれるが、そのような低エネルギー領域でのPHITSの信頼性はまだ調べられていない。この研究では、10MeV/uのCとOイオン入射による炭素と銅から生成する中性子エネルギースペクトルを、量子分子動力学(QMD)と蒸発モデル(GEM)を用いて計算を行った。特に、QMD計算が終了しGEMモデルへ計算が移行する時間、"switching time"の影響について調べた。その結果、100fm/cのswitching timeを用いて得た中性子エネルギースペクトルは実験データとよく一致する。また、Ohnesorge等の3-16MeV/uのC, O, Neビーム入射反応を用いた中性子線量率の測定結果との比較を行うために、鉄,ニッケル,銅ターゲットを用いて、ターゲットから1m離れた、ビーム軸に対して90度方向の位置での中性子線量率の計算を行った。計算結果は実験結果をよく再現することがわかった。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; 岩元 大樹; 原田 正英; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
no journal, ,
発表者等が開発した放射線による「原子あたりのはじき出し数(DPA)」の計算手法を、加速器施設における超伝導システムの放射線損傷に関する国際ワークショップで紹介する。粒子・重イオン輸送計算コードPHITSへ新たに輸送荷電粒子のクーロン散乱からの寄与を含むように改良し、エネルギー範囲10MeVから数GeVにおいて、あらゆる粒子と物質に対してDPA値を導出することが可能となった。原子炉等の材料損傷評価で使用されるSRIMコードは、銅に対する100MeVを超える陽子・ヘリウムの照射において、核反応生成物によるDPA値を導出できないことを示唆した。欠陥生成効率をPHITSによる照射損傷計算手法に導入することで、20MeV以下の中性子及び陽子照射及び1.1, 1.94GeVの陽子照射に対する銅の照射損傷の実験値をよりよく再現することが可能となった。また、J-PARCのADSターゲット試験施設(TEF-T)のビーム窓及び照射試料に対する評価では、欠陥生成効率を考慮しないDPA値は、考慮した場合に比べて約2倍高いことがわかった。
岩元 洋介; 仁井田 浩二*; 沢井 友次; Ronningen, R. M.*; Baumann, T.*
no journal, ,
「原子あたりのはじき出し数(DPA)」の関数で評価される放射線損傷は、大強度ビーム、特に重イオンに関して重要な課題の一つである。最近、われわれは粒子・重イオン輸送計算コードPHITSに含まれるDPA計算モデルにおいて輸送荷電粒子のクーロン弾性散乱からの寄与を含むように拡張した。核子あたり130MeVのGe入射による184Wの深さ方向のDPAに関して、拡張後のPHITSと2次元損傷計算で一般に使用されるTRIMコードによる計算結果とを比較したところよく一致した。拡張前のクーロン弾性散乱を含まないPHITSの結果は、これらの結果の約1/100程度であり、重イオンに対してクーロン弾性散乱からの寄与が無視できないことがわかった。また100MeVを超える陽子入射によるタングステンでは、核反応により生成する二次粒子のDPAへの寄与が顕著となることがわかり、高エネルギー陽子入射反応においても、本研究により改良したPHITSコードは核反応を取り扱えないTRIMコードよりもDPA導出に関して信頼できるコードであることがわかった。