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小嵐 淳; 安藤 麻里子; 永野 博彦*; Sugiharto, U.*; Saengkorakot, C.*; 鈴木 崇史; 國分 陽子; 藤田 奈津子; 木下 尚喜; 永井 晴康; et al.
JAEA-Technology 2020-012, 53 Pages, 2020/10
近年急速に進行する温暖化をはじめとした地球環境の変化は、陸域生態系(とりわけ森林生態系)における炭素循環に変化をもたらし、その結果、温暖化や環境変化の進行に拍車をかける悪循環が懸念されている。しかしながら、その影響の予測には大きな不確実性が伴っており、その主たる要因は、土壌に貯留する有機炭素の動態とその環境変化に対する応答についての定量的な理解の不足にある。放射性炭素(C)や安定炭素(C)同位体の陸域生態系における動きを追跡することは、土壌有機炭素の動態を解明するうえで有力な研究手段となりうる。本ガイドは、同位体を利用した土壌炭素循環に関する研究を、特にアジア地域において促進させることを目的としたものである。本ガイドは、土壌の採取、土壌試料の処理、土壌有機炭素の分画、Cの同位体比質量分析法による測定及びその試料調製、ならびに Cの加速器質量分析法による測定及びその試料調製に関する実践的手法を網羅している。本ガイドでは、炭素循環研究において広く用いられる C分析結果の報告方法についても簡単に紹介する。さらに、同位体を利用した研究手法の実際的応用として、日本の森林生態系において実施した事例研究の結果についても報告する。本ガイドによって、同位体を利用した炭素循環研究に興味を持って参画する研究者が増加し、地球環境の変化の仕組みについての理解が大きく進展することを期待する。