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大塚 孝治; 阿部 喬*; 吉田 亨*; 角田 佑介*; 清水 則孝*; 板垣 直之*; 宇都野 穣; Vary, J. P.*; Maris, P.*; 上野 秀樹*
Nature Communications (Internet), 13, p.2234_1 - 2234_10, 2022/04
被引用回数:17 パーセンタイル:95.19(Multidisciplinary Sciences)多くの原子核では核子の独立粒子模型がよい近似であり、それが原子核構造の出発点となっているが、一部の軽い原子核では陽子2個と中性子2個からなるアルファ粒子が局在しているアルファクラスターを構成要素としてもよいと考えられている。しかしながら、アルファクラスターそのものを観測することは困難であり、それがどの程度よい近似なのかは軽い核を理解する上で重要である。本研究では、核力から出発した第一原理モンテカルロ殻模型計算により、ベリリウム同位体および炭素12の多体波動関数を得た。物体固定系での密度分布の計算結果から、ベリリウム同位体では2個のアルファクラスターが局在していることを示した。また、炭素12では基底状態は比較的液滴模型に近く、ホイル状態として知られる第一励起状態はアルファクラスターと液滴状態が混合したクロスオーバーとしてとらえられることがわかった。これらの解析に、デンドログラムという統計的学習手法が有効であることもわかった。
阿部 喬*; Maris, P.*; 大塚 孝治*; 清水 則孝*; 宇都野 穣; Vary, J. P.*
Physical Review C, 104(5), p.054315_1 - 054315_22, 2021/11
被引用回数:9 パーセンタイル:76.16(Physics, Nuclear)近年、大規模数値計算の進化に伴い、核力のみを出発点として原子核の性質を得ることを目的とした第一原理核構造計算が盛んに行われているが、未だに酸素16を超える核子多体問題を近似なしに解くのは困難である。本論文では、広い配位空間を採用した無芯殻模型によって第一原理計算を行う手法として、モンテカルロ殻模型による近似解をもとに、配位空間の大きさを無限大に外挿する手法を提案し、その有効性をHe, Be, C, O, Neの5核種について調べた。特に、Daejeon16相互作用という短距離相関の弱い核力を使えば、Neでも、外挿にともなう束縛エネルギーの不定性をかなり小さくすることが可能となった。
阿部 喬*; Maris, P.*; 大塚 孝治*; 清水 則孝*; 宇都野 穣; Vary, J. P.*
Physical Review C, 86(5), p.054301_1 - 054301_18, 2012/11
被引用回数:71 パーセンタイル:94.75(Physics, Nuclear)核子間の相互作用として正の相互作用を用いた核構造計算は第一原理計算と呼ばれるが、その中でも一粒子状態を非常に数多くの調和振動子波動関数で展開した殻模型的手法は有力な手法として知られている。本論文では、殻模型的手法のうち、完全配位相互作用計算(FCI),モンテカルロ殻模型計算(MCSM),無芯殻模型計算(NCSM)の3手法を多体計算手法の観点から比較した。FCIは、与えられた一粒子空間内すべての多体状態を取り入れるもので、計算が可能ならば最も正確な値を出す方法である。しかし、4主殻取り入れた場合、炭素12など核子数が多い系のFCI計算は現段階では不可能である。NCSMは、多体状態の調和振動子量子数で制限をかける計算であり、多くの一粒子状態数を取り入れることはできるが、多粒子多空孔状態の記述に難がある。一方、MCSMは、FCI計算可能な系ではFCIとほとんど同じエネルギー値を与え、それが不可能な系においても計算可能なことが示され、今後非常に有力となる手法であることがわかった。