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新原 隆史*; 横山 立憲; 新井 朋子*; 三澤 啓司*
Meteoritics & Planetary Science, 56(8), p.1619 - 1625, 2021/08
被引用回数:1 パーセンタイル:11.37(Geochemistry & Geophysics)NWA 1685 (LL4)コンドライトの岩石鉱物学的研究をおこなった。既往研究では、NWA 1685にはYamato-74442 (LL4), Bhola (LL3-6), Kraehenberg (LL5)に認められるものと同様の岩片を含むと記載されていた。本研究では、NWA 1685に含まれる岩片について組織や鉱物及びマトリックスの化学組成をYamato-74442, Bhola, KraehenbergなどのLLコンドライトに含まれるアルカリに富む岩片と比較した。NWA 1685の岩片中のかんらん石は、ガラス質のマトリックスに存在し、ゾーニングは認められない。また、衝撃溶融による脈状組織や割れ目がかんらん石の内部のみで見つかり、ガラス質なマトリックスには伸びていないことが確認される。また、かんらん石の主要元素および微量元素組成は均質であった。ガラス質なマトリックスのカリウム存在度は、Yamato-74442, Bhola, Kraehenbergと比較して低く、NWA 1685に含まれる岩片はYamato-74442, Bhola, Kraehenbergなど角礫岩LLコンドライトに含まれる岩片と異なり、LLコンドライト母天体での衝撃溶融イベントの後に急冷して形成され角礫岩に取り込まれたと考えられる。
横山 立憲; 三澤 啓司*; 岡野 修*; 箕輪 はるか*; 福岡 孝昭*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 310(1), p.81 - 89, 2016/10
被引用回数:1 パーセンタイル:10.78(Chemistry, Analytical)角礫岩コンドライト等の惑星物質中からは、アルカリに富む物質が認められることがある。このアルカリに富む物質は、肉眼で惑星物質中の他の構成要素と識別することが困難であるため、宇宙化学的及び同位体化学的研究を実施するためには、これらを簡便に分離・同定する手法の確立が必要であった。本研究では、Kの放射壊変に伴う線によってイメージングプレートが感光する原理を利用し、アルカリに富む物質の同定手法を確立した。感光実験の結果、対象試料中にカリウムがおよそ30g(放射能にしておよそ1mBq)含まれていれば約50日間の曝射でイメージングプレートの感光が確認され、アルカリに富む物質の同定が可能であることが分かった。本手法は非破壊・非汚染で簡便にカリウムに富む物質を選別することを可能とし、K-CaやK-Ar(Ar-Ar)年代測定等の対象試料の選別に極めて有効な手法である。
横山 立憲; 三澤 啓司*; 米田 成一*
no journal, ,
原始太陽系星雲中の凝縮過程では、難揮発性元素の凝縮に続いて、低温となった星雲ガスからはより揮発性の高い元素が凝縮していく。Ca, Al-rich Inclusionsなどの難揮発性元素の凝縮物は、炭素質コンドライトに普遍的に存在しているが、中程度揮発性元素及び揮発性元素の凝縮物の報告例はほとんどない。惑星大規模分化の有無を問わず、(小)惑星規模で揮発性元素の欠乏が指摘されている。この揮発性元素の欠乏については、蒸発-凝縮過程において揮発性元素が気相に分配され、取り去られたことに起因する不完全凝縮説などが提案されている。本研究では、アルカリ元素に富む惑星物質を対象として年代学研究を実施し、原始太陽系星雲における元素分別過程に制約を与えることを目的としている。Y-74442に含まれるアルカリ岩片の形成年代は約4.4Gaである。また、これらの岩片の前駆物質は、4.4Ga以前に揮発性元素に富む元素分別を経験していたことが示唆された。高時間分解能で元素分別過程を議論するために消滅核種Csを親核種とするCs-Ba年代測定を試みている。Ba標準溶液, コンドライト全岩試料, Allende中の棒状カンラン石コンドリュールについてBa同位体分析を実施した結果、本研究におけるBa(50ng)同位体分析の精度(2 standard error)は、Ba/Ba比で75ppm、Ba/Ba比で10ppm、Ba/Ba比で15ppmであった。
新原 隆史*; 都築 祐樹*; 三澤 啓司*; 横山 立憲; 米田 成一*
no journal, ,
いくつかの角礫岩コンドライト隕石には、アルカリに富む岩片が確認される。これら岩片の形成過程として、太陽系星雲中で凝縮したアルカリに富む物質が衝撃溶融を受けたと考えられている。コンドライト隕石であるBeardsley (H5)は他のHコンドライトと比較してRbを多量に含有する。しかしながら、他のHコンドライトに認められるハライトやシルバイト及びアルカリに富む岩片の形成過程として示唆される水質変質の岩石鉱物学的な痕跡は未だBeardsleyからは見つかっていない。本研究では、特に二次変質やアルカリ元素の分布を明らかにし、岩石鉱物学的記載を通じて、Beardsleyの形成過程について考察した。Beardsleyの岩石鉱物学的特徴は他の衝撃溶融を受けたHコンドライトと類似し、灰色の岩相は衝撃溶融イベントによって形成されたことが示唆された。一方で、KOに富む灰色の岩相は衝撃溶融だけでその成因は説明できず、現段階では成因は明らかではない。