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池上 隆仁*; 乙坂 重嘉*; 本多 牧生*; 喜多村 稔*; 三野 義尚*; 成田 尚史*; 小林 卓也
Frontiers in Marine Science (Internet), 9, p.884320_1 - 884320_11, 2022/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)2011年8月5日から2013年6月23日の期間において日本の太平洋沖に設置したセディメントトラップで採取されたメソ動物プランクトンスイマー(沈降粒子ではなく、能動的にトラップに入ってきた動物プランクトン)の季節変動を解析した。スイマーのほとんどはNeocalanus cristatus(亜寒帯域を代表するカイアシ類で成長に伴い深層に潜る(季節的鉛直移動))と中深層に生息するメソ動物プランクトンであり、トラップの設置水深の動物プランクトン相をよく反映していた。観察されたNeocalanusの成長段階はすべて亜成体成体であることから、Neocalanusの個体数フラックスは季節的鉛直移動に伴う鉛直方向のフラックス(アクティブフラックス)と見なすことができる。Neocalanusのアクティブフラックスによる炭素輸送量を計算したところ、北太平洋の外洋域の沈降粒子による有機炭素フラックスに匹敵した。
乙坂 重嘉*; 鈴木 崇史; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 三野 義尚*; 鋤柄 千穂*; 伊藤 友加里*; 白井 厚太朗*; 杉原 奈央子*
no journal, ,
福島沿岸の堆積物中の放射性セシウム濃度を変動させる要因の一つである、浅海域-沖合海域間での懸濁粒子の移動過程を明らかにするため、粒子輸送の「下流域」と推測される福島第一原子力発電所の南南東の陸棚縁辺域(北緯37度00分、東経141度24.9分)において、2017年10月から2018年6月まで時系列式セジメントトラップを設置し、計39期間の沈降粒子試料を採取した。観測期間を通して沈降粒子からCsが検出され、Cs濃度は明瞭な季節変動を示した。観測期間中に得られた最大の沈降粒子中のCs濃度は、同観測点の表層(01cm層)堆積物中のCs濃度に比べて一桁高かった。一方で、年間のCs粒子束は、観測開始時に既にその観測点の海底に蓄積していたCs存在量の1%未満であった。浅海域から沖合海域での粒子による継続的な放射性セシウムの輸送は起こっているものの、堆積物中での放射性セシウム量を変化させる要因としての効果は小さいと推測される。
乙坂 重嘉*; 鈴木 崇史; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 土肥 輝美; 三野 義尚*; 鋤柄 千穂*; 伊藤 友加里*; 神田 譲太*; 石丸 隆*
no journal, ,
福島沿岸の海底に蓄積した放射性セシウムの移動過程を明らかにするため、福島第一原子力発電所の南南東の陸棚縁辺域において、2017年10月から2018年6月にかけて時系列式セジメントトラップを設置し、計39期間の沈降粒子試料を採取した。沈降粒子からは観測期間を通じて放射性セシウムが検出され、その濃度は明瞭な季節変動を示した。観測された放射性セシウムの粒子束は、冬季(121月)と春季(3月4月)に極大を示した。沈降粒子特性の詳細な分析から、冬季は比較的分解度の低い生物粒子が、春季は陸起源粒子が沈降粒子を構成していることがわかった。特に春季には高い放射性セシウム粒子束が観測され、放射性セシウムを含んだ陸起源粒子が、沿岸域から沖合海域に水平移動したことが、高い粒子束の原因であると推測された。ただし、この過程による、海底堆積物中での放射性セシウムの再分布の効果は限定的であると考えられる。