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上出 英樹; 相澤 康介; 大嶋 淳*; 中山 王克*; 笠原 直人
Journal of Nuclear Science and Technology, 47(9), p.810 - 819, 2010/09
被引用回数:3 パーセンタイル:24.08(Nuclear Science & Technology)原子力機構では改良ループ型ナトリウム冷却高速炉の開発を進めている。炉容器径の削減を目的として燃料交換システムの簡素化を行った結果、炉上部機構(UIS)は燃料交換機のアームを通すために半径方向の切込みを有する構造とした。このUIS切込みは炉心出口から上方に向かう速い流れを許すことになり、炉容器内自由液面でのガス巻込みや破損燃料位置検出器における遅発中性子先行核のサンプリングに影響を及ぼす。そこで、1/10縮尺炉上部プレナムモデルを用いた水試験により、可視化と流速測定を行った。粒子画像流速測定法を用いて流速場を測定した結果、切込み部の流速はUISの水平多孔板の高さで加速され、炉上部プレナムの高い位置まで速い流速を維持することがわかった。複雑な形状を持つUISに対して適切な流動解析手法の知見を得るため、商用CFDコードを用いた実験解析を実施した結果、解析された流速場は実験結果によく一致した。
上出 英樹; 相澤 康介; 大嶋 淳*; 中山 王克*; 笠原 直人
Proceedings of 6th Japan-Korea Symposium on Nuclear Thermal Hydraulics and Safety (NTHAS-6) (USB Flash Drive), 8 Pages, 2008/11
原子力機構では改良ループ型ナトリウム冷却高速炉の開発を進めている。炉容器径の削減を目的として燃料交換システムの簡素化を行った結果、炉上部機構(UIS)は燃料交換機のアームを通すために半径方向の切込みを有する構造とした。このUIS切込みは炉心出口から上方に向かう速い流れを許すことになり、炉容器内自由液面でのガス巻込みや破損燃料位置検出器における遅発中性子先行核のサンプリングに影響を及ぼす。そこで、1/10縮尺炉上部プレナムモデルを用いた水試験により、可視化と流速測定を行った。UISは制御棒上部案内管(CRGT)と6枚の水平多孔板からなっている。この複雑な形状に対応するため、可視化には、屈折率調整の手法を用いた。UISの1/4セクター部にあるCRGTを水と屈折率がほぼ等しいフッ素系樹脂を用いてモデル化した。粒子画像流速測定法を用いて流速場を測定した結果、切込み部の流速はUISの水平多孔板の高さで加速され、炉上部プレナムの高い位置まで速い流速を維持することがわかった。複雑な形状を持つUISに対して適切な流動解析手法の知見を得るため、CFDコードを用いた実験解析を実施した結果、解析された流速場は実験結果によく一致した。
中山 王克; 小川 博志*; 木村 暢之; 林 謙二; 飛田 昭; 上出 英樹
Proceedings of 15th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-15) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/04
局所的に鉛直方向の速い流れを有する原子炉容器におけるスクラム時温度成層化現象について、1/10スケール炉上部プレナム試験体を用いた原子炉トリップ時の温度分布計測を実施した。その結果、界面の上昇速度がリチャードソン数によって整理でき、界面の温度勾配は温度差及び炉心出口流速によって影響されることがわかった。また、プレナム内の構造物位置を変更することで、界面の温度勾配は大きく緩和されることがわかった。
藤井 正; 近澤 佳隆; 此村 守; 上出 英樹; 木村 暢之; 中山 王克; 大島 宏之; 成田 均*; 藤又 和博*; 糸岡 聡*
JAEA-Research 2006-017, 113 Pages, 2006/03
実用化戦略調査研究で概念設計を進めているナトリウム冷却大型炉では、従来設計よりも高流速条件となる炉上部プレナム内の流動特性を把握するため、縮尺水流動試験が実施されている。本報告では、汎用熱流体解析プログラムを用いて水試験体系を対象とした流動解析を実施し、実機体系でのプレナム内流況と気泡を伴う水中渦の評価に対する適用性を検討した。(1)1/10縮尺プレナム試験を対象に、フルード数一致条件での定常解析を実施した。解析では、炉心上部機構内部から炉容器壁に向かう噴出し流れや、切込み部からの上昇噴流等の上部プレナムでの特徴的なフローパターンを再現できる見通しを得た。また、実機体系での全体流況が水試験体系と定性的に一致することを確認するとともに、解析における数値解法や境界条件等の設定がフローパターンに及ぼす影響が明らかとなった。(2)伸長渦理論に基づく渦予測評価手法を用いて、1/10縮尺試験のディッププレート下方領域における渦の分布を評価した。実機流速一致条件の場合には、水試験と同様、コールドレグ配管壁からホットレグ配管に吸込まれる2本の渦を、気泡を伴う水中渦として同定した。この結果より、上部プレナム内で定常的に発生する液中渦を渦予測評価手法により同定できることを確認した。
木村 暢之; 江連 俊樹; 中山 王克; 飛田 昭; 伊藤 真美*; 上出 英樹
JAEA-Research 2006-005, 45 Pages, 2006/03
日本原子力研究開発機構ではFBR実用化戦略調査研究の一環として、ナトリウムを冷却材とした高速炉の検討を行っている。ガス巻き込みを含む炉上部プレナム内の流況を適正化するために、縮尺比1/1.8の大規模水流動試験体を製作し、ガス巻き込み現象を把握した。本試験体は、ガス巻き込み発生の要因となる下降流速が見られることから、出口配管(ホットレグ配管)を中心とする90度セクターを対象に、液面への流れを抑制するために設置されている水平板(ディッププレート、D/P)から液面までをモデル化した。ガス巻き込みの発生は可視化によって確認した。設計形状の体系(D/Pを2段で構成)では、定格時に予測される流速条件で、D/Pからの液位が定格時の液位の3%から100%の範囲でガス巻き込みの発生は見られなかった。D/Pを1段とした場合との比較から、D/Pを2段にすることで局所的な下降流速のピークを低減する効果があることがわかった。また、1段D/P形状で高液位(定格の50%の高さ以上)条件下では、周方向流速に依存してガス巻き込みが発生することが可視化結果、及び流速計測結果からわかった。発生条件は設計における定格条件に比べて、周方向流速で4倍以上大きいことがわかった。以上により、本体系の原子炉容器についてガス巻込み抑制の見通しが得られた。
中山 王克; 木村 暢之; 上出 英樹; 伊藤 真美*; 関根 正*
JNC TN9400 2005-032, 103 Pages, 2005/03
FBR実用化戦略調査研究にて検討されている大型ナトリウム炉のコンパクト化に関して、炉内の高流速化に伴い、自由液面からのガス巻き込みが懸念されている。そこで、実機の1/10スケール炉上部プレナム水流動試験装置を製作し、自由液面からのガス巻き込みを含む炉内流動の適正化を図るための研究を実施している。これまで、液面に向かう流れの抑制やキャビテーションを伴う水中渦抑制に効果的な構造として1)燃料交換機(FHM)貫通孔に挿入するプラグ、2)ホットレグに向かい合う炉壁に縦リブを設けるスプリッタを考案し、大型炉の成立性を確認した。本報告では、液面の下に設ける水平板(ディッププレート、D/P)の2重化ならびにUISの外周に多孔胴を設けることの効果について1/10スケール試験装置を用いて検討した。 2重D/Pでは、炉容器と燃料出入機案内管の間の液面近傍領域において、流れを抑制する効果が確認された。また、燃料交換機(FHM)貫通孔に挿入するプラグについて、2重としたD/P間の高さでプラグの直径を変えて段差を設けることで、プラグ周りの隙間を通る流れの抑制効果が認められた。2重D/P体系でのプラグ高さが液面近傍の流れに与える影響を評価した結果、プラグをD/Pよりさらに下方に挿入することが液面近傍の流速低減とキャビテーションを伴う水中渦の抑制に有効であることを確認した。キャビテーションを伴う水中渦を抑制する構造案としてUISに多孔胴を設けることの効果を把握した。胴を設けることで、炉壁とホットレグ間のキャビテーションを発生させやすくし、コールドレグから発達するキャビテーションの抑制についても必ずしも有効でないとする結果が得られた。胴により効果を得ようとする場合には、胴にあける孔の配置などにより、渦の発生を抑制するよう流れの微妙なバランスをとる必要があり、さらに検討が必要と考えられる。
木村 暢之; 飛田 昭; 小林 順; 中山 王克; 伊藤 真美*; 上出 英樹
JNC TN9400 2004-067, 48 Pages, 2004/05
核燃料サイクル開発機構ではFBR実用化戦略調査研究の一環として、ナトリウムを冷却材とした高速炉の検討を行っている。その設計では、経済性向上を図るためシステムのコンパクト化を図っており、炉容器径に比較して炉出力が増加している。このため冷却材の流速が上昇し、液面からのガス巻き込みが懸念されている。そこで、炉心出口からの流れが直接液面に到達しないように、ディッププレート(D/P)と呼ぶ水平板を液面の下方に設置することとしている。 このような液面からのガス巻込み防止を含む炉上部プレナム内の流況を適正化することを目的に、主な構造物を全て模擬した1/10縮尺モデルを用い、炉上部プレナム水流動試験を実施している。しかし、ガス巻込み現象に関しては実機に対する試験体の縮尺比が小さいほど、発生限界を非保守的に評価する懸念がある。そこで、縮尺比1/1.8の水流動試験体を製作し、ガス巻込み現象を把握した。1/1.8縮尺水流動試験体では、ガス巻込み発生の要因となる下降流速が顕著な出口配管(ホットレグ配管)を中心とする90度セクター、D/Pから液面までをモデル化した。D/P隙間部の流れ、およびD/P上部の周方向流れは、独立して流量を設定できるようにし、ガス巻込み発生限界をメカニズムを含めて把握できる構造とした。モデル境界の流速条件は、1/10縮尺炉上部プレナム試験により得られた結果を実機に外挿することにより与えた。ガス巻込みの発生は可視化によって確認した。 設計形状の体系(D/Pを2段で構成)では、定格時に予測される流速条件で、D/Pからの液位が定格時の液位の4%から100%の範囲でガス巻き込みの発生は見られなかった。D/Pを1段とした場合との比較から、D/Pを2段にすることで局所的な下降流速のピークを低減する効果があることがわかった。 以上により、本体系の原子炉容器についてガス巻込み抑制の見通しが得られた。
有吉 昌彦; 中山 王克
JNC TN9400 2004-015, 27 Pages, 2004/03
本報告書は、高速実験炉「常陽」における供用中炉内検査技術に間するものである。「常陽」の原子炉構造は、高速炉特有の高温、高中性子束照射環境にあるため、熱疲労や照射脱化等の強度劣化要因がある。そのため、サーベイランス試験や燃料出口温度監視、ナトリウム漏えい監視等による健全性確認を行っているが、これらは間接的な検査手段であるため、クラック等破損の初期段階で異常を検出することが困難である。そこで、新しい概念を導入して供用中炉内検査の手法を高度化し、炉内構造物の健全性を直接検査することを検討した。 「常陽」供用中炉内検査では、検査対象である炉内構造物が複雑な形状であること及び冷却材にナトリウムを使うことから、検査技術に遠隔操作でかつ多様な位置決め機能をもつマニピュレータを組み合わせて検討する必要がある。 本検討では、重要な炉内構造物である炉心支持板をナトリウム中で検査する方針とした。この炉心支持板検査装置概念は、非破壊検査用センサーとマニピュレータを搭載した検査用集合体を炉心最外周に装荷し、非破壊検査用センサーを低圧プレナム側壁にアクセスさせるものである。非破壊検査用センサーには、複数の圧電素子を直線状に並べたリニアアレイセンサーを適用し、探傷面に対して非接触で電子走査を行うことにした。マニピュレータは、人体の手術に使うロボット鉗子の技術を応用し、アームの移動と関節部の折り曲げによりセンサーを位置決めする概念とした。 本概念は今後詳細な検討が必要である。そして、炉内検査装置の開発を進め、 「常陽」で実証していく予定である。
中山 王克; 林田 均
JNC TN9400 2000-087, 74 Pages, 2000/07
液体金属ナトリウムの熱流動現象を定量的に把握するため、液体金属ナトリウム中の流速分布を超音波により計測する技術の開発を進めている。これまで、ナトリウム中試験を行って、その適用性を票Kするとともに課題を整理した。これを受けて、センサ特性や計測アルゴリズムの最適化を図ることを目的とした水中及びナトリウム中試験を計画しており、これらの試験に供試する高温用超音波トランスデューサを試作した。本報告は、試作した高温用超音波トランスデューサの単体特性の計測結果をまとめたものであり、試験により得られた主な知見は以下の通りである。(1)散乱超音波による流速分布計測手法において特性支配因子となる音圧分布特性を把握した。また、超音波トランスデューサによって生成される液中の音圧分布の予測式や近距離音場限界距離を計測データから導出した。(2)超音波トランスデューサの周波数帯域が、散乱波の周波数シフト計測を行うのに十分であることを確認した。また、距離方向計測範囲や散乱波の周波数シフト計測を行うのに必要な送受信回路の距離方向信号増幅仕様を導入した。(3)散乱波の周波数シフト計測システムの計測システムの計測精度評価を行う上で必要な超音波トランスデューサ単体に起因する空間分解能を推定した。
中山 王克; 木村 暢之; 林 謙二; 上出 英樹
no journal, ,
原子炉容器内でのガス巻き込みを防止するために設置するディッププレートがスクラム過渡時の温度成層化現象に与える影響を評価するために、1/10縮尺試験体を用いた水流動試験を行った。その結果、成層界面はディッププレートの位置に長く停留し、その後解消することがわかった。