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近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.
Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08
被引用回数:5 パーセンタイル:92.64(Multidisciplinary Sciences)非常に中性子が過剰な原子核Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにてFからの1陽子ノックアウト反応によってOを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。
Wang, H.*; 安田 昌弘*; 近藤 洋介*; 中村 隆司*; Tostevin, J. A.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Poves, A.*; 清水 則孝*; 吉田 数貴; et al.
Physics Letters B, 843, p.138038_1 - 138038_9, 2023/08
被引用回数:2 パーセンタイル:68.16(Astronomy & Astrophysics)Neからの1中性子除去反応を用いて、Neの詳細な線分光を行った。平行運動量分布の解析に基づき、Neの準位構造とスピンパリティを決定し、初めて負のパリティ状態を同定した。測定された断面積と運動量分布から、N=20とN=28のシェルギャップの消失の証拠となる有意なintruder p-wave強度が明らかになった。束縛状態については、弱いf-waveの可能性のある強度が観測された。いくつかの有効相互作用を用いた大規模殻模型計算では、実験的に観測された大きなp-wave強度と小さなf-wave強度は再現されず、Ne同位体に沿った反転の島への遷移の完全な理論的記述への挑戦が続いていることを示している。
小林 信之*; 中村 隆司*; 近藤 洋介*; Tostevin, J. A.*; 宇都野 穣; 青井 考*; 馬場 秀忠*; Barthelemy, R.*; Famiano, M. A.*; 福田 直樹*; et al.
Physical Review Letters, 112(24), p.242501_1 - 242501_5, 2014/06
被引用回数:89 パーセンタイル:94.33(Physics, Multidisciplinary)軽い中性子過剰核では束縛線限界近くにハローと呼ばれる1あるいは2中性子が空間的に非常に広がった構造を持つことが知られているが、重くなってくると一般に軌道角運動量が大きくなり、変形も発達するためハローが存在するかどうかは不明だった。本論文では、非常に中性子過剰なマグネシウム同位体Mgの核力およびクーロン分解反応実験を理化学研究所RIBFにて行い、マグネシウム同位体でも波と考えられるハローを持つことを初めて明らかにした。本実験では、炭素標的と鉛標的の断面積の差から、ハロー構造に敏感なクーロン力による分解反応の断面積を引き出すとともに、脱励起線の測定によって、Mgの基底状態へ遷移する断面積も引き出した。実験値を大規模殻模型計算の結果と比較したところ、Mgの基底状態はMgの基底状態に波中性子が付いた波動関数が40%程度占め、その波成分がハロー構造を生み出していることがわかった。
中村 隆司*; 小林 信之*; 近藤 洋介*; 佐藤 義輝*; Tostevin, J. A.*; 宇都野 穣; 青井 考*; 馬場 秀忠*; 福田 直樹*; Gibelin, J.*; et al.
Physical Review Letters, 112(14), p.142501_1 - 142501_5, 2014/04
被引用回数:62 パーセンタイル:91.13(Physics, Multidisciplinary)理化学研究所RIBFを用いて中性子過剰核Neの1中性子分離反応実験を行い、理論計算との比較から、Neが波ハロー(一部の中性子が核内に局在せず、空間的に極めて広がっていること)を持つことを明らかにした。この実験では、ターゲットとしてクーロン分離反応が優位な鉛と核力分離反応が優位な炭素の両方を用いるとともに、脱励起線も測定することによって、包括的な断面積のみならず、Neの基底状態への直接遷移のクーロン分解断面積を決めることに成功した。その実験結果を殻模型計算と比較した結果、Neの基底状態は、Neの基底状態に波の中性子が付加されている確率が大きく、その中性子はハローになるという特異な構造を持つことがわかった。それは、変形による波と波の配位混合と、Neが極めて弱く束縛されていることの両面によるものであると考えられる。
春山 保幸; 瀧澤 春喜; 細野 雅一; 水橋 清*; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 浅井 孝博*; 川畑 道子*; 今井 浩二*
JAEA-Review 2013-059, JAEA Takasaki Annual Report 2012, P. 177, 2014/03
2012年度のサイクロトロンにおけるビームタイムは2243.5時間であった。そのうち、バイオテクノロジーや医療分野の利用時間が最も多く、全体の1/4の利用時間を占める。外部への利用提供は17%であった。一方、静電加速器における利用日数は490日であった。そのうち、基盤技術分野の利用が46%と半分近くの利用割合を占めたが、宇宙材料の照射と原子炉材料の照射利用も多く、それぞれ18%, 15%の利用割合を占めた。外部への利用提供は8%程度であった。
水橋 清; 瀧澤 春喜; 細野 雅一; 中村 義輝*; 兼谷 聡*; 望月 誠互*; 浅井 孝博*; 川畑 道子*; 大工原 和子*
JAEA-Review 2012-046, JAEA Takasaki Annual Report 2011, P. 171, 2013/01
平成23年度は東日本大震災(平成23年3月11日)の影響を大きく受けた年であった。4月から予定していた加速器利用は5月中旬からの開始となり約1.5か月間利用できなかった。しかし、この期間に計画したビームタイムは運転開始後の隔週土曜日を実験利用日とすること等で補った。また、7月から9月までの3か月間の昼間の使用電力量を前年比で15%削減する要請に応えるため、昼間のサイクロトロンの利用を消費電力の少ないビーム条件(H,D: 20MeV)に制限することで削減を図った。こうした外部変化に対応するため、上期の実験計画を再募集し前年度末に作成したビームタイムの割付を見直すことで運転計画の調整を行った。これらの結果、昼間の使用制限値3600kWに対して、期間中3200kW以下と削減要請に十分応えた。また、年間を通してほぼ予定通りのビームタイム(時間/日数)が利用された。
宮脇 信正; 福田 光宏*; 倉島 俊; 奥村 進; 柏木 啓次; 奈良 孝幸; 石堀 郁夫; 吉田 健一; 横田 渉; 中村 義輝*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 636(1), p.41 - 47, 2011/04
被引用回数:5 パーセンタイル:38.65(Instruments & Instrumentation)原子力機構AVFサイクロトロンの新中心領域において、インフレクターのRFシールドカバーとプラーの間の第1加速ギャップで生じるディー電圧波形の上昇勾配を用いて位相バンチング効果を初めて達成した。3つの加速ハーモニックモードでスパン角86度の2ディーシステムに対する中心領域での位相バンチング効果の可能性を、粒子軌道の単純な幾何学的な解析と3次元ビーム軌道シミュレーションによって評価した。加速ハーモニックモード2で40RF度の初期位相幅が11RF度まで圧縮することをシミュレーションは示した。旧中心領域で加速ハーモニックモード2で加速された10MeV Hビームの位相幅7.3RF度FWHMと比較して、同じ加速モードの260MeV Neビームに対して1.5RF度FWHMの位相幅は、バンチング効果によって減少した。
中村 隆司*; 小林 信之*; 近藤 洋介*; 佐藤 義輝*; 青井 考*; 馬場 秀忠*; 出口 茂樹*; 福田 直樹*; Gibelin, J.*; 稲辺 尚人*; et al.
Physical Review Letters, 103(26), p.262501_1 - 262501_4, 2009/12
被引用回数:198 パーセンタイル:97.53(Physics, Multidisciplinary)理化学研究所のRIBFにて中性子過剰核Neの1中性子分離反応の断面積を測定した。鉛ターゲットと炭素ターゲットの断面積を比較することにより、Neのクーロン分解反応断面積が540(70)mbと導出された。その断面積は通常の原子核の断面積と比べ非常に大きく、中性子が非常に弱く束縛されているハロー構造を示唆している。この原子核のクーロン分解断面積を直接ブレークアップ模型と殻模型で求めた波動関数の重なり(分光学的因子)を組合せることにより定量的に計算した結果、Ne核の最後の1個の中性子は、普通の軌道の順序であるではなく軌道を主に占め、軌道の小さな軌道角運動量により一粒子ハローを形成していることが明らかとなった。
倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進; 石堀 郁夫; 奈良 孝幸; 上松 敬; 吉田 健一; 横田 渉; 中村 義輝*; 荒川 和夫; et al.
Review of Scientific Instruments, 80(3), p.033302_1 - 033302_9, 2009/03
被引用回数:5 パーセンタイル:26.69(Instruments & Instrumentation)原子力機構AVFサイクロトロン(K=110)では、数百MeV級重イオンマイクロビーム形成に必要なビームのエネルギー幅縮小化や、引き出し効率の向上のためにフラットトップ(FT)加速によるシングルターン引き出し技術の開発を行った。フラットトップ電圧波形を発生させるため、電磁場解析コード"MAFIA"を用いて基本波電圧波形に第5高調波を重畳させるコンパクトでエネルギーロスが少ない新たなFT共振器を設計し、基本波共振器に静電的に連結した。このFT共振器の周波数範囲は55-110MHzで、AVFサイクロトロンの全周波数範囲をカバーする。220MeV C, 260MeV Ne及び45MeV Hビームでフラットトップ加速試験を行い、総ターン数が200を越える大型のAVFサイクロトロンでは困難な引き出し領域におけるターンセパレーションを確認することに成功した。この結果、95%以上のビームの引き出し効率を実現した。ビームチョッパーにより1バンチ分の時間幅のビームをサイクロトロンに入射し、引き出されたビームパルスが入射と同じく1バンチのみであり、シングルターン引き出しされていることを確認した。エネルギー分析電磁石を用いたエネルギー幅計測システムにより、エネルギー幅がE/E=0.1%からE/E=0.05%に縮小したことを確認した。
荒川 和夫; 横田 渉; 上松 敬; 中村 義輝; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進; 神谷 富裕; 奈良 孝幸; et al.
JAEA-Technology 2008-024, 141 Pages, 2008/03
高崎研究所(現高崎量子応用研究所)では、イオンビームを用いた放射線高度利用研究を推進するため、4基のイオン加速器群から構成されるイオン照射研究施設(Takasaki Ion Accelerators for Advanced Radiation Application: TIARA)の建設・整備を1988年より2期に分けて開始した。その第1期に、K110 AVFサイクロトロンが建設され、1991年9月に完成した。JAEAのサイクロトロンは、これまで主として核物理の研究用として開発・発展してきたAVFサイクロトロンを世界で初めて材料・バイオ技術研究専用加速器として建設されたものであり、TIARAの中核加速器である。サイクロトロンシステムは、3台の外部イオン源、イオン入射系、K110 AVFサイクロトロン、外部ビーム輸送系及び制御系から構成されており、1991年3月にHe 50MeVでファーストビームの引き出しに成功した。本報告書は、K110 AVFサイクロトロンシステムの構成機器、諸元についての詳細と建設時に行った性能試験結果についてまとめたものである。
倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進; 及川 将一*; 吉田 健一; 神谷 富裕; 福田 光宏*; 佐藤 隆博; 奈良 孝幸; 上松 敬; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 260(1), p.65 - 70, 2007/07
被引用回数:10 パーセンタイル:59.1(Instruments & Instrumentation)原子力機構におけるTIARAのサイクロトロン施設では、バイオ技術や材料科学の研究のために数百MeV級重イオンマイクロビームが必要とされている。サイクロトロンビームのエネルギー幅は0.1%程度と大きいので、集束レンズで1ミクロンまで絞ることは困難であった。そこで、サイクロトロンビームのエネルギー幅を0.02%まで小さくし、マイクロビームを形成するためにフラットトップ加速システムを開発した。フラットトップ加速とは、基本高周波電圧に高調波を重畳することにより加速電圧を均一化する方法であり、高調波を励振するための共振器を既存の基本波励振用共振器に付加した。本システムを用いて260MeV, Neのビーム高品位化を行っており、現在までにビームのエネルギー幅は0.05%まで減少し、2ミクロン程度のマイクロビーム形成に成功した。
倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進; 石堀 郁夫; 吉田 健一; 柏木 啓次; 福田 光宏; 奈良 孝幸; 上松 敬; 中村 義輝
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.349 - 351, 2006/01
原研AVFサイクロトロンでは、高エネルギーイオンビームの生物への照射効果や宇宙用半導体のシングルイベント効果の研究をより微細な領域で行うために、集束方式のマイクロビーム形成技術によりビームスポット径及び照準位置精度1ミクロンを目指して研究開発を行っている。サイクロトロンによって加速されたビームをスポット径1ミクロンに集束させるためには、四重極レンズでの色収差の影響を考慮する、ビームのエネルギー幅を0.02%以下にする必要がある。そこで、エネルギー幅を最小化するために、加速電圧波形を最適化してビームのエネルギー利得を均一化するフラットトップ加速技術の開発を行っている。フラットトップ加速を実現するためには、一つのビームバンチを一度に取り出すシングルターン取り出しが必要条件である。シングルターン取り出しを簡便に確認するために高分解能デフレクタプローブを開発し、ネオン260MeVのビーム開発を行った結果、従来に比べて短時間でシングルターン取り出しが可能になった。また、高エネルギーのプロトンビームのフラットトップ加速も行い、従来に比べて高い引き出し効率が得られ、放射化を低減できることがわかった。
奥村 進; 宮脇 信正; 倉島 俊; 吉田 健一; 柏木 啓次; 福田 光宏; 石堀 郁夫; 上松 敬; 奈良 孝幸; 中村 義輝
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.352 - 354, 2006/01
現在進行中である数百MeV級重イオンマイクロビーム形成の技術開発では、細胞内局部照射に必要な1mの照準位置精度を達成するため、4連四重極レンズを用いたビーム集束方式によるサブミクロンビーム形成を目指しており、サイクロトロンで加速されたビームのエネルギー幅E/E(エネルギーのばらつきの割合)を従来の0.1%から0.02%に向上させる必要がある。このため、フラットトップ加速等の高度なビーム加速制御技術の開発を進め、ビームエネルギーの揃った、きれいなビーム引出(シングルターン引出)が可能となった。そこで、引き出したビームのエネルギー幅を計測するために、マイクロスリットと分析電磁石を用いたビームエネルギー幅計測システムをサイクロトロンの基幹ラインに構築した。ギャップ0.1mmのマイクロスリットを用いて、エネルギー分解能E/E=0.01%での高精度ビームエネルギー幅計測テストを実施した。
奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 吉田 健一; 福田 光宏; 奥村 進; 宮脇 信正; 柏木 啓次; 中村 義輝; et al.
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, P. 370, 2006/01
原研AVFサイクロトロン装置は1991年のファーストビーム引き出し以来順調な運転が継続されている。利用運転開始から本年まで、また月ごとの運転実績を発表する。また、2004年度に利用されたイオン種の割合,新しく加速可能になったイオン種,整備状況も併せて報告する。
奥村 進; 倉島 俊; 宮脇 信正; 吉田 健一; 柏木 啓次; 福田 光宏; 奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; 中村 義輝; et al.
Proceedings of 2nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 30th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.745 - 747, 2005/07
原研AVFサイクロトロンでは、マイクロビーム形成を目指して、フラットトップ加速システムを始めとする技術開発を行っている。これらの技術開発においては、サイクロトロン電磁石の磁場安定性が重要となっている。通常のマルチターン引出に対しては十分な磁場安定度を達成したが、シングルターン引出ではより高安定磁場が必要となっている。本発表では、鉄心温度定温化など、サイクロトロン電磁石の磁場高安定化についての現状と今後の課題について報告する。
倉島 俊; 宮脇 信正; 奥村 進; 石堀 郁夫; 吉田 健一; 柏木 啓次; 福田 光宏; 奈良 孝幸; 上松 敬; 中村 義輝
Proceedings of 2nd Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan and 30th Linear Accelerator Meeting in Japan, p.717 - 719, 2005/07
原研サイクロトロンでは、バイスタンダー効果やアポトーシスなどイオンビームの生物影響や宇宙用半導体のシングルイベント効果の研究をより微細な領域で行うために、集束方式のマイクロビーム形成技術によりビームスポット径及び照準位置精度1ミクロンを目指して研究開発を行っている。サイクロトロンによって加速されたビームをスポット径1ミクロンに集束させるためには、四重極レンズでの色収差の影響を考慮すると、ビームのエネルギー幅を0.02%以下にする必要がある。しかし、サイクロトロンから引き出されるビームのエネルギー幅は、一般的に0.1%程度である。そこで、エネルギー幅を最小化するために、加速電圧波形を最適化してビームのエネルギー利得を均一化するフラットトップ加速技術の開発を行っている。フラットトップ加速を実現するためには、一つのビームバンチを一度に取り出すシングルターン取り出しが必要条件である。シングルターン取り出しを簡便に確認するために高分解能デフレクタプローブを開発し、ビーム開発を行った結果、従来に比べて短時間でシングルターン取り出しが可能になった。
奥村 進; 荒川 和夫; 福田 光宏; 中村 義輝; 横田 渉; 石本 貴幸*; 倉島 俊; 石堀 郁夫; 奈良 孝幸; 上松 敬; et al.
Review of Scientific Instruments, 76(3), p.033301_1 - 033301_6, 2005/03
被引用回数:9 パーセンタイル:43.09(Instruments & Instrumentation)AVFサイクロトロンの運転において、ビーム電流減少を引き起こす数十時間に渡る10台の磁場変動が生じていた。実験の結果より、励磁コイルからの熱によって鉄心温度が上昇し、ビーム特性の劣化を引き起こす磁場変動を発生させていることを明らかにした。鉄心温度上昇を防ぎ、高安定磁場を実現するために、メインコイルとヨークとの間への熱絶縁やトリムコイル冷却水温度制御の高精度化といった鉄心温度制御技術を開発した。この温度制御によって、磁場安定度510を達成し、2%のビーム強度安定度を得た。
中村 義輝; 奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; 倉島 俊; 福田 光宏; 奥村 進; 横田 渉; 吉田 健一; 宮脇 信正; et al.
Proceedings of 17th International Conference on Cyclotrons and Their Applications (CYCLOTRONS 2004), p.157 - 159, 2005/00
原研高崎のAVFサイクロトロン装置は、1991年以来13年間にわたり順調に運転されている。この装置は、運転条件の頻繁な変更により、さまざまなイオン種を提供している。マイクロビーム形成に必要な0.02%のエネルギー幅の重イオンビームを生成するため、われわれはフラットトップ加速システムや鋸歯状波型ビームバンチャーの開発,中心領域の改造等を行っている。また、受動型のグラジエントコレクターは、サイクロトロンからのビーム引き出し軌道と、基幹ビーム輸送ラインとの完全な整合を計るため、内側に励磁コイルを収納した新型に置換された。可動型の永久磁石で構成されたコンパクトなイオン源は、おもに軽イオンを生成するために設計されたが、これは将来既設のマルチカスプイオン源と置換される予定である。
倉島 俊; 福田 光宏; 宮脇 信正; 奥村 進; 吉田 健一; 奈良 孝幸; 上松 敬; 石堀 郁夫; 荒川 和夫; 中村 義輝
Proceedings of 17th International Conference on Cyclotrons and Their Applications (CYCLOTRONS 2004), p.362 - 364, 2005/00
原研AVFサイクロトロンでは、集束方式によるマイクロビーム形成技術により1ミクロンのビーム径を達成することを目標とし、必要とされるビームのエネルギー幅dE/E=0.02%以下を達成するためにフラットトップ加速システムの開発を行っている。これまでに、第5高調波を発生するための共振器の設計・製作を行い、17.475MHzにおいて基本波と第5高調波の同時励振に成功している。フラットトップ加速システム開発のほかに、中心領域の改造,サイクロトロン磁場・加速電場の高安定化などさまざまな技術開発を行った。260MeVネオンビームについてフラットトップ加速実験を行い、大型のAVFサイクロトロンでは困難とされていたシングルターン引き出しに成功した。
奥村 進; 宮脇 信正; 倉島 俊; 吉田 健一; 福田 光宏; 石堀 郁夫; 上松 敬; 奈良 孝幸; 中村 義輝; 荒川 和夫
Proceedings of 17th International Conference on Cyclotrons and Their Applications (CYCLOTRONS 2004), p.410 - 412, 2005/00
原研AVFサイクロトロンで加速したビームのエネルギー幅をエネルギー分解能dE/E=0.001%で計測する機器の開発を行った。今回開発したのは、最小設定幅が0.01mmまで可能な3組のビームスリット及びビーム強度モニタで、既設偏向電磁石と組合せることで、高い分解能を達成する。偏向電磁石のオブジェクト及びイメージ位置の既設ビーム診断用チェンバーに設置するために、コンパクトな設計となっており、その実装を完了し、予備テストを実施した。この計測システムを用いてビームエネルギー幅計測を行い、マイクロビーム形成に必要なdE/E=0.02%のビームエネルギー幅をフラットトップ加速によるビームエネルギー幅縮小化で達成することを目指す。