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中野 智志*; 佐野 亜沙美; 服部 高典; 町田 真一*; 小松 一生*; 藤久 裕司*; 山脇 浩*; 後藤 義人*; 亀卦川 卓美*
Inorganic Chemistry, 60(5), p.3065 - 3073, 2021/03
被引用回数:10 パーセンタイル:74.02(Chemistry, Inorganic & Nuclear)アンモニアボランのX線および中性子回折実験を常圧及び高圧下で行った。常圧下で二水素結合中のH-H距離は、ファンデルワールス半径の2倍(2.4)よりも短い。約1.2GPaでの常圧相から第一高圧相への相転移で、半分の水素は原子間距離が延び、二水素結合が壊れた。さらに加圧すると、すべての原子間距離は2.4よりも短くなり、二水素結合が再び形成された。さらに、約11GPaで、空間群(Z=2)を持つ第二高圧相(HP2)へ転移した。この時、分子軸はより傾き、二水素結合の種類は6から11へと増えた。第3の相転移の直前(18.9GPa)で、最短の二水素結合は1.65になった。本研究は、高圧下の構造相転移によりアンモニアボラン中の二水素結合が破壊、再形成するのを実験的に初めて観測したものである。
小松 一生*; Klotz, S.*; 中野 智志*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 山下 恵史朗*; 入舩 徹男*
High Pressure Research, 40(1), p.184 - 193, 2020/02
被引用回数:13 パーセンタイル:72.32(Physics, Multidisciplinary)ナノ多結晶アンビルを用いた中性子回折実験のための新しい高圧セルを紹介する。このセルのデザインやオフライン圧力発生テスト,ガス圧媒体の装填方法が書かれている。その性能は、氷II相の約82GPaまでの中性子回折パターンによって図示されている。またこのセルを用いた常圧におけるFeOの単結晶中性子回折実験のテストを紹介し、現在の限界と将来の開発を示す。
石井 優佑*; 小松 一生*; 中野 智志*; 町田 真一*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 鍵 裕之*
Physical Chemistry Chemical Physics, 20(24), p.16650 - 16656, 2018/06
被引用回数:4 パーセンタイル:17.83(Chemistry, Physical)その場シンクロトロンX線および中性子回折を用いて、アルミニウム層状水酸化物、ベーマイト(-AlOOH)の構造を圧力の関数として調べた。25GPa以上のX線回折パターンにおいてhkl(h0)ピークのみに見られるピーク広がりおよびその後の分裂は、a軸に沿ったAlO八面体層の連続的に増加する変位に伴う積層不整によって説明される。この知見は、連続的な層の変位によって駆動される圧力誘起積層不整の最初の実験結果である可能性がある。層の変位の大きさは、積層不規則構造モデルに基づくX線散乱プロファイル計算から推定された。重水素化されたサンプルの10GPaまでの中性子回折パターンの構造解析によって得られたベーマイトの水素結合ジオメトリーは、O-D共有結合およびDO水素結合距離の線形的な接近を示し、26GPa未満でマージされる可能性がある。圧力誘起積層不整は、水素結合の静電ポテンシャルを非対称にし、プロトントンネリングの可能性を低下させる。
飯塚 理子*; 鍵 裕之*; 小松 一生*; 牛嶋 大地*; 中野 智志*; 佐野 亜沙美; 永井 隆哉*; 八木 健彦*
Physics and Chemistry of Minerals, 38(10), p.777 - 785, 2011/12
被引用回数:10 パーセンタイル:33.32(Materials Science, Multidisciplinary)含水鉱物ポートランダイト(Ca(OH))の高圧下におけるラマンスペクトル,IRスペクトル及びX線回折実験を行った。ラマンスペクトル,IRスペクトルの測定では、Ca(OH)では高圧相への相転移がCa(OD)よりも低圧でおき、相転移圧力には同位体による違いがあった。X線回折実験では高圧相が28.5GPaまで安定に存在し、以前報告のあったアモルファス化は静水圧条件下では見られないことが明らかになった。
町田 晃彦; 綿貫 徹; 大村 彩子*; 池田 智宏*; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Solid State Communications, 151(5), p.341 - 345, 2011/03
被引用回数:10 パーセンタイル:42.01(Physics, Condensed Matter)ランタンとその水素化物の圧縮率を高圧下放射光X線回折実験により調べた。ランタンを水素中で圧縮するとその組成がH/La=3に近い組成までの水素化物が形成される。水素原子が四面体サイトをすべて占有しているLaHと四面体サイトに加えて八面体サイトを一部占有しているLaHの状態方程式を決定したところ、体積弾性率は水素濃度が異なるにもかかわらず同じであるが、ランタンに比べ約3倍になることがわかった。水素化による結晶格子の硬度化は四面体サイトを占有した水素の影響が大きいことを明らかにした。
大村 彩子*; 町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Applied Physics Letters, 91(15), p.151904_1 - 151904_3, 2007/10
被引用回数:34 パーセンタイル:75.01(Physics, Applied)オレンジ色の透明体であるイットリウム水素化物が、室温下,数万気圧の高圧下でレーザー光照射によって黒化した。透過率の減少は赤外領域にも及び、照射によってフリーキャリアーが生成したことを示唆している。不透明な試料は室温下の熱緩和によって数時間で元の透明体に戻る。フォトクロミズムは金属相の立方晶二水素化物と絶縁体相の六方晶三水素化物の共存状態で顕著に現れ、六方晶単一相では消滅する。水素化物の光学特性が、したがって恐らく電子特性が光照射によって変調されることが見いだされた。
大村 彩子; 町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Journal of Alloys and Compounds, 446-447, p.598 - 602, 2007/10
被引用回数:19 パーセンタイル:68.81(Chemistry, Physical)Scは同属のLa, Yと同様に水素化物を形成することが知られており、2水素化物(ScH)及び3水素化物(ScH)は過去に高温・高水素圧下で生成されている。ScHは蛍石型構造をとり金属状態であることが広く知られているが、ScHは大気圧下で不安定なため母体金属の構造以外はほとんど報告がなかった。そこで、われわれは高圧発生装置ダイヤモンドアンビルセルを用いて、高密度の流体水素とScを直接反応させて室温・高圧力下で水素化物を合成し、高圧力下でのSc水素化物のX線回折及び赤外分光を行った。合成したSc水素化物を加圧すると、ScHの形成を経て、圧力5GPa付近でScHが現れた。さらに加圧すると25GPa付近から約20GPaの広い圧力領域で回折パターンは連続的に変化し、45GPaでfccで指数付けできる回折パターンに落ち着いた。
町田 晃彦; 大村 彩子; 綿貫 徹; 池田 隆司; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Solid State Communications, 138(9), p.436 - 440, 2006/06
被引用回数:52 パーセンタイル:85.96(Physics, Condensed Matter)本研究ではイットリウム水素化物における圧力誘起構造相転移について、ダイヤモンドアンビルセルを用いて高圧下放射光X線回折実験を行うことにより詳細に調べた。そしてhexagonal-fcc構造相転移が11GPaから20GPaの広い圧力範囲に渡る中間領域を経て可逆的に起こることを確かめた。中間領域の回折パターンはこれまで報告されていたようなhexagonal相とfcc相の単純な二相共存状態では再現することができず、観測されたhexagonal-fcc構造相転移がもっと複雑な相転移であることを明らかにした。また、イットリウム3水素化物のhexagonal相について状態方程式を決定し、体積弾性率が他の希土類金属水素化物のものと同程度になることを明らかにした。本論文ではX線回折実験により得られたデータをもとに圧力誘起構造相転移について議論している。
大村 彩子; 町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Physical Review B, 73(10), p.104105_1 - 104105_7, 2006/03
被引用回数:56 パーセンタイル:87.26(Materials Science, Multidisciplinary)希土類金属のイットリウムは、水素と反応して三水素化物(以下、YH)を形成すると、電子状態が大きく変化して黄褐色に透過した絶縁体となる。YHでは水素は金属格子の四面体サイトと八面体サイトを占有しているが、この金属-絶縁体転移には八面体サイトの水素が関与していると推測されている。われわれは、YHの赤外吸収スペクトルを室温下圧力30GPaまでの加圧過程で測定し、金属-水素間の結合状態を調べた。YHの母体金属格子は圧力10-20GPaで、hcpからfccへ構造が変化する。これに対応する変化が、赤外吸収スペクトルに圧力12GPa付近から現れた。一方、圧力12GPaまでのhcp相の領域で得られた金属-水素間振動モードの圧力変化からモードグリュナイゼンパラメータ値を算出したところ、八面体サイトでは1.91となり、四面体サイトのおよそ3倍の値であった。八面体サイトのグリュナイゼンパラメータ値1.91はほかの共有結合性の物質と同程度であり、このサイトでは水素の1s軌道とイットリウムの4d軌道は混成していると考えられる。また、構造変化が完了したfccの領域の23GPaでは、試料が赤外領域で不透明となり、構造変化を伴わず不連続的にバンドギャップクロージングが生じたことを見いだした。これまで行われた理論計算では、hcpからfccの構造変化を伴う転移もしくは構造変化を伴わずhcp相内での電子転移によるギャップクロージングが提案されていた。しかしながら、今回の結果はこれらのどちらとも一致せず、23GPaで観測したギャップクロージングのメカニズムは未だ不明のままである。
大村 彩子; 町田 晃彦; 綿貫 徹; 青木 勝敏; 中野 智志*; 竹村 謙一*
Proceedings of Joint 20th AIRAPT - 43rd EHPRG International Conference on High Pressure Science and Technology (CD-ROM), 3 Pages, 2005/06
イットリウム(Y)の水素化物は、金属格子中の水素数によって多彩な物性を示す。この物質では、2つの絶縁体と金属間の転移がある。まず、一つめが金属でfcc構造の2水素化物から絶縁体でhcp構造の3水素化物への転移である。この金属-絶縁体転移に関して理論研究がされており、バンドギャップの形成は金属のd軌道と水素のs軌道の混成によるとの推測がある。もう一方は、絶縁体の3水素化物で見いだした圧力誘起金属化である。Yの3水素化物における金属化もまた、理論計算からおよそ15%の体積減少で生じることが推測されていた。われわれは高圧力下で合成した試料を用いて赤外分光測定を行い、3水素化物の絶縁体-金属転移を圧力23GPaで初めて見いだした。Yの3水素化物が圧力10GPaから20GPaの領域でhcp構造からfcc構造へ変化することが知られている。金属化した23GPaは既にfcc構造への転移が完了しているために、この圧力誘起金属化は構造変化を伴わない電子転移的な変化の可能性が考えられる。
内海 渉; 谷口 尚*; 水谷 剛; 西山 宣正*; 中野 智志*; 舟越 賢一*; 下村 理
Proceedings of the 6th NIRIM International symposium on Advanced Materials (ISAM99), p.67 - 68, 1999/03
炭酸塩触媒を用いた黒鉛-ダイヤモンド変換プロセスを高温高圧下で放射光によりその場X線観察した。KMg((CO)を用いた場合、触媒の融点よりもより高温でないとダイヤモンドが生成しないことが観察され、このダイヤモンド形成温度の圧力変化が求められた。一方、炭酸マグネシムを触媒に用いた場合には、触媒の融解以下の温度でダイヤモンドが形成しはじめる様子が観察された。