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久保見 幸*; 長田 充弘; 大田 敬豊*; 宮田 和周*; 大藤 茂*
地質学雑誌(インターネット), 129(1), p.453 - 460, 2023/09
東北日本北海道の函淵層は、蝦夷層群の最上部の海成から河川成の地層であり、K/Pg境界付近は確認されないものの、その堆積年代は後期白亜紀前期カンパニアンから後期暁新世とされてきた。これまでのところ、前期暁新世(ダニアン)を示す堆積年代の決定的な証拠は報告されていなかったが、夕張地域の函淵層の凝灰岩中からジルコンU-Pb年代測定を試みたところ、64.11.1Maの最若クラスター年代を得た。この結果はこの地層の堆積年代がダニアンであることを示唆しており、函淵層には少なくとも部分的にダニアン階の地層が存在することを示唆する最初の放射年代学的証拠である。
長田 充弘; 福田 将眞; 末岡 茂; 横山 立憲; 鏡味 沙耶; 仁木 創太*; 岩野 英樹*; 檀原 徹*; 小北 康弘; 梶田 侑弥*; et al.
no journal, ,
本研究は東北日本の仁左平層のNSTと呼ばれる試料のジルコンのU-Pb年代とフィッショントラック(FT)年代を複数の施設で測定し、新たにHf同位体について分析を実施したので、それらの結果について報告する。NSTはジルコンによるU-Pb年代とFT年代や黒雲母K-Ar年代といった閉鎖温度の異なる複数の放射壊変系列の年代がいずれも約22-21Maを示し、標準試料として有効な可能性がある。京都大学より提供されたNSTジルコンからはいずれの施設でも約23-21MaのU-Pb年代を得た。これらの結果は先行研究ともおおむね整合的である。ただし、約30-26Maのジルコンも確認される例や4面でのFT年代が古くなる傾向については、今後検討を要する。Hf同位体比(Hf/Hf)の加重平均値として0.28289529を得た。また、Lu/Hf比とYb/Hf比は他のジルコンHf同位体比標準試料のそれに比べて高い傾向にある。Hf同位体分析では、LuやYbなどのHfに干渉する同重体を正しく補正する必要があり、こうした特徴を持つNSTは、Hf同位体分析の精確さを評価する上で重要な試料となる可能性もある。