Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
國丸 貴紀; 森川 佳太; 舘 幸男; 久野 義夫*; 細谷 真一*; 下田 紗音子*; 加藤 博康*; 中澤 俊之*; 生瀬 博之*; 久保田 政子*
JAEA-Data/Code 2012-013, 96 Pages, 2012/07
物質移動に関する調査研究では、第3段階の調査研究として、研究坑道周辺の数10m100m程度のブロックスケールを対象に、物質移動に関する現象の把握、物質移動特性の取得、物質移動モデルの構築・更新に必要な調査・評価技術を体系的に整備することを目標としている。本試験は、上記の一環として、割れ目の特徴と物質移動特性の関係を把握することを目的に、深度300m研究アクセス坑道において掘削したボーリング孔から採取したコアを利用して花崗岩中の拡散試験、粉砕花崗岩への収着試験、水飽和法及び水銀圧入法による間隙率測定を実施した。本報告では、これらの試験結果を取りまとめたものである。
久野 義夫; 笹本 広
JAEA-Research 2009-071, 65 Pages, 2010/03
岩石亀裂中での核種移行に及ぼすコロイドの影響を評価するために、地下水中に存在するコロイドの特性を考慮した感度解析を実施した。核種の移動性のコロイドへの分配係数Kd(m/kg)とコロイドの濃度M(kg/m)が重要なパラメータであり、これらの積(Kd M)がコロイドの核種移行への影響を示す指標となる。KdM1の条件のときに、コロイドによる核種移行の助長が顕在化する。さらに、亀裂表面でのコロイドのろ過効果を考慮して、コロイドの移行挙動を解析した。コロイドのろ過係数(1/m)が大きいほど、亀裂でろ過されるコロイドは増加する傾向にある。時間とともに、ろ過されたコロイドに収着した核種が増加し、また移動性の核種が減少することにより、核種の流出曲線はピークを形成した。亀裂中での移動可能な核種の濃度を低下させる効果により、ろ過されたコロイドへの核種の分配は核種移行に顕在的な影響を及ぼす可能性がある。
久野 義夫; 諸岡 幸一*; 笹本 広; 油井 三和
原子力バックエンド研究, 15(2), p.117 - 129, 2009/03
放射性廃棄物の地層処分における性能評価では、核種移行における遅延効果は一般に分配係数(Kd)によって評価されている。しかしながら、液相にコロイドが存在する場合、コロイドは核種を収着する可能性があるため、Kdの値に影響を及ぼすことが考えられる。本研究では、核種の収着挙動に及ぼすコロイドの影響を調べるために、Cs,ベントナイトコロイド及び石英砂を用いたバッチ法による収着試験を実施した。Csの石英砂へのKd(Kd)及びベントナイトコロイドへのKd(Kd)は、固相中,コロイド中及び液相中のCsの存在量から求め、試験溶液を分離するフィルタの孔径により、これらの核種の存在量の区分を行った。その結果、固相とコロイドが単独で存在する状態で取得された分配係数から、両者が共存する状態での核種の分配挙動を評価できることが確認された。このようなコロイドが共存する試験溶液の分画において、適切なろ過手法を選択することは、核種の固相への収着挙動に及ぼすコロイドの影響を見積もるうえで有効であることを確認した。
久野 義夫; 笹本 広
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1124, p.581 - 586, 2009/00
ベントナイトコロイドの移行挙動を調べるために、単一な模擬亀裂を有する花崗岩を用いたカラム試験を実施した。10 NaCl溶液として調製した条件では、ベントナイトコロイドの一部は亀裂性花崗岩中で付着して、不動化した。比較的イオン濃度が高い条件の場合は、地質媒体中でベントナイトコロイドの移行に遅延効果が期待できると考えられる。
久野 義夫; 笹本 広
JAEA-Research 2008-016, 21 Pages, 2008/03
この研究では、幌延地区において地下水コロイドの特性評価を実施することにより、原位置と大気環境の化学的条件の相違が地下水中の無機コロイドの特性に与える影響について検討した。HDB-10孔から採水した地下水において、おもにCaを含む有意な量の懸濁成分が観察された。そのため、大気に開放することによる地下水の組成やコロイドの特性に与える影響を確認するために、この地下水を用いた補足的な室内試験を実施した。大気環境下では、おもにCaCOから成る生成物が、沈殿だけではなく浮遊性の粒子として確認された。しかしながら、この浮遊性の粒子については、本地下水中で分散安定性を有していないことがDLVO理論による評価により予測された。この浮遊性の粒子の生成は、化学的条件の変化に起因する一時的な挙動と推定され、原位置の地下水中では存在していなかったものと考えられる。
梅田 浩司; 大井 貴夫; 大澤 英昭; 大山 卓也; 小田 治恵; 亀井 玄人; 久慈 雅栄*; 黒澤 英樹; 小林 保之; 佐々木 康雄; et al.
JAEA-Review 2007-050, 82 Pages, 2007/12
本報告書は、2006年度(平成18年度)の地層処分技術に関する各々のプロジェクトにおける研究開発の現状とトピック報告を示した年度報告書である。
上田 真三*; 久野 義夫*
JNC TJ8400 2003-066, 34 Pages, 2004/02
現象理解に基づいた信頼性が高く性能評価と密接に関連したデータベースの整備方策を検討すると共に、地層処分システムの安全評価における核種移行の個別モデルとしてコロイド影響に関する文献調査、実験及び評価コードの開発を行った。その結果、JNC-TDBに関しては最新の文献情報に基づき今後行うべき課題を抽出した。特にオーソライゼーションの観点では外部組織との連携が望まれ、地熱分野などとの情報共有の可能性が見出された。JNC-SDBに関してはNpのベントナイトへの収着についてSDB登録データを利用した等温線の評価を試み、整合性のあるデータが登録されていることを認識した。また、登録情報の信頼度を定量的に評価する方法を開発し、PuとNiのベントナイトへの収着に関する登録データについて適用を試みた。この結果では、特に信頼性の高い情報は少なく、むしろ信頼性の低い情報の存在が指摘された。コロイドに関する文献調査では、コロイドへの核種収着に関する多くの情報は時間スケールを考慮すると可逆的であることが示唆され、さらに今後の試験における留意点を整理した。多孔質系媒体中のコロイド共存下での核種移行に関するカラム実験ではSrをトレーサとして用い、コロイドの共存によりイオンだけの場合と異なる移行挙動が観察され、これを解析した。また多孔質系におけるコロイド共存下での核種移行を評価する数値解析コードCOLFRAC-MRLを開発し、今後より現象理解を深めていくための技術整備を図った。
上田 真三*; 久野 義夫*
JNC TJ8400 2003-065, 204 Pages, 2004/02
現象理解に基づいた信頼性が高く性能評価と密接に関連したデータベースの整備方策を検討すると共に、地層処分システムの安全評価における核種移行の個別モデルとしてコロイド影響に関する文献調査、実験及び評価コードの開発を行った。その結果、JNC-TDBに関しては最新の文献情報に基づき今後行うべき課題を抽出した。特にオーソライゼーションの観点では外部組織との連携が望まれ、地熱分野などとの情報共有の可能性が見出された。JNC-SDBに関してはNpのベントナイトへの収着についてSDB登録データを利用した等温線の評価を試み、整合性のあるデータが登録されていることを認識した。また、登録情報の信頼度を定量的に評価する方法を開発し、PuとNiのベントナイトへの収着に関する登録データについて適用を試みた。この結果では、特に信頼性の高い情報は少なく、むしろ信頼性の低い情報の存在が指摘された。コロイドに関する文献調査では、コロイドへの核種収着に関する多くの情報は時間スケールを考慮すると可逆的であることが示唆され、さらに今後の試験における留意点を整理した。多孔質系媒体中のコロイド共存下での核種移行に関するカラム実験ではSrをトレーサとして用い、コロイドの共存によりイオンだけの場合と異なる移行挙動が観察され、これを解析した。また多孔質系におけるコロイド共存下での核種移行を評価する数値解析コードCOLFRAC-MRLを開発し、今後より現象理解を深めていくための技術整備を図った。
黒澤 進; 上田 真三*; 油井 三和; 加藤 博康*; 林 賢一*; 久野 義夫*; 吉川 英樹
日本原子力学会和文論文誌, 2(4), p.460 - 468, 2003/12
本研究では、収着試験や移行試験を行い、核種-コロイド-岩盤間の分配収着平衡を基調とした核種移行評価モデルの適用性について検討を行った。その結果、核種のコロイドへの収着が可逆的であり、岩盤および液相に再分配することが認められる場合には、核種-コロイド-岩盤間の分配係数を設定した核種移行評価モデルの利用が可能と考えられる。しかしながら、分配収着が平衡に達するよりも速く核種およびコロイドが移行する場合、速度論的プロセスに注目した核種の収着、脱離性を考慮する必要があることの知見を得た。
黒澤 進; 久野 義夫*; 諸岡 幸一; 上田 真三*
JNC TN8430 2003-006, 39 Pages, 2003/03
カラム試験によって、圧縮成型したケイ砂混合ベントナイト中でのコロイドの移行挙動について評価を行った。試験では分散性を容易に調整できることから、可動性のコロイドを模擬するため金コロイドを供した。ケイ砂混合ベントナイトは、ベントナイト(Na型およびCa型に処理したもの)にケイ砂を30wt%混同したものを準備し、これを乾燥密度1.6g/cmで圧縮成型した。3.5wt%NaCl溶液を用いた試験では、通水圧力8kgf/cmの時はNa型ベントナイト中をコロイドが移行することが確認されたが、通水圧を膨潤圧以下に低下させるとコロイドの移行停止が確認された。試験後の試料の分析によりベントナイト中の選択的な移行経路が確認された。Ca型に処理したベントナイトについてはコロイドの移行は確認されず、コロイドがフィルトレーションされていることが示された。
久野 義夫*; 上田 真三*
JNC TJ8400 2003-025, 47 Pages, 2003/02
地下水中に存在するコロイドは,放射性廃棄物の処分場から漏洩する収着性の核種に対して,移行を助長する媒体として作用することが懸念されている。このようなコロイドが核種移行に及ぼす影響を評価するためには,地下深部の地下水中のコロイドの特性データ(例えば,コロイドの濃度や核種のコロイドへの分配係数)を取得し,またコロイドが存在したときの核種移行への影響を予測するための解析コードを整備しておくことが必要とされる。本研究では天然のコロイドの存在量を調べるために,結晶質岩系の鉱山坑道において地下水試料の採取を行った。コロイドの濃度や粒径の分布,およびコロイドの化学組成を,地下水を分画することによって測定した。コロイドとしては,主としてシリカ鉱物やCaに富む成分が確認された。今回採取した地下水中には,溶存している有機物成分は検出されなかった。それらの結果,コロイドの特性は,母岩や地下水の組成に依存していることが推測された。また原位置における地下水条件を模擬するために,炭酸分圧を変化させることによって地下水条件の調整を行い,それぞれの地下水中でのコロイドの形成について検討した。亀裂性多孔質媒体中におけるコロイドに助長された核種移行についてのメカニズムを考慮した数学モデル(COLFRAC)が,米国オハイオ州立大学で開発されている。この計算コードでは,核種のコロイドへの収着として平衡論と速度論の両者を扱うことができる。このコードの利用法を習得するためのガイダンスを実施するとともに,ユーザーズマニュアルの作成を行った。
久野 義夫*; 上田 真三*
JNC TJ8400 2003-024, 129 Pages, 2003/02
地下水中に存在するコロイドは,放射性廃棄物の処分場から漏洩する収着性の核種に対して,移行を助長する媒体として作用することが懸念されている。このようなコロイドが核種移行に及ぼす影響を評価するためには,地下深部の地下水中のコロイドの特性データ(例えば,コロイドの濃度や核種のコロイドへの分配係数)を取得し,またコロイドが存在したときの核種移行への影響を予測するための解析コードを整備しておくことが必要とされる。本研究では天然のコロイドの存在量を調べるために,結晶質岩系の鉱山坑道において地下水試料の採取を行った。コロイドの濃度や粒径の分布,およびコロイドの化学組成を,地下水を分画することによって測定した。コロイドとしては,主としてシリカ鉱物やCaに富む成分が確認された。今回採取した地下水中には,溶存している有機物成分は検出されなかった。それらの結果,コロイドの特性は,母岩や地下水の組成に依存していることが推測された。また原位置における地下水条件を模擬するために,炭酸分圧を変化させることによって地下水条件の調整を行い,それぞれの地下水中でのコロイドの形成について検討した。亀裂性多孔質媒体中におけるコロイドに助長された核種移行についてのメカニズムを考慮した数学モデル(COLFRAC)が,米国オハイオ州立大学で開発されている。この計算コードでは,核種のコロイドへの収着として平衡論と速度論の両者を扱うことができる。このコードの利用法を習得するためのガイダンスを実施するとともに,ユーザーズマニュアルの作成を行った。
久野 義夫; 油井 三和; 長崎 晋也*
原子力バックエンド研究, 8(2), p.195 - 203, 2002/03
地層処分システムにおける核種移行評価に関しては、コロイドの影響を考慮した評価が必要である。そこで、著者らは、(1)処分環境下で存在するコロイドの種類(2)コロイドの核種移行挙動への影響(3)コロイドの影響を考慮した核種移行評価モデル について調査を行い、今後どのような研究が必要であるか検討を行った。
久野 義夫; 鎮守 浩史; 亀井 玄人; 長崎 晋也*; 田中 知*
JNC TY8400 2001-007, 62 Pages, 2002/02
地下水中に存在するコロイドが、放射性廃棄物の処分場から漏洩する放射性核種の移行を助長することが懸念されている。しかしながら、コロイドが核種移行に及ぼす影響については、地層処分システムの性能評価において十分に考慮されていない。そこで、コロイド、溶質および亀裂性媒体の間の相互作用を考慮することにより、コロイドと溶質の移行挙動について解明した。本研究では、以下のカラム試験やバッチ試験を実施した。・コロイドの移行挙動を調べるために、アクリルおよび花崗岩で構成された平行平板亀裂を有する2種類のカラムを固相媒体として、ポリスチレンラテックスのコロイド溶液を送液する試験を行った。カラム試験後、亀裂表面に付着しているコロイドをSEMで観察した。・コロイドが溶質の移行に及ぼす影響を確認するために、溶質(Cs)とコロイド(ベントナイト)を混合した溶液を、花崗岩で構成された平行平板亀裂に送液した。さらに、Cs、ベントナイトおよび粒状花崗岩の間の相互作用を確認するために、バッチ式収着試験も実施した。これらの試験より、以下の結果が得られた。・ラテックスコロイド溶液のイオン強度が増加するにつれて、また亀裂内での流速やコロイドの濃度が減少するにつれて、コロイド移行における遅延傾向が増加するのが確認された。アクリルおよび花崗岩のいずれの亀裂性媒体の場合でも、コロイドは亀裂の表面に均一に分散して付着するだけではなく、密集して付着した領域を形成するのも観察された。表面に付着したコロイドが、さらなるコロイドの付着を誘起するような現象が推察された。・ベントナイトコロイド自体は遅延せずに速やかに破過するにもかかわらず、コロイドと共存したCsの移行は花崗岩表面へ収着することによって遅延された。よって、この系での試験では、コロイドは溶質の移行を助長する媒体とはならなかった。バッチ式収着試験より、粒状花崗岩を新たに添加することによって、ベントナイトコロイドに収着していたCsの一部は見かけ上脱離することが確認された。このように、Csは液相、コロイド相(ベントナイト)および固相(花崗岩)の間で再分配されることにより、コロイドに収着するCsの量は減少した。コロイドからの溶質の脱離が可能であり、十分な量の溶質を収着しない場合は、コロイドが存在しても溶質の移行に影響を及ぼさないことが確認された。
久野 義夫; 亀井 玄人
2001 MRS Fall Meeting, 0 Pages, 2002/00
ベントナイト鉱山の坑道で湧出する地下水を採水し、地下水およびコロイド組成について調査を行った。採水地点の地下深度が増加するにつれ、地下水のイオン強度が増加する傾向が確認された。浮遊成分は採水地点によって存在量の顕著な相違が認められたが、採水、静置後はいずれも数mg/L程度しか存在しなかった。イオン強度がおよそ0.01より大きいこれらの地下水中では、ベントナイトに起因するコロイドは安定には存在しにくいと考えられる。
久野 義夫; 亀井 玄人; Otani, Hiroyuki*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.713, 0 Pages, 2002/00
モンモリロナイトコロイドの分散安定性を評価することを目的として、溶液の化学条件をパラメータとしたバッチ試験を実施した。また、ベントナイト鉱山の坑道で湧出する地下水を採水し、地下水およびコロイド組成について調査を行った。採水地点の地下深度が増加するにつれ、地下水のイオン強度が増加する傾向が確認された。浮遊成分は採水地点によって存在量の顕著な相違が認められたが、採水、静置後はいずれも数mg/L程度しか存在しなかった。イオン強度がおよそ0.01より大きいこれらの地下水中では、ベントナイトに起因するコロイドは安定には存在しにくいことが考えられ、この結果はバッチ試験のそれとも一致した。
久野 義夫; 油井 三和
サイクル機構技報, (13), p.53 - 63, 2001/12
緩衝材に起因するベントナイトコロイドが核種移行に及ぼす影響については、地層処分システムの性能評価において、まだ十分に検討されていない。本研究では、亀裂を有する花崗岩中での、コロイド(ベントナイト)と共存した溶質(Sr)の移行挙動を調べ、解析モデルの妥当性を検討した。Srとコロイドの混合溶液を花崗岩の人工亀裂に注入し、またSr、コロイドおよび花崗岩での相互作用を収着試験で確認した。コロイド自体は遅延せずに移行するが、コロイドと共存したSrは亀裂表面に収着することによって遅延した。この際、亀裂内でSrの再分配が起きることが考えられた。さらに解析モデルに基づいた計算結果は妥当であることが示された。
太田 久仁雄; 久野 義夫; 柴田 雅博; 吉田 泰*; 油井 三和
JNC TN7420 2000-003, 25 Pages, 2000/07
地層処分システムの性能評価において、コロイドによる放射性核種の移行の促進は核種移行率を増加させる重要なメカニズムとして考えられている。しかしながら、現在までに、処分場において想定される地質環境中におけるコロイドの特性、化学的挙動や移行挙動などが十分に把握されておらず、コロイドが放射性核種の移行に与える影響の把握については未だに重要な研究課題として残されている。したがって、室内試験およびモデル解析によりサポートされた原位置試験研究を実施し、放射性核種の遅延とコロイドの移行プロセスを総合的に把握することが必要である。このような原位置試験研究の実施により、最終的にはコロイドによる放射性核種の移行/遅延を評価することが可能になると期待される。グリムゼル原位置試験場(GTS、スイス)において、現在展開中のグリムゼル原位置試験・フェーズ5(1977年2002年)では、結晶質岩中の透水性割れ目における、コロイドによる放射性核種の移行/遅延を評価するための総合的な試験研究、「コロイドと放射性核種の遅延評価プロジェクト(CRR)」を実施している。このプロジェクトは、スイス放射性廃棄物処分協同組合(Nagra)が中心となり、フランス放射性廃棄物管理機関(Andre)、スペイン放射性廃棄物管理公社(Enresa)、カールスルーエ研究センター/核廃棄物技術研究所(FZK/INE、ただし代表機関はドイツ連邦教育科学研究技術省(BMBF))、サンディア国立研究所(SNL、ただし代表機関は米国エネルギー省(USDOE))、ならびにサイクル機構の6機関により進められている。また、CRR、プロジェクトは、室内試験とモデル解析を主体としたフェーズ1(1998年2000年3月)および原位置試験を実施するフェーズ2(2000年4月2002年)に二分され、現在(2000年7月)、フェーズ1における成果に取りまとめ、およびフェーズ2における原位置試験の準備などを行っている。サイクル機構は、CRRフェーズ1において、1.FEBEX ベントナイト空隙水中における放射性核種の溶解度と科学種の推定(タスク1a)、2.二アフィールドにおけるコロイドの安定度の推定(タスク1b)、3.ベントナイトコロイドの安定度(タスク2b)の三つのタスクを分担した。タスク1aは、フェーズ2の原位置試験において、注入するカクテル
澁谷 朝紀; 小原 幸利*; 小田 治恵; 久保田 満*; 久野 義夫; 柴田 雅博
JNC TN8400 99-066, 75 Pages, 1999/11
高レベル放射性廃棄物地層処分の性能評価におけるベントナイト-地下水相互作用を把握するため、その主要構成鉱物であるNa型スメクタイトの物理化学的特性を評価するとともに、様々な濃度のNaCl溶液中でのH+との相互作用を評価した。Na型スメクタイトは、クニピアFから精製した。XRD測定を行った結果、若干石英(玉髄)の存在を示唆するピークが認められた。また、スメクタイト層間に介在する陽イオンは1価であり、均一に配列していること、全岩化学組成分析結果と合わせ、ほぼNa型であることが推定された。さらに、湿度制御およびエチレングリコール処理により、イライト化または緑泥石化されていない健全な膨張性を有するスメクタイトであることが分かった。アンモニウム酢酸塩を用いて測定した陽イオン交換容量は110.8meq/100gであった。N2-BET比表面積測定によるスメクタイトの表面積は5058m2/gであった。0.01、0.1および0.5MNaCl溶液中でのスメクタイトとH+との相互作用は、滴定法によって評価した。その結果、H+消費量は、pH6ではNaCl濃度に強く影響を受けるが、pH6ではNaCl濃度の影響をほとんど受けないことがわかった。また、溶液分析から、pH4ではスメクタイト骨格の溶解に起因すると見られるFe、AlおよびMgの溶出が認められた。さらに、イオン交換モデルおよび表面錯体モデルを用いて0.1MNaCl溶液中でのスメクタイトに対するH+の収着のモデル化を試みた結果、スメクタイト結晶端におけるH+収着/解離反応およびスメクタイト層間におけるH+収着反応の平衡定数は以下のように得られた。SOH+H+SOH2+ logK(+)=5.674 SOHSO-+H+ logK(-)=-7.916 ZNa+H+ZH+Na+logK(ZH)=1.88 本データを用いて、0.01および0.5MNaCl溶液中のスメクタイトに対するH+収着量を計算した結果、計算結果は実験結果とほぼ一致することが確認された。本計算結果から、低pH側ではH+が層間に収着することによってH+収着量にイオン強度依存性が生じたものと考えられた。
久野 義夫; 油井 三和; 金持 真理子*
JNC TN8400 99-080, 19 Pages, 1999/07
圧密したベントナイト中での有機物の透過挙動に関する試験・検討を行った。30wt%のケイ砂を含有させたNa型ベントナイトを、乾燥密度1.6g/cm3に圧密した。平均分子量2,000, 15,000および450,000の3種のポリアクリル酸を含む試験溶液を調製し、この圧密ベントナイトへ透過させた。流出液中のポリアクリル酸の分子量分布をGPC(ゲル浸透クロマトグラフィー:Gel Permeation Chromatography)で分析した。またバッチ試験により、ベントナイトの粒子表面へのポリアクリル酸の収着性を確認した。その結果、分子量100,000以下のポリアクリル酸は、圧密ベントナイトを透過することを確認した。一方、分子量100,000以上のポリアクリル酸は、この圧密ベントナイト中でほとんどトラップされることが明らかになった。またバッチ式収着試験を行った結果、ポリアクリル酸はベントナイトとケイ砂のいずれにも収着しないことが明らかになった。したがって、分子量100,000以上の有機物は、この圧密ベントナイトの有する微細な間隙構造によってトラップされたものと考えられる。