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井上 彰一郎
船の科学, 51(1), p.68 - 74, 1998/01
原子力船「むつ」の実験航海の成果により、原子力を動力とする船舶の実現性が実証され、船の推進エネルギーとしての原子力の優位性が多々証明された。実験航海終了後の「むつ」の原子炉は、原子炉室一括撤去方式により移送し、保管建屋に安全に保管展示して、一般の見学に供している。改良舶用炉の研究開発は、「むつ」の成果を活用しつつ小型で軽量かつ経済性にも優れた舶用炉の開発を目指し、大型船舶用原子炉(MRX)と深海船用原子炉(DRX)の工学設計研究を新しい安全の概念を採用した一体型炉として、要素技術の実験研究等を行いつつ実施してきた。原子力船を実現するということは、単に海上における動力エネルギーの安定確保のみならず、大量高速輸送への対応や大気汚染防止等地球環境保全の上でも非常に意義があり、深海調査、極地調査等の可能性の拡大にもつながる。
井上 彰一郎
原子力年鑑'97, p.207 - 219, 1997/00
原子力船「むつ」の研究開発は、国の基本計画等に基づき日本原子力研究所において実施した。「むつ」の実験航海は、平成3年2月から12月にかけて実施し、原子力を動力とした船舶の実現性を実証するとともに、原子力の優位性を数々証明した。その後、引続き行った解役工事では、原子炉一括撤去方式を採用し、平成7年6月に船舶としての解役を無事終了させた。原子炉室は、むつ事業所内の保管建屋に安全に保管展示し、一般の見学に供している。改良舶用炉の研究開発については、「むつ」の成果を生かしつつ、小型で計量かつ経済性にも優れた舶用炉の開発を目指し、大型船舶用原子炉(MRX)及び深海船用原子炉(DRX)の工学設計研究を受動的安全システムを採用した一体型原子炉として、新しい要素技術の開発を行うための実験解析研究等を行いつつ実施している。
井上 彰一郎; 松尾 龍介; 星 蔦雄; 岡本 拓也*
原子力工業, 42(2), p.14 - 55, 1996/00
原子力船「むつ」は、国の基本計画に沿って出力上昇試験、海上試運転により性能を確認した後、海洋環境下における振動、動揺、負荷変動等が原子炉に与える影響等に関する知見を得るため平成3年2月から約1年をかけて計4回の実験航海を行った。実験終了後直ちに「むつ」の解役工事に着手し、平成7年6月に「むつ」から原子炉室を撤去し陸上の保管建屋に設置した。原子炉撤去後の船体は同年6月30日に海洋科学技術センターへ引き渡された。本稿では、これまでの「むつ」の研究開発の背景を概説し、実験航海の成果、解役工事の状況、今後の原子力船研究開発と将来展望等について紹介するとともに、「むつ」の後利用についても触れる。