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Umenyi, A. V.*; 本美 勝史*; 川尻 慎也*; 品川 晃祥*; 三浦 健太*; 花泉 修*; 山本 春也; 井上 愛知; 吉川 正人
Key Engineering Materials, 459, p.168 - 172, 2011/04
有限差分時間領域法(FDTD法)により、光通信で使われる波長1.55m領域を対象とした新たな光導波路を設計した結果、円孔の径を465nm、周期を664nmとした三角格子フォトニック結晶導波路が有効であることが予測された。そこで、400kVイオン注入装置を用い、照射エネルギー:80keV,照射量:110ion/cmの条件の下、Siイオンを熱酸化により形成されたSi基板上のSiO層に注入して導波路のコアとなる高屈折層を形成した。電子ビームレジストを塗布してEB描画装置で設計パターンを描画したフォトニック結晶表面を原子間力顕微鏡(AFM)を用いて調べた結果、円孔の径が466nm、周期が666nmとなり、設計値どおりのフォトニック結晶導波路が作製できていることが確認できた。
永田 晋二*; 藤田 遥*; 井上 愛知; 山本 春也; 土屋 文*; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 268(19), p.3151 - 3154, 2010/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28.83(Instruments & Instrumentation)表面に触媒層を堆積させた三酸化タングステン(WO)膜は、水素に曝すと着色することから水素検知素子への応用が期待されている。WO膜の着色は、WO膜へのカチオンの導入、又は酸素空孔の形成によると考えられているが、水素による着色との関係は十分に理解されていない。そこで本研究では、イオン照射による酸素空孔の形成とWO膜の光学吸収特性への影響を調べた。スパッタリング法によりSiO基板上に作製したWO膜に対して200800keVに加速した酸素のイオンビーム照射を行い、WO膜の光学吸収係数の変化を測定した。その結果、照射量の増加とともにWO膜の着色が進み、光学吸収係数の変化は、酸素原子にはじき出しに関係する核的阻止能のみならず電子的阻止能を加えた値に依存することを見いだした。この結果からWO膜の着色は、イオン照射における電子励起にも起因することが示唆された。
永田 晋二*; 且井 宏和*; 土屋 文*; 井上 愛知; 山本 春也; 藤 健太郎; 四竈 樹男*
Journal of Nuclear Materials, 386-388, p.1045 - 1048, 2009/04
被引用回数:14 パーセンタイル:66.94(Materials Science, Multidisciplinary)核融合炉において、炉心プラズマから生成されるMeVエネルギーの軽イオンによるイオンビーム誘起発光は、プラズマ燃焼状態をその場観測する手段となるため、診断システムへの応用が期待されている。今回は、MeV領域のH及びHeイオン照射によるSiOガラスのイオンビーム誘起発光(460nm)の発光効率に及ぼす照射エネルギー,照射量,入射速密度及び試料温度の影響を調べた。Hイオン照射によって付与される電子励起エネルギーを20150eV/nmの範囲で増加させると波長460nmの発光効率は増加するが、Heイオンによるエネルギーを200370eV/nmの範囲で増加させると発光効率が低下する傾向が明らかになった。また、試料温度を増加させることで発光効率は低下した。一方、入射イオンの核的衝突によって形成された発光中心の80%は600Kの熱処理によって回復した。このことから、電子励起付与エネルギーの違いによる発光効率の変化は局所的な加熱効果に大きく依存することが明らかになった。
井上 愛知; 山本 春也; 永田 晋二*; 吉川 正人; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 267(8-9), p.1480 - 1483, 2009/03
被引用回数:12 パーセンタイル:62.36(Instruments & Instrumentation)酸化タングステン中に導入される水素量と光学特性の関係を定量的に調べた。反応性スパッタ法により、金属タングステン(200nm)によって表面を被覆した非晶質WO(300nm)膜を作製し、10keVに加速したHイオンを照射した。その結果、膜中に注入された水素濃度は、照射量とともにH/W0.4まで増加することがわかった。水素の導入量がH/W0.1までは、WO膜の吸光係数は水素導入量に比例して約0.3mまで増加したが、それ以上では緩やかに増加し約0.4mで飽和した。このことから、H/W0.1未満の注入量では、WOの吸光度を測定することでWO内部への水素導入量を定量できることがわかった。
永田 晋二*; 笹瀬 雅人*; 高廣 克己*; 土屋 文*; 井上 愛知; 山本 春也; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 267(8-9), p.1514 - 1517, 2009/03
被引用回数:9 パーセンタイル:53.48(Instruments & Instrumentation)Zr基金属ガラスの構造変化及び微細結晶化に及ぼすイオンビーム照射効果について調べた。ZrAlNiCuからなる厚さ2mmの板状試料と薄膜試料に対して、室温のもとMg, P, Au及びBiイオンを100500keVの範囲で、最大210ions/cmまで照射した。X線回折を用いて照射試料の結晶構造を観察した結果、照射による長周期構造変化は見られなかった。Mgイオン照射した試料以外ではTEM観察によってfcc-ZrCuの析出を観察することができた。また、Auイオンを照射した試料ではX線光電子分光法によりAu-Zr又はAu-Cu金属間化合物の形成が認められた。これらの結果から、イオン照射は、金属ガラスの長周期構造にあまり影響を与えないが、金属間化合物の析出を促進させる効果があり、その効果は重イオンであるほど顕著であることが明らかになった。
井上 愛知; 山本 春也; 永田 晋二*; 吉川 正人; 四竈 樹男*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 33(4), p.1127 - 1130, 2008/12
光学式水素センサー用素子の改良を目的に、ガスクロミック酸化タングステン膜の着色特性に及ぼす触媒の堆積量及び構造の影響を調べた。試料として用いた非晶質酸化タングステン膜は反応性RFマグネトロンスパッタ法を用いて、アルゴン及び酸素雰囲気中でタングステンをスパッタすることで作製した。触媒として用いたパラジウム及び白金はアルゴン中で堆積させた。堆積時間を変化させながらシリコン単結晶基板上に堆積させた触媒を走査型電子顕微鏡で表面観察を行ったところ、パラジウムの場合では2nm、白金の場合では0.2nmに相当する堆積量のときに、着床した微粒子が一様な膜構造を形成することがわかった。堆積量を変えた触媒を非晶質酸化タングステン膜に堆積させ、1%の水素を含んだ窒素ガスに曝したところ、膜構造の触媒を有する酸化タングステン膜が高い着色特性を示した。
井上 愛知; 山本 春也; 永田 晋二*; 吉川 正人; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 266(15), p.3381 - 3386, 2008/08
被引用回数:5 パーセンタイル:38.65(Instruments & Instrumentation)スパッタリングにより形成した酸化タングステン膜の組成及び構造が水素存在状態に与える影響ついて追求した。酸素及びアルゴン混合雰囲気中で金属タングステンをスパッタすると、室温の基板上に非晶質のWOが形成された。混合雰囲気中の酸素分圧が増大するにつれ、膜の組成はWOに近づいたが、室温の膜形成では膜内に水素が取込まれやすいことがわかった。続いて成膜中の基板温度を上昇させると膜の結晶化が起こり、膜形成時に取込まれていた水素濃度が低下した。同時に、膜中の構成原子の結合であるW=Oのみが減少する傾向がラマン分光により観測された。この関連性を詳細に検討した結果、スパッタリングによって形成される酸化タングステン膜中に含まれる水素はおもにW=O端に結合していることがわかった。
山本 春也; 井上 愛知; 吉川 正人
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 266(5), p.802 - 806, 2008/03
被引用回数:30 パーセンタイル:86.27(Instruments & Instrumentation)パルスレーザー蒸着法により-AlO単結晶基板上に三酸化タングステン(WO)のエピタキシャル膜の形成条件を探索し、膜の構造及び水素によるガスクロミック特性について調べた。ラザフォード後方散乱法,X線回折法及びラマン分光法を用いて作製したWO膜の構造を評価した結果、単斜晶WO(001)膜が-AlO r-面上に成長し、蒸着中の基板温度及び酸素圧が高くなるとともに膜の結晶性が向上することがわかった。さらに、作製したWO膜の水素によるガスクロミック特性は、膜の結晶性の向上とともに低下する傾向にあり、膜の結晶構造に強く依存することが示唆された。
井上 愛知; 山本 春也; 永田 晋二*; 吉川 正人; 四竈 樹男*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 266(2), p.301 - 307, 2008/01
被引用回数:14 パーセンタイル:66.71(Instruments & Instrumentation)膜中への水素浸入に伴うガスクロミック酸化タングステン膜の構造及び組成の変化を調べた。RFマグネトロンスパッタ法を用いて膜を作製したところ、基板温度600Cで単斜晶系WO(0 1 0)面に1軸配向した膜が得られた。この膜に対して反跳粒子検出法を用いて膜中水素分布を調べたところ、膜中水素は0.24H/Wの濃度で一様に分布していた。膜表面にPdを被覆させ5%の水素を含んだArガスに曝すと膜は青く着色した。着色する際、膜の構造は単斜晶系から正方晶系に変化し、膜中水素濃度は一様に0.47H/Wまで増加した。これらの結果から、酸化タングステンのガスクロミック着色はタングステンブロンズの形成を伴うことが明らかになった。
永田 晋二*; 井上 愛知; 山本 春也; 土屋 文*; 高野 勝昌; 藤 健太郎*; 四竈 樹男*
Journal of Alloys and Compounds, 446-447, p.558 - 561, 2007/10
被引用回数:20 パーセンタイル:69.88(Chemistry, Physical)触媒金属を表面に担持した酸化タングステン膜は、水素と反応することにより着色することが知られている(ガスクロミック現象)。しかしながら、水素によるガスクロミック着色の詳細なメカニズムは、未だに明らかになっていない。本研究では、ガスクロミック着色のメカニズムを解明することを目的に、種々の組成の酸化タングステン膜を作製し、酸化タングステン膜中の水素の挙動と着色現象の関係について調べた。反応性スパッター法により成膜中の酸素分圧を制御し、O/W原子数比を2.53.0まで変化させた酸化タングステン膜を作製した。薄膜試料中の水素は、ヘリウムイオンビームを用いた反跳粒子検出法により評価した。実験の結果、O/W原子数比が3.0近傍の酸化タングステン膜が最も良い着色性能を示した。さらに、水素に曝して着色させると薄膜中の水素濃度が2割程度増加することが確認できた。これより、この着色がタングステンブロンズ(HWO)の形成と関連していることがわかった。
高野 勝昌; 井上 愛知; 山本 春也; 杉本 雅樹; 吉川 正人; 永田 晋二*
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 46(9B), p.6315 - 6318, 2007/09
被引用回数:10 パーセンタイル:39.2(Physics, Applied)雰囲気ガスの混合比と成膜時の温度をパラメータとした反応性スパッタリング法により酸化タングステン薄膜を作製し、X線回折測定,ラマン散乱測定及び原子間力顕微鏡による測定より膜の構造を調べた。その結果、成膜時の温度を400C以上にすると、膜にナノサイズの結晶構造を付与できることがわかった。水素ガスに対するガスクロミック特性を調べたところ、膜の結晶サイズが大きいほど着色速度が速いことがわかった。
高野 勝昌; 井上 愛知; 山本 春也; 杉本 雅樹; 杉山 僚; 吉川 正人
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(3), p.673 - 676, 2007/09
水素の吸着により黄色から青へ変色する酸化タングステン薄膜を、ポリエチレンテレフタレートあるいはポリ塩化ビニリデン等の安価な不定形基材表面に、スパッタリング法により堆積させ作製することに成功した。性能評価を行った結果、数分で濃度1%の水素に対して変色し、目視による検知が可能であることがわかった。爆発下限濃度が空気雰囲気中で4%の水素を安全に取り扱うには、その漏洩を速やかに検知する技術の開発が欠かせない。本シートは次世代のクリーンエネルギー源である水素の漏洩を簡便に確認できる安価な検知シートとして役立つと考えられる。
永田 晋二*; 山本 春也; 井上 愛知*; 土屋 文*; 藤 健太郎*; 四竃 樹男*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1009 - 1013, 2007/08
被引用回数:32 パーセンタイル:88.39(Materials Science, Multidisciplinary)シリカガラス中に含まれている水酸基がイオンビーム誘起発光に及ぼす影響と照射損傷との関連を明らかにし、発光体など機能材料への応用を探索することを目的に、イオンビーム誘起発光のその場測定を行った。実験では、水酸基の含有量が異なったシリカガラスに対して、入射エネルギー: 0.12MeVのプロトン及びヘリウムを照射し、試料からの発光を測定した。その結果、発光強度のエネルギー依存性及び照射量依存性から、酸素欠損型の発光中心は、MeV領域のエネルギーを持つプロトンではおもに電子励起によって生成されていると結論され、水酸基が存在する場合には、付与エネルギーが水酸基の解離やB型酸素欠損の生成に費やされると考えられた。
井上 愛知; 永田 晋二*; 藤 健太郎*; 土屋 文*; 山本 春也; 四竈 樹男*
Journal of Nuclear Materials, 367-370(2), p.1112 - 1116, 2007/08
被引用回数:5 パーセンタイル:37.19(Materials Science, Multidisciplinary)Cr添加アルミナ(ルビー)にMeVエネルギー領域の水素及びヘリウムイオンを照射したときの照射量と誘起発光強度の関連性について調べた。その結果、水素イオンの照射量が増大しても誘起発光強度はほとんど変化せず、線エネルギー付与(LET)にも比例しなかったが、ヘリウムイオンの照射量が増大すると誘起発光強度が急速に減衰し、その減衰量が核的エネルギー付与量に比例した。これらのことから、誘起発光強度は、ルビー内の励起される発光中心の数のみに比例し、線エネルギー付与(LET)とは関連しないこと,発光強度の減衰はおもに入射イオンの核衝突による発光中心の消滅に起因することが示唆された。
山本 春也; 高野 勝昌; 井上 愛知; 吉川 正人
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 262(1-2), p.29 - 32, 2007/08
被引用回数:21 パーセンタイル:79.59(Instruments & Instrumentation)酸化タングステン膜は、水素の吸蔵により透明から濃い青色に着色するガスクロミック現象を発現することから、水素検知材料としての利用が期待されている。本研究では、光学式水素センサーの開発を目的に、反応性スパッター法により作製した酸化タングステン膜について、その組成や結晶構造とガスクロミック特性との関係について系統的に調べた。実験では、成膜中の酸素分圧をパラメータに酸化タングステン膜の作製を行い、ラザフォード後方散乱法によるタングステン(W)と酸素(O)と原子数比の決定を行い、さらにX線回折法による結晶構造評価を行った。その結果、タングステン膜のO/Wの比が3近傍でありながら非晶質構造を有する酸化タングステン膜だけにガスクロミック現象が発現することがわかった。
永田 晋二*; 東 誠二郎*; 土屋 文*; 藤 健太郎*; 四竈 樹男*; 高廣 克己*; 尾崎 孝一*; 川面 澄*; 山本 春也; 井上 愛知
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 257(1-2), p.420 - 423, 2007/04
被引用回数:16 パーセンタイル:72.04(Instruments & Instrumentation)代表的な金属ガラスであるZrAlNiCu合金に対してイオン照射を行い、その構造及び初晶挙動について研究を行った。実験では、厚さ50-100mの膜状試料に300-500keVのエネルギーに加速した水素(H),銀(Ag),銅(Cu)、及び金(Au)のイオン照射を行った後、X線回折法により結晶構造を調べた。その結果、照射直後の試料の構造に変化は見られず、照射したイオン種による違いも見いだせなかった。さらに、イオン照射した試料に対して熱処理を行うと準安定相の形成が確認された。これらの事実から、初晶は、エネルギー付与が多くなるとその成長速度が遅くなる傾向のあることがわかった。これは、イオンの線エネルギー付与が大きくなるにつれ形成される準安定相の核生成サイトが増加するためであると考えられた。
高野 勝昌; 井上 愛知; 山本 春也; 宮下 敦巳; 吉川 正人
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(1), p.159 - 162, 2007/03
酸化タングステン(WO)薄膜の着色速度の向上を目的として、入射エネルギー350keVのHeをWO薄膜に照射した。照射後、着色速度との関連が指摘されている不完全な酸素結合を持つ4価、あるいは5価のタングステン(W、あるいはW)の総量を、X線光電子分光法により調べた結果、110ions/smのイオン照射により、W及びWの総量がそれぞれ4%及び17%増大したことがわかった。一方、同じ試料に触媒金属薄膜を蒸着し着色速度を調べた結果、照射前に比べ着色速度が7.5倍上昇したことがわかった。この結果から、不完全な酸素結合を持つタングステン原子の増加が着色速度を大幅に改善させること,改善手法としてイオン照射が有効であることがわかった。
井上 愛知; 山本 春也; 永田 晋二*; 高野 勝昌; 吉川 正人; 四竈 樹男*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(1), p.107 - 110, 2007/03
水素ガスと反応して着色する酸化タングステン膜による光学式水素センサーの開発を行うため、反応性マグネトロンスパッタ法を用いて不定比性酸化タングステン膜を作製し、その元素組成比と着色性能の関係を調べた。成膜雰囲気中のアルゴン分圧を150mPaに保ち、酸素分圧を080mPaの範囲で変化させながら金属タングステンターゲットをスパッタして作製した試料に対して、ラザフォード後方散乱法(RBS)及び反跳粒子検出法(ERD)を用いて組成を調べた結果、膜の酸素組成比が増加するに伴って含有水素量は増加し、WO膜では最大約HWOまで水素が含有していることが明らかになった。また、石英基板上に同様な条件で堆積させた酸化タングステン膜表面に約15nmのパラジウムを堆積させた試料に対して着色性能を調べたところ、組成がWOに近づくほど、また含有水素が多いほど光の透過強度が低下する傾向にあった。
山本 春也; 高野 勝昌; 井上 愛知; 吉川 正人
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 32(1), p.171 - 174, 2007/03
酸化パラジウム(PdO)のガスクロミック特性を利用した光学式水素ガスセンサーを開発するため、PdO膜の水素による光学特性変化について調べた。その結果、パラジウム(Pd)を600Cで熱処理して形成したPdO膜は、濃度1%の水素に対して光学特性が変化することがわかった。実験に使用したPd膜は500Cで膜全体が酸化してPdOになることがわかっている。このことから、濃度1%水素によるPdO膜のPd膜への還元が、光学特性変化として検出されていると考えられる。
高野 勝昌; 井上 愛知; 山本 春也; 吉川 正人
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 160, 2007/02
水素吸着により着色する特性(ガスクロミック特性)を有する酸化タングステン(WO)薄膜を利用して光学式水素センサーを作製する場合、その着色速度の低さがセンサーへの応用を困難なものにしていた。そこで、ガスクロミック特性の発現原因と考えられる酸素原子の欠損を意図的に導入する目的で、WO薄膜にイオン照射を行い照射量と着色速度の関係を調べた結果、 ions/cm 以上でWO薄膜の着色速度が2倍以上改善することがわかった。これにより、イオン照射による欠陥導入が着色速度の改善に有効であることが実験的に初めて裏づけられた。