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伊藤 孝; 髭本 亘; 鈴木 博之*; 井村 敬一郎*; 佐藤 憲昭*
no journal, ,
SmSは0.1eV程度の小さなエネルギーギャップをもつ黒色の絶縁体であり、0.65GPa程度の圧力を印加することにより黄金色を呈する金属相へと転移することが知られている。これに加え、低温において数々の異常物性が観測されており、これらの発現において励起子が重要な役割を演じている可能性が指摘されている。我々はSmSにおける励起子の電子状態を明らかにするために、ミュオンスピン回転・緩和法による測定を行った。SmSに粒子を打ち込むと、電子を1つ捕らえて「浅いミュオニウム」と呼ばれる水素原子状の束縛状態を形成する。この浅いミュオニウムと励起子の有効ボーア半径および束縛エネルギーは共通のモデルにより近似的に記述できることから、ミュオニウムの電子状態を調べることにより励起子に関する知見を得ることができると期待される。測定の結果、常圧下におけるミュオニウムの有効ボーア半径は0.33nmであり、加圧によりこの値が増加傾向を示すことが明らかになった。励起子も同様の振る舞いを示すと考えられる。