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神山 健司; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; 小西 賢介; 松場 賢一; 佐藤 一憲
JAEA-Research 2008-059, 33 Pages, 2008/07
ナトリウム冷却高速増殖炉での炉心崩壊事故では、溶融炉心物質の一部が冷却材流路等を通じて炉心外へ流出する。溶融炉心物質との混合によって冷却材が急速に蒸発し、流路内から液相冷却材が排除されると、その後に流路内へ流入する溶融炉心物質の固化閉塞が生じ難くなる。このような特性は、溶融炉心物質の炉心外への早期流出を促進し、厳しい再臨界に至る可能性を低減する。本研究では、模擬物質として低融点合金と水を用い、実機相当以上の長さを有する冷却材流路を通じた融体流出試験を実施した。その結果、融体流入初期に冷却材の一部が蒸発し、下部プレナムとの接続部付近まで蒸気が拡大することで流出経路全体がボイド化することが示された。さらに、冷却材ボイド領域の拡大開始条件は融体熱量と冷却材の顕熱比並びに冷却材の加熱領域高さにて整理できること、並びに、冷却材ボイド領域の拡大過程での熱収支評価に際しては、流路壁面への膜状凝縮熱伝達を考慮する必要があることが明らかになった。これらの知見を酸化物融体とナトリウムを用いた試験結果に適用したうえで、実機条件における流出経路のボイド領域拡大挙動について考察した。
松場 賢一; 今堀 真司; 磯崎 三喜男
JNC TN9400 2004-051, 79 Pages, 2004/11
高速炉の炉心損傷事故時の再臨界問題を排除するためには、炉心損傷の早期に大量の溶融燃料が制御棒案内管や設計オプションの一つとして提案されている集合体内部ダクトなどの冷却材流路を通じて炉心外へ流出することを示すことが有効である。本研究では、溶融燃料を模擬した融体(低融点合金Uアロイ78:成分60wt%Bi-20wt%Sn-20wt%In,密度 8700kg/m3,融点78.8)を冷却材流路(水槽)へ放出させる試験を実施し、流出経路内の冷却材の一部が溶融燃料プール中へ逆流し得る実機に即した条件での燃料流出に関する基本メカニズムを解明することを目的する。本試験を通じて、以下に示す試験結果を得た。(1)燃料流出経路を模擬した冷却材流路内での融体と冷却材の熱的相互作用に伴って発生する圧力によって、冷却材が融体プール中へ逆流する。(2)融体プール中へ逆流した冷却材の蒸気圧によって融体プールが加圧され、冷却材流路への融体放出が加速される。(3)冷却材のサブクール度が低い条件では、冷却材の逆流による融体プールの加圧が顕著になり、冷却材流路への平均融体放出率が増加する傾向がある。これらの試験結果から、冷却材が融体プール中へ逆流することによって融体プールが加圧され、結果的に融体放出が加速される現象を確認した。また、本試験で明らかにした冷却材の逆流のメカニズムを実機条件において想定される圧力条件に適用し、冷却材の逆流により燃料流出が加速される可能性を確認した。
松場 賢一; 今堀 真司; 磯崎 三喜男
The 6th International Conference on Nuclear Therma, 313 Pages, 2004/10
高速炉の炉心損傷時の燃料流出過程における冷却材ボイド拡大挙動を解明するため、溶融した低融点合金(模擬燃料)を冷却材流路(水槽)へ側面から放出させる試験を行い、溶融燃料/ナトリウム条件では燃料排出過程の早期に冷却材流路がボイド化することによって速やかな燃料流出が起きる可能性が高いことを確認した。
松場 賢一; 今堀 真司; 磯崎 三喜男
JNC TN9400 2003-001, 50 Pages, 2003/03
高速炉の炉心損傷事故において有意な機械的エネルギー放出を伴う再臨界が発生する可能性(再臨界問題)排除するためには、炉心損傷過程の早期に溶融燃料が炉心外へ速やかに排出されることを示すことが有効である。本試験研究では、炉心外への燃料排出挙動に関連する個別現象を解明することを目的として、模擬燃料融体(Wood's Metal:密度8500kg/立方メートル、融点78.8度C)を、排出経路(制棒案内管など)を模擬した冷却材(水)流路へのその側面から放出させる試験を実施している。 第一報では、融体放出部近傍の冷却材のサブクール度が十分に減少して初めて、燃料排出を促進する効果をもつボイド拡大が開始されること、及び実機条件では早期にボイド拡大が開始される可能性が高いことを明らかにした。 本報では、実機条件と関連するパラメータに対するボイド拡大挙動の依存性を試験データから分析した。 試験結果は以下に示すとおりである。 (1)冷却材流路の上部に大きな圧力損失が生じる条件の下では、ボイドの拡大が下方向へ導かれ、流路下部プレナムまで達することを確認した。この結果は、排出経路上部に大きな圧力損失を設ける設計条件が燃料排出を促進にする上で有利であることを示している。 (2)ボイド拡大が開始されるまでに必要な融体エンタルピー投入量は、その投入速度あるいは融体と冷却材の混合時間に依らずほぼ一定となる傾向が見られ、その一方で冷却材のサブクール度に強く依存する。この傾向は、ボイド拡大の開始が融体と冷却材との熱バランスに支配されることを示唆する。 (3)ボイド拡大は継続的な蒸気圧形成により維持される。この蒸気圧は融体エンタルピー投入速度とともに増加する。 (4)融体エンタルピー投入速度の増加に伴い、下部プレナムへの継続的な融体移行を不安定化する効果をもつFCI(Fuel-Coolant Interaction : 溶融燃料-冷却材熱的相互作用)事象がボイド境界で発生する可能性が高くなる。 これらの結果から実機条件では排出経路全域にわたるボイド拡大が速やかに実現する可能性が高いことを確認した。その一方で、速やかな燃料排出を示すためには、ボイド境界でのFCI挙動及びそれらが燃料移行挙動に及ぼす影響を解明することも重要と認識された。
松場 賢一; 今堀 真司; 磯崎 三喜男
JNC TN9400 2001-076, 75 Pages, 2001/09
高速増殖炉の炉心損傷事故における再臨界問題を排除するためには、炉心損傷の早期段階に溶融燃料が炉心外へ排出させることを示すことが必要である。本試験研究では、早期燃料排出を達成する上で重要な排出経路内の冷却材ボイド化挙動を把握することを目的とした試験シリーズを実施している。この試験では、溶融した低融点合金(Woo'ds Metal:60%Bi+20%Sn+20%In,m.p.78.8)を水で満たさせた冷却材流路(排出経路を模擬した流路)に放出させている。本試験により次に示す結果が得られた。1.限られた量の冷却材の加熱により効率的な蒸気生成が行われる融体放出位置の近傍において、局所的な冷却材ボイド化は直ちに冷却材ボイドの拡大に繋がるものではない。2.安定な冷却材ボイド化(非局所的)が実現するためには、融体と冷却材との混合領域において冷却材のサブクール度が十分に減少することが必要である。3.安定な冷却材ボイド化領域へ融体が継続的に放出されることにより冷却材ボイドが拡大する。4.冷却材ボイドが拡大する時間スケールは融体のエンタルピーに強く依存する。物性値を考慮すると、実機条件では溶融燃料のエンタルピーが極めて大きいため早期に冷却材ボイドの拡大する可能性が高いと考えられる。
谷本 健一; 相原 永史; 今井 勝友; 飛田 和則; 根本 昌明; 今堀 真司; 野口 好一
JNC TN9410 99-002, 320 Pages, 1998/11
RI・研究所等解体廃棄物対策に資することを目的に、大洗工学センターにおける原子力施設すべての解体廃棄物量を試算した。解体廃棄物量の試算結果は、以下の通りである。(1)大洗工学センターの原子力施設の解体に伴う、放射性廃棄物の放射能レベル区分発生量は、1GBq/t以上が820トン、1GBq/t未満が18,000トンであり、総量18,820トンとなる。(2)このうち、内装設備等の重量は鉄等が5,820トン、建家構造材としてのコンクリート等は13,000トンである。(3)内装設備等の重量は、仕様書、完成図面、目視等により求めた。(4)各施設のコンクリートは、汚染又は汚染の恐れのある区域の内壁については5cm厚はつり、基本的には汚染はないが汚染の可能性がある箇所は1cm厚はつった。(5)本施設の多くは非固着性の汚染であることから、適切な金属の除染技術とコンクリートのはつり技術とを採用することにより、放射性廃棄物として取り扱うべき解体廃棄物量は減少させることができる。(6)密封線源取り扱い施設は、過去の運転履歴から施設、設備、機器など、放射性物質との接触や汚染履歴が無い。このために、すべて非放射性廃棄物として処理できるものと考える。
小西 賢介; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; Brear, D. J.
動燃技報, (98), p.59 - 64, 1996/06
高速炉の炉心損傷時に想定されるジェット状の融体と冷却材との相互作用を解明するために、模擬物質を用いた実験研究を行った。低融点合金の融体ジェットと水の相互作用試験の結果、両液体の温度の組み合わせに応じて現れる4種の基本相互作用モードを明らかとした。さらに、これらのモード間の違いを適切に説明できる最小膜沸騰温度モデルを作成し、その有効性を確認した。これらの知見を高速炉の酸化物燃料-ナトリウム系条件への予備的に適用した結果、ジェット状に侵入しない、比較的穏やかな相互作用により、燃料の効果的な分散・冷却が達成される可能性が高いとの見通しを得た。
近藤 悟; 小西 賢介; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; 古谷 章
Nuclear Engineering and Design, 155, p.73 - 84, 1995/00
被引用回数:88 パーセンタイル:98.83(Nuclear Science & Technology)本論文では、高速炉安全性の観点から実施している燃料-冷却材相互作用(FCI:Fuel-Coolant Interactions)に関する実験的研究の成果をFCIの発生条件いう観点から取りまとめたものである。MELT試験装置を用いた低融点合金-水系の融体ジェット試験から、融体及び水の初期温度の組み合わせにより、いくつかのFCIモードが明らかにされた。このうち、比較的激しい相互作用の生じる条件は比較的狭く冷却材の最小膜沸騰温度を超える領域にあることを実験的に示した。高速炉条件への予備的外挿によれば、ナトリウムの熱的特性により、上記の条件は満たさないものと予測される論文では、最小膜沸騰温度のモデル化(共著者のBreaeの研究成果)とその検証成果を提示している。
小西 賢介; 佐藤 浩司; 古谷 章; 磯崎 三喜男; 今堀 真司
Evaluation of Material Coolant Interaction and Material Movement and Relocation in Liquid Metal Reac, 0 Pages, 1994/00
本論文では、FBRにおけるCDA時の溶融炉心物質-構造材相互作用に関する模擬実験の結果を要約した。実験ではMELT-II施設を用いて高周波誘導加熱で溶融させた融体ジェット状に構造材状に落下させ、その溶融浸食挙動を観測した。種々の模擬物質を用いた一連の実験の結果、構造材表面に形成される固化クラスト及び溶融層の影響が重要であることが明らかとなり、これらを含む実験相関式を形成した。FBR事故時の高融点の溶融酸化物ジェットにおいては、固化クラストが構造材の浸食速度を大きく低減することが示唆される。本論文は過去数年間の研究成果を総合的に取りまとめたものである。
小西 賢介; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; 古谷 章; 近藤 悟
Evaluation of Material Coolant Interaction and Material Movement and Relocation in Liquid Metal Reac, P. 231, 1994/00
液体金属冷却高速炉の安全性に係わる、ジェット状の接触モード下における溶融冷却材相互作用について研究した。一連の溶融低融点合金(溶融:79、密度:8400Kg/m)ジェット水相互作用試験の結果、両液の初期温度の組合せの違いに応じた4種の特徴的相互作用モードが存在することが明らかとなった。さらに最小膜沸騰温度形成条件を記述する半経験的なモデルを作成し、これを用いて相互作用モードの違いが現れる原因を検討したその結果、エナジェティックなジェットモード相互作用は比較的狭い熱的初期条件の場合に限られると結論した。これらを酸化物燃料-ナトリウム系に予備外挿した結果、高速炉事故条件下では、短いブレークアップ長さを有する穏やかな相互作用により、冷却されやすい固化デブリの形成が起きることが示唆された。
佐藤 浩司; 古谷 章; 磯崎 三喜男; 今堀 真司
Nuclear Engineering and Design, 132(2), 171 Pages, 1991/12
被引用回数:15 パーセンタイル:83.04(Nuclear Science & Technology)原子炉の苛酷事故時に、炉心の主要構成材料であるステンレス鋼が溶融して、炉心下部の構造材上に落下する場合の溶融侵食挙動を解明するために、溶融錫ジェット/錫板系及び実機物質である溶融ステンレス鋼ジェット/ステンレス板系を用いた試験を実施し、溶融侵食面に形成される構造材溶融層の存在をも考慮した乱流ジェット衝突時の実効的な熱伝達式、及びそれを用いて溶融侵食速度を評価する実験相関式を導出した。これまで溶融金属のような低プラントル数ジェットに対する衝突熱伝達のモデルは無かったため、水試験等で導出された比較的高プラントル数の層流ジェットへの適用式を低プラントル数領域まで外挿して使用しており評価の信頼性に乏しかった。この新たな評価式の導出により、実証炉等の実機安全評価において、溶融炉心物質の炉内保持評価に関して、確度の高い評価が可能となった。
佐藤 浩司; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; 古谷 章; 小西 賢介
動燃技報, (78), p.35 - 40, 1991/06
高速炉における仮想的な炉心損傷の事象推移の評価の一環として溶融物質ジェットと構造材との熱的相互作用挙動を解明するために、MELT-II試験装置を用いた炉外模擬試験を実施した。本研究により、構造材の溶融侵食挙動に及ぼす溶融酸化物の固化クラスト層、構造材溶融層の影響を実験的に解明するとともに、それらの効果を考慮して溶融侵食速度を評価するモデルを開発した。
斎藤 正樹*; 佐藤 浩司*; 今堀 真司*
PNC TN9410 88-014, 34 Pages, 1988/01
溶融炉心物質が、下部の冷却材中にジェット状に落下する際の冷却材中への侵入挙動を調べるため、約90の高温水ジェットをフレオン-11中に、また、室温の水ジェットを液体窒素中に注入する基礎試験を実施し、その侵入挙動を高速度ビデオ(200コマ/秒)で観測した。本試験の結果より以下のことが明らかになった。(1)冷却材中への高温ジェットの侵入距離は、ジェットの流速、ジェットの径および冷却材の密度に対するジェットの密度比が増すに従って増加する。(2)ジェット径で無次元化した侵入距離は、フルード数、ジェットと冷却材の密度比によって以下のような相関式として表わされる。L/Dj=2.1(j/Pc)E0.5FrE0.5 (3)高温溶融ジェットの冷却材中への浸入挙動において、発生する蒸気が非常に重要な役割をする。すなわち、Rayleigh-Taylor型不安定性によってジェット先端で発生する蒸気がジェットの側部を囲み、ジェットと冷却材との接触を防げる結果、ジェットの冷却材中への浸入を助ける。一方、ジェットの側部において、蒸気を介して冷却材との相互作用によって生ずるKelvin-Helmholtz型不安定性は、ジェットの冷却材中への浸入を防げる働きをする。
佐藤 浩司*; 今堀 真司*
PNC TN9410 88-005, 33 Pages, 1988/01
高速炉の仮想的過出力事故(TOP)及び冷却材流量喪失下での過出力事故(LOF-d-TOP)時に燃料集合体内で想定される溶融燃料挙動を調べるために、ピン径の異なる(直径8.7㎜、16.5㎜)2種類の7本ピンバンドル試験体を用いて炉外試験を6回実施した。試験では、流動ナトリウム中(0.46.6m/s、450)に設置した燃料ピン内のUO2ペレットを直接通電法で定常発熱状態に維持し、その後、過渡電力を投入することにより加熱溶融し、溶融燃料-冷却材熱的相互作用(FCI)を生じさせ、その際の発生圧力とボイド挙動を測定すると共に、2台のX線装置と高速度カメラ(4721015fps)を用いて溶融燃料挙動を観測した。本研究の結果、以下のことが明らかとなった。(1) 発生圧力は高々5MPaで、そのピーク値の燃料放出量、ナトリウム流速、試験体形状の違いによる顕著な差は見られなかった。(2) 燃料放出からFCI発生までの時間は、ナトリウム流速の減少と共に増大する傾向にあった。(3) FCI時の熱-仕事変換率は0.01%オーダと評価された。(4) 放出された燃料はFCI時の発生圧力パルスにより分散され、有意な流路閉塞は観測されなかった。(5) 微粒化燃料粒子の直径の質量メディアンは220320mの範囲内にあった。また4回の試験データを各試験後の回収重量で規格化した後、それらの平均的な粒径分布を求めると、f(logD)=0.694exp(-(logD-2.41)E2/0.660).D:粒子直径(m)の確率密度関数で表わせる。これらの結果は、FCI時の発生圧力と機械的仕事がそれほど大きくないことを示唆すると共に、放出された燃料の大部分は、FCI時の発生圧力パルスにより有意な流路閉塞を生じることなくスウィープアウトされることが予測される。
佐藤 浩司; 古谷 章; 磯崎 三喜男; 今堀 真司
27th National Heat Transfer Conference, ,
原子炉の苛酷事故時に,炉心の主要構成材料であるステンレス鋼が溶融して,炉心下部の構造材上に落下する場合の溶融侵食挙動を解明するために,溶融錫ジェット/錫板系及び実機物質である溶融ステンレス鋼ジェット/ステンレス板系を用いた試験を実施し,溶融侵食面に形成される構造材溶融層の存在をも考慮した乱流ジェット衝突時の実効的な熱伝達式,及びそれを用いて溶融侵食速度を評価する実験相関式を導出した。 これまで溶融金属のような低プラントル数ジェットに対する衝突熱伝達のモデルは無かったため,水試験等で導出された比較的高プラントル数の層流ジェットへの適用式を低プラントル数領域まで外挿して使用しており評価の信頼性に乏しかった。この新たな評価式の導出により,実証炉等の実機安全評価において,溶融炉心物質の炉内保持評価に関して,確度の高い評価が可能となった。
小西 賢介; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; 古谷 章; 近藤 悟
Int.Top.Mtg.on Sodium Cooled Fast React, ,
高速炉の仮想的炉心崩壊事故における高温融体と構造材あるいは冷却材の相互作用挙動を解明するために、MELT-II試験装置を用いて模擬物質による一連の試験を実施した。融体ジェットと構造材の相互作用試験は、構造材表面にジェット物質のクラストが形成される場合とされない場合のシリーズについて実施し、各々について溶融浸食速度を予測評価する実験相関式を導入した。これらにより、クラストの熱抵抗による浸食抑制の効果が明らかになった。低融点合金ジェットと水の相互作用試験では、両者の初期温度の組み合わせによって現れる相互作用挙動の代表的モードを4つに分類した。これらのモードは経験的に導いた最小沸騰温度の関係式を用いて解釈できた。さらに、これらの知見の外挿により、高速炉条件では比較的マイルドな相互作用挙動が予測された。以上の知見は、溶融炉心物質の炉内保持のシナリオを支持するものである。
神山 健司; 磯崎 三喜男; 今堀 真司; 佐藤 一憲
no journal, ,
高速炉の炉心崩壊事故時における溶融燃料の流出挙動解明は、事故影響評価の観点で重要である。溶融燃料は冷却材流路に流入し炉心領域外へと向かうが、この流出経路には冷却材ナトリウムが存在するため、燃料は構造壁とナトリウム双方に冷却される。一方で、燃料からの伝熱による冷却材蒸発によって流路がボイド化するため、流出燃料量とボイド領域の関係を把握することは、流出経路における溶融燃料の熱損失評価の観点で重要である。そこで、本研究では、燃料模擬物質として低融点合金を、冷却材模擬物質として水を用いた試験結果に基づき、投入された融体熱量とボイド領域拡大の関係を定量化し、ナトリウムを用いた試験結果を分析した。その結果、溶融燃料の初期流出過程にて冷却材流路は全長に渡ってボイド化し、主たる燃料流出過程はボイド化した流路内で生じるため、燃料の熱損失は構造材との伝熱が支配的であるという結論を得た。
磯崎 三喜男; 今堀 真司; 神山 健司; 佐藤 一憲
no journal, ,
高速炉の炉心崩壊事故時における溶融燃料の流出挙動解明は、事故影響評価の観点で重要である。溶融燃料は冷却材流路に流入し炉心領域外へと向かうが、この流出経路には冷却材ナトリウムが存在するため、燃料は構造壁とナトリウム双方に冷却される。一方で、燃料からの伝熱による冷却材蒸発によって流路がボイド化するため、流出燃料量とボイド領域の関係を把握することは、流出経路における燃料熱損失評価の観点で重要である。本研究では、EAGLEプロジェクトの一環として冷却材ボイド拡大挙動を把握するため、溶融した低融点合金を水流路に放出させる可視化試験を下方向への流出経路の長さの影響に着目して実施した。その結果、冷却材ボイドは融体流出に伴って2.5m程度の長さ(実機条件相当)の流出経路でも拡大すること、及び拡大後のボイド境界は流出経路出口付近に形成されることを確認した。本試験データは分析評価を行い、ナトリウムを用いたEAGLE炉外試験等の比較を通じて、実機での現象予測に活用される。