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江橋 健; 川村 淳*; 稲垣 学*; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*; 宮原 要; Apted, M. J.*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1665, p.39 - 45, 2014/07
隆起・侵食が地層処分の安全機能に与える影響については、サイト選定によって回避することが基本であるものの、評価が超長期に渡ることに起因してその不確実性を完全に排除することができず、その影響を仮想的に評価する可能性がある。本研究においては、仮想的な堆積岩分布域を対象として、隆起・侵食に起因する地質環境条件の変化が地層処分の核種移行に与える影響について、より現実に即して評価するためのアプローチを例示した。このアプローチは、既存の概念モデル(モダンアナログ的な観点と地史に基づく外挿の考え方)を応用したものであり、隆起・侵食による地質環境条件の変化に関する組合せを効果的に抽出可能であることに加え、処分事業の初期段階のように情報が限られた段階における地質環境調査や隆起・侵食に関する将来予測に対して、有効なフィードバック情報となりうるものである。
若杉 圭一郎; 仲島 邦彦*; 注連本 英典; 柴田 雅博; 山口 正秋
Proceedings of 21st International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-21) (DVD-ROM), 9 Pages, 2013/07
我が国において隆起・侵食は、不回避な天然現象の一つとしてシナリオで考慮する必要がある。また、現時点では評価時間のCut-offが定められていないため、超長期の影響も含めた隆起・侵食シナリオに対する評価の信頼性向上が求められている。このため、本研究では、我が国の地質・地形的特徴を考慮したより現実的な評価モデルを設定し、隆起と河川侵食を考慮した安全評価を実施した。さらに、仮想的な線量基準を満たすパラメータの組合せを把握するために、隆起・侵食速度及び透水量係数に着目したBounding解析を実施した。その結果、本解析条件のもとでは、余裕深度処分の安全評価基本シナリオへの線量目安値(10Sv/y)を満たすパラメータの組合せは見いだせなかったものの、すべてのケースにおいて、変動ケースの目安値である300Sv/yを下回った。さらに詳細分析から、EBSからの放出を加速させても、母岩の安全機能により、核種が処分場近傍に留まることが示された。この結果、隆起・侵食の影響は、原則的に適切なサイト選定と設計によって回避されるべきであり、処分場が地下深部に留まっている間の核種の減衰を期待するしかないことが再確認された。
仲島 邦彦*; 小尾 繁*; 蛯名 貴憲*; 江橋 健; 稲垣 学
JAEA-Data/Code 2009-009, 62 Pages, 2009/07
第2次取りまとめで実施されたレファレンスケースの安全評価解析は、おもにMESHNOTEとMATRICSによって実施された。一方、近年オブジェクト指向的な特徴を有する汎用的なシミュレーションソフトウェアが広く利用されてきており「GoldSim」はその代表的なものである。JAEAでは第2次取りまとめ以降、第2次取りまとめの安全評価解析のフォローアップとして、GoldSimを用いて確率論的解析やパラメータの感度解析等を統計的手法により実施してきている。本報告書ではGoldSimによるモデルの構築手法の詳細についてまとめ、第2次とりまとめでの解析結果との比較を実施し、解析結果の再現性を確認した。また、GoldSimを用いて、第2次取りまとめにおけるレファレンスケースの核種移行解析作業が容易に行えるような、解析手順のガイドブックを整備した。本検討で作成されたアプリケーションのリソース(解析モデルのパーツ)は、今後、確率論的解析や、他の概念モデルとの組合せ等の高度化に資することが可能である。
江橋 健; 川村 淳; 稲垣 学; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*; 宮原 要
JAEA-Research 2008-117, 36 Pages, 2009/03
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、隆起・侵食は、適切なサイト選定や処分場の設計によって処分システムに及ぼす著しい影響を回避することが可能と考えられているものの、この現象が緩慢ながらも極めて長期間に渡って継続することから、現象の過去の履歴と処分システムへ与える潜在的な影響の理解に基づいて、隆起・侵食のシナリオを考慮した性能評価手法の信頼性を向上させることが重要である。本研究では、具体的な地質環境を対象とした影響評価に反映できるよう、仮想的な堆積岩分布域における地下水シナリオを対象として、概念モデルに基づく処分環境条件の時間変遷パターン、及びその影響解析について例示した。本検討を通じて、概念モデルが、隆起・侵食にかかわる場の特徴を取り込んだ処分環境条件の時間変遷の組合せを効果的に抽出可能であることに加え、核種移行モデル・パラメータの設定及びそれに基づく影響解析に対して有効な出発点となりうることについて見通しを得た。また、概念モデルに基づいた影響解析を通じて得られる知見は、処分事業の初期段階のように情報が限られた段階における地質環境調査や隆起・侵食に関する将来予測に対して、有効なフィードバック情報となりうるものである。
大井 貴夫; 高瀬 博康*; 稲垣 学; 小山田 潔*; 曽根 智之; 三原 守弘; 江橋 健; 仲島 邦彦*
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.985, p.129 - 134, 2007/00
放射性廃棄物の地層処分の安全評価の信頼性を得るためには、多様な不確実性の影響を考慮する必要がある。本研究では、統計的手法に基づいて不確実性の観点から決定論的影響解析を補完することができる包括的感度解析手法を開発した。この手法は、キーパラメータや任意の目標値を下回るためのパラメータ値の組合せである成立条件を抽出することができる手法である。このアプローチを日本のTRU廃棄物の地層処分の安全評価に適用し、システムの安全性に対する不確実性の影響を包括的に評価するとともに、システムの性能の特性や今後の重要な研究課題をわかりやすく示した。
仲島 邦彦*; 牧野 仁史
JAEA-Data/Code 2006-013, 31 Pages, 2006/06
地層処分の安全評価では、天然の地質環境が有する場の不均質性,時間の経過に伴う地質環境条件の変化、あるいは理解や情報の不十分さから生ずるデータ不確実性が内在し、それらを完全に排除することは困難である。このようなデータ不確実性を網羅的に考慮したモンテカルロシミュレーションの結果を対象に、どのパラメータの不確実性の影響が大きいかなどの知見を得ること(感度分析)は、地層処分の安全評価上重要である。ここで、多変量解析手法の一つである決定木分析(ベリー・リノフほか、1999)の感度分析への適用性については、上述した核種移行に関するモンテカルロシミュレーションの結果(総線量の最大値)を対象にした予察的な分析により見通しを得ている(仲島・牧野、2005)。本検討では、感度分析を実施するにあたってのさまざまな切り口について検討し、総線量の最大値を含むさまざまな結果(総線量の最大値の発生時刻,支配核種など)を対象とした決定木分析を行うことにより、決定木分析の精度や適用範囲の確認を行った結果を示す。その結果、ほとんどのケースにおいて「良好な分析が行えた分析ケース」又は「比較的良い分析となった分析ケース」という結果が得られ、決定木分析が感度分析を行う際のさまざまな目的に適用可能であることを示すことができた。
仲島 邦彦*; 牧野 仁史
JNC TN8400 2005-001, 32 Pages, 2005/03
地層処分システムの核種移行解析で用いるパラメータには不確実性が存在し,それにより解析結果のばらつきやその支配核種の違い等の特徴が生じる。この特徴の発生に寄与するパラメータとその役割を明らかにすることは,研究開発の効率的実施や評価結果の詳細解釈において必要である。これまでも核種移行解析結果のばらつきに対し,多変量解析手法などを用いた様々な感度分析がなされている。しかし,従来の感度分析では,ばらつきの発生に寄与するパラメータの重要度の把握に重点をおいており,どのような定量的条件(パラメータの値あるいはその範囲)でその特徴が発生しているかまでを詳細に検討した例はあまりない。そこで,本研究では,従来の感度分析を後者の観点から補うための1つの手法として決定木分析を導入し,その適用性の検討を行った。その結果,データ不確実性を考慮したモンテカルロシミュレーションの結果のばらつきに対してカテゴリー分けを行い,決定木分析を適用することにより,特定のカテゴリーに属するか否かを判別するための重要パラメータの抽出,およびその定量的条件を把握することができた。また,その結果の表記を工夫することで,パラメータの定量的条件と判別結果の関係を分かり易い形で示すことができた。さらに,判別に特化した手法である判別分析との比較を行うことにより決定木分析の妥当性を確認した。このような決定木分析の結果は,1)パラメータ条件を与えられた時に,その解析結果がどのカテゴリーに属するかを予測すること,2)データの不確実性が低減された場合に,期待される効果を見積もること,などにも活用していくことができる。以上のことから,重要パラメータの抽出に加え,パラメータの定量的な条件を把握することに関する,決定木分析の有効性について見通しを得ることができた。
吉田 隆史; 石原 義尚; 石黒 勝彦; 仲島 邦彦*; 大井 貴夫
JNC TN8400 99-087, 41 Pages, 1999/11
地層処分システムの性能評価において、人工バリア中の核種移行に影響を及ぼす現象として、オーバーパックの腐食膨張および緩衝材の流出が挙げられている。このため、この二つの現象によって影響を受ける緩衝材パラメータ(緩衝材厚さ、空隙率、拡散係数)を変化させて人工バリア中核種移行の感度解析を行い、人工バリアから周辺岩盤への核種移行率の変動について調べた。オーバーパックの腐食膨張と緩衝材の流出を考慮し、緩衝材厚さ、空隙率、拡散係数を変化させて解析を行った結果から、この二つの現象は半減期が1万年未満の核種の移行率に対して大きな影響を及ぼすことが分かり、オーバーパックの腐食膨張はこれらの核種の最大移行率を減少させ、緩衝材の流出は逆に最大移行率を増加させることが示された。しかしながら、半減期が10万年を超える核種(例えば、Cs-135やNp-237など)の移行率については、オーバーパックの腐食膨張および緩衝材の流出による緩衝材パラメータの変化が最大移行率に及ぼす影響はほとんどないことが示された。
大井 貴夫; 仲島 邦彦*
動燃技報, (102), p.5 - 13, 1997/06
緩衝材外側からの核種放出率は、ガラス固化体中の核種インベントリ、ガラス固化体からの核種の溶出、緩衝材特性等の影響を受け変動する。これらの変動を考慮し、様々なシナリオ、緩衝材特性等の影響を受け変動する。これらの変動を考慮し、様々なシナリオ、環境条件に対して網羅且つ効率的に地層処分システムの性能を評価するためには、性能指標に対する個々のパラメータの影響特性を把握する必要がある。本研究では、インベントリ、溶解度、溶解速度、分配係数の影響特性及びこれらのパラメータの関係の概略を把握することを目的とし、地層処分の性能評価上重要と考えられる核種に対して緩衝材からの核種放出率を性能指標とした感度解析を実施した。解析の結果、放出率に対する分配係数の影響特性及びインベントリが括渇する場合の溶解度と定常溶解速度の関係が示された。これらの結果は、核種放出率に影響を与える重要パラメータの同定、データの取得さらに
仲島 邦彦*; 畑中 耕一郎; 梅木 博之; 佐々木 憲明; 石川 博久
PNC TN8410 92-068, 96 Pages, 1992/06
本解析では、人工バリア及び周辺岩盤から構成されるニアフィールドの地下水流れについて、動水勾配、岩盤の透水係数をパラメータとして感度解析を行い、ニアフィールドにおける流れの状態、緩衝材中の地下水流量、ニアフィールドの物質移動メカニズムについての評価を行った。解析の結果、同じ動水勾配の条件で得られた流れの形態については、岩盤の透水係数の変化に応じた顕著な変化は見られなかった。また、岩盤の透水係数は変化させず、動水勾配を変化させた場合の流れの形態は、動水勾配の大きさ及び方向に応じた変化を示した。計算結果で整理すると以下の結論が得られた。1)ニアフィールドの地下水流れは透水係数の変化よりも動水勾配の変化に大きく影響される。2)緩衝材中を流れる地下水の流量は、解析条件に係わらず10SUP/-210/SUP-3(cm/SUP2/y)のオーダーと非常に小さく、岩盤中の地下水流量に比べて無視しうる。3)核種の移動メカニズムについては、緩衝材中のペクレ数は岩盤中のそれに比べて小さいことから、緩衝材中では拡散現象が支配的である。
畑中 耕一郎; 仲島 邦彦*; 内藤 守正; 梅木 博之; 石黒 勝彦
PNC TN1410 92-086, 135 Pages, 1992/01
地質環境中での核種の移行は、移行経路の幾何学的特徴や遅延特性等、地質媒体の構造的特性を強く反映した因子に影響を受けると考えられる。そこで、地質媒体についての核種移行遅延効果と移行経路などの各媒体が有する特性や水理学的条件等との関連を明らかにすることによって、天然バリア効果の基本的な性能を示すことを目的として解析を行なった。解析にあたっては、まず、国内外の研究を参考にしつつ核種の移行経路と対応する移行メカニズムに着目して、地質媒体を多孔質媒体と亀裂性媒体に分類し、これらに対しそれぞれ核種移行モデルを作成した。次に、このモデルを用いて地質媒体の条件や特性を示すパラメータに対する核種移行遅延効果を感度解析的に評価した。その結果、多孔質、亀裂性いずれの媒体においても核種の移行遅延効果は、その環境条件に関わるパラメータ、地質媒体の厚さ(ある地質媒体中の評価地点までの距離)、核種の特性に関わるパラメータに強く依存し、これらのパラメータの設定範囲における遅延効果の程度は幅広いものであった。しかしながら、10m程度の比較的小さい媒体厚さにおいても、媒体が有効な遅延効果を示すパラメータ群の組み合わせが存在することがわかった。その結果、天然バリアとして充分な性能を有する場合には、人工バリア近傍の地層の保持能力によって地下水の環境安全性を確保できる可能性があり、この点から、ニアフィールドの地質環境条件をできるかぎり精確に把握していくことの重要性が示唆された。
江橋 健; 川村 淳; 稲垣 学; 小尾 繁*; 柴田 雅博; 板津 透; 仲島 邦彦*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、隆起・侵食は、適切なサイト選定や処分場の設計によって処分システムに及ぼす著しい影響を回避することが可能と考えられているものの、この現象が緩慢ながらも極めて長期間に渡って継続することから、処分システムへの影響の不確実性を完全に排除することは難しいと考えられる。このため、具体的な地質環境の情報を活用しつつ、「隆起・侵食/沈降・堆積が処分環境に影響を及ぼす道筋を明らかにすること、その影響を評価するための核種移行モデル・パラメータを整備すること、それらに基づいて核種移行評価を行うこと」が重要となる。本報においては、具体的な地質環境を対象とした隆起・侵食の影響評価に反映させるため、仮想的な堆積岩分布域における地下水シナリオを対象としたうえで、概念モデルに基づく一連の隆起・侵食の影響評価手法について例示した内容について報告する。