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加治 芳行; 三輪 幸夫*; 柴田 晃; 中野 純一; 塚田 隆; 高倉 賢一*; 仲田 清智*
International Journal of Nuclear Energy Science and Engineering, 2(3), p.65 - 71, 2012/09
JMTRにおいて288C、BWR模擬水質で照射したコンパクトテンション(CT)試験片を用いてき裂進展試験を実施した。腐食電位が高い条件で応力拡大係数が10から30MPamの範囲では、2dpaまでは中性子照射量が増加するにしたがって、き裂進展速度が増加するが、2から10dpaの範囲ではほぼ同じ値となる。ミクロ組織観察や析出物周辺の局所ひずみ測定などにより、き裂進展速度に及ぼすミクロ組織の影響を調べた。本論文では、き裂進展速度とミクロ組織,照射硬化,照射誘起偏析の関係について議論した。
加治 芳行; 三輪 幸夫; 柴田 晃; 中野 純一; 塚田 隆; 高倉 賢一*; 仲田 清智*
Proceedings of 14th International Conference on Environmental degradation of Materials in Nuclear Power Systems (CD-ROM), p.1181 - 1191, 2009/08
中性子照射した304ステンレス鋼のき裂進展試験をBWR条件で実施した結果を304L及び316Lステンレス鋼の結果と比較し、以下の結果を得た。(1)き裂進展速度は中性子照射量の増加とともに増加し、1.4dpa以上でKのべき乗則に従っていた。4.3dpa以上では304ステンレス鋼と304L及び316Lの低炭素ステンレス鋼ではK依存性の傾向が異なっていた。(2)304ステンレス鋼のき裂進展速度は、同じ照射量で低炭素ステンレス鋼よりも若干小さく、4dpa以上でも増加傾向を示し、9dpaでは1.010m/sとなっていた。(3)均一伸びの照射量依存性が304及び304Lステンレス鋼と316Lステンレス鋼とで異なっていた。すなわち、チャンネル変形のような局所変形が優位になる照射量が316Lステンレス鋼の方が高い。(4)欠陥集合体の平均径において304ステンレス鋼が低炭素ステンレス鋼より若干大きい傾向があり、0.2%耐力の傾向と対応している。
長島 伸夫*; 早川 正夫*; 塚田 隆; 加治 芳行; 三輪 幸夫*; 安藤 昌視*; 仲田 清智*
圧力技術, 47(4), p.236 - 244, 2009/07
本研究では、冷間加工により予ひずみを与えた低炭素ステンレス鋼SUS316Lの変形挙動を調べるために微小硬さ試験とAFM観察を実施し、以下の結果を得た。同じ塑性ひずみを負荷したにもかかわらず、予ひずみを与えなかったものよりも30%冷間加工材の方がすべり帯の間隔がより狭く、粒界近傍にすべり帯が集中していることがわかった。微小硬さが300以上となる領域が30%以上の冷間加工材の特に粒界において多く見られた。これらのことから粒界における変形の非均一性が低炭素ステンレス鋼のIGSCC進展機構の重要な要因であることが示唆される。
茶谷 一宏*; 高倉 賢一*; 安藤 昌美*; 仲田 清智*; 田中 重彰*; 石山 嘉英*; 菱田 護*; 加治 芳行
Proceedings of 13th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems (CD-ROM), 9 Pages, 2007/00
中性子照射したコンパクトテンション試験片を用いたき裂進展速度試験を実施した。0.516から1.0710n/m(E1MeV)まで照射した316L及び304L母材と0.523から0.54110n/m(E1MeV)まで照射した316L及び308L溶接金属のき裂進展速度試験を288C,定荷重,低応力拡大係数及び電気化学腐食電位条件で直流電位差法を用いて実施した。母材のき裂進展速度は、中性子照射量が増加するにしたがって増加した。母材及び溶接金属のき裂進展速度は、電気化学腐食電位レベルが減少するにしたがって明らかに減少した。
安藤 昌視*; 仲田 清智*; 伊藤 幹朗*; 田中 徳彦*; 越石 正人*; 小畠 亮司*; 三輪 幸夫; 加治 芳行; 早川 正夫*
Proceedings of 13th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems (CD-ROM), 16 Pages, 2007/00
実機PLR配管を模擬した溶接継ぎ手から作製したSUS316NG鋼の試験片を用いて、BWR環境を模擬した水中で長期間の応力腐食割れ進展試験を行った。試験片は溶接部過程での熱収縮により硬化した熱影響部から作製し、そのような部位での傷の進展挙動を評価するための応力腐食割れ進展速度線図を得ることを目的とした。鍛造管材と引き抜き管材の溶接継ぎ部が、幾つかの溶接方法で作成した。得られた応力腐食割れ進展速度は、溶体化熱処理材から得られた進展速度よりも速くなった。硬化したSUS316NGのき裂進展速度は、材料や溶接方法によらず、硬さと関連性を持っていた。硬さが210から250Hvの範囲では、き裂進展速度は硬さの増加とともに大きくなった。低炭素ステンレス鋼の硬化した熱影響部で応力腐食割れ進展速度が加速される機構は、き裂先端のひずみ分布及びAFM画像に基づいて推定された。き裂先端での塑性ひずみ勾配と粒界に沿った局所的ひずみの相互作用が重要であると予想された。
長島 伸夫*; 早川 正夫*; 塚田 隆; 加治 芳行; 三輪 幸夫; 安藤 昌美*; 仲田 清智*
Proceedings of 13th International Conference on Environmental Degradation of Materials in Nuclear Power Systems (CD-ROM), 15 Pages, 2007/00
日本の沸騰水型軽水炉プラントにおいて低炭素ステンレス鋼製の炉心シュラウドや再循環系配管において応力腐食割れが見つかっている。ここでは、粒界型応力腐食割れが溶接金属周辺の硬化した熱影響部を伝播していた。硬化した熱影響部を模擬するために室温で10%及び30%冷間加工した低炭素オーステナイトステンレス鋼316Lの強化挙動及び局所的な塑性変形をミクロ硬さ試験装置により測定するとともに、原子間力顕微鏡を用いて観察した。き裂先端の塑性域を模擬するために、降伏点(0.2%塑性ひずみ)までの引張変形を付与した。本研究の結果、316Lの粒界型応力腐食割れ進展メカニズムの1つは、粒界強化挙動と粒界近傍の局所的な塑性変形と関係していることがわかった。
仲田 清智*; 片野 吉男; 野田 健治
Journal of Nuclear Materials, 258-263, p.1831 - 1835, 1998/00
被引用回数:1 パーセンタイル:15.05(Materials Science, Multidisciplinary)AlO(アルミナ)の照射によるスエリング性の改良のため、種々の添加元素の照射挙動に与える効果を検討した。純AlOでは、973K以上の電子照射温度で、転位ループとキャビティが生成し、さらに、試験片表面にAl析出物が現れた。TiO添加AlO照射挙動は、純AlOと同様であったが、CrOを添加したAlOでは、転位ループやキャビティは生成するが、純AlOと比較して、成長速度が著しく小さく、結果としてスエリングが抑制された。また、表面のAl析出も形成されなかった。これはCrO添加によって照射で導入された格子間原子の移動度が低下することに起因することがわかった。
菱沼 章道; 深井 勝麿; 沢井 友次; 仲田 清智*
Intermet., 4, p.179 - 184, 1996/00
プラズマ回転電極法で作製した粉末焼結体を、熱間静水圧加工および恒温鍛造処理したTi-47%atAl合金の照射(873Kで110n/m(E1MeV)までJRR-2で中性子照射)後、873Kでの引張特性を調べた。TiAl合金は照射によって、全伸び6%から10%と延性化するが、応力-歪曲線への照射の影響は少ない。すなわち、降伏応力、加工指数は照射によって変化しない。この照射による延性化は、主変形モードの双晶変形の核が照射下で生成し、変形を容易にするためである。また、双晶核は逆位相境界を持たないフランクループから発生する。Ll規則相をもつTi-Al合金では、逆位相境界の有無で2種類のフランクループが結晶学上考えられる。そのうち逆位相境界を持たないループが優先的に形成されるが、その完全ループへの変換は、逆位相境界の生成を伴うため容易ではない。従って、照射による損傷組織の発達が著しく制限される。
有賀 武夫; 高村 三郎*; 仲田 清智*; 伊藤 泰男*
Applied Surface Science, 85(2), p.229 - 238, 1995/01
被引用回数:11 パーセンタイル:57.9(Chemistry, Physical)ステンレス鋼中の照射欠陥の挙動に及ぼす不活性ガス原子の影響を調べる目的でArイオンを照射した316ステンレス鋼中の空孔型欠陥濃度の深さ分布を、陽電子消滅線スペクトルの形状因子Sパラメータの最小二乗フィットによって求め、結果を注入原子分布および添加したTiとの関係で検討した。室温で250keVのArイオンを7.510/mまで照射したままの試料中の欠陥分布は、計算による損傷ピークの深さ(~120nm)の3倍の深さで濃度が最大となる。1253Kで0.5hの焼鈍後イオンの平均飛程付近に欠陥濃度のピークが現れ、これはAr気泡によるものと認められる。Tiを0.3wt・%添加した試料では飛程近くには、1073Kの焼鈍ではピークは現れず、Tiの添加によりArを核とする空孔の集積は抑制されたことが、陽電子消滅法を用いた実験から明らかになった。
片野 吉男; S.J.Zinkle*; 仲田 清智*; 菱沼 章道; 大野 英雄
Journal of Nuclear Materials, 212-215, p.1039 - 1045, 1994/00
被引用回数:9 パーセンタイル:63.38(Materials Science, Multidisciplinary)-AlOの照射による組織安定性を調べる目的から、高純度AlO及び1.5wt%CrO添加AlO単結晶にO(330keV)、He(400keV)イオン並びに電子線(120keV)照射し、損傷組織の変化を電子顕微鏡観察により調べた。何れの試料もOイオンを1123Kで0.5dpaまで照射すると、照射欠陥集合体の転位やキャビティが生成するほか、再結晶粒が形成されY-AlO相であることを明らかにした。一方、純AlOのHeイオン照射(1223K,0.7dpa)では、再結晶は認められなかった。この結果、再結晶粒の生成には照射粒子が関与する事を示した。Oイオン照射による深さ方向の損傷分布では、損傷が0.8mの深さまで及び、損傷境界近傍に亀裂や亀裂の発生に伴う転位線が認められた。損傷分布の計算(TRIM85)結果よりも約2倍大きいことが明らかになった。これは損傷ピーク付近での照射欠陥の堆積により母相との間の歪が増大し、局部的な内部応力のエネルギー解放過程で亀裂が発生し、損傷領域を拡大したものと考えられる。
高村 三郎; 有賀 武夫; 小桧山 守*; 仲田 清智*
Journal of Physics; Condensed Matter, 1, p.4519 - 4526, 1989/00
被引用回数:2 パーセンタイル:16.73(Physics, Condensed Matter)分子動力学計算によって、照射によって生成した格子間原子と溶質原子の原子サイズが溶媒原子のそれより大きいオーバーサイズの溶質原子との複合体について調べた。原子間ポテンシャルとして、よく使われるモースポテンシャルを用いたが、複合体の構造はAl合金の内部摩擦実験結果とは不一致であった。原子間ポテンシャルをいくつか変えて計算を進め、実験結果と符合する構造を求めることが出来た。
高村 三郎; 有賀 武夫; 小桧山 守*; 仲田 清智*
Journal of Physics; Condensed Matter, 1, p.4527 - 4533, 1989/00
被引用回数:3 パーセンタイル:23.75(Physics, Condensed Matter)分子動力学計算によって、照射によって生成した格子間原子と溶質原子の複合体の構造や結合エネルギーについて調べた。溶質原子の原子サイズが溶媒原子のそれより小さいアンダーサイズの時には、複合体の構造は混合亜鈴型になる。溶質原子の原子サイズを小さくすると結合エネルギーは大きくなり安定になる。原子サイズと結合エネルギーとの関連や移動過程について議論した。
小桧山 守*; 高村 三郎; 仲田 清智*
Physica Status Solidi (A), 108, p.219 - 224, 1988/09
被引用回数:1 パーセンタイル:12.28(Materials Science, Multidisciplinary)照射によって生成する点欠陥は溶質原子と結合して複合体を作る。格子間原子-溶質原子複合体の挙動は照射誘起析出等の問題に関連して重要である。これは溶質原子が格子間原子と一緒に動いてシンクで集合し合金本来の組織と異なった材料に変わってしまうからである。本研究では複合体の構造を調べるために単結晶合金から2結晶方位の試料を作製し、単純な点欠陥を生成するため電子線照射を行った。
仲田 清智*; 高村 三郎; 有賀 武夫; 小桧山 守*
Journal of Nuclear Materials, 151, p.301 - 306, 1988/00
高エネルギー重イオン照射によって金属中に形成される損傷は深さ方向に鋭い分布を持つ。純金属の薄膜を重ねたものに重イオン照射をおこない、照射後薄膜の電気抵抗変化を測定することにより損傷の深さ分布をもとめる。
高村 三郎; 有賀 武夫; 仲田 清智*
Journal of Nuclear Materials, 136, p.159 - 163, 1985/00
被引用回数:15 パーセンタイル:84.26(Materials Science, Multidisciplinary)22種類の金属をLHTLにおいて核分裂スペクトルの中性子を極低温照射し、照射後電気抵抗による増加量を測定し、照射欠陥のはじき出し断面積を求めた。一方、核分裂中性子による弾性散乱,非弾性散乱断面積から計算上のはじき出し断面積を求め、実験値との比較を行った。計算値と実験値の比は面心立方金属に対しては0.3~0.4、体心立方金属では0.6~0.8であった。またはじき出し断面積は原子番号に対して減少関数であることを示した。
仲田 清智*; 高村 三郎; 正岡 功*
Journal of Nuclear Materials, 131, p.53 - 60, 1985/00
被引用回数:16 パーセンタイル:85.33(Materials Science, Multidisciplinary)極低温で高速中性子照射した4種類の高度ステンレス鋼の点欠陥の回復過程を等時焼鈍,等温焼鈍によって測定解析した。格子間原子,空孔は夫々100Kおよび300K以上で移動すること。電気抵抗の回復は照射欠陥の消滅による抵抗減少と構造変化による抵抗増加の2成分から成り立つことなどの結果を得た。
仲田 清智*; 高村 三郎; 多田 直文*; 正岡 功*
Journal of Nuclear Materials, 135, p.32 - 39, 1985/00
被引用回数:4 パーセンタイル:54.57(Materials Science, Multidisciplinary)銅とアルミニウムを約5Kで高速中性子照射し、その後300Kに焼なましをし、これらをくり返し行った。4.2Kでの磁場中の電気抵抗変化を測定し、加工度と純度の影響について調べた。その結果、照射による電気抵抗増加量は銅はアルミニウムの1/3であるが、照射後300Kに焼なますと約20%は残留する。この残留量は加工材の方が焼鈍材より小さい。また電気抵抗比が1400の高純度材の磁気抵抗増加量は電気抵抗比300のものより大きく、磁場を増すと共に増加する。加工材の照射前の電気抵抗はかなり大きいので、安定化材として使用するには、電気抵抗比が300位の銅の焼鈍材が最適である。
仲田 清智*; 高村 三郎; 多田 直文*; 正岡 功*
日本金属学会誌, 49(3), p.157 - 162, 1985/00
磁気閉じ込め方式の核融合炉には,ごく少ないエネルギー消費で高磁場を発生する超電導磁石が使用される。それに用いられる超電導磁石材料は,核融合反応によって生じる高速中性子や線の照射を受ける。現在考えられているトカマク型核融合炉の遮蔽の厚さは,これらによる超電導磁石の放射線損傷を許容できる範囲内に抑えるという条件で決められ,超電導磁石材料の放射線照射による性質の変化を明確にすることは,炉設計や炉のコストに大きな影響を及ぼすと考えられる。
仲田 清智*; 高村 三郎; 多田 直文*; 正岡 功*
JAERI-M 83-230, 29 Pages, 1984/01
核融合炉用超電導磁石安定化材の候補材料である銅とアルミニウムを約5Kで高速中性子照射し、その後、300Kに焼なましをし、再び極低温照射する。このくり返し照射後に、4.2Kで磁場中の電気抵抗変化を測定して、加工度と純度の影響について調べた。その結果、照射による電気抵抗増加量は銅ではアルミニウムの1/3である。照射後焼なましすると、300Kではアルミニウムの場合、ほとんど元の状態になるが、銅の場合には約20%照射効果が残留する。照射による電気抵抗増加量は磁場中で測定すると高純度銅では電気抵抗比300のものより大きい。また加工を材料に加えると、300Kに焼きなましした時に照射による効果が少なくなる。しかし加工材の電気抵抗は焼鈍材に比らべて大きいために余り適当でない。安定化材として最適なものは電気抵抗比が300程度の銅の焼鈍材であることがわかった。
加治 芳行; 三輪 幸夫; 塚田 隆; 長島 伸夫*; 早川 正夫*; 安藤 昌視*; 仲田 清智*; 越石 正人*
no journal, ,
国内の沸騰水型軽水炉(BWR)の低炭素ステンレス鋼製の炉心シュラウド及び再循環系(PLR)配管の溶接部近傍に応力腐食割れ(SCC)が多発しており、同鋼のSCC機構の解明が求められている。本研究ではSCC機構に及ぼすき裂先端塑性変形挙動の影響を検討するため、後方散乱電子線回折パターン(EBSP)法によりSCCき裂先端の塑性変形挙動の解析を実施した。その結果、SCCき裂は、疲労予き裂から45程度傾いた方向に分岐しながら結晶粒界を進展しており、主としてランダム粒界を進展していた。き裂から1結晶粒程度のき裂の極近傍での塑性変形量は、1020%程度と大きな値を示した。また、SCCき裂の両側の塑性変形量は不均等であり、一方の結晶粒で大きな塑性変形が観察される傾向が見られた。これらの結果から、SCCき裂進展は1結晶粒程度のき裂先端極近傍の塑性変形に律速されていることが推測された。