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笹尾 英嗣; 湯口 貴史*; 伊藤 康人*; 井上 貴至*; 石橋 正祐紀
Proceedings of 10th Asian Regional Conference of International Association for Engineering Geology and the Environment (IAEG ARS 2015) (USB Flash Drive), 6 Pages, 2015/09
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、割れ目ネットワークの理解は物質移動特性を評価する上で重要な課題である。本報告では、土岐花崗岩を事例として、割れ目の不均一な分布の成因を検討した。土岐花崗岩では、浅部に低角度および高角度傾斜の割れ目の多い部分があるが、深部では割れ目の数は減少し、高角度傾斜割れ目が卓越する。また、高角度傾斜割れ目の密度分布は不均一である。熱年代学および古地磁気学的研究からは花崗岩形成初期には冷却速度が速く、地磁気方位がばらつくことが明らかになった。これらのことから、花崗岩は急速冷却期に不均一に歪が分布し、その結果として脆性領域に達した際に歪分布に基づいて、不均一に割れ目が形成されたと考えられる。このことから、割れ目ネットワークの理解には、花崗岩冷却過程の理解が必要である。
高橋 芳浩*; 大木 隆弘*; 長澤 賢治*; 中嶋 康人*; 川鍋 龍*; 大西 一功*; 平尾 敏雄; 小野田 忍; 三島 健太; 河野 勝康*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 260(1), p.309 - 313, 2007/07
被引用回数:4 パーセンタイル:35.71(Instruments & Instrumentation)Si基板上にAlゲートp-MOSFETを作製し、TIARAの重イオンマイクロビームシステムを使用して重イオン照射を行い、照射誘起過渡電流の測定を行った。その結果、ゲート端子における過渡電流は、照射中負のゲート電圧を印加した状態でのみ観測されることがわかった。また、ソース・ドレイン電極を接地(基板と同電位)してゲート領域に重イオンを照射した場合、ピーク値の異なる正・負の電流が観測され、その積分値は照射後100ns程度でほぼ0となることがわかった。本誘起電流が伝導電流によるものであれば、正方向の電流のみが観測されることが予想される。よって本測定結果より、酸化膜を介した照射誘起電流は、変位電流に由来すると帰結できる。また測定結果は、酸化膜を完全絶縁体と仮定した計算により再現できることが確認できた。
伊藤 康人*; 天野 健治; 熊崎 直樹*
Island Arc, 15(1), p.165 - 177, 2006/03
被引用回数:3 パーセンタイル:10.92(Geosciences, Multidisciplinary)反射法地震探査とボーリング調査に古地磁気学的手法を組合せた統合的な研究により、瑞浪地域に分布する堆積盆地が被った変動作用の変遷が明らかにされた。ボーリング孔は、反射法地震探査や地表地質調査によって推定されていた断層を貫通するように浅い深度を対象とした傾斜孔として掘削された。また、古地磁気測定は、孔壁画像上の構造姿勢を用いて方位付けした岩芯試料を用いて実施された。古地磁気測定においては、段階熱消磁・交流消磁実験により、計6深度で安定かつ特徴的な残留磁化が得られるとともに、段階等温実験により磁性鉱物が磁鉄鉱であることが明らかになった。本結果をボーリングデータの構造解析から推定される多段階の変形作用を基準に補正し、既存データを組合せて評価した結果、残留磁化方位は中期中新世以前の時計回りの島弧回転を反映した東偏であることが確認された。信頼性の高い古地磁気情報のデータセットから、中期中新世以降の西南日本東部の相対的回転は伊豆-ボニン弧の衝突によってもたらされており、われわれの研究結果は以下2点の新しい地質学的知見を示唆する。(1)瑞浪地域は赤石列線に接する強変形帯に隣り合う,(2)西南日本前弧側の変形作用は赤石列線周辺に限られ、衝突に関連する顕著な地殻の破断作用がない背弧側の漸移的な屈曲作用と大きく異なる。
伊藤 康人*
JNC TJ7400 2002-012, 110 Pages, 2003/03
岩盤の地質学的安定性を評価する際、大規模な構造運動に伴う岩石の変形様式を明らかにすることは、極めて重要である。一般には、構造地質学的手法で解析が行われるが、比較的規模の大きな断層運動などに特徴的に観察される回転運動を伴う変形様式の時間的・空間的変遷を定量的に把握することは、従来手法では困難であった。そこで、本報告では、古地磁気学的データに基づいて、岩盤の変形様式を定量化することを試みた。中部地方に見られる地質単元の帯状配列は、伊豆半島を中心に大きく北方へ湾曲している。これは、中新世以降繰り返し伊豆-小笠原弧が本州弧に衝突することで、地盤を大規模に変形させた結果と考えられている。現存においても、伊豆半島の北上により神縄断層が活動を続けていると考えられており、衝突変形帯の形成過程を現象論的に理解することは、岩盤の地質学的安定性を評価する上でも非常に重要である。本報告では、岐阜県瑞浪市明世町の瑞浪超深地層研究所用地内で掘削された試錐孔に分布する中新統の古地磁気測定を行った。段階消磁実験を行った結果、前期中新世の土岐來炭累層・明世累層が形成された時の安定残留磁化が分離された。その偏角方位は日本海拡大と考えられる地質学的事象を反映し、有意な時計回転運動を示唆している。周辺地域の同時代の古地磁気方位との比較から、瑞浪地域とその東方の地域(例えば静岡県掛川地域)との間に、伊豆-小笠原弧の衝突によって形成されたと考えられる相対回転運動の影響境界があることが示唆される。
伊藤 康人*
JNC TJ7400 2005-055, 21 Pages, 2002/03
地盤の安定性を評価する上で,断層の活動度の時空変化を明らかにすることは極めて重要である。現在日本に分布する活断層の多くは,第四期にテクトニクスの枠組みが大きく変化してから活動を始めたものであり,累積変位が小さいため,構造地質学的な手法では評価が困難な場合が多い。従来そのような断層の評価は変動地形学の手法で解析されてきたが,すべての場合に有効とは言えず,課題が残されている。そこで,本報告では,古地磁気学的なデータに基づいて地盤の変化を定量化することを試みた。中部地方には,第四期の東西圧縮応力場のもとで多くの活断層が分布している。その中で,変動地形学的な記載が豊富な岐阜県高山市東方の江名子断層近傍に分布する丹生川火砕流堆積物の古地磁気方位を測定した。詳細な消磁実験を行なった結果,約1.8Maに地層が形成された当時の安定な残留磁化が確認された。その方向は断層運動を反映した有意な時計回り回転運動を示している。大規模火砕流に対比される広域テフラの情報を加えれば,さらに広域の地殻の変形についても知見が得られると期待される。