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初川 雄一; 橋本 和幸; 塚田 和明; 佐藤 哲也; 浅井 雅人; 豊嶋 厚史; 永井 泰樹; 谷森 達*; 園田 真也*; 株木 重人*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(2), p.1283 - 1285, 2015/02
被引用回数:2 パーセンタイル:17.75(Chemistry, Analytical)Tcは広く医療診断に用いられている放射性診断薬であり、数多くの標識化合物が開発されている。近年天体核物理分野で開発されてきたコンプトンカメラの医療用への応用研究が行われているが141keVの放出線を有するTcは線エネルギーが低くコンプトンカメラには不向きである。そこでより高エネルギー線を放出するテクネチウム同位体の開発が求められている。800keVの線を放出するTcはコンプトンカメラ用RIの候補の一つである。本研究ではタンデム加速器でTcを生成し、これを京都大学で開発されているコンプトンカメラでの撮像実験に供した。
小川 数馬*; 河嶋 秀和*; 絹谷 清剛*; 柴 和弘*; 小野口 昌久*; 木村 寛之*; 橋本 和幸; 小谷 明*; 佐治 英郎*
Annals of Nuclear Medicine, 23(10), p.843 - 848, 2009/12
被引用回数:9 パーセンタイル:31.49(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)レニウム-186及び188は、がんの放射免疫療法に適した物理的性質を有する核種であるにもかかわらず、臨床への応用は十分に検討されていない。これは、抗体(高分子)に標識する方法が複雑であることが問題点としてあげられる。そこで、われわれは、簡便な標識法として、Re(I)トリカルボニル錯体とモノクローナル抗体(A7)を直接反応させる方法を検討した。その結果、2時間の反応で、収率23%及び28%でRe標識抗体が合成できることを確認した。また、精製直後の放射化学的純度は95%以上であった。次に、本Re標識抗体を腫瘍モデルマウスへ投与した結果、投与24時間後において、腫瘍へ集積(13.1, 13.2% Dose/g)すること及び選択的集積性の指標となる腫瘍と血中の放射能濃度比が2以上であることが観察された。以上、レニウムトリカルボニル錯体により抗体(A7)が簡便に標識可能であること、標識体であるRe(CO)-A7は高い安定性を有し、担癌モデル動物において腫瘍への選択的な集積を示すことを明らかにした。今後は、収率を増加させるための標識法の改良が必要である。
小川 数馬*; 向 高弘*; 川井 恵一*; 高村 徳人*; 花岡 宏史*; 橋本 和幸; 柴 和弘*; 森 厚文*; 佐治 英郎*
European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging, 36(1), p.115 - 121, 2009/01
被引用回数:22 パーセンタイル:57.96(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)癌性骨転移疼痛緩和に有用であるビスホスホネート骨格に安定なRe錯体を導入したRe-MAG3-HBPを開発してきた。一方、本薬剤の錯体形成部位MAG3とTcとの錯体Tc-MAG3は、血清蛋白結合性が高く、蛋白結合阻害剤の併用により、血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進に有効であることが示されており、本薬剤においても、同様な効果が期待される。そこで、本研究では、Re-MAG3-HBPの血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進を目的に、本標識薬剤における蛋白結合阻害剤の影響を検討した。その結果、セフトリアキソンの併用によりRe-MAG3-HBPのラット血清,人血清及び人血清アルブミン中での蛋白結合率は大きく減少した。さらに、Re-MAG3-HBPのラット体内動態におけるセフトリアキソン併用の影響を検討したところ、骨への集積性を損なうことなく、血液及び非標的臓器である肝臓,腎臓からのクリアランスが促進された。これらの結果は、蛋白結合阻害剤が、血清蛋白質と高い親和性を有するRe-MAG3-HBPの薬物動態を改善するのに有用であることを示している。
小川 数馬*; 向 高弘*; 浅野 大悟*; 河嶋 秀和*; 絹谷 清剛*; 柴 和弘*; 橋本 和幸; 森 厚文*; 佐治 英郎*
Journal of Nuclear Medicine, 48(1), p.122 - 127, 2007/01
転移性骨腫瘍の疼痛緩和を目的とした薬剤として、高い安定性を示すRe-MAG3錯体結合ビスホスホネート(Re-MAG3-HBP)を開発した。この化合物は、従来から検討されているRe-HEDPに比べて、正常マウスにおいて、骨指向性薬剤として優れた体内分布を示した。Re-MAG3-HBPの治療効果を骨転移モデル動物を用いて評価した。治療効果と副作用を評価するために、腫瘍の大きさと末梢血球数を計測し、骨痛の疼痛緩和は、機械刺激を加えるテスト法により評価した。その結果、Re-HEDP投与群においては、腫瘍の大きさは未治療群と同等であった。それに対して、Re-MAG3-HBP投与群においては、有意に腫瘍増殖は抑制された。さらに、骨転移によって生じる痛みは、Re-MAG3-HBP又はRe -HEDPの投与により減弱した。しかも、その効果は、Re-MAG3-HBP投与群の方が強い傾向を示した。これら結果は、Re-MAG3-HBPが転移性骨腫瘍の疼痛緩和薬剤として有用である可能性を示唆するものである。
小川 数馬*; 向 高弘*; 荒野 泰*; 大高 章*; 上田 真史*; 上原 知也*; 間賀田 泰寛*; 橋本 和幸; 佐治 英郎*
Nuclear Medicine and Biology, 33(4), p.513 - 520, 2006/05
被引用回数:54 パーセンタイル:80.22(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)患者のQOL(生活の質)の向上を目指した癌性骨転移の疼痛緩和薬剤の開発を目指して、二官能性放射性薬剤の概念に基づき、安定なRe化合物であるRe-MAMA(モノアミンモノアミドジチオール)を骨への集積能を有するビスホスホネート骨格を持つ化合物に導入した新規薬剤を合成し、その特性を調べた。ビスホスホネートの中央炭素に水酸基を有したRe-MAMA-HBPと、水酸基を持たないRe-MAMA-BPを合成し、骨の主成分であるハイドロキシアパタイトへの結合親和性及びマウス体内分布を比較検討した。レニウム-186標識MAMA結合ビスホスホネートは、レニウムの還元剤として塩化スズを用い、クエン酸中でReOとMAMA結合ビスホスホネートを反応させ、逆相HPLCによる精製後、95%以上の放射化学的純度で得られた。Re-MAMA-HBPは、Re-MAMA-BPと比べ、インビトロにおいて、より高いハイドロキシアパタイトへの結合親和性を示し、インビボにおいて、より高い大腿骨への放射能集積を示した。したがって、Re標識ビスホスホネートへの水酸基の導入は、骨集積増加に効果的であると考えられる。これらの結果は、骨指向性放射性治療薬剤のドラッグデザインに有用な指針を示すものである。
小川 数馬*; 向 高弘*; 荒野 泰*; 小野 正博*; 花岡 宏史*; 石野 誠悟*; 橋本 和幸; 西村 洋*; 佐治 英郎*
Bioconjugate Chemistry, 16(4), p.751 - 757, 2005/07
被引用回数:61 パーセンタイル:86.93(Biochemical Research Methods)患者のQOL(生活の質)の向上を目指した癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として、ビスホスホネート化合物の一つであるHEDPに線を放出するReを標識したRe-HEDP化合物が検討されているが、血液クリアランスの遅さや胃への高い集積などが問題となっている。これはおもに、Re-HEDPが多核錯体であり、体内で不安定であるためであると考えられている。そこで、本研究では、二官能性放射性医薬品の概念に基づき、安定なRe単核錯体であるRe-MAG3(メルカプトアセチルトリグリシン)をビスホスホネート骨格を持つ化合物に導入した新規薬剤Re-MAG3-HBPを設計・合成し、その特性を調べた。その結果、MAG3-HBPとRe標識クエン酸の配位子置換反応により、Re-MAG3-HBPを95%以上の放射化学的純度で合成できた。また、本化合物は、リン酸緩衝溶液において、24時間後でも分解は観察されず、Re-HEDPに比べてかなり安定であった。さらに、動物実験の結果、Re-MAG3-HBPは、Re-HEDPに比べて、高い骨への集積,速い血中クリアランス及び低い胃への集積を示し、癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として優れた特性を有していることが明らかになった。
小川 数馬*; 向 高弘*; 荒野 泰*; 花岡 宏史*; 橋本 和幸; 西村 洋*; 佐治 英郎*
Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals, 47(11), p.753 - 761, 2004/11
被引用回数:28 パーセンタイル:61.68(Biochemical Research Methods)癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として、ビスホスホネート化合物の一つであるHEDPに線を放出するReを標識したRe-HEDP化合物が検討されているが、血液クリアランスの遅さや胃への集積などが問題となっている。これはおもに、Re-HEDPが多核錯体であり、体内で不安定であるためであると考えられている。そこで、本研究では、安定なRe単核錯体であるRe-MAMA(モノアミンモノアミドジチオール)をビスホスホネート骨格を持つ化合物に導入した新規薬剤Re-MAMA-BPを設計・合成し、その化学的挙動を調べた。その結果、Re標識グルコヘプトン酸の配位子置換反応により、Re-MAMA-BPを標識率32.04.1%で合成することができた。また、本化合物は、緩衝液中(pH7.0)では、Re-HEDPに比べてかなり安定であった。したがって、Re-MAMA-BPは、癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として優れた化学的特性を有していることが明らかになった。
堀内 和子*; 今野 彩*; 植田 真由美*; 福田 容子*; 西尾 早織*; 橋本 和幸; 佐治 英郎*
European Journal of Nuclear Medicine and Molecular Imaging, 31(3), p.388 - 398, 2004/03
被引用回数:20 パーセンタイル:48.79(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)腫瘍骨転移には造骨性と溶骨性があり、その鑑別診断を行うことが治療の際に重要であり、これまでの研究成果からビスホスホネート化合物(Tc, Re-BP)は造骨性骨腫瘍に集積し、ジメルカプトコハク酸化合物(Tc, Re(V)-DMS)は溶骨性骨転移部位への集積が報告されている。本研究では、溶骨性骨転移部位へ集積するジメルカプトコハク酸化合物の集積機構を詳細に検討した。Tc(V)-DMS及びRe(V)-DMSの溶骨性骨転移部位への集積には破骨細胞が関与していると考えられる。破骨細胞は低pH時に高い骨吸収活性を示すことから、グルコース投与により酸性症を発現したマウスを使用した動物実験及び細胞取り込み実験に対するpH効果を調べた。その結果、細胞内の酸性化がDMS化合物の取り込みに関与することが示唆された。溶骨性骨腫瘍は破骨細胞の活性化と局所的な細胞外液の酸性化を伴うことから、Tc(V)-DMSの溶骨性骨腫瘍の診断及びRe(V)-DMSの溶骨性骨転移の疼痛緩和における有効性(可能性)が示された。
向 高弘*; 小川 数馬*; 荒野 泰*; 小野 正博*; 藤岡 泰*; 出雲 三四六; 小西 淳二*; 佐治 英郎*
Journal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals, 44(Suppl.1), p.S617 - S618, 2001/05
腫瘍骨転移の疼痛緩和薬剤として、Re-HEDPが検討されているが、Re錯体の安定性が悪く、血液クリアランスの遅延、胃への集積が問題となっている。そこで本研究では、分子内にビスホスホネート構造と独立して安定なRe単核錯体を導入した新規薬剤の開発を計画し、MAMA-APBを設計した。合成したRe-MAMA-APBを緩衝液中でインキュベートしたところ、Re-HEDPに比べて安定であることが明らかとなった。また、Re-MAMA-APBをマウスに投与したところ、胃への放射能集積を示すことなく、骨への高い集積性と速やかな血液から消失を示し、その結果、骨と血液との放射能集積比を大きく向上した。以上の結果は、骨を標的とする放射性薬剤の開発に有用な知見を与えるものと考えられる。
小川 数馬*; 小野 正博*; 藤岡 泰*; 佐治 英郎*; 向 高弘*; 小西 淳二*; 上原 知也*; 荒野 泰*; 小野間 克行
核医学, 37(5), P. 577, 2000/09
Reとbisphosphonate(BP)のひとつであるHEDPとの多核錯体であるRe-HEDPは、癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として期待されているが、生体内での安定性が乏しいことが問題である。そこで生体内で安定なRe標識骨疼痛緩和剤の開発を目的として、BPの炭素側鎖にReと安定な錯体を形成する部位を結合した化合物を設計した。目的とする化合物は総収率2.7%で合成された。Re標識は、Re標識glucoheptonateとの配位子交換反応により行い、放射化学的純度は95%以上であった。なお、本標識化合物の体内動態については、現在検討をすすめている最中である。
小川 数馬*; 向 高弘*; 浅野 大悟*; 河嶋 秀和*; 橋本 和幸; 柴 和弘*; 森 厚文*; 佐治 英郎*
no journal, ,
われわれは、患者のQOL(生活の質)の向上を目指した癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として、二官能性放射性医薬品の概念に基づき、安定なRe単核錯体であるRe-MAG3(メルカプトトリグリシン)をビスホスホネート骨格を持つ化合物に導入した新規薬剤Re-MAG3-HBPを開発し、その特性を調べてきた。本化合物は、従来から検討されているRe-HEDP(ビスホスホネートの一種)に比べて、高い骨への集積,速い血中クリアランス及び低い胃への集積を示し、癌性骨転移の疼痛緩和薬剤として優れた特性を有していることがわかった。さらに、骨転移がんモデルのラットを用いた実験から、本化合物は、疼痛緩和効果を示すこと及びRe-HEDPは、腫瘍の増殖を抑える効果は見られなかったのに対して、本化合物は、腫瘍増殖の抑制効果を示すことが明らかになった。以上の結果、Re-MAG3-HBPを用いた内部放射線治療は、骨転移がんモデルのラットにおいて有効であり、Re-HEDPより優れていることを示した。
小川 数馬*; 向 高弘*; 川井 恵一*; 高村 徳人*; 花岡 宏史*; 橋本 和幸; 佐治 英郎*
no journal, ,
癌性骨転移疼痛緩和薬剤には、高い骨集積性とともに、速やかな血液及び非標的臓器中からの消失(クリアランス)が、求められる。これまでに、ビスホスホネート骨格に安定なRe錯体を導入したRe-MAG3-HBPを開発し、その有用性を明らかにしてきた。一方、本薬剤の錯体形成部位MAG3とTcとの錯体Tc-MAG3は、血清蛋白結合性が高く、蛋白結合阻害剤の併用により、血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進に有効であることが示されている。そこで、本研究では、Re-MAG3-HBPの血液及び非標的臓器からのクリアランスの促進を目的に、本標識薬剤における蛋白結合阻害剤の影響を検討した。その結果、血清アルブミンに高親和性を示す薬物セフトリアキソンの併用によりRe-MAG3-HBPのインビトロにおける蛋白結合率は減少し、ラット体内動態においては、骨への集積性を損なうことなく、血液及び非標的臓器である肝臓,腎臓からのクリアランスが促進された。これらの結果は、蛋白結合阻害剤セフトリアキソンが、Re-MAG3-HBP投与時の骨髄被曝等副作用の軽減に有用であることを示している。
小川 数馬*; 河嶋 秀和*; 絹谷 清剛*; 吉本 光喜*; 柴 和弘*; 木村 寛之*; 橋本 和幸; 森 厚文*; 佐治 英郎*
no journal, ,
Reは、優れた核的性質に加え、ジェネレータ核種であるため、RI内部投与治療用として最も有用なRIの一つである。しかしながら、抗体等蛋白質に標識する方法が複雑であることが問題点としてあげられる。そこで、われわれは、簡便な標識法として、Re(I)トリカルボニル錯体とモノクローナル抗体(A7)を直接反応させる方法を検討した。その結果、2時間の反応で、収率27%でRe標識抗体が合成できることを確認した。また、精製直後の放射化学的純度は98%以上、24時間経過後も約93%が元の化学形を保っており、本Re標識抗体が安定であることが認められた。さらに、本Re標識抗体を腫瘍モデルマウスへ投与した結果、投与24時間後において、腫瘍へ集積(11.2% Dose/g)すること及び腫瘍と血中の放射能濃度比が1以上であることが観察された。今後は、収率を増加させるための標識法の改良が必要である。
平沢 真*; 河嶋 秀和*; 小川 数馬*; 木村 寛之*; 小野 正博*; 橋本 和幸; 佐治 英郎*
no journal, ,
放射免疫療法では、抗体の血中クリアランスが遅いため、放射能の腫瘍血液比が低くなり、放射線感受性の高い骨髄の被曝量が増すことが問題となっている。そこで、ビオチン-ストレプトアビジン(SA)の特異的結合システムを用いたプレターゲティングの概念による新規RI-DDS治療薬剤の開発を目指し、放射性レニウムをSA化抗体へ効率的に導入するため、Reトリカルボニル錯体によるヒスチジン化ビオチン(His-biotin)の標識を試みた。Re-His-biotinは放射化学的収率7.1%、純度90%以上で合成できた。次に、得られたRe-His-biotinのマウス血漿中での安定性を評価するとともに、SAへの結合性を測定した結果、本標識体は37Cの血漿中において、24時間経過後も95%以上が未変化体として存在し、安定であった。また、SAにRe-His-biotinを添加したところ、85.4%がSAと結合し、この結合はビオチンを共存させることで98%が阻害された。以上の結果、Re-His-biotinはSA化抗体の標識試薬として有用であることが示唆された。本研究は、文部科学省原子力基礎基盤戦略研究イニシアティブ「先進的ながん診断・治療を実現するRI-DDS開発研究」の成果である。
河嶋 秀和*; 平沢 真*; 木村 寛之*; 小野 正博*; 橋本 和幸; 佐治 英郎*
no journal, ,
RI内用放射線療法による腫瘍の治療において、RI標識抗体は、その腫瘍特異性を利用して腫瘍への放射能送達が期待できるため注目されているが、抗体の血液中からの消失が遅いために骨髄被ばく量が増大することが問題となっている。そこで、骨髄被ばくを低減させる放射性レニウム標識内用放射線治療薬剤の開発を行った。「ストレプトアビジン化抗腫瘍抗体」を投与し、その後血中からの抗体の消失を促進する薬剤を投与し、最後に「ストレプトアビジン化抗腫瘍抗体」に特異的に結合する「放射性レニウム標識ビオチン誘導体」を投与して腫瘍部位への選択的な放射能送達を達成するという、プレターゲティング法を開発し、その有効性を評価した。まず、放射性レニウム標識ビオチン誘導体を新規に設計・合成し、内用放射線治療を行ううえで有用な基本的性質を有していることを明らかにした。そこで、担がんマウスに対して内用放射線治療を行ったところ、非治療群を比較して有意な腫瘍増殖抑制効果が認められた。一方、白血球数と血小板数はいずれも一過性に減少したが、治療開始3週間後には全個体で回復し、重篤な骨髄抑制は確認されず、今回考案した方法の有効性を認めた。