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論文

Recent improvements of the Particle and Heavy Ion Transport code System; PHITS version 3.33

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 9 Pages, 2023/00

 被引用回数:5 パーセンタイル:98.08(Nuclear Science & Technology)

放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる。その最新版であるPHITS version 3.31を開発し公開した。最新版では、高エネルギー核データに対する親和性や飛跡構造解析アルゴリズムなどが改良されている。また、PHIG-3DやRT-PHITSなど、パッケージに組み込まれた外部ソフトウェアも充実している。本論文では、2017年にリリースされたPHITS3.02以降に導入された新しい機能について説明する。

論文

Development of the DICOM-based Monte Carlo dose reconstruction system for a retrospective study on the secondary cancer risk in carbon ion radiotherapy

古田 琢哉; 古場 裕介*; 橋本 慎太郎; Chang, W.*; 米内 俊祐*; 松本 真之介*; 石川 諒尚*; 佐藤 達彦

Physics in Medicine & Biology, 67(14), p.145002_1 - 145002_15, 2022/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:47.19(Engineering, Biomedical)

炭素線治療は従来の放射線治療よりも腫瘍部への線量集中性に関する優位性を持つが、二次的ながんの発生原因となり得る正常組織への照射を完全に無くすことは困難である。そのため、発がんリスクを照射炭素ビームの核反応によって生成される二次粒子による線量まで含めて評価するには、計算シミュレーション解析が有効となる。本研究では、PHITSコードを中核とした炭素線治療の線量再構築システムを開発した。このシステムでは、治療計画を記録したDICOMデータから自動でPHITSの入力ファイルを作成し、PHITSシミュレーションの実行によって腫瘍および周辺正常組織での線量分布を計算する。PHITSの様々な機能を利用することで、粒子毎の線量寄与や二次粒子の発生場所の特定など、詳細な解析が実施可能である。開発したシステムの妥当性は、水中での線量分布の実験結果や人体等価ファントムへの治療計画との比較により確認した。今後、本システムは量子科学技術研究開発機構において、過去の治療データを用いたシミュレーション解析による遡及的研究に利用される予定である。

論文

Technical Note: Validation of a material assignment method for a retrospective study of carbon-ion radiotherapy using Monte Carlo simulation

Chang, W.*; 古場 裕介*; 古田 琢哉; 米内 俊祐*; 橋本 慎太郎; 松本 真之介*; 佐藤 達彦

Journal of Radiation Research (Internet), 62(5), p.846 - 855, 2021/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:26.61(Biology)

炭素線治療の治療計画をモンテカルロシミュレーションによって再評価するためのツール開発の一環として二つの重要な手法を考案した。一つは治療計画装置に含まれる校正済みのCT-水阻止能表を反映しつつ、患者CT画像から物質識別を行う手法である。もう一つの手法は、粒子およびエネルギー毎に生体物質と水との阻止能比を考慮し、水等価線量を導出することを目的としたものである。これらの手法の有効性を確認するため、生体物質および水で構成される均質および不均質ファントムに対し、SOBPサイズ8cmの炭素線を400MeV/uで照射するシミュレーションをPHITSで計算し、得られた線量深さ分布を従来の治療計画装置による結果と比較した。その結果、従来の治療計画装置で採用されている生体物質を全て水に置換する手法では、異なる物質において二次粒子の発生率が一次粒子の阻止能に単純に比例するため、二次粒子による線量寄与を評価する上で不適切であることが分かった。一方、各物質の二次粒子の発生率を適切に考慮した新しい手法は炭素線治療の再評価において、重要な役割を果たすことが期待できることが分かった。

論文

Medical application of Particle and Heavy Ion Transport code System PHITS

古田 琢哉; 佐藤 達彦

Radiological Physics and Technology, 14(3), p.215 - 225, 2021/09

PHITSユーザー数は、集計を開始した2010年以降に順調な増加傾向を示している。その中で、近年は医学物理分野における新規ユーザー数の増加が顕著となっている。そのため、PHITSを利用した数多くの研究が発表されており、その内容も放射線治療応用、施設の遮蔽計算、放射線生物学応用、医療機器研究開発等、多岐に渡っている。本稿では、これら応用研究の具体例を示しつつレビューを行うとともに、医学物理応用研究で有益なPHITSの機能を紹介する。

論文

Individual dosimetry system for targeted alpha therapy based on PHITS coupled with microdosimetric kinetic model

佐藤 達彦; 古田 琢哉; Liu, Y.*; 仲 定宏*; 永森 收志*; 金井 好克*; 渡部 直史*

EJNMMI Physics (Internet), 8, p.4_1 - 4_16, 2021/01

 被引用回数:13 パーセンタイル:85.11(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)

標的$$alpha$$核医学治療は、高い治療効果と低い副作用を兼ね備えた新しいがん治療方法として注目を集めているが、その治療計画に患者の個性(体格や薬剤集積性など)は反映されていなかった。そこで本研究では、患者個人のPET-CT画像から自動で体内の積算放射能分布を推定し、PHITSを用いて吸収線量分布を計算するシステムを構築した。$$alpha$$線の高い細胞殺傷効果や腫瘍内における薬剤不均一性を考慮し、同じ効果を与えるX線治療の線量(等効果線量)を推定する新しいモデルを確立した。構築したシステムは、PET用核種をラベルした新しいプローブ(NKO-035)を健常者に投与した臨床試験結果を用いて検証した。その結果、重要臓器の吸収線量は、従来手法と比べて最大で20%程度の差があることが分かった

論文

Simulation code for estimating external gamma-ray doses from a radioactive plume and contaminated ground using a local-scale atmospheric dispersion model

佐藤 大樹; 中山 浩成; 古田 琢哉; 吉廣 保*; 坂本 健作

PLOS ONE (Internet), 16(1), p.e0245932_1 - e0245932_26, 2021/01

 被引用回数:2 パーセンタイル:31.78(Multidisciplinary Sciences)

本研究では、大気および土壌に不均一に分布する放射性核種からのガンマ線による外部被ばく線量評価のための計算モデルSIBYLを開発した。SIBYLは、原子力機構が開発した局所域大気拡散モデルLOHDIM-LESに接続し、LOHDIM-LESが予測した放射性核種の分布に従い地表面での線量率分布を計算できる。原子力緊急時における利用で要求される計算速度と精度を実現するため、汎用放射線輸送計算コードPHITSを用いて膨大な計算資源を要する3次元放射線輸送計算を予め行い、その結果を線量計算に利用するデータベースとして整備した。また、SIBYLは、ビル等の障害物による減衰や地表面の標高変化を考慮した線量評価ができるという特長がある。そこで、排気塔からの$$^{85}$$Krの大気放出および都市部での$$^{137}$$Csの拡散を想定した5ケースに対して、SIBYLで地表面の線量率分布を計算し、その結果をPHITSによる線量率分布の評価結果と比較して、SIBYLの信頼性と性能を検証した。その結果、評価地域の大部分で両者の評価結果は10%以内で一致し、かつSYBILはPHITSに対して約100倍以上高速に線量を評価し、緊急時にも適用可能であることを確認した。

論文

Modernization of the DCHAIN-PHITS activation code with new features and updated data libraries

Ratliff, H.; 松田 規宏; 安部 晋一郎; 三浦 孝充*; 古田 琢哉; 岩元 洋介; 佐藤 達彦

Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 484, p.29 - 41, 2020/12

 被引用回数:11 パーセンタイル:82.11(Instruments & Instrumentation)

This paper details the recent improvements made to the DCHAIN-PHITS code, the activation, buildup, burnup, and decay code coupled to and distributed with PHITS. The recent improvements include the addition of numerous new decay and cross section nuclear data libraries, statistical uncertainty propagation implementation, support for 3-D grid mesh and tetrahedral geometries, reaction tracking, performance improvements, and more. The paper covers the DCHAIN's history, theory, usage, and improvements made to it and also includes example calculations showcasing these improvements. This is the first publication covering DCHAIN since the PHITS group obtained the code and will become the new reference journal paper for DCHAIN-PHITS. (The current reference document for DCHAIN is a JAERI document in Japanese only from 2001.)

論文

PARaDIM; A PHITS-based Monte Carlo tool for internal dosimetry with tetrahedral mesh computational phantoms

Carter, L. M.*; Crawford, T. M.*; 佐藤 達彦; 古田 琢哉; Choi, C.*; Kim, C. H.*; Brown, J. L.*; Bolch, W. E.*; Zanzonico, P. B.*; Lewis, J. S.*

Journal of Nuclear Medicine, 60(12), p.1802 - 1811, 2019/12

 被引用回数:21 パーセンタイル:80.34(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)

従来の内部被ばく研究では、CT画像などに基づき構築したボクセル人体ファントムを適用し、線量評価データを解析することが一般的であった。しかし、皮膚や膜状組織などをより精密に表現できるポリゴンメッシュ人体ファントムの開発が進められており、内部被ばく研究でもこのファントムを用いた評価が要求されている。しかし、モンテカルロ放射線輸送計算コードにこのファントムを取り込んで計算を行うことは、コードに精通していない場合は難しい現状となっている。そこで、PHITSの使い方に関する詳しい知識を持たないユーザーでも、このファントムを用いた内部被ばく線量計算が簡単にできるツールPARaDIMを開発した。このツールでは、グラフィカルインターフェースにより、使用する四面体メッシュファントムの選択や臓器毎の放射性核種の設定、そしてPHITSの実行が操作できる。このツールを用いた実行例をいくつか示し、先行研究との比較を行うことで、本ツールの有用性を確認した。

論文

Features of particle and heavy ion transport code system (PHITS) version 3.02

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; Tsai, P.-E.; 松田 規宏; 岩瀬 広*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 55(6), p.684 - 690, 2018/06

 被引用回数:775 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITS Version 3.02を開発して公開した。核反応モデルや原子反応モデルを改良することにより、適応エネルギー範囲や精度を向上させた。また、計算効率を向上させる新しいタリーや、放射性同位元素を線源とする機能、医学物理分野にPHITSを応用する際に有用となるソフトウェアなど、様々なユーザーサポート機能を開発して、その利便性を大幅に向上させた。これらの改良により、PHITSは、加速器設計、放射線遮へい及び防護、医学物理、宇宙線研究など、幅広い分野で3000名以上のユーザーに利用されている。本論文では、2013年に公開したPHITS2.52以降に追加された新機能を中心に紹介する。

論文

日本原子力学会「2018年春の年会」部会・連絡会セッション,核データ部会「シグマ」特別専門委員会共催; 我が国における核データ計算コード開発の現状と将来ビジョン,4; PHITSコードにおける核反応モデルの役割と高度化

橋本 慎太郎; 佐藤 達彦; 岩元 洋介; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 仁井田 浩二*

核データニュース(インターネット), (120), p.26 - 34, 2018/06

放射線の挙動を模擬できる粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、加速器の遮へい設計や宇宙線・地球科学、放射線防護研究等の広範な分野で利用されている。PHITSでは、放射線が引き起こす物理現象を輸送過程と衝突過程の2つに分けて記述しており、さらに核反応が含まれる衝突過程を「核反応の発生」、「前平衡過程」、「複合核過程」の3段階的に分けて計算することで模擬している。これらの計算では断面積モデルKurotamaや核反応モデルINCL4.6やJQMDといった数多くの物理モデルが使用されており、PHITSの信頼性を高めるために、我々は各モデルの高度化を行ってきた。本稿は、日本原子力学会2018年春の年会の企画セッション「我が国における核データ計算コード開発の現状と将来ビジョン」における報告を踏まえ、PHITSにおける核反応モデルの役割を解説するとともに、近年我々が行ってきた様々なモデルの高度化や今後の展開についてまとめたものである。

論文

Recent improvements of particle and heavy ion transport code system: PHITS

佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 奥村 啓介; et al.

EPJ Web of Conferences, 153, p.06008_1 - 06008_6, 2017/09

 被引用回数:6 パーセンタイル:95.25(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、原子力機構を中心とする日本やヨーロッパの研究所が共同で開発しているモンテカルロ放射線輸送計算コードである。PHITSには、様々な物理モデルやデータライブラリが含まれており、ほぼ全ての放射線の挙動を1TeVまで解析可能である。現在、国内外2500名以上のユーザーが、加速器設計、放射線遮へい、放射線防護、医学物理、地球惑星科学など様々な分野で利用している。本発表では、PHITS2.52からPHITS2.82までの間に導入した新しい物理モデルや計算機能などを紹介する。

論文

Simulation study of personal dose equivalent for external exposure to radioactive cesium distributed in soil

佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; Lee, C.*; Bolch, W. E.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 54(9), p.1018 - 1027, 2017/09

 被引用回数:7 パーセンタイル:56.89(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故で土壌に沈着した放射性セシウム($$^{134}$$Cs及び$$^{137}$$Cs)による外部被ばくに対する公衆の放射線安全性を確保するため、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳及び成人が装着した個人線量計でモニタされる個人線量当量を、放射線輸送計算コードPHITSを用いて解析した。放射性セシウムは土壌中の特定の深さ(0.0, 0.5, 2.5, 5.0, 10.0及び50.0g/cm$$^2$$)に平板一様分布しているとし、各年齢の人体は精密人体数値模型により再現した。年齢別の個人線量当量の解析結果から、年齢が小さいほど個人線量当量の値が大きくなることが分かった。しかし、汚染環境中においても実用量である個人線量当量は防護量である実効線量をよく代表することと、地上100cm高さの周辺線量当量の値を超えないことが明らかになった。また、体積分布した線源に対する個人線量当量を導出する加重積分法により、福島で観測された指数分布線源による個人線量当量を解析したところ、解析値は福島で成人男性が装着した個人線量計により取得された実測値とよい一致を示した。

論文

Implementation of tetrahedral-mesh geometry in Monte Carlo radiation transport code PHITS

古田 琢哉; 佐藤 達彦; Han, M. C.*; Yeom, Y. S.*; Kim, C. H.*; Brown, J. L.*; Bolch, W. E.*

Physics in Medicine & Biology, 62(12), p.4798 - 4810, 2017/06

 被引用回数:10 パーセンタイル:47.55(Engineering, Biomedical)

モンテカルロ輸送計算コードPHITSに、ポリゴン体系の一種である四面体メッシュ体系を利用できる機能を導入した。四面体メッシュは自由な形状を記述することに優れており、曲面を含む様々な複雑な体系を記述することができる。また、形式変換をすることでCAD等のソフトウェアを利用した三次元体系の設計も可能となった。本機能の導入に際し、初期段階で四面体メッシュ体系に対する分岐マップを準備し、輸送計算の計算時間を短縮する工夫を加えた。この工夫により、同数のメッシュ数であれば、ボクセルメッシュと同程度の計算時間で、四面体メッシュ体系の輸送計算を可能にした。四面体メッシュでは、異なるサイズおよび形状の四面体を組み合わせることで、より少ないメッシュ数で人体ファントム等の複雑体系を表現できる。人体ファントムに対する線量計算では、四面体メッシュを採用することで、計算時間をボクセルメッシュの計算に比べて4倍短縮できることが分かった。

論文

PHITS version 2.88の特徴

佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 岩瀬 広*; 仁井田 浩二*

放射線, 43(2), p.55 - 58, 2017/05

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、原子力機構が中心となって開発しているモンテカルロ放射線輸送計算コードである。PHITSには、様々な物理モデルやデータライブラリが含まれており、ほぼ全ての放射線の挙動を1TeVまで解析可能である。これまでに、放射線施設の設計、医学物理計算、放射線防護研究、宇宙線・地球惑星科学など、工学,医学,理学の様々な分野で国内外2,500名以上の研究者・技術者に利用され、現在もその応用範囲は拡がっている。本稿では、その最新版であるPHITS2.88の特徴をまとめる。

論文

Benchmark study of the recent version of the PHITS code

岩元 洋介; 佐藤 達彦; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 細山田 龍二*; 仁井田 浩二*

Journal of Nuclear Science and Technology, 54(5), p.617 - 635, 2017/05

 被引用回数:96 パーセンタイル:99.72(Nuclear Science & Technology)

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSは、加速器遮蔽設計、医学物理計算など様々な目的で利用されている。本研究では、最新のPHITSバージョン2.88を用いて、核反応による粒子生成断面積、中性子輸送計算、電磁カスケード等に対する58ケースのベンチマーク計算を実施した。本稿では、このうち特徴的な結果を示した22のケースについて詳細に報告する。ベンチマーク計算の結果、100MeV以上の陽子、中性子、重イオン等の入射反応や電磁カスケードについては、PHITSによる計算結果は実験値を概ね再現した。一方、100MeV未満の粒子入射反応は、PHITSが設定を推奨している核内カスケードモデルINCL4の適用範囲外のエネルギー領域であるため、再現性が悪いことが確認された。また、100MeV以上の陽子入射反応のうち、核分裂成分の収率に対して、蒸発モデルGEMの高エネルギー核分裂過程の取り扱いの問題から実験値を再現しない場合があった。これらの課題は、評価済み核データJENDL4.0/HEをPHITSに組み込むこと等で改善していく予定である。以上のように、本研究でPHITSの様々な適用分野における計算精度を検証するとともに、今後の効率的な改善に重要な指針を得ることができた。

論文

Overview of the PHITS code and application to nuclear data; Radiation damage calculation for materials

岩元 洋介; 佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松田 規宏; 岩瀬 広*; et al.

JAEA-Conf 2016-004, p.63 - 69, 2016/09

粒子・重イオン輸送計算コードシステムPHITSは、原子力機構を中心に、複数の国内外の研究機関の協力の下で開発が進められている。同コードは、様々な核反応モデルやデータライブラリにより、中性子・陽子・重イオン・電子・光子等のほとんどの種類の粒子の輸送を取り扱うことが可能で、ソースプログラム,実行ファイル,データライブラリといった全ての構成要素が一つのパッケージにまとめられて配布されている。現在、1800人を超える研究者等がPHITSユーザーとして登録されており、核技術、加速器施設の設計、医学物理といった様々な分野で利用している。本発表ではPHITSに組み込まれている物理モデルを簡単にまとめ、最新のミューオン核反応モデル、$$gamma$$脱励起モデルEBITEMについて紹介する。また、IAEA-CRP「初期の放射線損傷断面積」の活動の下で行っている、PHITSを用いた材料のはじき出し断面積、はじき出し原子エネルギースペクトル、カーマの計算結果について紹介を行う。

論文

Age-dependent dose conversion coefficients for external exposure to radioactive cesium in soil

佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; 遠藤 章; Lee, C.*; Bolch, W. E.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 53(1), p.69 - 81, 2016/01

 被引用回数:18 パーセンタイル:85.7(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故により環境中の土壌に沈着した放射性セシウム($$^{134}$$Cs及び$$^{137}$$Cs)による公衆の外部被ばく線量を評価するため、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳,成人に対して、放射性セシウムの土壌中放射能濃度から実効線量率を導出する換算係数を解析した。換算係数は、放射性セシウムが深さ0.0, 0.5, 2.5, 5.0, 10.0及び50.0g/cm$$^{2}$$で土壌中に一様分布していると仮定し、放射線輸送コードPHITSを用い、国際放射線防護委員会の1990年勧告及び2007年勧告の線量定義に従い計算した。その結果、土壌に分布した放射性セシウムからの実効線量率は年齢が若いほど高くなること、及び1990年勧告と2007年勧告に従った実効線量率の計算値は7%以内で一致することを明らかにした。また、実効線量率の値は、サーベイメータ等で測定されている周辺線量当量率の値を超えないことを示した。さらに、土壌中の放射性セシウムの多様な分布形状と一定期間滞在し続けた場合に対応して、実効線量率または積算実効線量への換算係数を導出する手法も開発した。本研究で整備した年齢依存の実効線量率及び積算実効線量への換算係数は、除染地域への帰還に向けた住民の線量評価に有効なものとなる。

論文

PHITSの医学物理学分野への応用,3; 医学物理計算用補助プログラム

古田 琢哉; 橋本 慎太郎; 佐藤 達彦

医学物理, 36(1), p.50 - 54, 2016/00

放射線輸送計算コードPHITSを医学物理計算に用いる一例として、放射線治療計画を目的としたシミュレーションがある。通常、治療計画シミュレーションでは、患者CTデータを読み込んでコンピュータ上の仮想空間に患者体系を構築し、外部から照射される治療ビームの輸送計算を実行することで患者体系内での線量分布を計算する。しかし、CTデータから患者位置やCT値の分布などの情報を取得して患者体系を構築すること、非常に複雑で医療用加速器メーカーが公開していない加速器部分をシミュレーションすることは容易ではない。そこで、患者CTデータを用いて患者体系をPHITS形式で構築するためのプログラムDICOM2PHITS、医療用加速器から放出される粒子プロファイルをまとめたIAEA phase-space fileをPHITSで使用可能とするプログラムPSFC4PHITSを開発した。本解説では、これら2つのプログラムについて解説するとともに、プログラムで構築した体系および変換した線源をPHITSコードに組み込み、放射線輸送計算により検証した結果を示す。

論文

Overview of particle and heavy ion transport code system PHITS

佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; 松田 規宏; 橋本 慎太郎; 岩元 洋介; 古田 琢哉; 野田 秀作; 小川 達彦; 岩瀬 広*; 中島 宏; et al.

Annals of Nuclear Energy, 82, p.110 - 115, 2015/08

 被引用回数:34 パーセンタイル:93.49(Nuclear Science & Technology)

原子力機構が中心となり日欧の複数機関が協力して汎用モンテカルロ粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを開発している。PHITSは、幅広いエネルギー範囲のほぼすべての放射線の挙動を扱うことができ、そのすべてのコンポーネントは1つのパッケージにまとめられ、RIST, OECD/NEA Databank, RSICCを通じて全世界に配布されている。その結果、PHITSユーザー数は国内外で総計1,000名を超え、工学・理学・医学のさまざまな分野で利用されている。本論文では、PHITSの概要について紹介するとともに、イベントジェネレータモードやビーム輸送機能などPHITSに組み込まれた幾つかの重要な機能について解説する。

論文

Parallel computing with Particle and Heavy Ion Transport code System (PHITS)

古田 琢哉; 佐藤 達彦; 小川 達彦; 仁井田 浩二*; 石川 顕一*; 野田 茂穂*; 高木 周*; 前山 拓哉*; 福西 暢尚*; 深作 和明*; et al.

Proceedings of Joint International Conference on Mathematics and Computation, Supercomputing in Nuclear Applications and the Monte Carlo Method (M&C + SNA + MC 2015) (CD-ROM), 9 Pages, 2015/04

粒子・重イオン輸送計算コードPHITSには計算時間短縮のために、二種類の並列計算機能が組み込まれている。一つはメッセージパッシングインターフェイス(MPI)を利用した分散メモリ型並列計算機能であり、もう一つはOpenMP指示文を利用した共有メモリ型並列計算機能である。それぞれの機能には利点と欠点があり、PHITSでは両方の機能を組み込むことで、利用者のニーズに合わせた並列計算が可能である。また、最大並列数が8から16程度のノードを一つの単位として、数千から数万というノード数で構成されるスーパーコンピュータでは、同一ノード内ではOpenMP、ノード間ではMPIの並列機能を使用するハイブリッド型での並列計算も可能である。それぞれの並列機能の動作について解説するとともにワークステーションや京コンピュータを使用した適用例について示す。

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