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笹瀬 雅人*; 山本 博之; 倉田 博基*
Thin Solid Films, 520(9), p.3490 - 3492, 2012/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.02(Materials Science, Multidisciplinary)イオン照射した表面は欠陥を多く含むことから、高配向な薄膜を成長させるための基板として用いることは適当でないと考えられてきた。しかしながらわれわれは、1keV程度のごく低エネルギーのイオンを照射したSi基板を用い、Feのスパッタ蒸着により界面の急峻で高配向な-FeSi/Si(100)薄膜が得られることを見いだした。本研究では透過型電子顕微鏡を用いて得られた薄膜/基板界面を断面観察し、その構造を原子分解能で解析した。さらにより高いエネルギーで照射したSi基板を用いて成膜した試料との比較を行い、界面近傍における構造とその変化について議論した。
笹瀬 雅人*; 岡安 悟; 山本 博之; 倉田 博基*; 北條 喜一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 46(2), p.783 - 786, 2007/02
数MeV程度以上の高エネルギー重イオンが絶縁体,半導体等の固体に照射された場合、その飛程に沿って円柱状の欠陥が生成する。高温超伝導体における円柱状欠陥は、磁束のピン止め点として臨界電流密度の向上に寄与することから、イオン照射条件と生成する円柱状欠陥の形状との関係を把握し、欠陥生成における支配的な要因を見いだすことが特性向上の鍵となり得る。本研究では、60600MeVの重イオン(Au, I, Br, Ni)をBiSrCaCuO超伝導薄膜に照射し、各照射条件下で得られた円柱状欠陥の径について高分解能透過型電子顕微鏡を用いて評価した。この結果、イオン速度の増加に伴い円柱状欠陥の径が減少すること、及び径の分布の標準偏差が小さくなることを見いだした。本実験条件下におけるイオンの平均自由行程の計算値との比較から、核衝突により生成したカスケードが径の分布に影響を与えていることが示唆された。これらの結果はイオン速度が欠陥生成に影響を与えていることを示しており、数MeV以上の重イオン照射においても核衝突の効果が無視できないことが明らかとなった。
笹瀬 雅人*; 岡安 悟; 山本 博之; 倉田 博基*; 北條 喜一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 46(2), p.783 - 786, 2007/02
被引用回数:1 パーセンタイル:5.42(Physics, Applied)重イオン照射によって半導体や絶縁体に円柱状欠陥が導入される。この形成には照射イオンの電子的素子能が重要な要素であると考えられている。しかしながら、われわれの最近の成果からイオンの速度もまた重要な要素であることがわかってきた。この論文では超伝導体BiSrCaCuO (Bi-2212)に重イオン(Au, I, Br, and Ni、60-600MeV)を照射し、生成される円柱状欠陥を透過電子顕微鏡で調べた。イオンの速度大きくなると円柱状欠陥の平均の直径が小さくなり、またその分布も狭くなる。このことは照射イオンの平均自由行程の計算から核衝突の効果であることが説明できる。つまり、高速重イオン照射でも円柱状欠陥の生成には核衝突も少なからず影響を与えていることを示している。
笹瀬 雅人; 岡安 悟; 倉田 博基; 北條 喜一
Journal of Electron Microscopy, 51(Supple), p.S235 - S238, 2002/00
照射イオンの電子励起によるエネルギー損失(-dE/dx)と円柱状欠陥の大きさとの関係を調べ、Time Dependence Line Source モデルにより円柱状欠陥生成に必要なエネルギー付与量を計算した。その結果、照射エネルギーの増加とともに電子励起によるエネルギー損失量が増加して、生成した円柱状欠陥の直径が8.4nmから16nmに増加することが明らかとなった。また、TEM観察の結果と電子励起によるエネルギー損失量をもとに、Time Dependence Line Sourceモデルにより円柱状欠陥生成に必要なエネルギー付与量(=電子励起によるエネルギー損失量)を計算した。その結果、イオン照射により付与されたエネルギーの1/3が円柱状欠陥生成に寄与していることが明らかとなった。
笹瀬 雅人; 岡安 悟; 倉田 博基; 北條 喜一
Physica C, 357-360(Part.1), p.497 - 500, 2001/09
酸化物高温超伝導体に導入された円柱状欠陥は、磁束のピン止め点として有効に作用し、実用化にあたり重要な特性である臨界電流密度の向上を促すことが報告されている。われわれは、最適サイズの円柱状欠陥を導入できる照射条件を求めるために、円柱状欠陥の形状及び微細構造を電顕観察し、イオンの照射条件(エネルギー損失量Se,速度)と円柱状欠陥形状との関係を検討した。その結果、Seを求めることでイオン照射欠陥の形状を実験的にほぼ制御可能であることを証明した。しかし照射イオンの速度依存性を調べた結果、=2.010cm/sec以上では、速度の増加とともに円柱状欠陥の大きさが増大するが、=2.010cm/sec以上では、速度に限らす円柱状欠陥の大きさはほぼ一定であることが示された。すなわち円柱状欠陥の形成には、従来から言われているSeだけでは十分に説明できない、いくつかの複雑な要因が関与している。
倉田 博基; 熊谷 宏*; 尾笹 一成*
Journal of Electron Microscopy, 50(3), p.141 - 146, 2001/07
走査型透過電子顕微鏡を用いたスペクトラムイメージング法を用いて、高分解能元素分布像の観察を行った。試料はシリコン基板上に作成された酸化チタンと酸化アルミニウムの多層膜で、各層の厚みは1nm,周期2nmの構造を有する。この断面試料について、チタンのL殻,アルミのK殻電子励起スペクトルを測定し、各元素の分布を可視化した。その結果、1nmの空間分解能で元素分布が観察され、特にレンズの色収差による像の劣化がないことを実験的に明らかにした。さらに、基板と多層膜の界面の観察を行い、界面近傍での組成の揺らぎを明らかにすると同時に、シリコン基板直上に厚さ1nm以下の酸化シリコン膜が形成されていることも、スペクトルの微細構造の変化から同定することができた。以上の結果をエネルギーフィルターTEM法による元素マッピングと比較検討し、スペクトラムイメーシング法の特性を議論した。
小野 興太郎*; 荒河 一渡*; 大橋 正宏*; 倉田 博基; 北條 喜一; 吉田 直亮*
Journal of Nuclear Materials, 283-287(Part.1), p.210 - 214, 2000/12
被引用回数:26 パーセンタイル:81.83(Materials Science, Multidisciplinary)電顕付設イオン照射装置を用いて、オーステナイト鋼中のヘリウムバブルの形成過程をその場観察した。その結果、1~2nmのバブルは900以上で動き始め、ランダム運動をしながら合体・成長を行った。そのバブルの動きを測定し、この動きがブラウン運動であることを明らかにした。また、バブルの移動度に1100で110~210m/sであることがわかった。さらに、バブル近傍をEELS測定した結果、バブル表面にオーステナイトの構成元素の内、Niが偏析していることをつきとめた。
阿部 宏之; 倉田 博基; 北條 喜一
Journal of the Physical Society of Japan, 69(5), p.1553 - 1557, 2000/05
被引用回数:4 パーセンタイル:38.21(Physics, Multidisciplinary)超微粒子の表面励起は、超微粒子を構成する物質が固体を形成しているときの誘電関数と密接に関係している。したがって、金属や半導体よりも大きな誘電率を持つ絶縁体には、金属や半導体とは異なる性質を持つ表面励起の存在が期待される。本論文では、絶縁体超微粒子に特有な表面励起を明らかにするため、半径10nmと55nmのアルミナ超微粒子の空間分解価電子励起スペクトルを測定した。超微粒子表面から電子プローブを数nmずつ遠ざけながらスペクトルを測定した。半径10nmの超微粒子から得た実験スペクトルは、非相対論的計算スペクトルとよく一致した。一方、半径55nmの超微粒子の実験スペクトルには、計算スペクトルには現れないピークが10eV以下の領域に観測された。最近、10eV以下に、遅延効果によって生じる表面励起が相対的な計算で報告された。本論文で、初めて実験的に遅延効果によって生じる表面励起を観測した。
森川 浩志*; 倉田 博基; 藤田 美弥*
Journal of Electron Microscopy, 49(1), p.67 - 72, 2000/04
被引用回数:11 パーセンタイル:51.46(Microscopy)液晶ディスプレイの透明電極等で広く利用されているインジウム・スズ酸化物(ITO)は、スズのドープ量により伝導性が変化することが知られている。本研究ではITO薄膜中のスズの析出挙動を研究する目的で、走査型透過電顕(STEM)と電子エネルギー損失分光法(EELS)による観察・測定を行った。その結果、ドープされたスズの一部は結晶流界に析出することを明らかにし、その挙動は、出発物質である非晶質ITO薄膜の熱処理条件に依存することが判明した。また、析出領域は数nmの範囲であり、STEM-EELS法による局所分析法の有効性も明らかになった。
倉田 博基
電子顕微鏡, 35(1), P. 68, 2000/03
本稿は、日本電子顕微鏡学会創立50周年を記念して編集された学会誌の特集号への寄稿である。電子顕微鏡の分析機能の一つとして発展してきた電子エネルギー損失分光法の発展史と展望を述べることを主旨とし、おもに初期の日本人研究者の重要な研究成果の位置づけとその後の展開について記した。特に、固体プラズマ励起の実験的検証で重要な寄与をした、渡辺、藤本らの研究に言及した。今後の展開として、高い空間分解能での電子分光を実現する可能性を秘めたSTEM-EELS法について述べた。
越野 雅至*; 倉田 博基; 磯田 正二*; 小林 隆史*
Micron, 31(4), p.373 - 380, 2000/03
被引用回数:12 パーセンタイル:18.81(Microscopy)遷移金属元素の2p電子を励起して得られるL及びL吸収スペクトルは、金属の電子状態やスピン状態に敏感であることが知られている。本研究では、TiからCuが配位したフタロシアニン分子の結晶性薄膜について、電子エネルギー損失分光法によりL,スペクトルを測定し、その電子状態を検討した。その結果、L+Lの総強度は、各金属元素に局在するホールの数とよい相関関係にあることが見いだされた。また、Lをこの総強度で割った、ブランチング比は高スピン状態にある金属元素ほど高い値を示すことが明らかになった。
笹瀬 雅人; 佐藤 高広*; 岡安 悟; 倉田 博基; 北條 喜一
Advances in Superconductivity XII, p.314 - 316, 2000/00
重イオンによる固体中でのエネルギー付与は、高エネルギーで高密度電子励起により、低エネルギーで原子変位により行われる。金属の場合電子励起は損傷形成に寄与しないが、半導体や絶縁体、超伝導体で円柱状欠陥を形成する。特に酸化物高温超伝導体の場合、この円柱状欠陥が磁束のピン止め点として有効に作用し、Jの向上を促す。酸化物超伝導体中に形成される円柱状欠陥の形成機構を明らかにするために、照射イオンのエネルギー付与量(dE/dx)の効果を電顕観察により調べ、観察結果の理論的な考察をTime Dependence Line Source Model (TDLSM)により行った。その結果、照射エネルギーの増加とともに、円柱状欠陥の直径が8.4nm~16nmに変化した。この電顕観察結果とTRIMコードにより計算したdE/dxをもとに、TDLSMにより円柱状欠陥生成に必要なエネルギー付与量を計算した。イオン照射により付与されたエネルギーの1/3が円柱状欠陥生成に寄与していた。
武藤 俊介*; 竹内 稔*; 田辺 哲郎*; 倉田 博基; 北條 喜一
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 38(3A), p.1514 - 1515, 1999/03
被引用回数:11 パーセンタイル:48.51(Physics, Applied)電子線照射されたグラファイトの損傷過程を電子エネルギー分光装置を用いて研究を行った。その結果、最近接原子間距離が照射時間とともに大きくなることをEXELFS(拡張微細構造)スペクトル解析で明らかにした。また、ELNESスペクトルは、高次フラーレンの特徴を示していた。
倉田 博基
ぶんせき, 1999(12), p.1034 - 1035, 1999/00
固体の局所状態分析を行う有力な手法として、ナノメートル以下の微少な電子プローブを利用した、走査型電子エネルギー損失分光法が、近年急速に進展してきた。このトピックス記事では、この手法の原理と装置に関する簡単な紹介を行った後、セラミックス材料の粒界近傍における不純物元素の検出と同定に関する研究のなかで、原子分解能に近い空間分解能で行われたオークリッジ研究所の研究例を紹介し、今後の展望について述べた。
竹内 稔*; 武藤 俊介*; 田辺 哲朗*; 倉田 博基; 北條 喜一
Journal of Nuclear Materials, 271-272, p.280 - 284, 1999/00
被引用回数:24 パーセンタイル:84.01(Materials Science, Multidisciplinary)電子線照射したグラファイトの損傷過程を透過型電子顕微鏡と透過電子エネルギー損失分光装置を用いて調べた。その結果、ベーサル面内の長距離秩序が室温に比較して低温照射の方が早く変化(失われる)することがわかった。この変化は、電子的な変化や短距離秩序変化には影響を及ぼさないことがわかった。
倉田 博基
Ultramicroscopy, 78(1-4), p.233 - 240, 1999/00
被引用回数:5 パーセンタイル:42.96(Microscopy)透過電顕に結像型分析機能を複合した、いわゆるエネルギーフィルター電顕法は、高い空間分解能と軽元素のマッピングに有利などの特性を生かして、現在広い分野で利用され始めている。本研究では、このマッピング手法を超高圧電子顕微鏡に適用した場合のメリットについて検討した。その結果以下の点を明らかにした。(1)入射電子エネルギーが高いと、非弾性散乱電子によるマッピングでは対物レンズの色収差による分解能の劣化を受けにくく、高分解能観察に有利である。(2)超高圧電顕では、電子の非弾性散乱過程における相対論効果が顕著になり、その結果、高い空間分解能を維持した測定条件で、非弾性散乱強度の検出効率が向上するため、マッピングの感度が高くなる。(3)定量マッピングに適した試料厚さに対する制限が緩和され、よりバルクな情報を得ることができる。
倉田 博基; 北條 喜一; 魚住 孝幸*
Journal of Electron Microscopy, 47(4), p.293 - 299, 1998/00
被引用回数:5 パーセンタイル:21.61(Microscopy)型酸化鉄(-FeO)から測定された鉄2p電子励起スペクトルの微細構造をクラスターモデル計算を用いて解析した。計算では、固体効果として配置間作用が考慮された。このような固体効果を取り入れた多重項スペトクルは、実験的に得られた吸収スペクトルとよく一致した。解析の結果、結晶場の強さと配置間相互作用はスペクトルの形状に強く影響を与えることが明らかになった。また、強い結晶場の場合には、スペクトル形状と同時にLピーク強度とLピーク強度の比に大きな変化をもたらした。-FeOの場合は結晶場は1.2eVと比較的小さく、3d電子のスピン状態としては、高スピン状態にあることも明らかになった。
川瀬 昇*; 磯田 正二*; 倉田 博基; 村田 幸生*; 竹田 賢二*; 小林 隆史*
Polymer, 39(3), p.591 - 597, 1998/00
被引用回数:5 パーセンタイル:26.75(Polymer Science)塩化カリウム単結晶の(001)面上にエピタキシャル成長した1,6-di(N-carbazolyl)-2,4-hexadiyne有機薄膜を、熱処理あるいは電子照射することにより生じる、高分子化の過程について、電子回折法及び高分解能電子顕微鏡法により研究した。電子照射による高分子化は、有機薄膜の方位を保持したまま、ランダムに高分子の結晶核が生成する均一な反応過程であるのに対し、熱処理による高分子化は、薄膜結晶の端の部分で異なる方位を示しながら生長する不均一な反応過程であることが判明した。これらの高分子化の初期過程を高分解電子顕微鏡法により直接観察するのに成功した。
笹瀬 雅人*; 岡安 悟; 倉田 博基; 北條 喜一
Surface & Coatings Technology, 103-104, p.360 - 364, 1998/00
高エネルギー重イオン照射によって導入された超伝導薄膜内の微細欠陥は、磁束ピン止め点として有効に作用することが知られている。しかし、ピン止め点の制御を考えた場合、イオン照射により生成される様々な欠陥形状や分布とピン止め点作用との関係を明らかにすることが重要である。本研究では、EuBaCuO薄膜にエネルギーの異なるAuイオン照射を行い、照射による超伝導特性の変化と導入された欠陥構造の関係について検討し、照射による導入欠陥の超伝導特性への影響について結果が得られたので報告を行う。
倉田 博基; P.Wahlbring*; 磯田 正二*; 小林 隆史*
Micron, 28(5), p.381 - 388, 1997/00
被引用回数:10 パーセンタイル:31.96(Microscopy)電子エネルギー損失分光法を用いて、微小領域の定量分析を行う場合、電子の非弾性散乱断面積の正確な値が必要となる。入射電子のエネルギーが400keV以上になると断面積に対する相対論効果が顕著になる。このような効果はこれまで理論的に予測はされていたものの、実験的に確かめられた例はなかった。本論文では、超高圧電子顕微鏡とエネルギーフィルター法を複合することにより、相対論効果を直接検証したものである。理論予測の正しさを実証するとともに、定量分析に応用されている場合の重要性が議論された。
倉田 博基
日本結晶学会誌, 39(6), p.416 - 425, 1997/00
近年、透過電子顕微鏡を用いて、試料の局所分析を行う手法が活発に研究されている。なかでも、電子エネルギー損失分光法を複合した分析電顕では、ナノメートルオーダーの空間分解能で、局所元素分析や状態分析を行えるまでに進展した。更に、電顕の結像機能を積極的に利用して、特定元素の空間分布を可視化するマッピング技法も、エネルギーフィルター電子顕微鏡により可能となった。本総説では、エネルギーフィルター電顕法の原理を解説し、元素マッピング等の材料科学への応用について概説した。特に、元素マッピングの性能を決定する、フィルター像の空間分解能についても論じた。