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大河内 拓雄*; 利光 孝文*; 山上 浩志; 藤森 伸一; 保井 晃; 竹田 幸治; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 藤森 淳; 宮内 裕一朗*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 78(8), p.084802_1 - 084802_6, 2009/08
被引用回数:10 パーセンタイル:54.6(Physics, Multidisciplinary)結晶構造に空間反転対称性を持たない超伝導体CeIrSiに対してCe 34共鳴角度分解光電子分光を行い、4バンド構造とフェルミ面を得た。その結果、Ce 4状態はフェルミ準位近傍に位置することがわかり、フェルミ準位を横切る伝導バンドが共鳴増大を示した。さらに、CeIrSiのバンド分散とフェルミ面は、4電子を持たない参照物質LaIrSiのそれとは異なり、その違いは局所密度近似(LDA)による電子状態計算によりよく説明できることを見いだした。これらの結果は、CeIrSiの4電子は伝導電子とよく混成し、遍歴的な電子状態を形成していることを示唆している。
利光 孝文; 大河内 拓雄; 保井 晃; 小林 正起*; 竹田 幸治; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 藤森 淳*; 山上 浩志*; 宮内 裕一郎*; et al.
no journal, ,
SPring-8 BL23-SUビームラインにおいて、反転対称性のない超伝導体であるCeIrSi単結晶の共鳴角度分解光電子スペクトルを測定した。この物質は今までに電気抵抗,磁気抵抗,dHvA効果の測定が行われ、その結果から、フェルミ面の議論もなされている。本研究では、常磁性状態(20K)における4電子のバンド分散、及びフェルミ面が明瞭に観測された。得られたバンド構造とフェルミ面、及びそれらのバンド計算(LDA)の結果との比較により、この物質において、Ceの4電子は比較的遍歴的な電子状態を持っていることがわかった。
大河内 拓雄; 藤森 伸一; 利光 孝文; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 藤森 淳*; 山上 浩志*; 芳賀 芳範; 山本 悦嗣; 池田 修悟; et al.
no journal, ,
軟X線角度積分/角度分解光電子分光を用いて、強磁性ウラン化合物UIrの状態密度,バンド構造の温度変化を調べた。常磁性状態から強磁性状態に変化する際に、フェルミ準位近傍で状態密度が交換分裂することが示唆され、さらに、フェルミ準位を横切る5バンドも、強磁性転移により分裂する様子を捉えることができた。これらの結果、UIrの強磁性はStonerモデル(遍歴磁性モデル)により説明できることを示した。
大河内 拓雄; 藤森 伸一; 利光 孝文; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 山上 浩志; 藤森 淳; 芳賀 芳範; 山本 悦嗣; 池田 修悟; et al.
no journal, ,
UIrは結晶構造に反転対称性を持たない圧力誘起超伝導体として知られている。本研究では、常圧下の約46Kにおける強磁性転移に着目し、バルク5敏感な軟X線光電子分光によって、UIrの5電子構造の温度変化を調べた。角度分解光電子スペクトルは、点近傍において、120K, 20Kにおけるフェルミ準位近傍でのバンド構造に明瞭な変化が観測された。解析の結果、これらの変化は、フェルミ準位付近におけるバンドの交換分裂によりよく説明されることがわかった。この結果は、Stonerモデルによるバンド磁性の描像と矛盾せず、UIrの強磁性が遍歴的な5電子によって発現していることを示唆している。UGeも強磁性秩序が共存する圧力誘起超伝導体であるが、常圧下において、52Kの強磁性転移に加え、超伝導の発現に密接な関係を持つT(隠れた秩序転移)が30K近傍に存在する。UGeに関しても、角度分解光電子分光測定の進捗状況を報告する。
利光 孝文; 大河内 拓雄; 保井 晃; 小林 正起*; 竹田 幸治; 岡根 哲夫; 斎藤 祐児; 藤森 淳; 山上 浩志; 宮内 裕一朗*; et al.
no journal, ,
CeIrSiは電気抵抗測定,磁化測定,dHvA効果測定実験が行われており、空間反転対称性のない物質で、高圧下超伝導状態が確認されている物質である。SPring-8 BL23SU軟X線ビームラインにおいて、同じ結晶構造を持つ物質CeIrSi, LaIrSiの単結晶の角度分解光電子分光を測定し、CeIrSiとLaIrSiを比べてどのような変化が見られるのかを調べた。この変化はCe 4電子が引き起こすものであると考えることができる。測定温度は20K,入射光エネルギーh=745eV(CeIrSi), h=742eV(LaIrSi)を用いて、ほぼ同じ面に対して角度分解光電子分光測定を行い、バンド分散及びフェルミ面マッピングを得た。図1には、LaIrSi, CeIrSiのバンド分散図を示した。点付近,Z点付近のフェルミ準位近傍ではバンド形状に大きな差異が見られ、2eV以下ではそのままのバンド形状でLaIrSiよりもCeIrSiの方が全体的に数100meVほど下がった形状になっている。フェルミ準位付近のバンド形状の差異はフェルミ面にも現れており、また、バンド計算での結果もこの実験の傾向とよい一致を示している。講演ではLaIrSi, CeIrSiのそれぞれのバンド分散図,フェルミ面マッピング、そして各々のバンド計算との比較も同時に議論する。