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木村 貴海; 永石 隆二; 加藤 義春; 吉田 善行
Journal of Alloys and Compounds, 323-324(1-4), p.164 - 168, 2001/07
被引用回数:50 パーセンタイル:87.72(Chemistry, Physical)水-非水溶媒2成分混合系に溶解したEu(III)の第1配位圏内の溶媒組成を発光寿命の測定により研究した。ヘキサメチルホスホルアミド、ジメチルスルホキシド、メチルホルムアミド、ジメチルホルムアミド、ホルムアミドまたはジメチルアセトアミドと水との混合系において、第1配位圏内の水分子数(内部水和数)を決定するとともに、非水溶媒分子がEu(III)に優先的に溶媒和することを明らかにした。一方、ピリジン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、アセトンまたはアセトニトリルと水と混合系では溶媒和に比べて水和が強く、溶媒分子自身による消光なども影響するため、内部水和数の直接決定は困難であった。各混合系において、溶媒和の強さはバルク溶媒組成とともに大きく変化した。溶媒和の強さは溶媒のドナー数(電子供与性)及び双極子モーメント(静電的相互作用)の順序にほぼ一値したが、一部、溶媒分子の立体的障害も影響することを明らかにした。
木村 貴海; 永石 隆二; 加藤 義春; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 89(3), p.125 - 130, 2001/05
被引用回数:66 パーセンタイル:96.82(Chemistry, Inorganic & Nuclear)非水溶媒及び混合溶媒中でのアクチノイド[An=Am, Cm](III)及びランタノイド[Ln=Nd, Sm, Eu, Tb, Dy](III)の発光寿命の測定から、それらの溶媒和挙動を研究した。ジメチルスルホキシド(DMSO),ジメチルホルムアミド(DMF),メタノール(MeOH),水(HO),及びそれらの重水素化溶媒中でのAn(III)とLn(III)の発光寿命(,)から評価した溶媒による無放射緩和速度はHOMeOHDMFDMSOの順であり、Ln(III)に比べAn(III)はより強く溶媒と相互作用することを見いだした。発光寿命の水素同位体効果/は、HO中でEu(III)、MeOHとDMF中でSm(III)、DMSO中でSm(III)とDy(III)が最大であった。混合溶媒(DMSO+HO,DMF+HO,MeOH+HO)中でのCm(III)及びLn(III)への溶媒和の強さはDMSODMFHOMeOHの順であり、これは溶媒の相対的な塩基性の強さ、双極子モーメントの大きさと一致した。さらに、この結果からイオンの水-非水溶媒間移行のギブズ自由エネルギーを評価した。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳孝*
Environmental Science & Technology, 33(22), p.4016 - 4021, 1999/00
被引用回数:46 パーセンタイル:74.52(Engineering, Environmental)水溶液中でポリアクリル酸、ポリメタクリル酸で被われたモンモリロナイトなどの有機-無機複合体上に吸着したEu(III)のスペシエーションに時間分解蛍光法を応用した。Eu(III)吸着種の発光寿命、発光スペクトルの測定から、Eu(III)はEu(III)-ポリカルボン酸錯体としてモンモリロナイト上に吸着することを見いだした。さらに、Eu(III)-ポリカルボン酸錯体及び無機Eu(III)化学種の安定性が有機-無機複合体上のEu(III)吸着種を制御することを明らかにした。これらから、天然水系においてEu(III)がフミン酸-粘土鉱物などの有機-無機複合体と接触すると、Eu(III)はフミン酸錯体として吸着することが示唆された。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳孝*; 巻出 義紘*; 富永 健*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 239(2), p.335 - 340, 1999/00
被引用回数:15 パーセンタイル:72.32(Chemistry, Analytical)天然に存在するフミン酸のような高分子有機酸とアクチノイド(III)及びランタノイド(III)との錯形成は重要であるが、その不均一性によりその錯構造は明らかではない。Eu(III)とポリカルボン酸[ポリアクリル酸(PAA),ポリマレイン酸(PMA),ポリメタクリル酸(PMAA),ポリヒドロキシアクリル酸(PHAA)]をモデル物質に用いて、レーザー誘起分光法により錯体の水和数Nの測定からその構造を研究した。PAA錯体ではpH2.5から錯形成し、3.5pH9で2.5N4であった。PMM及びPHAA錯体のNは安定度定数と逆の順序(PHAA錯体PAA錯体PMA錯体)であった。これは、より多くの脱水和により安定な錯体が形成されることを示す。PMAA錯体のNのpH依存性は他の錯体と異なり、pH7で極大を示した。pH滴定、粘性測定からPMAA錯体の急激な形態の転移としてこれを解釈した。
木村 貴海; 加藤 義春; 武石 秀世; 高橋 嘉夫*; 薬袋 佳孝*; Choppin, G. R.*
Proceedings of OECD/NEA Workshop on Evaluation of Speciation Technology, p.61 - 81, 1999/00
金属イオンの第1水和圏内の水分子数(内部水和数N)は、化学種の配位環境に関する分子レベルの情報を提供する。時間分解発光法を用いてIII価アクチノイドAn(III)[An=Am,Cm]及びランタノイドLn(III)[Ln=Nd,Sm,Eu,Tb,Dy]の発光寿命とHの相関を系統的に研究した。DO-HO混合溶液中のHOの濃度と1/の比例関係及びHO中におけるNの値から、測定によるHO評価のための相関関係を提案した。これらの関係をポリアミノポリカルボン酸錯体中のAn(III)とLn(III)の水和状態、陽イオン交換樹脂へのCm(III)とEu(III)の分離挙動、及びシリカ、粘土鉱物へのEu(III)の吸着挙動の研究に適用し、上記の方法が種々の環境におけるAn(III)及びLn(III)の化学種の解明に有効な手段であることを実証した。
Meinrath, G.; 木村 貴海; 加藤 義春; 吉田 善行; Lis, S.*
Proceedings of OECD/NEA Workshop on Evaluation of Speciation Technology, p.347 - 354, 1999/00
最近のコンピュータを用いる分光学的方法は、化学研究において比較的短時間に膨大なデータの収集を可能にする。それらのデータの解析は発見的な手法では十分達成できないので、適切な数値データ処理法が要求される。ファクター分析、カノニカル相関、モンテカルロ法などの処理法は、データに含まれる観測量の分布に関する詳細な統計的情報を提供する。そのような処理法の応用はまた各手法に限界があることを示す。分析化学における微量分析に関する最近の要求は、どのような分析データを報告すべきなのかの詳細な基準を提起した。本研究では、U(VI)の溶解度データ、吸収及び発光スペクトルに数値データ処理法を適用した結果を報告する。
G.Meinrath*; 加藤 義春; 木村 貴海; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 84(1), p.21 - 29, 1999/00
AnOCO(An=U,Np)の溶解度積logK'、炭酸錯体AnOCO,AnO(CO)及びAnO(CO)の安定度定数log',log',log'の確率密度分布を評価するために、0.1MNaClO中のUOCo及びNpOCOの溶解度データをモンテカルロ法により解析した。変数に対する正規確率密度の仮定を避けて、Kolmogorov-Smirnovテスト、Bayesian統計及びWilcoxon-Mann-Whitney準位テストを用いる母数によらない統計に基づいてデータの比較を行った。Np(VI)に対する変数は一般にU(VI)のものよりも小さいことがわかった。これはNp(VI)の有効電荷がU(VI)よりも小さいこと、炭酸錯体の構造的な特徴と一致する。しかし、これまでに報告されたデータは両イオン系の性質の統計的に決定的な評価を下すにはまだ不十分である。したがって、Pu(VI)も含めこれらの系の更なる研究が必要であると結論づけた。
木村 貴海; 加藤 義春
Journal of Alloys and Compounds, 275-277, p.806 - 810, 1998/00
被引用回数:109 パーセンタイル:96.68(Chemistry, Physical)ランタノイド[Ln](III)イオンの内部水和数Nと発光寿命との相関を調べるために、一連のポリアミノポリカルボン酸を配位子とするLn(III)錯体[Ln=Sm,Eu,Tb,Dy]の水和状態を詳細に研究した。DO-HO溶液中のLn(III)の発光寿命測定から得た直線相関と、前に報告したHO中でのNから、錯体中のNを評価した。各錯体中のEu(III)とTb(III)の平均のNは文献値とよく一致した。Sm(III)とDy(III)の最低励起状態と基底状態のエネルギー差はほぼ等しいため同様な消光挙動が期待できるが、測定したSm(III)のNはDy(III)のそれより大きな値を示した。また、DO中の錯体の発光寿命の測定では、これらの配位子によるLn(III)の消光はみられなかった。これらの結果は、Sm(III)の総配位数はEu(III),Tb(III)及びDy(III)よりも約1大きいことを示唆する。Ln(III)のN決定のための相関関係の導出を検討した。
木村 貴海; 加藤 義春
Journal of Alloys and Compounds, 278, p.92 - 97, 1998/00
被引用回数:67 パーセンタイル:92.76(Chemistry, Physical)時間分解蛍光法を用いて、流動(室温)及び凍結(液体窒素温度)状態にある高濃度塩溶液(NaCl,NaNo及びNaClO)中のランタノイド[Ln](III)イオン[Ln=Sm,Eu,Tb,Dy]の内部水和数Nを発光寿命測定により研究した。凍結溶液中のLn(III)の消光挙動は、流動溶液と同様にイオンの励起状態から水和水のOH振動へのエネルギー移動によることを明らかにした。各温度でのDO-HO溶液中のLn(III)の発光寿命測定から得た直線相関と、前に報告したHO中でのNから塩溶液中のNを評価した。流動溶液中でのLn(III)のNから、NOは内圏錯体を生成するがClとClOは生成しないこと、ClOは高濃度で水和水の消光効果を促進することを明らかにした。一方、凍結溶液中では、ClとNOが内圏錯体を生成しNが約1及び2~3減少すること、ClOは高濃度でも水和に全く影響しないことを見出した。
木村 貴海; 加藤 義春; 武石 秀世; G.R.Choppin*
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.719 - 722, 1998/00
被引用回数:46 パーセンタイル:88.98(Chemistry, Physical)III価アクチノイド、ランタノイドの分離は、高濃度塩素系での陽イオン交換で可能であるが、硝酸系や過塩素酸系では不可能である。媒質中での分離機構の違いは、吸着種の分子レベルでは明らかではない。これまで、時間分解蛍光法によるCm(III)及びEu(III)の内部水和数Nの決定法を報告してきた。本報では、この方法を固液界面でのこれらイオンの水和状態の研究に適用した。陽イオン交換樹脂AGWX8を試用し、トレーサーによる分配計数K,ならびに酸溶液及び樹脂/溶液界面におけるNを測定した。5M以上の塩酸溶液中でCm(III)とEu(III)のK及びNに違いがみられた:K(Eu)K(Cm),N(Eu)N(Cm)。これは、Eu(III)よりCm(III)がクロロ錯体形成が強いことによる。高濃度塩酸中で樹脂上のイオンの内圏から約3-4の水分子が排除されていた。硝酸、過塩素酸溶液での結果も併せて報告する。
木村 貴海; 加藤 義春
Journal of Alloys and Compounds, 271-273, p.867 - 871, 1998/00
被引用回数:67 パーセンタイル:92.56(Chemistry, Physical)金属イオンの内部水和数N、すなわち第1水和圏にある水分子数は、化学種の配位環境に関する重要な情報を提供する。励起状態の寿命からIII価アクチノイド及びランタノイドのNを決定するために、蛍光寿命とNとの相関を研究してきた。本報では、ナノ秒オーダーの寿命を持つAm(III)及びNd(III)を対象に、この相関を検討した。DO-HO溶液及び一連のポリアミノポリカルボン酸錯体中のAm(III)とNd(III)の寿命をそれぞれ692nm及び890nmにおいて測定した。DO-HO溶液中での結果から、AmとNdの励起エネルギーはともに配位水のOH振動へのエネルギー移動で緩和されることを明らかにした。一連の錯体中のNの結果はいずれもEu(III),Tb(III)などよりも大きく、Am(III)とNd(III)がより大きな総配位数を持つことが示唆された。これらを基に、蛍光寿命とNとの相関を報告する。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳孝*; 富永 健*
Radiochimica Acta, 82, p.227 - 232, 1998/00
固液界面での反応の研究では直接的な分光法による化学種の分析が不可欠である。本報では、水溶液中のモンモリロナイト、アエロシル上のEu(III)吸着種のキャラクタリゼーションにレーザー誘起蛍光法を適用した。モンモリロナイト系では、pH6でEu(III)の水和イオンが吸着した。このpH範囲でモンモリロナイト表面の水層によると思われる励起Eu(III)の消光が見られた。8pH13では5~7の内部水和水を失ったEu(III)が吸着した。この化学種は炭酸錯体などの無機錯体と考えられる。またpH9ではEu(III)沈殿によると考えられる短寿命(100s)成分がみられた。アエロシル系では、pH6でEu(III)は吸着した。Eu(III)の発光寿命はきわめて長く、8pH11で吸着種の内部水和数は0.5~2であった。pH=7におけるこの値は4.5から2へと経時変化した。これから、吸着したEu(III)はアエロシルのSiOに取り込まれると考えられる。
木村 貴海; 加藤 義春; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 82, p.141 - 145, 1998/00
天然環境条件におけるアクチノイドイオンの研究では、化学種の高感度かつ高選択的なスペシエーションが要求される。吸光光度法よりも高感度な検出法として、いくつかの光熱変換分光法があるが、接触測定が必要(光音響)、光学的アラインメントが困難(熱レンズ、光熱偏向)などの問題点がある。これらに代わる方法として、遠隔操作による完全に非接触的で光感度な検出を目的に、光学的ヘテロダイン干渉計を検出器に用いる新規な光熱変換分光を開発した。レーザー誘起光熱変位分光法(LIPDS)と名付けた本法の原理は、(1)光吸収による弾性波の発生、(2)弾性波の伝搬により生ずる試料セルの振動、及び(3)ヘテロダイン干渉計による微小変位の検出に基づく。プラセオジム(III)を用いて、検出原理の実証、測定条件の最適化を検討し、これまでに、吸光光度法の検出下限の10分の1までの光吸収スペクトルの検出が可能となった。
G.Meinrath*; 加藤 義春; 木村 貴海; 吉田 善行
Radiochimica Acta, 82, p.115 - 120, 1998/00
地球化学的に重要なU(VI)の単独化学種の吸収及び蛍光スペクトルは、天然環境におけるウランの挙動を予測するための精度の高い熱力学データの取得、ならびに天然に含まれるウランをトレーサーとして使用する可能性の評価において必要となる。時間分解レーザー誘起蛍光法(TRLFS)は10mol dm以下の濃度でU(VI)が検出できることを実証してきた。また、ほとんどの天然水系におけるU(VI)濃度は10mol dmであることが知られている。このように、原理的に検出可能な低濃度のU(VI)に対して、TRLFSは励起スペクトル、蛍光スペクトル及び蛍光寿命の特徴的な3つのパラメータを提供する。さらにこれに加え、U(VI)化学種の吸収スペクトルと蛍光スペクトル間のエネルギー差(ストークス・シフト)がパラメータとなる。この関係をU(VI)の加水分解種及び炭酸錯体を用いて実証する。
加藤 義春; 木村 貴海; 吉田 善行; 白数 訓子
Radiochimica Acta, 82, p.63 - 68, 1998/00
VI価アクチニルイオンの溶解度、加水分解種及び炭酸錯体の系統的、統一的な評価を行うため、0.1M NaClO,250.1C,80%CO/O雰囲気中でNp(VI)の溶解度を測定した。オゾンの供給により酸化されたNp(VI)の水相はpH測定、液体シンチレーション線計測、吸収スペクトル計測により分析した。固相はX線回折法、UV-Vis-NIR及びFT-IR光音響分光法により分析し、NpOCOであることを明らかにした。測定したNp(VI)の溶解度データから、溶解度積log Ksp(NpOCO)=-14.320.15を求め、安定度定数log (NpOCO)=9.170.16,log (NpO(CO))=15.240.21及びlog (NpO(CO))=20.560.34を得た。
加藤 義春; 木村 貴海; 吉田 善行; G.Meinrath*
Uranium Mining and Hydrogeology II, p.227 - 235, 1998/00
水溶液中におけるウラニル(VI)イオン[UO]種の化学形は環境条件下でのスペシエーションだけでなく、その配位構造及び結合の観点からも興味深い。二元系におけるUOの錯形成は広範に研究されてきたが、三元錯体の生成についてはよく知られていない。本研究では、水溶液中のウランの直接的なスペシエーションに有効な時間分解レーザー誘起蛍光分光法(TRLFS)を用いて、三元系UO-F-SOを研究した。二元系UO-F及びUO-SOにおいて生成された単核錯体UOF(n=1-4)及びUO(SO)(n=1-3)の蛍光波長と蛍光寿命に基づいて、三元系における単核三元錯体UO(SO)F(m=1-2,n=1-3)の生成を検討した。三元錯体の安定性、構造及びその環境放射化学研究における意義について議論する。
木村 貴海; 加藤 義春; 吉田 善行
Journal of Nuclear Science and Technology, 34(7), p.717 - 719, 1997/07
被引用回数:1 パーセンタイル:14.48(Nuclear Science & Technology)天然環境条件におけるアクチノイドイオンの研究では、化学種の高感度かつ高選択的なスペシエーションが要求される。吸光光度法よりも高感度な検出法として、いくつかの光熱変換分光法があるが、接触測定が必要(光音響)、光学的アラインメントが困難(熱レンズ、光熱偏向)などの問題点がある。これらに代わる方法として、遠隔操作による完全に非接触で高感度な検出を目的に、光学的ヘテロダイン干渉計を検出器に用いる新規な光熱変換分光を開発した。レーザー誘起光熱変位分光法(LIPDS)と名付けた本法の原理は、(1)光吸収による弾性波の発生、(2)弾性波の伝搬により生ずる試料セルの振動、及び、(3)ヘテロダイン干渉計による微小変位の検出に基づく。ネオジム(III)を用いて検出原理の実証、測定条件の最適化を検討し、これまでに、吸光光度法の検出下限の10分の1までの光吸収スペクトルの検出が可能となった。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳考*; 富永 健*
Chemical Communications, (2), p.223 - 224, 1997/00
固液界面に吸着した金属イオンの化学種の構造に関しては、それに適用できる分析法が限られるために、未解明な点が多い。ここでは、初めての試みとして時間分解蛍光法をイオン交換樹脂に吸着したユウロピウム(III)の水和構造の研究に適用した。強酸性(スルホン酸系)及び弱酸性(アクリル酸系)イオン交換樹脂に吸着したEu(III)と、比較のために鎖状高分子のポリスチレンスルホン酸系及びポリアクリル酸系におけるEu(III)の水和数Nを測定した。強酸性樹脂にEu(III)はpH1で吸着され、7N8であった。ポリスチレンスルホン酸系ではほぼ9であるため、この違いは樹脂の網目状の骨格による効果と推定した。弱酸性樹脂にはpH4で吸着され、ポリアクリル酸系と同様に2.5N3.5であった。以上のように、水和数の直接決定により吸着機構の違いを定量的に証明することができた。
木村 貴海; 加藤 義春; 吉田 善行; 白数 訓子
Journal of Nuclear Science and Technology, 33(6), p.519 - 521, 1996/06
環境条件下のU(VI)及びPu(VI)の固液相平衡において、生成する固相に大きな違いがみられること、Np(VI)に関する同様の研究が全くないことなどから、Np(VI)の固液相平衡において生成する固相のスペシエーション(状態分析)を行った。オゾンを含む80%及び0.03%CO雰囲気、pH3.2及び4.4、0.1M NaClO、25Cの条件下で生成したNp(VI)の固相を、X線回折、紫外-可視-近赤外光音響分光、及びフーリエ変換赤外音響分光で分析した。その結果、80%COではNpOCO(s)が、0.03%COではNpO・HO(s)が溶解度を決定する固相であることを明らかにした。この結果から、Np(VI)の挙動はPu(VI)よりU(VI)に近いことを見出した。
高橋 嘉夫*; 木村 貴海; 加藤 義春; 薬袋 佳孝*; 富永 健*
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, Letters, 212(1), p.11 - 21, 1996/00
ポリアクリル酸及びポリマレイン酸錯体中のユウロピウム(III)に結合した水分子数を評価するために、それらの蛍光寿命を測定した。支持電解質濃度が0.01Mの場合、錯体中のユウロピウム(III)に残存する水和数は3.5~4.5の範囲であった。残存水和数は支持電解質濃度の増加とともに減少した。これらの結果は、錯体中のユウロピウム(III)は高分子配位子によりとり囲まれていることを示す。