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山下 紘正*; 岡 潔; 山中 紀明*; 関 健史; Kim, K.*; 桑名 健太*; 正宗 賢*; 長縄 明大*; 土肥 健純*; 千葉 敏雄*
日本レーザー医学会誌, 33(2), p.122 - 130, 2012/08
原子力機構では配管内の保守・保全を目的として、配管内作業ツールの検討を行っている。本ツールに搭載する複合型光ファイバスコープは、観察とレーザー導光の光軸が同一である。これにより、対象となる狭い配管内での溶接・切断作業においても、目標位置での的確な作業を容易に行うことができる。一方、国立成育医療センターでは、胎児外科手術のうち、双胎間輸血症候群の治療に興味を持ち、レーザー治療の研究を進めている。本件は、原子力機構がこれまでに開発した複合型光ファイバ技術をもとに、胎盤上の血管を観察しながら、同時に、吻合している血管をレーザー光で焼灼して血流を断ち切るためのツール開発を担当し、国立成育医療センターをはじめとした、東京大学,東京電機大学などが別手段で治療方法を検討し、総合的に双胎間輸血症候群に対する治療方法を研究した成果についてまとめたものである。
岡 潔; 関 健史; 長縄 明大*; Kim, K.*; 千葉 敏雄*
Surgical Endoscopy, 25(7), p.2368 - 2371, 2011/07
被引用回数:4 パーセンタイル:23(Surgery)さまざまな手術に適用可能なツールとして、中心部にレーザー焼灼が可能な光ファイバを配置し、周辺部に画像伝送と照明光を伝送可能な光ファイバを配置した外径1.1mmの極細径複合型光ファイバスコープを開発した。本装置の有効性を確認するため、豚の腸間膜血管を使用したレーザー照射試験を実施した。このとき、高速度カメラを使用してその映像を取得するとともに、レーザー照射による血管の収縮状況を確認した。その結果、レーザー照射後の血管は81.7%の血流の減少と、46-48%の血管収縮を確認した。これらの結果から、本装置はあらゆる医療領域に適用可能であることを示した。
関 健史*; 長縄 明大*; 岡 潔; 千葉 敏雄*
計測自動制御学会産業論文集, 9(10), p.70 - 75, 2010/04
双胎間輸血症候群の治療方法のひとつとして胎児鏡胎盤吻合血管レーザー凝固術がある。しかしながら、血流計測や胎盤吻合血管からファイバ先端までの距離の把握など、このレーザー照射治療には高度な内視鏡技術を必要とするが、治療に関する明確な指針がない。著者らはファイバの中心に焼灼用レーザー導光用ファイバを配置し、その周りに映像伝送用光ファイバを配置した複合型光ファイバスコープ(外径2.2mm)の研究開発を行っている。レーザーの伝送効率が非常に高く(84.7%)、照射部からファイバ先端までの距離が10mmの場合、レーザー出力2040Wでは、ほぼ一定の大きさの焼灼性能を有している。さらに、前稿では胎盤の血流遮断のための基礎試験として、熱電対を用いたレーザー出力制御を豚レバーに対して行い、0.3Cの精度で照射部の温度を制御できた。本研究では、温度管理を行いながらレーザー出力制御を行うため、血流が存在する豚の腸間膜血管に対してレーザー照射を行った。その結果、目標温度60, 70Cに対して、熱電対を用いたフィードバック制御システムにより17Wの低出力で温度保持(0-2.0C)を行うことができた。さらに、レーザー式血流計によりレーザー照射前後の血流を計測し、血流が遮断していることを定量的に確認した。
岡 潔; 関 健史; 長縄 明大*; 山下 紘正*; Kim, K.*; 千葉 敏雄*
Minimally Invasive Therapy and Allied Technologies, 19(2), p.94 - 99, 2010/04
被引用回数:6 パーセンタイル:30.13(Surgery)双胎間輸血症候群の治療に適用可能な、複合型光ファイバスコープを用いた新しいレーザー治療器を開発した。この複合型光ファイバスコープ(外径2.2mm)は、中心部に外径0.1mmのレーザー照射用の光ファイバを配置し、周辺部に画像伝送用の光ファイバを配置している。この光ファイバスコープは、40WのYbファイバレーザーの伝送が可能で、ファイバスコープの先端部に取り付けた2つのレンズにより、10mmの焦点距離で映像を見ることが可能である。本研究では、豚の腸間膜血管にレーザーを照射し、通常の外径0.6mmの光ファイバと比較した結果を述べる。実験の結果、通常の0.6mmファイバと比較し、遜色なく適用可能であることが明らかとなった。
関 健史*; 岡 潔; 長縄 明大*; 山下 紘正*; Kim, K.*; 千葉 敏雄*
Minimally Invasive Therapy and Allied Technologies, 18(6), p.350 - 355, 2009/12
被引用回数:3 パーセンタイル:16.12(Surgery)双胎間輸血症候群(TTTS)の治療方法のひとつとして胎児鏡胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLPC)が適用される。本治療の最終目的は、胎盤上にある特定の吻合血管の血流を遮断することである。しかしながら、血流を計る術がないため、治療がうまくいったかどうかは医者の経験や勘により判断されている。一方、著者らはファイバの中心に焼灼用レーザー導光用ファイバを配置し、その周りに映像伝送用光ファイバを配置した複合型光ファイバスコープ(外径2.2mm)の研究開発を行っている。本ファイバは、50WのYbファイバレーザーを導光することが可能である。Ybファイバレーザーはファイバ先端に配置された2枚のレンズにより10mm先の位置で集光される。本研究では、複合型光ファイバスコープと血流計を組合せ、本ファイバを豚の腸間膜血管に対して焼灼用レーザーを照射しながら血流を計測した。その結果、レーザー照射前後の血流を定量的に計測することができ、本システムにより血流遮断を確認できた。
長縄 明大*; 岡 潔; 鈴木 克征*; 関 健史*; 千葉 敏雄*
計測自動制御学会産業論文集, 7(8), p.53 - 59, 2008/07
近年、双胎間輸血症候群に対して、胎盤表面の吻合血管を内視鏡で観察しながらレーザーで凝固し、血流を遮断する治療が行われている。しかし、この手術では胎盤表面とレーザーファイバ先端間距離を適切に調整することが難しい。距離は血流遮断に大きな影響を与えるため、適切な距離を保ちながらレーザー出力を制御する必要があると考えられる。本研究では、治療用レーザーファイバと観察用ファイバを同軸上に配置した複合型ファイバを用い、胎盤表面とファイバ先端間距離を一定に保ちながら、レーザー照射される被照射物の温度管理を行い、適切な血流遮断を行う方法について検討を行っている。本論文では、レバーを用いたレーザー照射実験において、温度センサを用いたフィードバック制御系を構成し、豚レバーに対して照射した実験結果について述べる。
岡 潔; 長縄 明大*; 山下 紘正*; 中村 哲也*; 千葉 敏雄*
Lecture Notes in Computer Science 5128, p.251 - 259, 2008/00
双胎間輸血症候群や胎児脊髄髄膜瘤等の先天性疾患の場合、出生後の治療には限界があり、一部の症例では胎児への治療、特に胎児内視鏡による外科治療が求められていたが、この治療が狭い空間である子宮内(羊水中)に浮遊する胎児を対象とすることから、現在の内視鏡手術機器には高度な技術的進歩が必要とされてきた。そこで本研究では、レーザー照射機能と観察機能を一体化した複合型光ファイバ技術(原子力機構が所有する特許)を医療機器に活用し、目視観察機能と患部を焼灼するためのレーザー照射機能を小型一体化した、「レーザー照射機能を有する極細径内視鏡」の開発を行った。本装置は外径2.2mmのレーザー照射機能と観察機能が一体化した内視鏡システムであり、本システムを使用して基本性能試験を行った結果、通常の光ファイバを使用したレーザー焼灼と比較し、複合型光ファイバスコープはレーザー出力の変動によらず、焼灼痕の大きさと深さが常に一定であり、安定した焼灼が可能であることが示された。
岡 潔; 中村 哲也*; 植田 裕久*; 千葉 敏雄*
no journal, ,
双胎間輸血症候群(TTTS)に対し、胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLPC)を可能とするために胎児外科治療用レーザー内視鏡器具の開発を行っている。本件では、レーザー照射対象物として豚肝臓を用い、通常使用されるレーザー伝送用光ファイバ(0.6mm)と、開発した複合型光ファイバスコープ(先端部に搭載するレンズは3種類)を使用し、それぞれのレーザー照射の組織焼灼性能を比較した。その結果、(1)通常使用されるレーザー伝送用光ファイバの場合、照射距離が10mmとしたとき、レーザー出力を1040Wに変動させると、照射痕の直径がレーザー出力に応じて1.9mm3.6mm程度、深さは1.42.6mmに変化することが明らかとなった。一方、(2)複合型光ファイバスコープの先端部が石英製レンズの場合、対象物との距離を10mm(焦点距離)に設定した際、レーザー出力の変化は焼灼部の色調(いわゆる焼け具合)のみを変動せしめ、照射痕の直径(2.6mm)と深さ(2mm)はいずれもが常に一定に保たれることが明らかとなった。これに加え、(3)対象物との距離が10mmを超えた(焦点距離からずれた)場合には、焼灼性能が低下し過焼灼が防止されるという安全面の利点も明らかとなった。
岡 潔; 山下 紘正*; 中村 哲也*; 植田 裕久*; 千葉 敏雄*
no journal, ,
双胎間輸血症候群(TTTS)を対象とした現行の胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLPC)では、(1)レーザー光拡散により標的部位の焼灼エネルギー密度が低下する、(2)時に胎盤表面に垂直にアプローチすることが困難である(特に腹側付着胎盤の場合)、(3)レーザーファイバ先端と胎盤表面との測距ができない、(4)被焼灼血管の血流遺残・再発が確認できないという問題がある。このような背景の下、これまでにわれわれは外径2.2mmの複合型光ファイバスコープシステムを開発した。今回われわれは、安全・確実な手技を提案するため、本システムに対して、レーザーの反射光量を利用した距離計測機能及びレーザードップラーの原理を利用した血流計測機能を付加し、機能検証のため豚を用いた動物実験を実施した。その結果、水中にて520mmまでの連続した距離計測が可能であった。併せて、血管中を流れる血流量,血液量,血流速の測定が可能であることを確認した。
岡 潔; 中村 哲也*; 植田 裕久*; 鳥谷 智晶*; 妻沼 孝司*; 長縄 明大*; 渡邊 慎介*; 石山 昭彦*; 山下 紘正*; 千葉 敏雄*
no journal, ,
双胎間輸血症候群(TTTS)に対し、われわれは胎盤付着部位にかかわらず、低侵襲で安全・確実な胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術(FLPC)を可能とするため、胎児外科治療用レーザー内視鏡装置(複合型光ファイバスコープ)の開発を行っている。本件では、これまでに製作した複合型光ファイバスコープシステムに、(1)対象までの距離計測機能,(2)標的血管の血流計測機能を付加した。検証のため、豚を使用したin vivo実験を実施し、レーザー照射中に画像観察を行いながらリアルタイムに焼灼度を調節できることを確認した。また、焼灼した血管をマイクロスコープで観察し、レーザー焼灼により血管径が約1mmから0.28mm(1/3以下)に収縮し、血流が停止していることを確認した。併せて、5-20mmの範囲で腸間膜までの距離計測がリアルタイムに可能となることを確認し、血流の減少及び停滞の様子も定量的に把握できた。以上より、複合型光ファイバスコープシステムの応用により、(1)画像観察,(2)距離計測,(3)血流計測,(4)レーザー照射をシームレスに行えることを示した。
関 健史*; 長縄 明大*; 岡 潔; 山下 紘正*; 千葉 敏雄*
no journal, ,
焼灼用レーザーファイバを観察用ファイバの中心に配置した複合型光ファイバを用いたレーザー治療装置の研究開発を行っている。本装置では、常に視野中心に血管を捉えながら正確なレーザー照射を行えるだけでなく、ファイバ先端からの距離を計測できるためビームウエスト部での焼灼が可能である。これまでIn vivo実験として、実際に血液が流れている豚の腸間膜血管に対してレーザー照射部の温度管理を行いながらレーザー出力の制御を行い、その有効性について検証してきたが、血流が遮断されたかどうかは目視のみによる評価であった。本研究では、血流遮断の評価を定量的に行うため、レーザードップラー方式の血流計を用いて血管へのレーザー照射前後の血流を測定し、血流遮断に関する評価を定量的に行った結果について述べる。
関 健史*; 岡 潔; 長縄 明大*; 千葉 敏雄*
no journal, ,
従来の内視鏡レーザー手術は2次元の画像情報が得られるのみであり、対象物との間の距離を維持しつつ効果的なレーザー照射を行うことは困難である。また、最適なレーザー出力の決定と照射後の定量的な状況把握は困難であり、術者の技能及び経験に依存するところが大きい。このような背景の下、われわれはレーザー光と画像を並行して伝送することが可能な、外径1.1mmの複合型光ファイバを開発し、低侵襲レーザー治療システムへの適用を行った。本システムは、複合型光ファイバスコープ,カップリング装置,レーザー源,血流計などから構成される。複合型光ファイバスコープは約9000本の光ファイバ(9000画素と同等)で対象物の映像伝送を行い、その中心に配置した0.1mmの光ファイバで50WのYbファイバレーザーを伝送することができる。同時に、システムに組み込んだ血流計を利用して対象物の血流を計測可能である。本件では、新規に開発したシステムの概要と基礎性能試験の結果を述べ、低侵襲レーザー治療システムの有効性を示す。
岡 潔; 関 健史*; 長縄 明大*; 千葉 敏雄*
no journal, ,
内視鏡下で行うレーザー治療術は、内視鏡とレーザーファイバを個別に操作し、対象にレーザーの照準を合わせる必要があるため、高い医療技術が求められる。そこでわれわれは、内視鏡映像の中心にレーザーファイバを配置して一体化させた外径1.1mmのレーザー照射機能付き光ファイバスコープを開発した。今回、in vivoによる豚腸管膜血管に対して空気中及び生理食塩水中下でレーザー光を照射し、照射部下流側に配置したレーザードップラ血流計のプローブにより照射前後の血流を計測した。また、照射箇所の様子を超高速度カメラで撮影した。その結果、10-40Wのレーザー光を血管に照射したところ、内視鏡映像の中心に血管を捉えながら血管径を十分に収縮させることができ、血流の減少及び停滞の様子も確認できた。さらに、超高速度カメラにより血管収縮の過程を捉えることに成功し、本ファイバの有用性が確認できた。なお、レーザー照射中に照射部近傍から黒い筋状の物質が血管中を流れる現象が認められた。