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論文

Tissue-dependent somaclonal mutation frequencies and spectra enhanced by ion beam irradiation in chrysanthemum

岡村 正愛*; 長谷 純宏; 古澤 佳也*; 田中 淳

Euphytica, 202(3), p.333 - 343, 2015/04

 被引用回数:15 パーセンタイル:63.88(Agronomy)

イオンビーム照射によってキクの花色変異体を得る際の材料組織選択の影響について調査した。品種YoMysteryの花弁及び葉を使用し、照射組織由来の体細胞クローンの草丈及び花色変異を調査した。商業利用に十分な草丈を維持するために、アルゴンイオンでは3Gyが適切な線量と考えられた。3反復試験による計7,258個体の解析から、(1)花弁由来クローン(2.91%)は葉由来クローン(2.01%)よりも変異率が高かったこと、(2)組織の種類の影響はイオンビーム照射によって増進し、花弁由来クローンでは6.47%、葉由来クローンでは3.89%であったこと、(3)カロテノイド色素系の変異はイオン照射によって顕著に上昇し、培養変異では黄色のみが得られたのに対して、イオン照射した花弁及び葉の両者において、茶, 赤, 黄の変異が得られたことが示された。これらの結果は、材料組織の選択とイオンビーム照射の組み合わせによって実用的な花色変異を意図的に得ることが可能であることを示唆する。

論文

Immunofluorescence observation of oxidative damage of DNA induced by heavy ions from TIARA

北畠 里実*; 後田 藤太*; 平山 亮一*; 古澤 佳也*; 舟山 知夫; 横田 裕一郎; 岡畑 恵雄*; 伊藤 敦*

JAEA-Review 2014-050, JAEA Takasaki Annual Report 2013, P. 86, 2015/03

高LETイオンビームの特異な生物作用は、その飛跡に沿ったエネルギー付与分布のトラック構造が原因であると言われている。そこで、トラック構造を構成するコア領域とペナンブラ領域それぞれの生物作用を明らかにするために、それらがDNAに誘発する損傷の可視化を行った。本研究では、不溶性DNAシートの作製プロトコルを確立すると共に、高LETイオンビームで照射した後に生じる代表的なDNA酸化損傷である8-ヒドロキシグアニンの分布の可視化を試みた。実験では、不溶性DNAシートを原子力機構TIARAのプロトンおよびネオンイオンビームで照射した後、8-ヒドロキシグアニン特異的抗体と蛍光二次抗体で処理することで損傷の可視化を試みた。予備的な実験の結果では、照射したDNAシート上にドット状の蛍光が観察され、これがイオン照射で生じたDNA損傷由来である可能性が示唆された。

論文

Nonhomologous end-joining repair plays a more important role than homologous recombination repair in defining radiosensitivity after exposure to high-LET radiation

高橋 昭久*; 久保 誠*; Ma, H.*; 中川 彰子*; 吉田 由香里*; 磯野 真由*; 金井 達明*; 大野 達也*; 古澤 佳也*; 舟山 知夫; et al.

Radiation Research, 182(3), p.338 - 344, 2014/09

 被引用回数:57 パーセンタイル:90.66(Biology)

DNA二本鎖切断(DSB)は相同組換え(HR)と非相同末端結合(NHEJ)により修復される。重粒子線治療における放射線増感剤の標的候補を明らかにすることを目的とした。がん抑制遺伝子p53欠損マウス胚線維芽細胞由来の野生型細胞, HR修復欠損細胞, NHEJ修復欠損細胞,二重修復欠損細胞を用いた。各細胞にX線,炭素線,鉄線,ネオン線,アルゴン線を照射し、コロニー形成法で生存率を調べた。10%生存率線量値(D10値)を用いて、増感比は(野生型細胞のD10値)/(修復欠損細胞のD10値)の式で算出した。D10値はいずれの線質においても、野生型細胞$$>$$HR修復欠損細胞$$>$$NHEJ修復欠損細胞$$>$$二重修復欠損細胞の順に低くなった。HR修復欠損による増感比はLET無関係に一定で約2であった。一方、NHEJ修復欠損の増感比はLETが高くなるに従い減少するものの、HR修復欠損よりも高い増感効果を示した。高LET放射線の高RBEの要因はNHEJ修復の抑制と誤修復であり、炭素線における増感剤の主要な標的候補はNHEJ修復であることが示唆された。

論文

Evaluation of SCCVII tumor cell survival in clamped and non-clamped solid tumors exposed to carbon-ion beams in comparison to X-rays

平山 亮一*; 鵜澤 玲子*; 高瀬 信宏*; 松本 孔貴*; 野口 実穂; 幸田 華奈*; 尾崎 匡邦*; 山下 慶*; Li, H.*; 加瀬 優紀*; et al.

Mutation Research; Genetic Toxicology And Environmental Mutagenesis, 756(1-2), p.146 - 151, 2013/08

 被引用回数:24 パーセンタイル:62.77(Biotechnology & Applied Microbiology)

The aim of this study was to measure the RBE (relative biological effectiveness) and OER (oxygen enhancement ratio) for survival of cells within implanted solid tumors following exposure to 290 MeV/nucleon carbon-ion beams or X-rays. Squamous cell carcinoma cells (SCCVII) were transplanted into the right hindlegs of syngeneic C3H male mice. Irradiation with either carbon-ion beams with a 6-cm spread-out Bragg peak (SOBP, at 46 and 80 keV/$$mu$$m) or X-rays was delivered to 5-mm or less diameter tumors. We defined three different oxygen statuses of the irradiated cells. Hypoxic and normoxic conditions in tumors were produced by clamping or not clamping the leg to avoid blood flow. The RBE values increased with increasing LET in SOBP beams. The OER values of carbon-ion irradiated samples were small in comparison to those of X-ray irradiated samples. However, no significant changes of the OER at proximal and distal positions within the SOBP carbon-ion beams were observed. To conclude, we found that the RBE values for cell survival increased with increasing LET and that the OER values changed little with increasing LET within the SOBP carbon-ion beams.

論文

Cell survival fraction estimation based on the probability densities of domain and cell nucleus specific energies using improved microdosimetric kinetic models

佐藤 達彦; 古澤 佳也*

Radiation Research, 178(4), p.341 - 356, 2012/10

 被引用回数:70 パーセンタイル:91.35(Biology)

さまざまな放射線照射に対する細胞生存率の評価は、細胞致死メカニズムの解明や粒子線治療の治療計画において極めて重要となる。これまで、われわれは、粒子挙動解析計算コードPHITSに組み込んだマイクロドジメトリ計算機能を用いて、細胞核内の微少領域(ドメイン)内線量と細胞核線量の平均値を指標とした細胞生存率評価モデルを開発してきた。しかし、個々の細胞応答は、ドメインや細胞核線量の平均値ではなく個別の値により決定されるため、従来のモデルでは各線量の確率密度の分散が重要となる高LETや高線量照射に対する細胞生存率を再現できない問題点があった。そこで、本研究では、PHITSのマイクロドジメトリ機能及びLET分布計算機能と畳み込み積分法を組合せ、人体内任意地点におけるドメインや細胞核線量の確率密度分布を計算する手法を構築し、その確率密度分布より細胞生存率を計算する新たなモデルを開発した。開発した計算モデルは、細胞致死メカニズムの解明のみならず、低線量被ばくによる影響評価にも新たな知見を与える可能性がある。

論文

Analysis of cell-survival fractions for heavy-ion irradiations based on microdosimetric kinetic model implemented in the particle and heavy ion transport code system

佐藤 達彦; 渡辺 立子; 加瀬 優紀*; 鶴岡 千鶴*; 鈴木 雅雄*; 古澤 佳也*; 仁井田 浩二*

Radiation Protection Dosimetry, 143(2-4), p.491 - 496, 2011/02

 被引用回数:33 パーセンタイル:91.42(Environmental Sciences)

粒子線治療計画の立案や宇宙放射線に対する防護の目的から、従来、さまざまな種類の重イオン照射に対する細胞生存率が測定されてきた。それらは、一般に、LETの関数として表現されるが、細胞生存率のLET依存性は、照射する重イオンの種類により異なることが知られていた。そこで、粒子線輸送計算コードPHITSに組み込んだマイクロドジメトリック運動学モデル(MKモデル)を用いて、これまで測定されてきた重イオン照射細胞生存率データを再解析した。その結果、MKモデルを用いれば、ただ1つのパラメータy*によりすべての重イオン照射に対する細胞生存率が再現できることがわかった。これにより、y*を指標とすれば、LETを指標として開発された従来の粒子線治療計画システムや宇宙放射線に対する防護体系を、より洗練されたものに改良できる可能性が示された。

論文

Monte Carlo simulation of radial distribution of DNA strand breaks along the C and Ne ion paths

渡辺 立子; 和田 成一*; 舟山 知夫; 小林 泰彦; 斎藤 公明; 古澤 佳也*

Radiation Protection Dosimetry, 143(2-4), p.186 - 190, 2011/02

 被引用回数:16 パーセンタイル:75.8(Environmental Sciences)

粒子線による照射では、粒子線の種類が異なると、LETが同じであっても、その生物影響が異なることが知られている。これは、粒子線の飛跡構造が異なるためだと考えられる。飛跡構造と生物影響の関係に着目して、これまでに、TIARAを用いて、LETが440keV/$$mu$$m程度のCイオンとNeイオンを哺乳細胞に照射したところ、Cイオンの方が、細胞致死効率、2本鎖切断(DSB)効率が高く、細胞核内でのDNA損傷生成の空間分布が異なることが観測されている。本研究では、モンテカルロ飛跡構造シミュレーションに基づいて、DSBを含む実験的には困難な損傷も含めた損傷スペクトルと、これらの損傷の空間分布に関するシミュレーションを行った。この結果、同じLETであっても、Cイオンの方がNeイオンよりも、DSB等のクラスター損傷を生成しやすく、Cイオンはイオンの軌跡のごく近傍に集中してDNA損傷が生じるのに対し、Neイオンでは、より周囲に広がって生じるという結果が得られた。これは、TIARAでの実験結果とよく一致する結果であった。これらの要因により生物影響の差がもたらされることを示していると考えられる。

論文

Induction of DNA DSB and its rejoining in clamped and non-clamped tumours after exposure to carbon ion beams in comparison to X-rays

平山 亮一*; 鵜沢 玲子*; 松本 孔貴*; 野口 実穂; 加瀬 優紀*; 高瀬 信宏*; 伊藤 敦*; 小池 幸子*; 安藤 興一*; 岡安 隆一*; et al.

Radiation Protection Dosimetry, 143(2-4), p.508 - 512, 2011/02

 被引用回数:14 パーセンタイル:71.96(Environmental Sciences)

マウスの足に移植した腫瘍の上部をクランプした、又はクランプしない状態で80keV/$$mu$$mの炭素線、及びX線を照射したときのDSBの誘導、及び再結合について調べた。腫瘍のDSB生成量は定電圧電気泳動法により測定した。X線照射後のDSBのOERは1.68$$pm$$0.31で、この値は照射1時間後での変化は見られなかった(1.40$$pm$$0.26)。In situにおいて、酸素存在下でのこれらの損傷は1時間で60から70%が再結合した。炭素線とX線照射下において、DSBの誘発及び再結合の割合に違いは見られなかった。ゆえに、炭素線照射後のOER値及び再結合率はX線照射後と同じであり、炭素線のRBEは酸素存在下で1に近い値となった。In vivoにおけるDSBの収量は照射線量、酸素の状況、再結合時間に依存し、放射線の種類には依存しないと考えられる。

論文

Radioprotection by DMSO in nitrogen-saturated mammalian cells exposed to helium ion beams

平山 亮一*; 松本 孔貴*; 加瀬 優紀*; 野口 実穂; 安藤 興一*; 伊藤 敦*; 岡安 隆一*; 古澤 佳也*

Radiation Physics and Chemistry, 78(12), p.1175 - 1178, 2009/12

 被引用回数:12 パーセンタイル:62.36(Chemistry, Physical)

低酸素下での粒子線照射によって生じるOHラジカルが介在する間接効果の寄与をラジカルスカベンジャーを用いて測定した。DMSO存在下、及び非存在下で、V79細胞に150MeV/nucleonのヘリウムイオンビームをLET2.2KeV/mmで照射し、コロニー形成法により生存率を決定した。低酸素下による細胞死への間接効果の寄与は約52%であった。われわれは低酸素下においてOHラジカルの介在する間接効果は全効果のおおよそ半分になると結論づけた。

論文

Contributions of direct and indirect actions in cell killing by high-LET radiations

平山 亮一*; 伊藤 敦*; 冨田 雅典*; 塚田 照代*; 谷田貝 文夫*; 野口 実穂; 松本 孔貴*; 加瀬 優紀*; 安藤 興一*; 岡安 隆一*; et al.

Radiation Research, 171(2), p.212 - 218, 2009/02

 被引用回数:118 パーセンタイル:95.59(Biology)

放射線の生物効果はDNAの損傷を起源とする。X線と同様、重粒子線のDNA損傷も直接作用と間接作用のコンビネーションにより作られる。細胞死への間接作用の寄与はDMSOを用いた防護寄与率の最大値から算出することができる。対数増殖期のチャイニーズハムスターV79細胞に対し、DMSO存在下、及び非存在下で20から2106keV/$$mu$$mの高LET放射線を照射し、コロニー形成法により生存率を決定した。間接作用の寄与率は放射線のLETの増加に伴い減少した。しかし、寄与率は超高LET領域でも0にはならず、2106keV/$$mu$$mで32%と概算された。それゆえに、OHラジカルの放射線化学収量のG値は1000keV/$$mu$$mのLETで0に近づくけれども、OHラジカルの間接作用は高LET放射線による生物効果の相当な割合を占めることがわかった。生存率10%のRBEはLETとともに増加して200keV/$$mu$$mで最大値2.88に達し、それ以降は減少した。直接作用のRBEと間接作用のRBEを別個に評価するとき、両者のRBEはLETに依存し、200keV/$$mu$$mをピークとして同値になると考えられていた。しかし、本研究によりRBEのピーク値は間接作用よりも直接作用のほうが高いことがわかった。ゆえに、直接作用は間接作用に比べ、高LET放射線の高RBEに寄与している。

論文

Heavy-ion microbeam system at JAEA-Takasaki for microbeam biology

舟山 知夫; 和田 成一*; 横田 裕一郎; 深本 花菜; 坂下 哲哉; 田口 光正; 柿崎 竹彦*; 浜田 信行*; 鈴木 芳代; 古澤 佳也*; et al.

Journal of Radiation Research, 49(1), p.71 - 82, 2008/01

 被引用回数:47 パーセンタイル:78.7(Biology)

近年の放射線生物研究領域では、細胞の低線量放射線応答機構や、放射線誘発バイスタンダー効果の分子機構,生物学的イオントラック構造などの解明が大きな課題となっているが、これらの問題の解決には、マイクロビームによる生物試料の局部照準照射が有効である。原子力機構高崎量子応用研究所の生物照射用重イオンマイクロビームシステムは、大気中でさまざまな生物試料に局部照準照射を実現することができるシステムである。このシステムは、放射線生物研究領域で課題となっているさまざまな生物応答現象の機構解明に役立つのみならず、生理学,発生学,神経生物学などの広範な生物領域における問題を解決することができるため、広く「マイクロビーム生物学」と呼べる研究領域の創成に貢献するだろう。

論文

Bystander effect studies using heavy-ion microbeam

小林 泰彦; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 古澤 佳也*; 和田 成一*; 横田 裕一郎; 柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 原 孝光*; 深本 花菜; et al.

JAEA-Conf 2007-002, p.28 - 35, 2007/02

放射線の生物作用は、生体分子に対する局所的なエネルギー付与、すなわち空間的にも時間的にも離散的な物理的相互作用の過程から始まる。そのため低線量(低フルエンス)被曝においては、照射された細胞と非照射の細胞が試料中に混在することになる。したがって、照射細胞における直接の放射線障害だけでなく、照射細胞と非照射細胞が互いに影響を及ぼし合う過程を定量的に解析することが、放射線適応応答やホルミシス効果など低線量域放射線に特有の生体応答を解明する鍵となる。そこでわれわれは、TIARA(高崎研イオン照射研究施設)の重イオンマイクロビームを用いて個別の細胞を狙って正確な個数の重イオンを照射し、その影響を長時間追跡観察するシステムを開発した。重イオンマイクロビームを用いて照射細胞と非照射細胞を明確に区別して個々の細胞の放射線応答を解析することが可能な本照射実験システムの概要を紹介するとともに、バイスタンダー効果の分子機構に関する最近の研究成果を報告する。

論文

ヒト正常線維芽細胞における細胞間信号伝達系を介した重イオン誘発バイスタンダー効果のヒット粒子数及びLET依存性

松本 孔貴*; 浜田 信行*; 青木 瑞穂*; 和田 成一*; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 柿崎 竹彦; 小林 泰彦; 古澤 佳也*

JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 110, 2007/02

When cells were irradiated with ionizing radiation, non-irradiated cells around irradiated cells showed the same biological effect, for example apoptosis, DNA damage, chromosomal aberration, and these phenomena are called bystander effect. Bystander effect is caused by two major pathways, gap junction signaling or medium-mediated signaling. The correlation of these pathways with bystander effect, and some transmission agents of the effect were reported in many papers. But the existence of the particle number- or LET-dependency of the effect is still a matter of debate. In this experiment, we demonstrated that the particle number-dependency of bystander effect was observed in AG01522 cells exposed to carbon ion beams with LET of about 100 keV/$$mu$$m, and suggested the existence of the LET-dependency of this effect.

論文

原研・高崎研の重イオンマイクロビームの現状

小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 坂下 哲哉; 柿崎 竹彦; 浜田 信行*; 横田 裕一郎; 古澤 佳也*

KEK Proceedings 2005-5, p.6 - 8, 2005/10

環境ラドン被曝や銀河宇宙線など極低フルエンス率の高LET重イオンによる生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、原研・高崎研では、個別の培養細胞に照準して正確な個数の重イオンを照射し、その影響を経時的に観察する実験システムを開発している。今回、照射前に試料を自動スキャンして細胞を検出するオフライン顕微鏡及び取得した座標データに従ってビーム位置に標的細胞を移動するオンライン顕微鏡の各々の試料ステージを更新し、従来は$$pm$$10$$mu$$m以上の誤差があった試料移動の位置再現精度が$$pm$$1$$mu$$mに向上した。これによって、多数の標的細胞を次々に自動照準して連続的にシングルイオン照射することが可能になった。併せて、最近の細胞照射実験の結果についても報告する。

論文

Exploration of "over kill effect" of high-LET Ar- and Fe-ions by evaluating the fraction of non-hit cell and interphase death

Mehnati, P.*; 森本 茂子*; 谷田貝 文夫*; 古澤 佳也*; 小林 泰彦; 和田 成一; 金井 達明*; 花岡 文雄*; 佐々木 弘*

Journal of Radiation Research, 46(3), p.343 - 350, 2005/09

 被引用回数:31 パーセンタイル:63.87(Biology)

イオン照射における生物学的効果比(RBE)はLET値とともに増加するが、非常に高いLET領域では逆に減少に転ずる。この現象を説明するため、$$^{40}$$Arあるいは$$^{56}$$FeイオンビームをCHO細胞に照射し、試料中に混在する非ヒット細胞の割合と、ヒット細胞が分裂を経ずに死に至る間期死の頻度に注目して、照射後の細胞群を長時間に渡って追跡観察した。全細胞中の約20%が非ヒットであり、約10%が照射後も生残し、約70%が分裂死又は間期死を示した。分裂死及び間期死のRBEはLET=200keV/$$mu$$mあたりではほぼ同じで、30%生残線量では死細胞の約10%が間期死の経路を辿る。この率はLETによって異なり、2000keV/$$mu$$mの$$^{56}$$Feイオンでは15%に達するがX線では3%以下であった。しかし、1%生残線量の$$^{56}$$Feイオンで照射された後も、67%が分裂死を示し、33%の間期死を凌駕していた。これらの結果から、間期死は高LET放射線被曝に特異的な細胞死の様相であり、細胞レベルのオーバーキル効果の現れではないことが示唆された。

論文

Microbeams of heavy charged particles

小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一; 古澤 佳也*; 青木 瑞穂*; Shao, C.*; 横田 裕一郎; 坂下 哲哉; 松本 孔貴*; 柿崎 竹彦; et al.

宇宙生物科学, 18(4), p.235 - 240, 2004/12

銀河宇宙線のように、低フルエンス・低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)による生物影響を明らかにするためには、マイクロビームを用いた細胞照射実験が有効な手段となる。そこで、高エネルギー重イオンマイクロビームを顕微鏡観察下の生物試料に照射するために原研・高崎研・バイオ技術研究室で開発した細胞局部照射装置を用いて、哺乳動物培養細胞を個別に重イオンで照射・観察する実験系を開発した。標的細胞を貫通したイオンのエネルギーと個数をシンチレータ/フォトマルを用いて測定することによって、重イオンを1個ずつカウントしながら正確に照射することが可能となった。さらに、CR-39を直ちに37$$^{circ}$$Cでエッチングして各標的細胞における実際のイオン飛跡を可視化すると同時に、その飛跡が可視化されたCR-39上で細胞の照射後培養と観察を継続する方法を確立した。国内外の重粒子線のマイクロビーム開発の歴史を概観し、細胞核へのシングルイオンヒット効果やバイスタンダー効果に関する最近の研究成果をレビューする。

論文

Bystander effect induced by counted high-LET particles in confluent human fibroblasts; A Mechanistic study

Shao, C.*; 古澤 佳也*; 小林 泰彦; 舟山 知夫; 和田 成一

FASEB Journal, 17(11), p.1422 - 1427, 2003/08

 被引用回数:115 パーセンタイル:87.55(Biochemistry & Molecular Biology)

バイスタンダー効果の仲介役として、可溶性物質の活性酸素種(ROS)や形質転換成長因子b1 (TGF-b1)が被照射細胞から放出されることが報告されており、ごく最近ではわれわれが被照射細胞から放出された一酸化窒素誘導体(NO)が非照射細胞の微小核形成に関与することを発見した。他方、細胞間隙信号伝達(GJIC)が放射線誘発バイスタンダー効果の重要な役割を担っている証拠も多く見つかっている。このような二つの経路;間接的及び直接的なバイスタンダー効果が示されているが、どちらが主要な役割を果たしているかなど詳しいことはほとんどわかっていない。この研究では現在主役を担うと考えられているGJICと、明らかにバイスタンダー効果に影響を及ぼすROSについて、GJICを阻害するPMAとROS補足剤のDMSOを用いて調べた。

論文

Relationship between LET and RBE values for Escherichia coil determined using carbon ion beams from the TIARA cyclotron and HIMAC synchrotron

今村 正浩*; 赤木 清*; 田中 敬正*; 今村 正人*; 水間 長代*; 小林 泰彦; 渡辺 宏; 蜂谷 みさを*; 明石 真言*; 古澤 佳也*; et al.

J. Gen. Appl. Microbiol., 43, p.175 - 177, 1997/00

 被引用回数:11 パーセンタイル:37.67(Biotechnology & Applied Microbiology)

原研高崎研のTIARAのサイクロトロンからの炭素イオンビーム(LET=121keV/$$mu$$m)と放医研HIMACのシンクロトロンからの炭素イオンビーム(LET=80keV/$$mu$$m)を、生理食塩水に懸溶した大腸菌に照射し、生存率を測定した。更に、コバルト60の$$gamma$$線(LET=0.3keV/$$mu$$m)及びボロン10中性子捕獲による$$alpha$$線照射(LET=230keV/$$mu$$m)に対する生存率を調べ、10%生存率を与える線量の比から$$gamma$$線を基準にRBE(生物学的効果比)を算出してLETとの関係を調べたところ、大腸菌野生株ではLET=121keV/$$mu$$mでRBEが1.81となり、極大を示した。しかし、大腸菌のDNA修復欠損変異株であるKY85株(recA56$$^{-}$$)ではRBEのピークは見られなかった。

論文

Single- and double-strand breaks in pBR322 plasmid DNA by monochromatic X-rays on and off the K-absorption peak of phosphorus

檜枝 光太郎*; 広野 泰亮*; 浅見 彰*; 鈴木 雅雄*; 古澤 佳也*; 前澤 博*; 宇佐美 徳子*; 横谷 明徳; 小林 克己*

International Journal of Radiation Biology, 70(4), p.437 - 445, 1996/10

 被引用回数:48 パーセンタイル:95.41(Biology)

単色化したシンクロトロン軟X線を用い、DNAの単鎖切断及び二重鎖切断の量子効率を調べた。試料には二鎖のプラスミド(pBR-322)環状DNAの乾燥試料を用いた。単色光源として、高エネルギー物理学研究所・フォトンファクトリーのBL-27を用いた。単鎖切断も二重鎖切断も、リンのK殻共鳴ピークで一番効率良く起こることがわかった。試料に対する吸収線量を、試料吸収スペクトルから計算し、フォトン吸収あたりの鎖切断効率を求めたところ、単鎖切断はエネルギー依存性がそれほど顕著でなかったのに対して、二重鎖切断はピーク波長で効良くおこることがわかった。細胞レベルでの致死・突然変異効率の増感は、この二重鎖切断によることが、これらの結果より推測された。

口頭

Heavy-ion microbeams and bystander effect studies at JAEA-Takasaki

小林 泰彦; 舟山 知夫; 坂下 哲哉; 古澤 佳也*; 和田 成一*; 横田 裕一郎; 柿崎 竹彦; 浜田 信行*; Ni, M.

no journal, , 

放射線の生物作用は、生体分子に対する局所的なエネルギー付与、すなわち空間的にも時間的にも離散的な物理的相互作用の過程から始まる。特に銀河宇宙線のように低フルエンス率の高LET重イオン(粒子線)の被曝では、空間的・時間的な離散性,不連続性が極めて顕著となる。したがって、照射細胞における直接の放射線障害だけでなく、照射細胞と非照射細胞が互いに影響を及ぼし合う過程を定量的に解析することが、放射線適応応答やホルミシス効果など低線量域放射線に特有の生体応答を解明する鍵となる。そこでわれわれは、TIARA(高崎研イオン照射研究施設)重イオンマイクロビームを用いて個別の細胞を狙って正確な個数の重イオンを照射し、その影響を長時間追跡観察するシステムを開発した。本システムの概要を紹介するとともに、高LET重イオンによる低線量(低フルエンス)被曝において試料中に混在する照射細胞と非照射細胞を明確に区別して個々の細胞の放射線応答を解析することによってバイスタンダー効果の分子機構を解明しつつある、最近の実験結果についても報告する。

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