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小山 岳秀*; 尾崎 穣*; 上田 光一*; 水戸 毅*; 小原 孝夫*; 和気 剛*; 田畑 吉計*; 道岡 千城*; 吉村 一良*; 鈴木 通人; et al.
Physical Review B, 84(21), p.212501_1 - 212501_4, 2011/12
被引用回数:12 パーセンタイル:44.66(Materials Science, Multidisciplinary)低温で電荷密度波(CDW)転移を起こす遷移金属化合物の中には、CDW相においてさらに超伝導転移を起こす物質があることが知られているが、理論的にはこれら2つの相は競合関係にあるため、その発現機構は単純ではなく、高い関心を集めている。本論文発表では、実際、遷移金属化合物MoAlCは9Kという低温で超伝導転移を起こすことが知られているが、兵庫県立大学のNMR実験グループを中心に行われたAl-NMRにおける緩和時間の測定や比熱の測定の結果に基づくと、130K付近でCDW転移と考えられる相転移が発現し、さらに、その相転移によって状態密度が大きく減少することを見いだした。また、第一原理計算によって計算された正常相のフェルミ面構造から、CDW不安定性を引き起こすと考えられるネスティング機構とCDW転移に伴うフェルミ面消失を議論した。この研究成果により、遷移金属化合物におけるCDW・超伝導競合状態に関する研究が大きく進展すると考えられ、超伝導の新しい発現機構の解明に繋がる一方、こうした知見を蓄積することで、原子力分野での物質材料研究の新たな側面の開拓も可能になる。