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福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
Journal of Nuclear Materials, 415(Suppl.1), p.S705 - S708, 2011/08
被引用回数:5 パーセンタイル:38.41(Materials Science, Multidisciplinary)炉内トリチウムの蓄積量を低減させるため、ITERでは第一壁をタングステンで被覆することが検討されているが、リミタなどの高熱負荷機器は炭素を使用する可能性がある。そのため、炉内のトリチウム蓄積量を予測するためには、炭素不純物の影響を評価する必要がある。本研究では、JT-60Uに設置されたタングステン被覆タイルへの重水素蓄積に対する炭素不純物の影響を調べた。プラズマ放電によって炭素タイルから損耗した炭素不純物が被覆タングステンへ蓄積しており、この炭素不純物に重水素が捕獲されていた。その結果、被覆タングステン中のD/Cは0.04-0.08となり、炭素堆積層中のT/Cに対して1/2-1/4に達していた。したがって、将来の核融合炉での炭素と被覆タングステンの同時使用によって、被覆タングステン中のトリチウムの蓄積量が、炭素堆積層と同程度まで増加する可能性がある。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
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JT-60Uで使用した被覆タングステンの分析から、放電中に損耗した炭素が重水素とともに被覆タングステンへ入射することで、被覆タングステン中の重水素の蓄積量が増加することがわかった。本研究では、JT-60Uで使用した被覆タングステン中の重水素の捕獲サイトを調べるため、本被覆タングステンからの重水素放出速度の温度依存性を調べたが、複数の放出ピークが互いに重なりあった放出スペクトルであったため、捕獲サイトの特定が困難であった。そこで、被覆タングステン中の捕獲サイトと重水素の放出温度との関係を調べるため、単一の放出スペクトルが得られるような条件で重水素イオンを被覆タングステンへ照射し、重水素放出量の温度依存性を測定した。その結果、被覆タングステンの原子空孔に捕獲された重水素は、610K付近に単一の放出ピークを示すことがわかった。この結果をもとにJT-60Uで使用した被覆タングステンからの重水素放出量の温度依存性を考察すると、610K付近に重水素の放出が観測されなかったことから、本被覆タングステンでは原子空孔に重水素が蓄積していない可能性があることがわかった。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
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JT-60Uでは、20032004年の実験キャンペーンから外側ダイバータの一部にタングステンを被覆した炭素タイルを設置し、プラズマ放電実験が行われた。20032004年の実験キャンペーン終了後に取り出したタングステン被覆タイルの表面分析を行い、タングステン被覆タイルへの重水素の蓄積機構を調べた。被覆タングステンには深さ20mにわたって炭素が蓄積しており、この炭素はプラズマ放電中に炭素タイルから損耗した炭素が被覆タングステンへ入射したものであった。プラズマ放電中は被覆タングステンの温度が700Kまで上昇しているため、被覆タングステン中に存在する欠陥への重水素の蓄積量は少なく、重水素はおもに被覆タングステン中に蓄積した炭素に捕獲されていた。被覆タングステン中のD/C比は0.060.02となり、700Kで形成される炭素の再堆積層に比べてD/C比は1/21/4に達していることがわかった。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
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JT-60Uの外側ダイバータに設置したタングステン被覆タイルの分析から、被覆タングステンに蓄積した炭素に主な重水素が蓄積していることが明らかになった。しかし、被覆タングステン中に存在する欠陥への重水素蓄積量は不明であった。本研究では被覆タングステン中に存在する欠陥への重水素蓄積量を調べた。JT-60Uのプラズマ放電時における被覆タングステンの温度(700K)では被覆タングステン中の欠陥へは重水素は蓄積せず、被覆タングステンに蓄積した炭素にのみ重水素が蓄積することがわかった。この結果をもとに、被覆タングステンへの重水素の蓄積について考察した。被覆タングステンに蓄積した炭素への重水素蓄積量が飽和していること及び炭素の拡散速度が重水素の拡散速度に比べて十分遅いことから、被覆タングステン中の重水素の蓄積速度は炭素の蓄積速度に依存すると考えられる。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
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JT-60U外側ダイバータに設置したタングステン被覆タイルの分析から、重水素イオンと炭素イオンが同時入射することで、重水素イオンのみが入射する場合と比べて、被覆タングステン中の重水蓄積量が増加することが明らかとなった。しかし、被覆タングステン中の重水素の捕獲座は不明であった。本研究では、X線光電子分光分析を用いて被覆タングステン中の炭素から放出される光電子のエネルギースペクトルを調べ、この炭素はおもにグラファイト状態であることがわかった。また、昇温脱離分析を用いて炭素タイルとタングステン被覆タイルからの重水素の放出スペクトルを比較し、重水素放出量のピーク温度が同程度であることがわかった。この結果は、両タイル間で同一の捕獲座が存在することを意味する。炭素タイル中では、重水素はおもにC-D結合で捕獲されているため、被覆タングステン中の一部の重水素はC-D結合によって捕獲されていると考えられる。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
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JT-60U外側ダイバータに設置したタングステン被覆タイルの分析から、炭素イオンが入射することで被覆タングステン中の重水素の蓄積量が増加することが明らかとなった。しかし、プラズマ放電中におけるタイルの表面温度や入射する炭素イオンの割合が不明であることから、詳細な重水素の蓄積機構は不明であった。本研究では、試料の表面温度や炭素の割合を制御できるイオンビーム照射装置を用いて、重水素・炭素混合イオンビームを被覆タングステンに照射した。その後、昇温脱離測定法を用いて重水素の放出スペクトルを調べ、得られた放出スペクトルから被覆タングステン中の重水素の捕獲サイトを考察した。試料温度が500Kの場合には、被覆タングステン中に存在する欠陥に加え、被覆タングステン中に蓄積した炭素にも重水素が蓄積していることがわかった。試料温度が700Kの場合には、被覆タングステン中の欠陥には重水素は蓄積せず、被覆タングステンに蓄積した炭素のみに重水素が蓄積することがわかった。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*; 田辺 哲朗*
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JT-60U外側ダイバータに設置したタングステン被覆タイルの分析から、炭素の拡散係数から予測される拡散距離に比べてより深く(20m)まで炭素が進入していることが明らかとなった。しかし、被覆タングステン中の炭素の進入機構は不明であった。本研究では、X線光電子分光分析法(XPS)を用いて被覆タングステン中の炭素の化学結合状態及びその深さ分布を調べ、以下のことを明らかにした。被覆タングステン中には、アモルファス状炭素,グラファイト状炭素及びタングステンと化学結合した炭素(WC)が形成されている。深さ2.2mまでの領域には、アモルファス状炭素とグラファイト状炭素がそれぞれ1-10%存在する。タングステン原子と化学結合せずに結晶中に存在できる炭素の割合は0.3%であるため、これらの炭素はおもに結晶粒界や微小空洞に存在していると考えられる。WCは表面から深くなるにしたがって増加し、深さ1.0m以降ではWCとして存在する炭素の割合は16-17%でほぼ一定であった。以上の結果より、入射した炭素が結晶粒界や微小空洞を通って深くまで進入後、タングステンの結晶粒内へ拡散しWCを形成したと考えられる。
福本 正勝; 仲野 友英; 伊丹 潔; 和田 隆明*; 上田 良夫*
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炭素イオンを添加した重水素イオンビームを被覆タングステンに照射し、被覆タングステン中の水素の蓄積に対する炭素イオンの影響を調べた。温度が500K及び700Kの被覆タングステンに純粋な重水素イオンビームを照射した場合、被覆タングステン中の重水素の蓄積量はそれぞれ1.710D/m及び0.410D/mであったが、重水素イオンビーム中の炭素イオンの割合を3%に増加させた場合、重水素の蓄積量がそれぞれ2.5倍及び10倍に増加した。これは、被覆タングステン中に蓄積した炭素が重水素を捕獲したためであった。イオンビーム照射後の被覆タングステンを加熱すると、蓄積した重水素は水素分子(HD, D)や水分子(HDO, DO)に加えメタン(CD)の形で放出され、1300Kまで加熱することで蓄積した水素に加え炭素も除去できることがわかった。