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大塚 伊知郎*; 飯田 芳久; 山口 徹治; 加藤 修*; 建石 剛*; 田中 忠夫
Materials Research Society Symposium Proceedings, Vol.1475, p.507 - 512, 2012/06
オーバーパック腐食におけるカソード反応を同定するために、炭素鋼線の腐食実験を行った。炭素鋼線を蒸留水,炭酸水素ナトリウム溶液及び硫酸ナトリウム溶液に浸漬し、ガラス製アンプルに封入した。60Cで150日間保持した後、腐食生成物,液相及び気相の分析を行った。実験の結果、水素イオンの還元による水素ガス発生が支配的なカソード反応であることが示された。硫酸及び炭酸イオンの還元は観測されなかった。腐食生成物として、非晶質の水酸化第一鉄,鉄酸化物がすべての実験で特定された。それに加え、炭酸水素ナトリウム溶液では、鉄炭酸塩が特定された。この結果は、地層処分環境では水素発生反応が支配的なカソード反応であり、間隙水のEhが水素発生反応の平衡電位に至る可能性を示唆している。
大塚 伊知郎; 瀧 洋*; 山口 徹治; 飯田 芳久; 山田 文香; 稲田 大介*; 田中 忠夫
JAEA-Research 2008-043, 101 Pages, 2008/03
高レベル放射性廃棄物処分場において、緩衝材の間隙に含まれる水(緩衝材間隙水)の酸化還元状態は、放射性核種の化学的性質に影響するため、重要な評価因子である。炭素鋼オーバーパックの腐食が緩衝材間隙水の酸化還元電位(h)に与える影響を評価するうえで重要な腐食生成物の熱力学データ,炭素鋼の腐食速度を文献調査及び実験により取得し、カソード反応の定量評価を行った。また、地球化学計算コードPhreeq Cで予察的な解析を行い、詳細な解析を行ううえでの課題を抽出した。結果は以下のようにまとめられる。(1)Fe, FeOH, Fe(OH)(aq), Fe(OH), Fe(OH), Fe, FeS, FeCO,Fe(OH)(s), FeO, FeCO(OH), Fe(cr)の熱力学データの最確値及び誤差を文献調査及び実験により取得した。(2)炭素鋼の腐食速度をpHと硫化物イオン濃度の関数として定式化した。(3)ガス蓄積型腐食試験からカソード反応は水素発生反応が支配的であることがわかった。(4)予察的なh評価解析から、1000年後のhは、約-600mV又は750mVを得たので、CH(aq)/COもしくはH(aq)/HOに支配されると考えられる。
大塚 伊知郎; 山口 徹治; 飯田 芳久; 瀧 洋; 田中 忠夫; 中山 真一
no journal, ,
炭素鋼は高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおけるオーバーパックの有力な候補材である。炭素鋼の腐食は安全評価上重要なニアフィールドの間隙水組成を決める要因の一つであるため、処分環境下での炭素鋼の腐食現象の解明、特に腐食生成物の化学的性質に関する知見は重要である。水酸化炭酸鉄は、近年の研究で処分環境下で腐食生成物として生成することが報じられているにもかかわらず、その溶解度積などの基礎的なデータが得られていない。本研究では、水酸化炭酸鉄の熱力学データ取得の一環として、処分環境を模擬した条件下で炭素鋼の浸漬試験を行い、腐食生成物を同定するとともに、試験液の分析から溶解度積を決定した。炭酸水素ナトリウム水溶液中に炭素鋼を60日間浸漬したところ、0.1M及び0.0018Mの水溶液中では腐食生成物として水酸化炭酸鉄が生成することがわかった。試験液の組成分析から決定した溶解度積は、log=-28.2(0.1M)及び、-28.5(0.0018M)であった。
大塚 伊知郎; 瀧 洋*; 山口 徹治; 飯田 芳久; 山田 文香; 田中 忠夫; 中山 真一; 加藤 修*; 建石 剛*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおいては、炭素鋼オーバーパックの腐食が酸化還元電位等の処分環境に影響を及ぼす。本研究では還元性環境での炭素鋼の腐食速度やカソード反応を評価するために、炭素鋼を純水,硫酸ナトリウム水溶液,炭酸水素ナトリウム水溶液に浸漬し、微量ガス成分の散逸を防ぐためにガラスアンプルに封入して腐食試験を行った。腐食反応によって発生したガスの分析から、試験液の組成によらずカソード反応は水素発生反応が支配的であることがわかった。炭素鋼の重量変化から求めた腐食速度は1.4m/yであり、固相の分析で同定されたマグネタイトもしくは水酸化鉄の生成を仮定して水素ガス発生量から求めた等価腐食速度と一致した。以上の結果に基づき、オーバーパックの腐食が処分環境に及ぼす長期的な影響の解析評価に必要なカソード反応及び腐食速度に関する知見を提供した。
山田 文香; 大塚 伊知郎; 山口 徹治; 飯田 芳久; 田中 忠夫; 中山 真一
no journal, ,
処分場における炭素鋼オーバーパックの腐食が緩衝材の間隙水の酸化還元電位に及ぼす影響について、地球化学シミュレーション解析を行い、ベントナイト間隙水の酸化還元電位が決まる仕組みや支配的なカソード反応を考察した。地球化学解析にはPHREEQCを用い、腐食速度をパラメータとして、炭素鋼と接触する緩衝材間隙水の酸化還元電位等化学組成の時間変化を計算した。炭素鋼は0.1, 1.0又は10m/yの一定速度で腐食溶解し続けると仮定した。酸化還元電位は腐食速度が0.1又は1.0m/yの場合、CH(aq)/COの酸化還元対に支配されて-500-600mV, 10m/yの場合、H(aq)/Hの酸化還元対に支配されて-750mVとの計算結果を得た。
木村 祐一郎; 山口 徹治; 飯田 芳久; 大塚 伊知郎; 瀧 洋*; 向井 雅之; 山田 文香; 星野 清一; 角脇 三師; 田中 忠夫; et al.
no journal, ,
地層処分の安全評価における評価期間は数千年以上の長期に及ぶため、評価結果には種々の不確かさが含まれる。本研究は、安全評価結果との相関が高く、しかも現在の知見では不確かさが大きいパラメータについてデータを取得し、パラメータの不確かさを定量化して確率論的安全評価の信頼性向上に資することを目的に実施している。本報告では平成18年度に得た主な成果を発表する。核種移行データ取得に関する研究では、地下水や間隙水の組成変動に伴うSeの溶解度及びベントナイト内でのI, Cs等の拡散係数の不確かさを定量的に示した。また、岩石に対するSeの分配係数への硝酸塩及び塩水の影響を評価するためのデータを取得した。人工バリア材の長期変質に関する研究では、処分場環境でのオーバーパックの腐食速度の定式化、並びにセメント系材料からのアルカリ成分等の溶出挙動を評価するためのセメント変質と物質移動性のモデル化とその実験的検証を進めた。また、ベントナイト系緩衝材の長期バリア性能を評価するために整備した計算コード及び実験的に決定した評価パラメータ変動の定量式を用いて、緩衝材中透水係数の長期的変動を予測した。
飯田 芳久; 山口 徹治; 稲田 大介; 田中 忠夫; 大塚 伊知郎*
no journal, ,
ベントナイト系緩衝材間隙水の酸化還元電位に対するオーバーパックの腐食影響を評価するため、オーバーパックの候補材である炭素鋼を圧縮ベントナイトに埋め込み、還元環境において浸漬試験を行った。試験液のEh, pH変化を測定するとともに、炭素綱の腐食生成物を同定した。試験液のEhは時間とともに減少し、90日で約-250mVに達した。pHは60日まで変化せず、60日以降で上昇に転じた。炭素鋼の腐食生成物はマグネタイトであり、ベントナイト中に拡散した鉄はFe(OH), FeOOH, green rustになっていることを確認した。
山口 徹治; 飯田 芳久; 田中 忠夫; 大塚 伊知郎*
no journal, ,
処分場における炭素鋼オーバーパックの腐食が緩衝材の間隙水の酸化還元電位に及ぼす影響を評価する手法を開発するため、これまでに整備した熱力学データ及び腐食反応速度式を用いて、圧縮ベントナイト内での炭素綱腐食試験の模擬計算を試みた。炭素鋼,砂混合ベントナイト,焼結フィルタ及び試験溶液からなる1次元体系を仮定し、地球化学計算コードPHREEQCを用いて計算した。炭素鋼の腐食生成物(マグネタイト),試験液のpH(約9),炭酸イオン濃度(310mol dm),鉄イオン濃度(1.310mol dm),ベントナイト中の鉄の価数(+II価)については計算は実験結果をよく再現した。試験液のEhについては乖離が見られたが、乖離幅は試験期間とともに縮小し、90日目には計算結果-340mVに対して、実測値は-249mVであった。この乖離は、初期の試験液中に微量の酸素が溶存していたことが原因であると推定され、試験初期の特異的な現象であると考えられた。今後は実験期間を伸延して計算との整合性を確認するとともに、本研究の評価手法の適用範囲,適用条件を検討する必要がある。
大塚 伊知郎*; 田中 忠夫; 稲田 大介*
no journal, ,
地下深部の低酸素還元雰囲気における炭素鋼の腐食挙動を解明するための実験は、酸素を除去したアルゴンガスを充填したグローブボックス内で慎重に行われている。しかし、グローブボックス内で調製した試料を分析する際には、大気に開放しなければならない場合がある。二価鉄化合物など大気中で酸化しやすい試料のXRD測定は、酸素による酸化を防護する必要がある。本研究では、還元雰囲気の化学形態を維持したままで試料のXRD測定を行う手法を提案した。酸素濃度1ppm以下に制御したアルゴンガス循環精製型グローブボックス内で生成したFe(OH)をガラス製セルに塗布し、表面を厚さ50mのカプトン膜で密封することにより、Fe(OH)のピークのみが観測できることを確認した。本検討により、Fe(OH)やシデライトなどの二価鉄化合物を大気中でXRD測定することが可能となった。
坂巻 景子; 大塚 伊知郎*; 飯田 芳久; 稲田 大介*; 鴨志田 美智雄; 片岡 理治; 山口 徹治; 田中 忠夫
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分システムにおいて、ベントナイト系緩衝材の間隙水は炭素鋼オーバーパックの腐食により還元状態となると考えられている。一方、安全評価上の重要核種の一つであるSe-79は酸化還元電位(Eh)により溶解度が大きく変化するため、ベントナイト間隙水が長期的にどの程度の還元状態に保持されるかを評価することが重要である。本研究では、ベントナイト間隙水のEh変遷評価を行うために、炭素鋼の腐食速度や腐食生成物を考慮した地球化学計算コードを整備した。さらに、炭素鋼とベントナイトを共存させた系でのEh測定実験を行った結果、コードを用いた計算値と良い一致を示したことから、コードの妥当性を確認することができた。