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田口 光正; 木村 敦; 大谷 仁巳*; 嶋田 好孝*; 平塚 浩士*; 南波 秀樹; 小嶋 拓治
no journal, ,
実排水中では共存する有機化合物によって、Co-線による内分泌撹乱化学物質(EDCs)の分解反応阻害が予測されるため、あらかじめ排水にEDCsを添加した模擬排水を調整して、EDCsの分解率と排水中の全炭素濃度の相関関係から、実排水の処理に必要な線量を求めた。この結果、実排水中に含まれるEDCsは模擬排水結果から得られた予測に整合して減衰し、約1kGyで活性が消失することがわかった。またYeast two hybrid assayにより、17-エストラジオールなどの天然由来の女性ホルモンとアルキルフェノール類などの人工のEDCsの存在比を見積った。以上から、あらかじめ行う成分分析により、実排水中のEDCsの処理プロセスにおける必要線量の推測が可能となった。
木村 敦; 田口 光正; 大谷 仁巳*; 広田 耕一
no journal, ,
人及び家畜のし尿や工業排水の影響により、河川や湖沼には、極低濃度にもかかわらず水生生物のホルモン作用に影響を与える物質(内分泌かく乱化学物質:EDCs)の存在が報告されている。特に、天然由来の女性ホルモン(17-エストラジオール:E2)や、人工化学物質であるp-ノニルフェノールは、水生動物に対し悪影響を与えるため問題視されている。現在、下水処理場では、微生物による酸化分解を利用した活性汚泥処理法によって有害物質を除去しているが、この方法では難分解性であるEDCsの無害化には至っていない。放射線照射法は、排水の濁度の影響を受けないことや化学薬品を使用しないなどの特長を有するため、EDCsの処理に有用である。本研究では、河川よりEDCsを含む実排水を採取しその分解処理特性を明らかにするとともに、放射線照射EDCs処理法のコストを試算した。
田口 光正; 木村 敦; 大谷 仁巳*; 白石 不二雄*; 広田 耕一
no journal, ,
これまでわれわれは、水中に反応活性種を均一に発生させることができる放射線の特性を利用して、内分泌かく乱化学物質を含む排水の放射線処理研究を行ってきた。今回は急性毒性を有する代表的な有機塩素化合物であるダイオキシンやPCBの前駆体と考えられている2-クロロフェノール(2CP)を純水に溶解したものに線照射した。2CPの濃度は線照射により指数関数的に減少した。低線量領域では、一次生成物として3-クロロカテコールやクロロハイドロキノンが生成したが、線量の増加に伴いそれらの濃度は減少に転じた。8kGyの照射では、2CPや分解一次生成物はほとんど分解した。発光細菌を用いた生物学的評価では、2CP水溶液は、線照射前に弱い急性毒性を有していたが、線量の増加に伴い急性毒性は単調に増加した。この毒性は、2CPや分解一次生成物の濃度から予測される毒性の総和よりも大きかった。すなわち、線照射後の毒性はクロロフェノールや分解一次生成物のみ由来するのではなく、有機酸やアルデヒドを含めた照射生成物の相加・相乗効果によるものと考えられる。
田口 光正; 木村 敦; 広田 耕一; 大谷 仁巳*; 白石 不二雄*
no journal, ,
水中に酸化性あるいは還元性の強い反応活性種を均一に発生させることができる放射線照射により、内分泌かく乱化学物質などの微量環境汚染物質の分解処理が可能である。われわれは、急性毒性を有する有機塩素化合物の分解処理を目的として、塩素や芳香環などの基本骨格を有する2-クロロフェノール(2CP)を最初のターゲットとした。2CPを純水に溶解したものに線照射したところ、その濃度は指数関数的に減少した。低線量領域では、一次生成物として3-クロロカテコールやクロロハイドロキノンが生成したが、線量の増加に伴いそれらの濃度は減少した。8kGyの照射では、2CPや分解一次生成物はほとんど分解した。発光細菌を用いた生物学的評価では、2CP水溶液は、線照射前に弱い急性毒性を有していたが、線量の増加に伴い急性毒性は単調に増加した。この毒性は、2CPや分解一次生成物の濃度から予測される毒性の総和よりも大きかった。すなわち、線照射後の毒性はクロロフェノールや分解一次生成物のみ由来するのではなく、有機酸やアルデヒドを含めた照射生成物の相加・相乗効果によるものと考えられる。