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細井 文雄; 大道 英樹; 赤間 和博*; 粟井 浩二*; 矢野 嘉宏*; 中野 善郎*
J. Jpn. Oil Chem. Soc., 47(1), p.31 - 40, 1998/00
リポソームを用いた人工赤血球の調製を目的として、重合性混合脂質リポソームの重合挙動及び重合物の安定性について検討した。混合単分子膜の-A曲線から、1-ステアロイル-2.4-オクタデカジエノイル-グリセロ-3-フォスフォコリン(SOPC)は、コレステロール(Chol)や、ステアリン酸(SA)と不溶であり、各成分はの分子膜内でドメイン構造を取ることがわかった。混合系では2分子膜内でのSOPC濃度が減少するにも関らず重合速度が著しく増大することから、ドメイン間で疎水基間相互作用が働き、2-アシル鎖のモビリティを増加させるため、重合速度が増大すると推論された。リポソームに内包させたヘモグロビンの溶出も混合脂質系では著しく抑制させることから、疎水基間相互作用がリポソームの安定性に重要な役割を果たしていることがわかった。
吉田 勝; 浅野 雅春; 大道 英樹; 上村 渉*; 熊倉 稔*; 片貝 良一*
Macromolecules, 30(9), p.2795 - 2796, 1997/05
被引用回数:16 パーセンタイル:58.03(Polymer Science)アクリロイル-L-プロリンメチルエステルのポリマーは、水中において14Cに曇点をもち、この温度以下で水溶性ポリマーとなり、この温度以上で凝集沈澱をともなうことが知られている。このポリマーゲルは14C付近で体積相転移を起こす。体積相転移温度はアルカンスルフォン酸ナトリウム(ASN)を含む水溶液中で処理すると変化することを見出した。すなわち、ASNは体積相転移温度を上昇させる働きをもつ。この場合、相転移を誘発させるASNの最も低い濃度は臨界ミセル濃度(cmc)と密接な関係をもつことが明らかとなった。このようなASNによる効果はメチレンセグメントの長さ、すなわち疎水効果に因るものである。
吉田 勝; 長岡 範安*; 浅野 雅春; 大道 英樹; 久保田 仁*; 小倉 紘一*; Vetter, J.*; Spohr, R.*; 片貝 良一*
Journal of Nuclear Materials, 122(1), p.39 - 44, 1997/00
イオン穿孔技術と新しい機能材料を組み合わせることによって、僅かな温度の変化に敏感に応答するインテリジェント化学弁を調製した。機能材料は、放射線感受性の材料として知られているジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)と温度応答ゲルとして新しく開発されたアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)のコポリマーからなる。このコポリマー膜へのイオン穿孔の形成は11.6MeV/nPbイオンを照射ののち、6M水酸化ナトリウム水溶液中、60Cで10分エッチングすることにより行った。コポリマー膜中に形成されたイオン穿孔の孔径は、水中において30Cで0.3m、0Cで完全に閉まった状態を示すことが分かった。
大道 英樹; 吉田 勝; 浅野 雅春; 長岡 範安*; 久保田 仁*; 片貝 良一*; Spohr, R.*; Reber, N.*; Wolf, A.*; G.M.Alder*; et al.
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 131(1-4), p.350 - 356, 1997/00
被引用回数:20 パーセンタイル:81.03(Instruments & Instrumentation)機能性をもつ有機多孔膜の合成を目的として、核子あたり10MeVのエネルギーの各種の重イオンビームをポリエチレンテレフタレート、CR-39などの高分子フィルムに照射した。イオンを照射したときに発生する2次電子の寄与も考慮した限定的エネルギー損失RELとイオンの飛跡に沿った高分子フィルムの相対的エッチング速度Qとの関係を求め、高分子フィルムに円筒状の孔を形成する条件を見い出した。次に、重合体がゲルの性質を示すモノマーを多孔膜の孔の部分において放射線グラフト重合法により結合させた。この多孔膜を水中に浸漬したとき、結合したゲルの温度変化による膨潤・収縮現象に基づき、多孔膜の孔を水の温度により開閉できることを示した。この多孔膜を用いて、水、コリン、インシュリンなどの透過性を調べたところ、ゲルの相転移点付近で透過速度に急激な変化が起こることを見い出した。
細井 文雄; 大道 英樹; 赤間 和博*; 粟井 浩二*; 中野 善郎*; 遠藤 さゆり*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 131(1-4), p.329 - 334, 1997/00
被引用回数:9 パーセンタイル:59.76(Instruments & Instrumentation)人工血液の合成を目的として、細胞膜の構成物質に類似の構造をもつリン脂質を基にしたモノマーを用いて線重合を行った。分子中に2個の重合性官能基をもつモノマーDODPCと、1個のみのモノマーAODPCとで重合挙動を比較したところ、DODPCの方がより速く重合すること、また、重合物の分子量もより大きくなることがわかった。水面上にこれらのモノマーを単分子膜として展開したときの圧力と占有面積の関係から、AODPCの方がより密に充填されているため重合が抑制されるものと考えられる。次に、AODPCを原料として、ヘモグロビン、コレステロール、パルミチン酸等を混合して重合させ、脂質の2層膜を合成し、人工血液とした場合の安定性を調べたところ、照射時に2層膜の外部に過剰のヘモグロビンを共存させることにより、2層膜内のヘモグロビンの安定化が図れることを見い出した。
吉田 勝; 浅野 雅春; 大道 英樹; Spohr, R.*; 片貝 良一*
Radiat. Meas., 28(1-6), p.799 - 810, 1997/00
被引用回数:12 パーセンタイル:67.93(Nuclear Science & Technology)円柱状の貫通孔からなるイオン穿孔膜に温度応答性ゲルのモノマーであるN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)、アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線重合によって化学的に修飾した。得られた温度応答性多孔膜中の孔の物理的構造の変化は電気伝導度、走査型電子顕微鏡、原子間力顕微鏡などで観察した。また、孔径変化にともなう物質の透過制御は、P-ニトロフェノールなどを用いて調べた。
玉田 正男; 越川 博; 大道 英樹
Thin Solid Films, 293(1-2), p.113 - 116, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:33.04(Materials Science, Multidisciplinary)N-ビニルカルバゾール(NVC)を260K以下の基板の上に真空蒸着し、薄膜作製過程を赤外反射吸収法によりリアルタイムでその場観察した。基板として銀を100nm蒸着したスライドガラスを使用した。薄膜作製過程ではカルバゾール基面と基板表面とのなす角度が59度と71度の2種類の配向膜が観察され、それぞれ、タイプI及びIIと名付けた。NVCは蒸着開始直後はタイプIの配向で基板に付着した。膜厚がほぼ140nmに達するとタイプIIの配向で付着した。同時におおよそ140nmの膜厚までタイプIとして体積したNVCは基板に接した30nmの層を残して、タイプIIへと再配列した。薄膜作製に使用したNVCの示差熱分析では260K以下の温度領域では再配列等に対応する熱の移動は認められないことから、このような再配列は蒸着で作製した薄膜にのみ観察できる現象であると考えられる。
玉田 正男; 越川 博; 大道 英樹
Thin Solid Films, 292(1-2), p.164 - 168, 1997/00
被引用回数:7 パーセンタイル:46.46(Materials Science, Multidisciplinary)励起源として蒸着チャンバー内に配置した低圧水銀ランプを用いて、N-ビニルカルバゾール(NVC)の蒸着重合を行い、基板上での薄膜作製とアニール過程をフーリエ変換赤外反射吸収法により、リアルタイムにその場観察した。その結果、得られた高分子薄膜はアモルファス構造とカルバゾール基面と基板表面との角度が59度で配向した構造の2つの構造から構成され、それぞれ65%、35%であると推定された。種々の基板温度で蒸着重合した場合、基板温度が高くなるにつれて重合収率は上昇し、275Kの時95%に達した。
大道 英樹; 吉田 勝; 浅野 雅春; 片貝 良一*; Spohr, R.*; Vetter, J.*
Ionics, 22(SUPPL.1), p.27 - 32, 1996/06
温度、pH、電場などの環境条件を変化させたとき、その変化量に対応して孔を開閉することのできる機能性フィルターを開発する目的で、イオンビームをポリマーフィルムに照射し、次いで高分子ゲルを化学結合させた。まず核飛跡検出器として知られるCR-39フィルムに各種イオンビームを照射し、円筒状の孔を形成する条件を調べた。その結果、核子あたり10MeV程度のエネルギーの鉛、ウラン、キセノンなどの重イオンを用いれば限定エネルギー移動量が10MeV・cm/g以上となり、所期の目的を達成できた。次に、重合して高分子ゲルとなるモノマーを線照射により孔の壁の部分で重合させ、孔に2重円筒状にゲル部分を結合させた。その結果、ゲルの相転移温度を挟んで外部温度を上下させることにより、ゲルが膨潤・収縮して孔の開閉状態が制御されることがわかった。さらに、このフィルータの応用についても触れた。
吉田 勝; Safranj, A.; 大道 英樹; 片貝 良一*
Macromolecules, 29(6), p.2321 - 2323, 1996/00
被引用回数:41 パーセンタイル:82.12(Polymer Science)外部環境からの刺激に応答するインテリジェント材料の創製研究の一環として、放射線プロセスにより側鎖にL-プロリンメチルエステルをもつ高分子ゲルを合成し、ゲルの体積相転移に及ぼす架橋の効果を検討した。その結果、アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)をモノマーとした場合、60%の架橋度を得るには、10kGyの線照射を必要とするのに対し、メタクリロイル-L-プロリンメチルエステル(MA-ProOMe)では320kGyの照射が必要であった。次に、0Cと40Cとの間での体積変化比を比較したところ、A-ProOMeゲルが20、MA-ProOMeが700となった。この違いは、両者の架橋構造の違いによるものと考えられる。
吉田 勝; 浅野 雅春; Safranj, A.; 大道 英樹; Spohr, R.*; Vetter, J.*; 片貝 良一*
Macromolecules, 29(27), p.8987 - 8989, 1996/00
被引用回数:53 パーセンタイル:87.4(Polymer Science)円筒状の貫通孔をもつイオン穿孔膜にアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線グラフトし、温度変化に追従して孔が開閉する温度応答性多孔膜を合成した。A-ProOMeに基づくゲル層は14Cで体積相転移を起こすため、これ以下の温度で膨潤、逆にこれ以上の温度で収縮する。原子間力顕微鏡による観察から、16Cで処理した温度応答性多孔膜は、円筒状のイオン穿孔(1.3m径)とその表面に被覆された0.3mの厚さからなるグラフトゲル層からなることが分かった。この場合、0.7m径の円筒状の貫通孔が得られた。対称的に、12Cではグラフトゲル層が膨潤するため、孔が完全に閉じた。この温度応答性多孔膜の性能は、p-ニトロフェノールの透過からも調べた。
玉田 正男; 大道 英樹; 奥居 徳昌*
Thin Solid Films, 274, p.66 - 69, 1996/00
被引用回数:4 パーセンタイル:29.13(Materials Science, Multidisciplinary)210Kに温調した基板に蒸着重合したN-メチロールアクリルアミド薄膜を基板の加熱によりアニーリング処理した場合、後重合する現象が認められた。赤外反射スペクトルでアニーリング過程をその場観察し、アニーリング中の分子の再配列を真空蒸着で作製した薄膜の場合と比較した。どちらの場合においても、分子の配列変化は基板温度が230Kで開始した。また、配列の変化はカルボニル基の位置から生じた。同温度で後重合も開始することから、基板温度の上昇に伴い、後重合は配向変化を伴いながら徐々に進行することがわかった。アニール後の最終配列構造では蒸着重合薄膜の-NH-CH-OH残基の部分が真空蒸着膜に比較して、たたみこまれた構造になっていた。
細井 文雄; 大道 英樹; 赤間 和博*; 淡井 浩二*; 徳山 悟*; 佐藤 征*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 105(1-4), p.318 - 321, 1995/11
被引用回数:1 パーセンタイル:23.89(Instruments & Instrumentation)有機機能材料創製に関する研究の一環として、機械的強度が十分な人工血液の創製を目的とし、人工膜によるヘモグロビンの閉じ込めについて検討した。人工膜の素材としてリン脂質を選び、重合可能な不飽和基を有する化合物を合成して、線により重合させることで安定な閉じ込めを図った。1,2-ビス(オクタデカジエノイル)-sn-グリセロ-3-フォスフォコリンと呼ばれるリン脂質を4Cで線照射して得た生成物について、液体クロマトグラフィーによる分子量測定、UV分光による重合度の測定などを行い、それらの結果に基づいて速度論的解析を試みた。その結果、不飽和基を有する2本のアシル鎖の間で反応性に違いのあること明らかにした。また、ヘモグロビンを含有させた生成物を動物実験に適用し、良好な安定性を示しうることを明らかにした。
Reber, N.*; 大道 英樹; Spohr, R.*; 玉田 正男; Wolf, A.*; 吉田 勝
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 105(1-4), p.275 - 277, 1995/11
被引用回数:24 パーセンタイル:88.68(Instruments & Instrumentation)イオンビーム照射による有機機能材料創製の研究の一環として、重イオンを照射した有機薄膜への機能性の付与について検討している。共同研究の相手先のドイツ重イオン研究所で1個のAuイオンを照射しアルカリでエッチングして単一孔をもつ薄膜としたポリエチレンテレフタレートに、原研でN-イソプロピルアクリルアミドを線の照射によりグラフト重合させた。得られた膜は、孔の部分にゲル成分を有することから、温度変化により孔を占有するゲルの体積が変化し、結果として孔の径を温度により可逆的に変えられることを見い出した。すなわち、この膜を0.1NのKCl溶液に浸漬して17Cから42Cまで毎分0.5Cの速度で温度を変化させたとき、孔の径が温度変化に追随して変化し、最大値と最少値で25%の差を生じることを見い出した。
大道 英樹
Radioisotopes, 44(10), p.744 - 758, 1995/10
「イオンビーム利用の基礎と現状」と題する講座の一環として執筆したもの。多孔膜生成の基礎過程、ドイツ、ロシア、原研での多孔膜製造プロセスの現状、ならびに、最近原研で開発した新規の機能性多孔膜について紹介。
Safranj, A.; 吉田 勝; 大道 英樹; 片貝 良一*
Radiation Physics and Chemistry, 46(4-6), p.987 - 990, 1995/09
被引用回数:11 パーセンタイル:71.9(Chemistry, Physical)N-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を水の存在下で放射線重合させた時、自己架橋型のポリマーゲルが形成してくることを見い出した。この架橋構造をパルスNMRから得られるT spin-spin緩和時間曲線を用いて検討した。低分子で自由度の大きなポリマーの場合、Tは秒のオーダーであるが、架橋ポリマー或いは高い結晶性をもつポリマーでは、この値はmsecsecのオーダーにまで減少する。NIPAAmモノマーの指数関数的な減衰曲線(T)は1秒のオーダーであった。0.030.1kGyの照射範囲におけるTは100msecまで減少した。別途行ったゲル率の値から、この範囲で得られるポリマーは直鎖状からなることがわかっている。しかし、照射線量が、0.1kGy以上になると、NMRの曲線は2つの成分、すなわち、直鎖状ポリマー(T)と架橋ポリマー(T)に分離した。この架橋ポリマー成分の出現は、ゲル率の測定から得られた結果とよく一致した。
宮嶋 勝春*; 吉田 勝; 佐藤 宏*; 大道 英樹; 片貝 良一*; Higuchi, W. I.*
Radiation Physics and Chemistry, 46(2), p.199 - 201, 1995/08
被引用回数:6 パーセンタイル:54.93(Chemistry, Physical)パルス的に薬物を放出できる機能性ゲルを放射線法で調整する目的で、14C付近で体積相転移を伴う温度応答性アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)ポリマーゲルに疎水性のスチレン成分を放射線共重合法により導入し、さらにヘルペスウイルスの治療薬として知られている9--D-アラビノフラノシルアデニン(Ara-A)を包括させた。このゲルは、電子顕微鏡観察の結果から、筆者の命名したポンプ型マトリックスであることがわかった。ゲルからのAra-Aの放出性能を、10Cと37Cの間でサイクルさせて調べたところ、パルス的に薬物が放出されること、放出量はそれぞれ11ng/hと33ng/hとなることがわかった。このような薬物のパルス的放出は、ゲルに含まれるsf組成により制御できる見通しを得た。
Safranj, A.; 狩野 繁之*; 吉田 勝; 大道 英樹; 片貝 良一*; 鈴木 守*
Jpn. J. Parasitol., 44(2), p.170 - 173, 1995/04
新規の免疫診断技術を放射線利用により開発するため、マラリア抗体の一部をなす4つのアミノ酸をもとにメタクリロイル-L-アスパラギニル-L-アラニル-L-アルパラギニル-L-プロリンメチルエステルを合成し、その放射線分散重合によりポリマー粒子を合成した。この粒子とマラリア急性期患者の血清を反応させ、さらに標識された抗ヒトIgGを反応させた。粒子の断層を共焦点レーザー走査顕微鏡で観察し、マラリア急性期患者の血清と反応させた粒子に特異的な強い蛍光像が認められた。これより、上述の4つのアミノ酸を固定化するだけで、ポリマー粒子表面が抗体として働くことが示唆された。
Safranj, A.; 長岡 範安*; 吉田 勝; 久保田 仁*; 大道 英樹; 片貝 良一*
JAERI-Conf 95-003, p.434 - 438, 1995/03
-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAm)を固相および水溶液系で放射線重合させた場合、重合過程で架橋ポリマーが形成されてくることを見出し、この架橋メカニズムをパルスNMRを用いて検討すると同時に、得られたポリマーゲルの温度応答機能に関しても調べた。固相重合系の場合、重合は、1kGy照射で比較したとき、40C付近から始まり、モノマーの融点(62C)付近で最大(100%)に達した。一方、ゲルは、水の存在下でNIPAAmを照射した時に形成されることがわかった。32C付近に体積相転移をもつこのゲルの体積変化は、50kGy照射付近で極小値を与えた。パルスNMRの実験データから、NIPAAmゲルの架橋構造は3段階からなることがわかった。すなわち、それらは、50kG以下の領域でのtree状構造、50kGy付近でのladder状構造、50kGy以上の領域でのbroken-ladder状構造からなる。
細井 文雄; 大道 英樹; 赤間 和博*; 徳山 悟*; Nakano, Y.*
JAERI-Conf 95-003, p.507 - 511, 1995/03
1.2-ビス[(2E,4E)-オクタデカジエノイル]-Sn-グリセロホスフォコリン(DODPC)にコレステロールや脂肪酸などを混合したリポソームの線による単分子膜を作製し、分子占有面積と組成比との関連から、重合挙動について考察した。その結果、DODPCの2本のアシル鎖はそれぞれ単独に重合すること、2位のアシル鎖の重合速度は1位のそれの10倍程大きいことがわかった。また、これらの重合速度及びポリマーの分子量は、コレステロールや脂肪酸の混合によりDODPC濃度が減少するにもかかわらず、著しく増大した。さらに、単分子膜の分子占有面積と組成比との間には直線関係が得られた。これらの結果から、この混合脂質系では成分が相溶せずドメインを形成すること、ドメイン間に疎水基間相互作用が働きDODPC分子の配向性が増すため重合速度が著しく増大することが結論された。