Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
八木 理公; 阿部 豊*; 安達 公道*; 杉本 純; 山野 憲洋
日本機械学会論文集,B, 65(636), p.245 - 251, 1999/08
蒸気爆発素過程における粗混合状態を模擬した鋼球表面上に形成させた膜沸騰に圧力波を加えることで膜沸騰崩壊挙動を観察した。結果として、炭素鋼及びステンレス鋼ともに圧力波が通過した直後、鋼球表面温度の降下が測定された。熱伝導計算により得られた熱流束の値より評価された蒸気膜厚は、温度降下時において減少した。これらの結果は何らかの形態で蒸気膜が不安定となり蒸気膜崩壊を引き起こした可能性を示唆するものである。また、圧力波が通過した直後の鋼球表面温度は温度降下の度合いに応じて、膜沸騰が崩壊しなかった実験結果、膜沸騰が崩壊した実験結果、膜沸騰が崩壊した後再発生した実験結果に分類できることを確認した。これらの結果から、本実験条件の範囲においては膜沸騰を崩壊させるのに必要となる圧力が鋼球の初期温度に強く依存することを確認した。
八木 理公; 阿部 豊*; 安達 公道*; 小林 朋能*; 山野 憲洋; 杉本 純
JAERI-Research 96-032, 152 Pages, 1996/06
熱的デトネーションモデルに基づく蒸気爆発進展過程の予備的シミュレーションを行った結果、膜沸騰を崩壊させるために必要となる蒸気爆発素過程の移行条件としての圧力条件が蒸気爆発発生の有無に極めて重大な影響を及ぼすことを明らかにした。そこで、高温の炭素鋼球またはステンレス鋼球表面上に膜沸騰を形成させ、圧力波による強制的な膜沸騰の崩壊挙動を観察し、膜沸騰崩壊条件に関する基礎的な実験を実施した。特にステンレス鋼球の実験の場合、鋼球表面温度は圧力波の通過により急激に降下し、圧力波が通過した直後の鋼球の表面温度変化から、膜沸騰の崩壊挙動が膜沸騰の非崩壊、崩壊、崩壊後再発生の3パターンに分類できることを確認した。また、本実験条件の範囲においては膜沸騰の崩壊させるのに必要となる圧力が鋼球の初期温度に強く依存することを確認した。
八木 理公*; 阿部 豊*; 安達 公道*; 山野 憲洋; 杉本 純
JAERI-Research 94-041, 64 Pages, 1994/12
原子炉のシビアアクシデント時における蒸気爆発のメカニズムを解明する上で、粗混合状態での膜沸騰の連鎖的崩壊条件を明らかにすることが不可欠である。本研究においては、この条件を明らかにする第一段階として、粗混合状態において高温融体表面に形成される膜沸騰の崩壊過程を明らかにすることを目的とした。実験では、高温融体を模擬した鋼球を融点を越さない範囲で加熱した後、水に冠水させることで鋼球表面に膜沸騰を形成させ、そこに衝撃波を当て、その時の鋼球表面温度やその周囲の圧力の過渡変化を測定した。その結果、鋼球表面温度は初期の圧力ピークを境にして数回に分けて非連続的に降下し、その時の鋼球表面温度降下の度合は衝撃波圧力および初期鋼球表面温度の条件に応じて、大きく分けて3つのパターンに分けることができた。
井口 正; 榊 勲*; 岩村 公道; 秋本 肇; 大久保 努; 大貫 晃; 安達 公道*; 村尾 良夫
JAERI-M 91-172, 154 Pages, 1991/10
複合注水型ECCSを備えたPWRのLOCA時に重要な、炉心と上部プレナムとの境界における対向流制御(CCFL)現象を解明するために、平板第3次試験装置(SCTF-III)により試験を行った。試験では炉心に蒸気を注入して上昇蒸気流を形成し、上部プレナムに注水してCCFLを起こさせた。試験の結果、大規模の実半径炉心では、上部プレナムから炉心への落水は一様ではなく局所的に生じ、他の領域を蒸気が集中して上昇することが分かった。また、落水は上部プレナム内の水温の低い位置で生じ、落水面積は蒸気流量の減少に伴い増加した。典型的なPWRの条件に対しては、落水面積比は約20%だった。このときの落水流量は、小規模試験結果と同様に低水温ほどまた小蒸気流量ほど増加するものの、その値は落水と上昇蒸気の領域分離のため小規模試験結果からの予測値に比べて約10倍になることが分かった。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 安達 公道*; 村尾 良夫
JAERI-M 91-104, 108 Pages, 1991/07
複合注水型緊急炉心冷却系(ECCS)を備えたドイツ型加圧水型原子炉に於ける冷却材喪失事故時の再冠水過程中に、ホットレグに注入されたECC水が各ループから交互に上部プレナムに供給される場合に於けるブレークスルー及び炉心冷却挙動を平板炉心試験装置(SCTF)第3次炉心を用いて検討した。本試験では、サブクールECC水をバンドル7と8及びバンドル3と4の上方の上部炉心板直上に交互に供給した。試験データの検討から、(1)1つの期間を除いて、交互に行われたECC水の供給と呼応してブレークスルーが2ヶ所で交互に発生した。(2)クエンチ時期の近くを除いて、炉心の冷却はECC水の供給が連続的又は間欠的な場合とほぼ同じであった。(3)クエンチ時期の近くでは、ECC水の供給が連続的又は間欠的な場合と比較して炉心冷却がやや劣化していた。等の点が明らかとなった。
岩村 公道; 刑部 真弘*; 数土 幸夫; 傍島 眞; 大貫 晃; 阿部 豊; 安達 公道*; 村尾 良夫
JAERI-M 91-093, 89 Pages, 1991/06
PWR大破断LOCA時再冠水過程の熱水力学的挙動に及ぼす半径方向出力分布の効果を、平板炉心試験装置(SCTF)を用いて調べた。実際のPWRでは周辺バンドルでは中心バンドルよりも出力が低くなっているので、半径方向出力分布に起因するいわゆるチムニー効果のため、高出力バンドルでの冷却を促進することが期待される。SCTFはPWRの半径方向長さを模擬しており、半径方向出力分布効果が調べられる。SCTF第1次炉心における4種類の強制注入試験(S1-01,S1-06,S1-08,S1-11)の試験結果より、以下の点が明らかになった。1)半径方向出力分布により炉心内に二次元的な流れが生じた。横流れの方向はクエントフロント上方では中心の高出力部より周辺の低出力部に向い、クエントフロントの下方では横流れ方向が逆転した。2)総出力が同一の場合の最高出力バンドルにおいては、より急峻な出力分布の方が平坦出力分布の場合より熱伝達率は大きくなる。
大貫 晃; 安達 公道*; 岩村 公道; 井口 正; 阿部 豊; 村尾 良夫
JAERI-M 91-033, 68 Pages, 1991/03
平板炉心試験装置(SCTF)を使った今までの実験的研究により、PWR-LOCA時再冠水過程における高出力バンドルでの熱伝達促進に対する物理的な機構として、高出力バンドルでの液上昇流量が低出力バンドルでのそれより高くなるという機構が考えられる。本報ではこの考えに基づく物理モデルを開発する一環として、半径方向出力分布による熱伝達促進の程度と液上昇流量の増加量との定量的な関係を評価した。評価方法としては、炉心内の二次元的な流動が無視できる半径方向の出力分布が平坦であり、LPCI期の流量の異なる二つの試験結果より熱伝達の増加の程度を評価し、以前に行った半径方向出力比の存在による熱伝達促進の程度とを比較する方法をとった。二つの試験の流量の比はほぼ2であった。この二つの試験での熱伝達率の増加の程度は、半径方向のピーク出力の比が1.065の場合の熱伝達促進の程度とほぼ同程度であることがわかった。
大貫 晃; 傍島 眞; 岩村 公道; 安達 公道*; 大久保 努; 阿部 豊; 村尾 良夫
JAERI-M 91-001, 125 Pages, 1991/02
平板炉心試験では、圧力や炉心入口サブクーリングといったパラメータの効果を調べる際、ECC水注入方法として強制冠水モードを採用している。これは、実炉でのコールドレグ注入の重力冠水モードではパラメータの変化により炉心境界条件が変化するためである。しかしながら、強制冠水モードのかたいシステムは圧力容器内の熱水力学的挙動に影響を及ぼすことが考えられ、強制冠水モードの妥当性を確かめる必要があった。そこで本報ではECC水注入モードの違いによる効果を、重力冠水試験及び強制冠水試験のデータの比較及びREFLAコードによる解析により明らかにした。主な結論として、炉心境界条件が両注入モードで同等であれば、モードの違いは2次元挙動を含む圧力容器内の熱水力学的挙動に影響しないことがわかった。
大貫 晃; 岩村 公道; 阿部 豊; 安達 公道*; 村尾 良夫
JAERI-M 90-236, 76 Pages, 1991/01
PWR-LOCA時再冠水過程での炉心入口サブクール度は、コールドレグでの凝縮の程度、ダウンカマ壁からの入熱の程度及び下部プレナム残存水の水温の違いにより影響をうけ、サブクール度の違いが圧力容器内における二次元挙動を含む熱水力学的挙動に影響を及ぼすことが考えられる。本報告書では、SCTF第2次炉心重力冠水試験の結果を用い、圧力容器内における二次元挙動を含む熱水力学的挙動に対する炉心入口サブクール度の違いの効果を調べた。主な結論として、(1)サブクール度が高いほど、炉心内や上部プレナム内の蓄水量は多くなり、炉心冷却は促進された。この傾向はクエンチ速度の違い及び発生蒸気量の違いにより説明できる。(2)圧力容器内における二次元熱水力学挙動(ボイド率や熱伝達率の半径方向の差等)に及ぼすサブクール度の違いの効果はほとんどなかった。
安達 公道*; 岩村 公道; 傍島 眞; 大貫 晃; 阿部 豊; 村尾 良夫
JAERI-M 90-130, 77 Pages, 1990/08
平板炉心試験装置(SCTF)は、PWR-LOCA時の、主として再冠水過程における炉心内の2次元的な熱水力学的挙動を解明することを目的として建設された。SCTF試験計画では3体の模擬炉心を使用する予定であり、それぞれの炉心の設計が少しづつ異なるので、異なる炉心を用いて得た試験データを直接比較して良いかどうかを再現性試験によって明らかにしておく必要がある。本報では、共に強制冠水条件下で行われた、第2次炉心使用の試験S2-13(Run618)と第1次炉心使用の試験S1-05(Run511)とのデータの比較を行なった。システムの熱水力学的挙動においても、炉心の2次元挙動においても、これらの2つの試験はきわめて類似のものであった。しかし、被覆管温度が最高値に達した後の時間帯において、上部プレナムの蓄水挙動や、炉心下部から上方へのクエンチフロントの進行状況等の2次元的な炉心冷却挙動に有意な違いが見られた。
安達 公道; 岩村 公道; 傍島 眞; 刑部 真弘; 大貫 晃; 阿部 豊; 村尾 良夫
JAERI-M 90-129, 179 Pages, 1990/08
本報告書では、一定系圧力条件下で行われた平板炉心試験装置(SCTF)第1次炉心コールドレグ注入再冠水試験S1-14(Run520)、S1-15(521)、S1-16(522)、S1-17(523)、S1-20(530)、S1-21(531)、S1-23(536)、S1-24(537)において観察されたシステム挙動について紹介する。主な検討項目は、(1)蒸気バインィディング、(2)U字管振動、(3)ECC水のバイパス、(4)炉心冷却挙動、(5)ベント弁の効果、および(6)試験パラメータの影響である。ここに紹介する結果は、再冠水挙動について極めて有用な情報や示唆を与えるものである。
安達 公道; 岩村 公道; 傍島 眞; 大貫 晃; 阿部 豊; 大久保 努; 村尾 良夫
JAERI-M 90-107, 146 Pages, 1990/07
平板炉心試験装置(SCTF)第1次炉心コールドレグ注入試験シリーズにおいては、蓄圧注入系注入期間中およびその後のある時間にわたって、炉心とダウンカマの間でU字管振動が観察された。また、同時期に、非常に良好な炉心冷却が観察された。これら2種類の現象の間には、何らかの関連があるものと思われる。U字管振動は、蓄圧注入から低圧注入への切換え時における炉心条件に大きな不確実性を与える。この切り換え時炉心条件は、炉心2次元熱水力挙動が主として発達する低圧注入期間に対する初期条件となるものであるから、平板2次炉心コールドレグ注入パラメトリック試験の主要な試験からは、上記U字管振動を除去することが望ましい。そこで、検収試験S2-AC1(Run 601)、S2-AC2(Run 602)及びS2-AC3(603)を実施することにより、U字管振動を除去する適当な試験手法を開発した。
秋本 肇; 岡部 一治*; 傍島 眞; 阿部 豊; 岩村 公道; 大貫 晃; 大久保 努; 安達 公道*; 村尾 良夫
JAERI-M 90-106, 101 Pages, 1990/07
被覆管初期温度が低い時の再冠水挙動を調べるために初期温度を573Kとした試験(試験名S2-09)を平板第2次炉心試験装置(SCTF)を用いて行なった。同試験では初期温度以外の条件は基準試験S2-SH1(初期温度1073K)と同一に設定した。両試験の比較検討の結果から、初期温度が低くなることにより、(1)炉心内の蒸気発生量及び一次系ループ差圧が小さくなること(2)ターンアラウンド温度は低く、温度上昇量は大きく、クエンチ速度は速くなること等がわかった。試験S2-09と同様に被覆管初期温度が低い条件で実施された円筒炉心試験装置(CCTF)による試験(試験名C2-12)では周期が50秒程度の流動振動が報告されている。試験S2-09では、初期温度が低い条件であったが、円筒炉心試験C2-12でみられたような流動振動はみられなかった。この相異は、CCTFと異なり、SCTFでは発熱源としての蒸気発生器が模擬されていないことに起因すると考えられる。
大久保 努; 傍島 眞; 岩村 公道; 大貫 晃; 阿部 豊; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-083, 155 Pages, 1990/06
実機に対する流路面積の縮小割合は同じであるものの、実機の半径と同じ炉心幅を有するSCTFとその約4分の1の炉心半径を有するCCTFの間の炉心再冠水挙動の差および炉心の2次元的な熱水力学的挙動に与える炉心半径長さの効果を検討するため、数回のSCTF/CCTF対照試験を実施した。得られた主要な結果は以下の通りである。(1)SCTFとCCTFの間の試験条件と装置上の相違を考慮すれば、両試験に於ける再冠水挙動は類似のものであると考えられる。炉心の蓄水挙動の相違は炉心の実効流路面積の相違でほぼ説明できた。(2)炉心の半径長さがその2次元的な熱水力学的挙動に及ぼす効果は大きく、炉心半径の長い程顕著に現れる。(3)半径方向に大きな出力の変化がある場合には、その高出力側のバンドルでLPCI注水期に著しく熱伝達率が増加する。また、炉心の周辺領域では、同一のバンドル出力であるにも係わらず外周側のバンドル程熱伝達率の低減が大きい。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-080, 100 Pages, 1990/05
複合注水型ECCSを備えたPWRのLOCA時再冠水過程に、ホットレグに注入されたECC水が上部プレナムに間欠的に供給される場合のブレークスルー及び炉心冷却挙動をSCTF試験により検討した。本試験のデータを連続的なECC注水により実施した試験のデータも含めて検討して、以下の結論が得られた。(1)ブレークスルーは間欠的に発生し、間欠的なECC水の供給に即座に呼応して発生した。ブレークスルーの発生している期間には、ブレークスルー領域と非ブレークスルー領域で異なった二つの熱水力学的挙動が見られた。(2)ECC注水流量がほぼ零の期間には、炉心の水頭が減少し、この期間の炉心冷却を悪化させた。炉心水頭の減少の原因は、上部プレナムでの蒸気の凝縮の減少による健全ループ差圧の増加にあると考えられる。(3)炉心冷却挙動は、振動的であったものの連続的な注水を行なった場合とほぼ同じであった。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-046, 114 Pages, 1990/03
UPTFとの実験的結合に用いるコールドレグ注水型ECCS付PWRに対する評価モデル条件下に於ける広い炉心内の再冠水データを得る為に、1000MWe級PWRの半径と同じ半径方向長さを有するSCTF第3次炉心を用いて試験を実施した。本報告書では、対応するCCTF試験C2-4のデータを用いてSCTFとCCTFの間の再冠水挙動の差を主に検討した。得られた主要な結論は、(1)本試験は成功裏に実施され、UPTFとの結合に必要なデータを取得した。(2)本試験でみられた全体的な炉心冷却挙動は、CCTF試験C2-4のそれとほぼ同一であった。(3)しかし、本試験でみられた炉心差圧の特徴は、試験C2-4でみられたものと多少異なっていた。この相違の理由は、両試験の間で炉心入口サブクーリングが異なっていた事と両試験装置の間で炉心の実効流路面積が異なっている事であるとしてほぼ説明できた。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-036, 120 Pages, 1990/03
ベントバルブ付PWR(BBR)のLOCA時再冠水過程の熱水力学的挙動を検討するため、SCTFを用いて再冠水実験を実施した。また、本試験結果は、2D/3D協定に基づき、西独の上部プレナム試験装置との実験的結合に用いられることになっている。本試験のデータを他の試験のデータも用いて解析し、以下の主要な結論を得た。(1)最適条件下におけるBBRの再冠水過程中の炉心冷却は非常に良好で有ることが実証された。(2)健全ループ差圧は、ベントバブルが開くことにより著しく減少する。(3)ベントバルブが炉心冷却におよぼす効果は、ベントバルブが開いていない場合にダウンカマ水位がオーバフロ位置に達しない条件の下では顕著ではなかった。しかし、その効果は、ベントバブルが開いていない場合に、ダウンカマ水位がオーバフロ位置を越えるような条件の下では顕著になると考えられる。
大久保 努; 井口 正; 岩村 公道; 秋本 肇; 大貫 晃; 阿部 豊; 湊 明彦*; 榊 勲*; 安達 公道; 村尾 良夫
JAERI-M 90-035, 143 Pages, 1990/03
複合注水型ECCSを備えたPWRの再冠水過程において、タイプレート付近の水温分布がブレークスルーおよび炉心冷却に与える影響を検討するため、SCTF第3次炉心を用いて2回の試験を実施した。一方の試験(試験S3-7)では、UCSP直上へのECC注水をバンドル3、4の上方で行い、もう一方の試験(試験S3-8)では、最初の60秒はバンドル7、8の上方でその後バンドル3、4の上方へ切換えて注水を行なった。これらの試験データを解析して、以下の事柄が明らかとなった。ブレークスルーは、タイプレート付近での水温がサブクールの所で生じ、ブレークスルー域では、炉心冷却が著しく増大する。また、ブレークスルーの位置は、多少の時間遅れを伴ってタイプレート付近での水温分布の変化に追随して変化する。更に、ブレークスルーの生じていない領域での炉心冷却は、ブレークスルーの位置に関係無く同程度である。
村尾 良夫; 井口 正; 安達 公道; 杉本 純; 秋本 肇; 岩村 公道; 大久保 努; 大貫 晃; 阿部 豊
Proc. of the 4th Int. Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Vol. 1, p.54 - 59, 1989/10
PWRの冷却材喪失事故時再冠水過程に関しては、従来、軸方向には実寸大であるが、半径方向には寸法が十分小さく軸方向に1次元的な試験装置による試験からの知見に基づいて、半径方向にも寸法が十分大きいPWR圧力容器内多次元熱水力挙動の安全性を評価してきた。本報告は、大型再冠水効果実証試験の円筒炉心試験、平板炉心試験の結果にもとづいて、多次元熱水力挙動を明らかにすることを目的としている。見い出された多次元熱水力挙動は、次の通りである。(1)炉心内に蓄積された水の量が1次元のものより多く、炉心冷却が1次元のものより良い。(2)半径方向の出力分布により生ずる横流れのため、炉心内の蓄積水量がほぼ均一化し、高出力部の冷却もよい。(3)半径方向の出力分布のため、又は、炉心上方から注入された冷水により炉心内循環流が生じ、冷却が促進する。
岩村 公道; 井口 正; 安達 公道; 村尾 良夫
Journal of Nuclear Science and Technology, 26(4), p.428 - 440, 1989/04
平板炉心試験装置(SCTF)及び円筒炉心試験装置(CCTF)を用いた試験の結果、PWR-LOCA時再冠水過程における半径方向出力分布に起因する熱伝達促進の程度は、主として半径方向出力比自体により決定され、最大出力比1.36以内では、出力分布の形状にはほとんど依存しないことが判明した。また、再冠水過程の広範囲な試験条件及び1/4.6から実寸大までの炉心半径長さが、2次元熱伝達挙動に及ぼす影響は小さかった。不均一な半径方向出力分布が存在する場合の熱伝達率は、完全混合条件下で得られる熱伝達率と、SCTF試験結果に基づく実験式により与えられる値との和として表現できた。