ミュオンスピン緩和法によるBaIrSiとSrAuSiの弱磁場における超伝導状態

中野 裕章; 髭本 亘; 宮田 侑; 伊藤 孝

no journal, , 

空間反転対称性が破れた結晶構造を持つ超伝導体では、クーパー対1重項状態と3重項状態の混成が起こるなどの特異な状態が実現するものと考えられている。さらにいくつかの空間反転対称性が破れた超伝導体ではクーパー対時間反転対称性の破れが実験的に提案されている。我々は、クーパー対の対称性を明らかにするために、超伝導相においてゼロ磁場と弱縦磁場の条件下でのミュオンスピン緩和法により調べた。その結果、時間反転対称性の破れた超伝導体では微弱な内部磁場の出現が見られるが、ゼロ磁場下の測定では両物質とも常伝導状態と超伝導状態で差が無く、クーパー対の時間反転対称性の破れを示唆する結果は得られていない。一方磁場を印可した場合には、通常はミュオンスピン緩和率が磁場の増加に伴って単調に減少するはずの挙動が、弱磁場域において逆の応答となることがどちらの物質でも見出された。