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桐島 陽*; 寺崎 万里子*; 宮川 和也; 岡本 芳浩; 秋山 大輔*
Chemosphere, 289, p.133181_1 - 133181_12, 2022/04
被引用回数:1 パーセンタイル:6.09(Environmental Sciences)令和2年度以降の幌延深地層研究計画において原子力機構が取り組んでいる課題の1つである「実際の地質環境における人工バリアの適用性確認」では、坑道周辺の掘削損傷領域において物質移行に関するデータの取得が必要である。これに資することが期待される基礎的知見として、深部地下水中のアクチニドの移行挙動をより良く理解するために、水質の異なる2種類の地下水試料にトレーサーを添加し、地下水中の溶存成分との相互作用を調べた。地下水試料は、幌延深地層研究センターの地下施設の250mおよび350m調査坑道のボーリング孔および、瑞浪超深地層研究所の地下施設の300mおよび500m坑道のボーリング孔から採取した。得られた地下水試料に対して、トレーサーとしてLa, Sm, Ho, Uを濃度10ppbまたは100ppbになるように添加した。その後、地下水試料を0.2mフィルターと10kDaフィルターで順次濾過し、ろ液中のトレーサー濃度をICP-MSで分析し、ろ紙に捕獲されたトレーサー濃度をTOF-SIMSで分析し、化学形態をXAFSにより分析した。その結果、幌延の地下水中では、ランタニドの移行はリン酸塩により支配されていることが分かった。このことから、高レベル放射性廃棄物から海成堆積層の地下水中に溶出するマイナーアクチニドの溶解度は、リン酸塩により規定されることが示唆された。一方、瑞浪の地下水のように塩濃度が低くリン酸イオン濃度の低い地下水では、マイナーアクチニドの一部は水酸化物もしくはヒドロオキシ炭酸塩を形成することが示唆された。
桐島 陽*; 寺崎 万里子*; 宮川 和也; 岡本 芳浩; 秋山 大輔*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、ガラス固化体から地下水に溶出した放射性核種は、さまざまな相互作用を行いながら拡散によって周辺母岩に移行する。日本原子力研究開発機構は、令和2年度以降の幌延深地層研究計画に基づく研究課題の中で、有機物やコロイド・微生物が放射性核種の移行に与える影響を確認するための物質移行試験に取り組んでいる。本研究では、幌延深地層研究センターおよび瑞浪超深地層研究所の両地下施設から地下水を採取し、3価アクチノイドのアナログ元素としてランタノイドを添加した。その後、地下水試料を0.2mフィルターと10kDaフィルターで順次ろ過し、ろ液中のトレーサー濃度をICP-MSで分析し、ろ紙に捕獲されたトレーサー濃度をTOF-SIMSで分析し、化学形態をXAFSにより分析した。その結果、幌延の地下水中では、ランタノイドの移行はリン酸塩により支配されていることが分かった。一方、瑞浪の地下水のように塩濃度が低くリン酸イオン濃度の低い地下水では、アクチノイドの一部は水酸化物もしくはヒドロオキシ炭酸塩を形成することが示唆された。