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浦川 啓*; 井上 徹*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 小原 真司*; 若林 大佑*; 佐藤 友子*; 船守 展正*; 舟越 賢一*
Minerals (Internet), 10(1), p.84_1 - 84_13, 2020/01
被引用回数:7 パーセンタイル:65.28(Geochemistry & Geophysics)含水SiOガラスの構造は、酸化物ガラスやマグマの物理化学的性質に対する水の影響を調べるために基礎的な情報である。DOを13重量%濃度含む含水SiOガラスを、高温高圧下で合成し、その構造を小角X線散乱、X線回折、中性子回折により、室温10GPaまでの範囲で調べた。この含水ガラスはSiOが卓越した主成分とDOが卓越した少量の成分に相分離していることが分かった。またその中距離構造は、含水化でSi-OH水酸基ができたことによりSiO連結が壊れ、無水のガラスより縮んでいた。その一方で、高圧下での挙動に違いは見られなかった。また、多くのDO分子は、小さな領域にかたまっており、その主成分であるSiOガラス相へは侵入していないと思われる。
米田 安宏; 小原 真司*; 中島 光一*; 永田 肇*; 和田 智志*
Japanese Journal of Applied Physics, 54(10S), p.10NC01_1 - 10NC01_6, 2015/10
被引用回数:4 パーセンタイル:18.73(Physics, Applied)高エネルギーX線回折実験で得られたデータを元に、2体相関分布関数法を用いてソルボサーマル法で合成されたニオブ酸カリウム(KNbO)ナノパウダーの局所構造解析を行った。ナノ粒子の局所構造は原子揺らぎのために平均構造とは一致していないことがわかった。平均構造は正方晶系でありながら、局所構造は菱面体晶構造を有し、ニオブ原子がNbO八面体ユニットの中心位置からずれており、この原子変位はアニールによる粒成長後も保持されていた。
米田 安宏; 小原 真司*; 野口 祐二*; 宮山 勝*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 40(1), p.29 - 32, 2015/03
積層型セラミッックコンデンサとして広く用いられている強誘電体材料のチタン酸バリウム(BaTiO)は特性向上のための添加物ドーピングが研究されている。特にマンガン(Mn)はBaTiOの特性を大きく向上させる添加物として重要である。しかしながらMnは酸素欠損などの周囲の状況によって、その働きが大きく異なるため、Mn添加効果を正しく評価することは困難であった。しかしながら近年、酸素空孔がコントロール可能な作成法が実現し、Mnの添加効果を正確に評価できるサンプルが入手できるようになった。そこで、BaTiOにドープされたMnの価数をX-ray absorption fine structure (XAFS)を用いて決定し、添加物効果がもたらす構造変化を2体相関分布関数法を用いて検討した。その結果、MnはTiと同じ4価でドープされMn添加は局所構造に大きな影響を与えていることがわかった。
米田 安宏; 小原 真司*
Ferroelectrics, 485(1), p.34 - 41, 2015/00
被引用回数:2 パーセンタイル:14.77(Materials Science, Multidisciplinary)放射光X線を用いた全散乱回折データには長距離レンジと短距離レンジ双方の構造情報が含まれている。強誘電体の場合はさらにドメイン構造のため平均構造と局所構造との間にずれが生じる。2体相関分布関数法(PDF)を用いた局所構造解析は強誘電体のメカニズムを理解するために有用である。今回、我々はペロブスカイト酸化物強誘電体に対してPDF解析を適用した。特にチタン酸バリウム(BaTiO)において、熱振動のために局所歪が平均構造に埋もれる秩序-無秩序型の相転移機構が明らかとなった。PDF解析を用いることでペロブスカイト酸化物の種々の不安定性の解明を試みた。
米田 安宏; 小原 真司*; 永田 肇*; Fu, D.*; 竹中 正*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 39(4), p.455 - 458, 2014/12
Nb系ペロブスカイト酸化物は豊田中央研究所で開発されたLF4に代表されるように非常に大きな自発分極を有する強誘電体材料の有力なエンドメンバーである。しかしながら、LF4のような特性を示す材料の発見がごく最近であるため、その特性発現機構は未だ明らかにはされていない。また、Nb系ペロブスカイト酸化物はAサイトにアルカリ金属を有するために合成が困難で、良質のサンプルを得ることが困難であった。近年、合成法の改善により各種のNb系ペロブスカイト酸化物の高品位サンプルが入手できるようになった。そこで、これらのNb系ペロブスカイト酸化物の中から、NaNbO, KNbO、およびAgNbOの3種類のNb系ペロブスカイト化合物を選択し、2体相関分布関数法(pair-distribution function: PDF)を用いた局所構造解析を行うこととした。これらの局所構造は、平均構造で概ね再現できる。しかし、Nbが占めるサイト周辺の相関が非常に強固であり、サイトを占めるアルカリ金属のイオンサイズに応じて相関長が変化することがわかった。
米田 安宏; 小原 真司*; 熊田 伸弘*; 和田 智志*
Japanese Journal of Applied Physics, 53(9S), p.09PD01_1 - 09PD01_5, 2014/09
被引用回数:3 パーセンタイル:13.49(Physics, Applied)チタン酸バリウム(BaTiO, BT)とニオブ酸カリウム(KNbO)は共にペロブスカイト構造を有する 強誘電体でほぼ同じ逐次相転移を起こすことが知られている。スレーターモードとして知られるBサイトイオンのオフセンターシフトを分極発現機構に持つBTに対し、アクセモードと呼ばれるBサイトイオンを含む八面体の回転モードを分極発現機構に持つKNはBサイトのNbと酸素の相関が非常に強く、Nbサイトのネットワークがペロブスカイト構造を形成している。BTとKNは同じペロブスカイト構造を有していながら、局所的には異なるネットワーク構造で形成されている。このように、異なるネットワーク構造を持つ物質で混晶を作製した場合、どのような局所構造が現れるのか、興味が持たれる。BT-KN混晶の高エネルギーX線回折とBa-L3吸収端XAFSを行い、局所構造解析を行った。BTとKNは局所構造に類似性が認めら れるが、固溶化が進むにつれて局所構造が変調 を受けることがわかった。その局所構造の変調の原因として、ドメインサイズの微小化によってドメイン内部の強誘電的な相関が弱められたことが考えられる。
米田 安宏; Fu, D.*; 小原 真司*
Journal of Physics; Conference Series, 502(1), p.012022_1 - 012022_4, 2014/04
被引用回数:12 パーセンタイル:97.61斜方晶ペロブスカイト構造を有する物質は、強誘電体や磁性体に多く見られるが、Pb(Zr,Ti)OやLaMnOなどでは、温度変化や圧力変化に伴う相転移を理解するために、従来的な結晶構造解析だけでなく、局所構造解析を併用することによって相転移発現機構が正しく理解されることが示されている。今回、われわれは室温において斜方晶構造を持つNaNbOの局所構造解析を高エネルギーX線を用いた2体相関分布関数法で行った。その結果、NaNbOは200Kで典型的な秩序-無秩序型の相転移を起こしていることがわかった。NaNbOは定温領域で2相共存状態があるという報告もあるが、このような複雑な相転移的機構は秩序-無秩序型の相転移的によって引き起こされている。
米田 安宏; 小原 真司*; 加藤 一実*
Japanese Journal of Applied Physics, 52(9), p.09KF01_1 - 09KF01_5, 2013/09
被引用回数:8 パーセンタイル:34.7(Physics, Applied)ナノサイズのチタン酸バリウム粒子の構造を高エネルギーX線回折を用いた2体相関分布関数法、及びX線吸収微細構造を用いて評価した。ナノサイズ粒子はいずれも平均構造は自発分極の発生を許さない常誘電的な構造であるが、局所的にはよくオーダーした強誘電的なペロブスカイト構造を有していることがわかった。また、粒子サイズだけでなく、モフォロジーも強誘電性の発現に寄与していることが示された。
米田 安宏; 小原 真司*; 伊藤 真義*; 阿部 浩之; 竹内 光明*; 内田 裕久*; 松村 義人*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 38(1), p.109 - 112, 2013/03
超磁歪材料であるSmFe及びTbFeの局所構造解析を高エネルギーX線を用いた2体相関分布関数法(atomic pair-distribution function: PDF)によって行った。SmFeやTbFeの磁歪特性はイオン照射によってコントロールすることができるが、そのメカニズムを明らかにすることができた。イオン照射はSmFe及びTbFeのFe-Feの相関に作用し、Fe-Feの相関を選択的に分断する。これによってFe-FeのネットワークからSm-Sm及びTb-Tbのネットワークへと結晶構造の担い手が変化する。これによって磁歪特性が制御できることを示した。
米田 安宏; 小原 真司*; 武田 博明*; 鶴見 敬章*
Japanese Journal of Applied Physics, 51(9), p.09LE06_1 - 09LE06_6, 2012/09
被引用回数:13 パーセンタイル:51.44(Physics, Applied)高エネルギーX線回折で得られた2体相関分布関数を用いて層状化合物であるBiWOの局所構造解析を行った。BiWOは660Cで相転移を起こすが、この時の平均構造の変化が非常に小さいために相転移機構がよくわかっていない。高エネルギーX線回折を用いて得られた平均構造は室温では構造で660C以上では構造であった。しかし、両者の原子位置は非常によく似ており、Bragg反射の分裂や消滅は観測することができなかった。局所構造解析を行ったところ、平均構造のでもでも実験的に得られた2体相関分布関数を再現することはできなかった。そこで、層方向にBiを平均構造からシフトさせたところ、実験データと非常に良い一致を得ることができた。また、このBiの平均構造からのシフトは660C以上で消失しており、相転移とかかわりがあることは明らかである。BiWOは層状化合物であるため、BiO layerとWO layerとで異なったコヒーレント長を持っている。このコヒーレント長の変化を2体相関分布関数によって可視化することに成功した。
Brazhkin, V. V.*; Akola, J.*; 片山 芳則; 小原 真司*; Kondrin, M. V.*; Lyapin, A. G.*; Lyapin, S. G.*; Tricot, G.*; Yagafarov, O.
Journal of Materials Chemistry, 21(28), p.10442 - 10447, 2011/07
被引用回数:16 パーセンタイル:46.21(Chemistry, Physical)POは高い吸湿性を持つ典型的なガラス形成酸化物である。われわれは超高圧下でPO融体を急冷することで、通常よりも12%も高い密度を持つガラスを作ることに成功した。このガラスは吸湿性が少なく、数週間空気中で安定である。この新しい形態のガラスの構造解析によって、ガラス中のナノ空孔の体積が減少していることが明らかになった。
飯久保 智*; 古屋仲 秀樹*; 社本 真一; 竹内 謙*; 小原 真司*; 樹神 克明; Loong, C.-K.*
Journal of Physics and Chemistry of Solids, 71(11), p.1603 - 1608, 2010/11
被引用回数:8 パーセンタイル:37.53(Chemistry, Multidisciplinary)X線と中性子粉末回折データの2体分布関数解析を用いて、乾燥及び重水素化したナノ酸化マンガン粉末試料の局所結晶構造を調べた。プロトン化したサンプルは、海水のようなpptレベルの水溶液からでさえ、金吸着剤として極めて高い効率性を示す。ナノ酸化マンガン粒子がR-MnO型の局所結晶構造を持つことをここで示し、ナノ粒子表面上の水素イオンの役割の可能性について議論する。
Ferdows, M.; 鈴谷 賢太郎; 川北 至信; 小原 真司*; 樹神 克明; 山本 和典; 社本 真一; 平田 孝道*; 表 研次*; 笠間 泰彦*; et al.
Abstracts of 7th International Symposium on Advanced Materials in Asia-Pacific (NT 2010)/JAIST International Symposium on Nano Technology 2010 (7th ISAMAP), p.25 - 28, 2010/09
ヘテロフラーレンCNのアモルファス構造を研究するために、パルス中性子粉末回折データを用いて、逆モンテカルロシミュレーション解析を行った。散乱関数S(Q)は、構造が不定形であることを示している。一方、原子2体分布関数(PDF)は、局所構造が、Cの構造と類似していることを示している。得られた構造は、初期モデルに強く依存する。逆モンテカルロシミュレーション法の問題について議論する。
早川 弘毅*; 森本 昌規*; 池田 直*; 米田 安宏; 小原 真司*; 吉井 賢資; 松尾 祥史*; 道内 尊正*; 森 茂生*
Transactions of the Materials Research Society of Japan, 34(1), p.51 - 54, 2009/05
最近われわれは、LuFeOが、鉄3d電子の局在化により強誘電性を示す新規なタイプの強誘電体であると報告したが、この物質の詳細な性質はいまだわかっていないことが多い。このことを鑑み、本研究では、LuFeOに対し高エネルギー放射光X線を用いた局所構造解析を行った。Pair-distribution functionに対するフィッティングの結果、強誘電相における局所構造は、これまで報告されている結晶構造とは異なり、ルテチウム原子が変位した構造を持っていることがわかった。このことは、この物質の結晶構造を再検討する必要性を示す。また、局所構造解析の結果を誘電率測定・磁化測定や電子線回折などから得られた結果とあわせて議論し、LuFeOの性質を明らかにすることを試みる。
米田 安宏; 吉井 賢資; 小原 真司*; 喜多川 修二*; 森 茂生*
Japanese Journal of Applied Physics, 47(9), p.7590 - 7594, 2008/09
被引用回数:23 パーセンタイル:64.41(Physics, Applied)BiFeOとBaTiOを固溶させた(1-)BiFeO-BaTiOに関しては、Kumarによって室温での構造が=0.33近傍でcubic構造となり、誘電率が増加することが報告されている。また、この混晶の電子顕微鏡観察が森らによって行われており、=0.33の試料では電子回折パターンに散漫散乱が現れ、暗視野像においてツイードパターンが観察されることが報告された。平均構造がcubicであるにもかかわらず、何だかの強誘電的ドメインが観察されるということは、長距離構造には現れないローカルな強誘電性発現機構が存在することを示している。そこで、高エネルギーX線回折で得たデータを元にpair-distribution function解析を行うことで、(1-)BiFeO-BaTiOの局所構造を明らかにし、強誘電的性質とのかかわりを示すことを試みた。その結果、BiOポリヘドロンはBiのlone-pair電子のために歪んだ構造をしており、この局所的な歪みが分極発現機構となっていることがわかった。
Brazhkin, V. V.*; Gavrilyuk, A. G.*; Lyapin, A. G.*; Timofeev, Yu. A.*; 片山 芳則; 小原 真司*
Applied Physics Letters, 91(3), p.031912_1 - 031912_3, 2007/07
被引用回数:20 パーセンタイル:61.53(Physics, Applied)AsSの組成のバルクのカルコゲナイドガラスの高圧合成法が開発された。得られたガラスの構造,光学的性質と安定性が調べられた。このガラスは濃い赤色で、Eg1.75eVの光学擬ギャップ, W120meVの幅広いアーバック吸収端を持つ。また、130Cまで熱的に安定である。このAsSガラスは光結晶化を含む光誘起変化を起こす。ガラスの構造は、分子的なAsSユニットが部分的につながって高分子化したものと考えることができ、無機の分子がユニットとなったガラスの一例である。
小原 真司*; 加藤 健一*; 木村 滋*; 田中 均*; 臼杵 毅*; 鈴谷 賢太郎; 田中 宏志*; 守友 浩*; 松永 利之*; 山田 昇*; et al.
Applied Physics Letters, 89(20), p.201910_1 - 201910_3, 2006/11
被引用回数:196 パーセンタイル:97.85(Physics, Applied)アモルファス-結晶相変化型記録(DVD)材料として代表的なアモルファスGeSbTeの3次元的原子配置を放射光X線回折と逆モンテカルロシミュレーションによって明らかにした。その結果、アモルファスGeSbTeの構造は、4と6の偶数個の原子がつくるリングから成り立っており、GeSbTe結晶がNaCl型で4員環(4角形)のみからなることと類似している。一方、あまり相変化記録速度の速くないアモルファスGeTeでは、Ge-Ge結合が優先的にできてしまうために奇数個の原子からなるリングも多数存在する。こうした結晶とのトポロジカルな類似性がアモルファスGeSbTeの相変化(結晶化)速度を速め、DVD材料として適当とならしめていることが明らかになった。
米田 安宏; 鈴谷 賢太郎; 水木 純一郎; 小原 真司*
Journal of Applied Physics, 100(9), p.093521_1 - 093521_4, 2006/11
被引用回数:12 パーセンタイル:42.6(Physics, Applied)鉛系ペロブスカイトPb(InNb)Oは、結晶作製後のポストアニールによって反強誘電性やリラクサー性を示し、その巨大な誘電率と大きな電気機械結合係数を利用したデバイスの作製が試みられている。一方で、リラクサー状態では結晶構造が強誘電性を許されないCubic構造であるため、強誘電性発現機構が未だ解明されていない。われわれはこの物質の局所構造に注目し、高エネルギーX線回折を用いたPair-distribution function(PDF)解析によって、局所構造を調べた。その結果、リラクサー状態の平均構造はCubicであるが、局所構造では鉛が大きく変位しており、分極を発生していることがわかった。またこの鉛の変位はランダムであり、リラクサー特有のランダムフィールドも、この鉛の動きによって生じていることがわかった。
米田 安宏; 鈴谷 賢太郎; 小原 真司*; 水木 純一郎
Ferroelectrics, 339, p.165 - 174, 2006/09
被引用回数:0 パーセンタイル:6.65(Materials Science, Multidisciplinary)CdTe-ZnTe半導体混晶はzinc-blendeタイプの構造を持つ物質として、初めて強誘電性が確認された。しかし、強誘電性領域においても構造が変化しないことから、強誘電性発現機構がいまだ明らかにはなっていない。われわれは実験室系のX線回折においてZn原子の温度因子が大きく変化することを見いだした。これは熱的揺動だけではなく、静的なdisorderが生じていると考えられる。そこで、disorderな構造を明らかにするために、高エネルギーX線回折とPDF解析を用いて改めてこのCdTe-ZnTe半導体混晶の構造解析を行った。その結果、平均構造位置からのdisorderはZn, Cdサイトだけではなく、むしろTeサイトで支配的に起こっていることがわかった。これらの原子のdisorderの結果、分極が生じ強誘電性を発現していると考えられる。
米田 安宏; 小原 真司*; 水木 純一郎
Japanese Journal of Applied Physics, Part 1, 45(9B), p.7556 - 7559, 2006/09
被引用回数:11 パーセンタイル:40.12(Physics, Applied)チタン酸ビスマスは酸素欠損により大きく誘電物性が低下することが知られているが、酸素欠損による構造変化についてはあまり知られていない。これは酸素欠損が局所的に起こり、Bragg反射に現れるような長距離構造となって現れることがないためである。そこで、局所構造を反映するPDF解析を用いてチタン酸ビスマスの酸素欠損構造を調べた。その結果、酸素欠損によって、ペロブスカイト層のTiO八面体が回転し、酸素抜けによる構造緩和を引き起こしていることが明らかになった。