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古川 智弘; 吉田 英一; 小峰 龍司; 加藤 章一
材料, 48(12), p.1373 - 1378, 1999/00
316FR鋼のナトリウム中クリープおよび疲労試験を実施した。その結果,Na中クリープ強度が,千一万時間程度の破断時間域で大気中でのそれと比較して低下した。また,Na中疲労強度は,高ひずみ範囲では大気中強度よりも優れた結果を示すが,ひずみ範囲が小さくなるにつれて大気中強度との差が小さくなり,0.5%以下のひずみ範囲では大気中と同等かわずかに低下する傾向を示した。これら強度特性に及ぼす影響について,Na接液面近傍の組織形態に着目したミクロ組織解析結果から,Na接液面近傍における組織変化(相の析出)に伴う結晶粒界の弱化が表面き裂の早生に寄与することを明らかにした。さらに,実機で考慮すべき低応力・長時間保持のクリープ疲労条件下では,これらNa環境に起因する表面き裂の発生よりも,内部の粒界キャビティーの生成・合体に基づくき裂発生が強度を支配することから,Na環境の影響は小さいことを明らかにした。
林 和範; 加納 茂機; 小峰 龍司; 舘 義昭; 平川 康; 吉田 英一
PNC TN9410 98-021, 68 Pages, 1998/02
セラミックス材料は、金属材料に比べ、高強度、高硬度、高温強度が大きいなど、構造材料として魅力的な性質を持っている。セラミックスを高速炉環境に適用することを考えた場合、ナトリウムとの共存性およびナトリウムによる機械的性質変化の評価が必要である。今回、焼結セラミックスである'Al2O3(従来材および高純度材)、SiC、SiAlONおよびAIN、並びに一方向凝固セラミックスであるAl2O3/YAG共晶材について、ナトリウム浸漬後の機械的性質変化を調べることを目的に、823K(550)または923K(650)のナトリウム中に3.6Ms(1000時間)浸漬した試験片の曲げ試験を実施した。823K(550)のナトリウム浸漬試験片において、Al2O3(従来材、高純度材共に)、AIN、Al2O3/YAG共晶材においては、曲げ強度変化は見られなかった。これに対し、SiCおよびSiAlONでは曲げ強度の低下が見られた。923K(650)のナトリウム浸漬試験において、AINおよびAl2O3/YAGでは曲げ強度に変化は見られなかった。これに対し、Al2O3(従来材、高純度材共に)およびSiCにおいて、試験試験片の表面観察から粒界腐食が見られ、曲げ強度の低下が見られた。またSiAlONにおいて、曲げ強度の上昇が見られた。今後は、特に、曲げ強度の変化が見られなかった材料につき、さらに長時間の浸漬試験を行う必要がある。また、曲げ強度が上昇したSiAlONについては、そのメカニズムを解明する必要がある。
澤田 浩太; 丸山 公一; 小峰 龍司; 永江 勇二
PNC TN9410 98-018, 32 Pages, 1998/02
高速炉の蒸気発生器材料として開発されたMod.9Cr-1Mo鋼は,細長い板状マルテンサイトが束となった組織を有している。これをマルテンサイトラス組織という。クリープ中にはラスの大きさの増加や転位密度の減少といった組織の回復が起きる。この組織回復は加速クリープを引き起こし,材料は最終的には破断する。本報では,マルテンサイトラス組織のラス幅(個々の細長い板状のマルテンサイトの幅)に注目し,クリープ寿命評価因子としての可能性を種々のクリープ中断試験により検討した。本鋼の焼き戻し温度(1053K)は試験温度(848923K)に比べて高く,ラス組織は熱的に安定である。しかし,クリープ中には応力の影響を受けてラス組織が回復する。ラス幅はクリープひずみの増加に伴い増加し,応力によって決まる平衡値に飽和する。ラス幅の増加は,高温・高応力ほど早い。そこで試験条件の影響を受けない指標として,以下に示すラス幅の変化率を導入した。d/ds:ラス幅の変化率d=d-d0,ds=ds-d0ここで,dは時間tでのラス幅,d0は初期のラス幅,dsはラス幅の飽和値(応力で決まる)である。d/dsとクリープひずみの関係は,試験条件に依存しない。したがって,加速試験により得られたd/dsとひずみの関係は,実機条件にも適用できる。以上から,ラス幅を測定すれば,クリープひずみが推定でき,このひずみ量から推定クリープ曲線を使ってクリープ寿命比を求めることができる。
青砥 紀身; 天藤 雅之; 木村 英隆; 堀切 守人; 小峰 龍司; 平川 康
PNC TN9450 97-016, 860 Pages, 1997/06
高速増殖原型炉「もんじゅ」2次主冷却系Cループ中間熱交換器(IHX)出口温度計からのナトリウム漏えい事故に関連して、当該温度計破損部の原因調査に資するため、同2次系CループIHX入口部の温度計ウェルを調査した報告である。調査は、主に熱電対ウェル段付部の損傷調査およびウェル管台溶接部の健全性に関する情報を得る目的で種々の試験検査を実施した。試験検査は、温度計、ウェル段付部、太径および細径ウェル部ならびにウェル-管台溶接部等で、以下に示す通りである。(1)精密寸法計測(2)ウェルの打振試験(3)各部非破壊検査(4)成分分析(5)金属組織観察(6)ウェル段付部の詳細観察(7)硬さ試験(8)隙間腐食に関する調査(9)ウェルの強度特性試験(10)シース高温曲げ試験
青砥 紀身; 天藤 雅之; 木村 英隆; 堀切 守人; 小峰 龍司; 平川 康
PNC TN9420 97-007, 786 Pages, 1997/06
高速増殖原型炉-もんじゅ-2次主冷却系Cループ中間熱交換器(IHX)出口温度計からのナトリウム漏えい事故における熱電対ウェル損傷部(ウェル段付部の破断部)以外を対象とした調査報告である。調査は、熱電対ウェルと管台、および管台と配管溶接部廻りの健全性の確認として、主に溶接欠陥または隙間腐食による熱電対ウェルの破損の可能性、ならびにナトリウム漏えい量評価上の支配寸法、漏えい経路等における情報を得る目的で種々の試験検査を実施した。試験検査は、当該温度計の熱電対ウェル破断部を除く部分の温度計、ウェル、ウェル-管台溶接部および管台-配管溶接部等で、以下に示す通りである。 (1)精密寸法計測 (2)温度計-ウェルの固定状況把握のための試験検査 (3)残留応力測定 (4)各部非破壊検査 (5)成分分析 (6)溶接部の金属組織観察 (7)硬さ試験 (8)隙間腐食に関する調査 (9)ウェルの強度特性試験 (10)シース高温曲げ試験(破断部を除く部分)
澤田 浩太; 丸山 公一; 小峰 龍司; 永江 勇二
PNC TN9410 97-035, 41 Pages, 1997/03
材料がクリープ変形すると、種々の組織変化が起こる。これらの組織変化は、クリープ寿命の推定に使用できる場合がある。本報では、高速炉の蒸気発生器材料として開発されたMod.9Cr-1Mo鋼のクリープ変形に伴う組織変化を調査し、どの組織因子が寿命評価において適切かを検討した。巨視的な組織変化であるボイド成長,ラス組織の応力軸方向への配向,結晶粒の伸びはくびれ部のみで顕著である。したがって、これらの組織変化は寿命評価には使用できない。微視的な組織因子のうち、ラス幅,ラス内の転位密度は変形により大きく変化する。変形初期からラス幅は増加し、転位密度は減少する。これらの組織変化は三次クリープ域の変形加速の原因である。ラス幅,ラス内の転位密度は、破断前に飽和値に達する。飽和値は温度に依存せず、応力のみによって決まる。本材料が実際に使用される低応力では、これらの組織因子が大きく変化する。したがって、ラス幅,ラス内の転位密度は寿命評価に有用な組織因子である。変形部の硬さは、ラス幅,ラス内の転位密度と相関があり、硬さ測定により、これらの組織変化を評価することが可能である。
澤田 浩太*; 丸山 公一*; 小峰 龍司; 永江 勇二
鉄と鋼, 83(7), p.466 - 471, 1997/00
高速増殖炉の蒸気発生器材料として開発された改良9Cr-1Mo鋼のクリープ寿命評価手法の確立を目的として、クリープ破断材および中断材の組織観察を光学顕微鏡と透過型電子顕微鏡(TEM)により観察した。また、硬さ測定により内部組織を推定できるかを検討した。その結果、以下のことがわかった。(1)TEM観察により、マルテンサイト・ラスのラス幅がクリ-プ変形にともない変化し、その飽和値が温度に依らず応力のみによって決定される。(2)ラス幅は変形初期から変化することから、寿命初期から寿命評価の手段として使用できる可能性がある。(3)破断後の硬さとラス幅には一定の関係があり,硬さ測定によってラス幅が測定できる。
小峰 龍司; 青砥 紀身; 加藤 章一
PNC TN9450 97-012, 75 Pages, 1996/11
本報告書は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の2次冷却系関連室漏えいナトリウム貯留設備に用いられているライナ溶接継手材(SM400B)を対象に、高温側の引張およびクリープ試験の結果について取りまとめたものである。得られた主な結果は、以下の通りである。・溶接継手材の基礎的な高温強度特性データを取得した。・引張強度は、試験片採取方向ならびに熱処理の影響は認められず、母材の並であることを確認した。・破断延性は、破断伸びおよび絞りともに母材と比較して低下した。特に、800 以上の温度域では金属組織変化の影響から急激な低下が認められた。・クリープ強度特性は、母材並の特性を得た。・800 近傍の温度領域ではフェライト相とオーステナイト相の2相が混在する組織であり、900 近傍では、オ-ステナイト相に変態するAc3 点域にあることを確認した。また、900 以上では、HAZ部の粒径が粗大化し、粒界破壊となった。なお、本試験結果は2次冷却系関連室漏えいナトリウム貯留設備の健全性評価の基礎データとして反映される。
加藤 章一; 青砥 紀身; 小峰 龍司
PNC TN9450 97-011, 83 Pages, 1996/11
本報告書は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の2次冷却系関連室漏えいナトリウム貯留設備に使用されているライナ材(SM400B)の母材を対象に、高温側の引張およびクリープ試験の結果について取りまとめたものである。得られた主な結果は、以下の通りである。・ライナ材の基礎的な高温強度特性データを取得した。・ライナ材の引張強度および破断延性に及ぼす試験片採取方向ならびに熱処理の影響は認められなかった。・800 から1000における引張強度および破断延性は、Ac3 点温度領域の影響から金属組織の変化による強度の回復ならびに延性の変化が認められた。また、一様伸びは、700 を除き概ね10% から20% の範囲であった。・ライナ材について、暫定的な縦弾性係数ならびに弾塑性応力-ひずみ挙動およびクリープひずみ挙動の関係式を提案した。なお、本試験結果は2次冷却系関連室漏えいナトリウム貯留設備の健全性評価の基礎データとして反映される。
青砥 紀身; 小峰 龍司; 加藤 章一
PNC TN9410 97-037, 51 Pages, 1996/11
本報告書は、「もんじゅ」2次系配管室の床ライナに用いられている材料である-溶接構造用圧延鋼板(旧規格名称SM41B 、現規格名称SM400B) の基本材料特性を調査し、材料試験等の検討結果に基づき- ナトリウム漏えい時の強度評価に必要な平均的な材料特性を暫定的に求めたものである。主な基本材料特性値は、以下の通りである。・ 0.2%耐力( 下降伏点)・ 引張強さ・ 縦弾性係数・ 静的応力- ひずみ関係(Ludwik 型式のおける物性値)・ クリープひずみ・ 線膨張係数・ 密度・ 比熱・ 熱伝導率
小峰 龍司
PNC TN9450 96-016, 629 Pages, 1996/06
本報告書は、高温構造材料設計 材料強度基準(案)の策定に供する事を目的に、高速実証炉用構造材料として適用が予定されている316FR鋼について、研究開発計画に基づいた試験で取得した高温強度特性試験データをまとめたものである。 報告内容は、以下の通りである。(1)材料 316FR鋼(母材) (2)試験およびデータ点数 引張り試験 105点 クリープ試験 99点 疲労試験 104件 クリープ疲労試験 18点、リラクセーション試験 6点。(3)試験環境 大気中 なお、本報告は動燃事業団の「FBR高像材料データ処理システム SMAT」のデータ帳票出力形式に従い、素材・試験・強度データ・挙動データのデジタル出力値をまとめたものである。
青砥 紀身; 天藤 雅之; 木村 英隆; 堀切 守人; 小峰 龍司; 平川 康
PNC TN9410 97-076, 29 Pages, 1996/06
高速増殖原型炉-もんじゅ-2次主冷却系Cループ中間熱交換器(IHX)出口温度計からのナトリウム漏えい事故に関連して、当該温度計破損部の原因調査に資するため、同2次系CループIHX入口部の温度計ウェルを調査した報告(概要)である-調査は、主に熱電対ウェル段付部の損傷調査およびウェル管台溶接部の健全性に関する情報を得る目的で種々の試験検査を実施した。試験検査は、温度計、ウェル段付部、太径および細径ウェル部ならびにウェル-管台溶接部等で、以下に示す通りである。(1)精密寸法計測(2)ウェルの打振試験(3)各部非破壊検査(4)成分分析(5)金属組織観察(6)ウェル段付部の詳細観察(7)硬さ試験(8)隙間腐食に関する調査(9)ウェルの強度特性試験(10)シース高温曲げ試験
加藤 章一; 小峰 龍司; 鈴木 高一*; 黒子 耕一*
PNC TN9450 96-002, 173 Pages, 1996/01
本報告書は、高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価法の強度化に供することを目的に、FBR大型炉用構造材料として適用が予定されている高速炉構造用316(略称316FR)について、研究開発計画に基づいた試験で収得したクリープ特性データをまとめたものである。報告内容は、以下の通りである。1材料:316FR(溶接継手、溶接金属)2試験雰囲気:大気中3試験温度;5506504試験方法:JIS Z2271「金属材料の引張クリープ試験方法」JIS Z2272「金属材料の引張クリープ破断試験方法」およびPNC N241 97-32「FBR金属材料試験実施要領書」に準拠した。5データ点数:71点、なお、これらの材料特性データは、「FBR構造材料データ処理システムSMAT」のデータ様式に従い作成したものである。
加藤 章一; 小峰 龍司; 鈴木 高一*; 黒子 耕一*
PNC TN9450 96-001, 70 Pages, 1996/01
本報告書は、高温構造材料設計 材料強度基準および高温強度特性評価法の高度化に供することを目的に、FBR大型炉用構造材料として適用が予定されている高速炉構造用316(略称316FR)について、研究開発計画に基づいた試験で収得した引張特性データをまとめたものである。報告内容は、以下の通りである。1材料:316FR(溶接継手、溶接金属)2試験温度:室温650、3試験方法:JIS G 0567「鉄鋼材料および耐熱合金の高温引張試験方法」およびPNC N241 79-32「FBR金属材料試験実施要領書」に準拠した。4データ点数:40点なお、これらの材料特性データは、「FBR構造材料データシステムSMAT」のデータに従い作成したものである。
小峰 龍司; 加藤 章一; 川島 成一*; 高森 裕二*; 石上 勝男*
PNC TN9450 95-013, 70 Pages, 1995/08
本報告は、高温構造材料設計強度基準および高温強度特性評価法の高度化に供することを目的に、FBR大型炉用構造材料として適用が予定されている高速炉構造用316(316FR)について、機器・構造安全工学室の研究開発計画に基づいた試験で収得した大気中疲労特性(クリープ疲労及びひずみ速度高速効果試験)データについてまとめたものである。今回報告する試験内容は、1材料:高速炉構造用316(316FR)網母材網板B6ヒート251000MM1000MM、B7ヒート251000MM1000MM、B8ヒート251000MM1000MM、MCヒート251000MM1000MM、2試験環境:大気中3試験温度:R、T100.200.300.400.450.500.550.600.650.700.8004ひずみ速度:1.0%/SEC、0.1%/SEC、0.01%/SEC、0.001%/SEC、0.0001%/SEC、5保持時間:0.1HR、1.0HR、6ひずみ範囲:0.38%1.86%、7データ点数:108点なお、材料特性データは、「FBR構造材料データ処理システムSMAT」のデータ様式に従い作成したものである。
古川 智弘*; 吉田 英一*; 加藤 章一*; 小峰 龍司*
ASME PVP96 & ICPVP8, 0 Pages, 1995/00
本会議では316FR鋼の高温強度特性に及ぼすNa環境技術課の影響で、ミクロ組織解析に基づいた評価結果を発表する。316FR鋼のNa中クリープ強度が千一万時間程度の破断時間域で大気中のそれと比較して低下し、また、同鋼のNa中疲労強度が、大気中のそれと比較して低ひずみ範囲側で低下するというSUS304では認められなかった傾向を示した。これら強度低下の要因について、Na接液面近傍の組織形態に着目したミクロ組織解析を行い、Na接液面近傍における組織変化に伴う結晶粒界の弱化が、表面き裂の早生に寄与することを明らかにした。また、316L(N)鋼についても検討し、実機で考慮すべき低応力・長時間保持のクリープ疲労条件下では、これらNa環境に起因する表面き裂の発生よりも、内部の粒界キャビティーの生成・合体に基づくき裂発生が強度を支配することから、Na環境の影響は小さいことを明らかにした。
青砥 紀身; 小峰 龍司; 上野 文義; 川崎 弘嗣; 和田 雄作
Nuclear Engineering and Design, 153(1), p.97 - 110, 1994/12
被引用回数:56 パーセンタイル:96.55(Nuclear Science & Technology)大型高速炉の蒸気発生器用構造材料として非常に有望視されている Mod.9Cr-1Mo(NT)鋼のクリープ疲労評価法に関する報告。 動燃が従来より提案している時間消費型クリープ疲労評価法の同鋼へ適用の妥当性を中心に報告する。欧州を中心に検討されている延性損耗則に従った複数の工学的評価法との比較を行い、彼我の違いや共通する点について議論することで、動燃型時間消費型評価法の予測性の良さ、時間外挿の妥当性を主張する。また、同鋼のクリープ疲労評価において問題となる圧縮側ひずみ保持による寿命低下についても破断試験片の工学的観察結果を踏まえて議論する。
青木 昌典; 加藤 章一*; 小峰 龍司; 吉田 英一; 和田 雄作
PNC TN9410 94-261, 143 Pages, 1994/06
FBR大型炉の一体貫流型蒸気発生材料として適用が予定されているMOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材(12MMT) ならびに伝熱管材について、高温引張試験、大気中クリープおよびリラクセーション試験を実施し、基本材料特性を把握した。また、9CR-2MO 鋼を用いて同様な試験を行い、MOD.9CR-1MO 鋼との比較を行った。得られた結果を要約すると以下の通りである。1.引張特性(1)MOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材および伝熱管材の引張強さならびに0.2 %耐力は、材料強度基準暫定値のSu、Syを充分満足していた。ただし、Su値に関しては見直しの可能性が残っていることから、今後総合的な再評価を行う必要がある。(2)MOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材及び伝熱管材の引張強さは、9CR-2MO 鋼の平均傾向より高い値を示した。(3)MOD.9-1MO 鋼の伝熱管相当板材と伝熱管材との比較では、引張強さ、0.2 %耐力はほぼ同じであり、素材による差異は認められなかった。2.クリープ特性(1)MOD.9CR-1MO 鋼の伝熱管相当板材および伝熱管材のクリープ破断強度は、 500600 での材料強度基準暫定値の設計クリープ破断応力強さSR と比較し、全体的に大きく上回っていた。これは特に長時間側で顕著である。(2)定常クリープ速度と破断時間との関係において本試験の結果は、暫定的に定められた材料強度基準で示されている定常クリープひずみ速度M と比較的良い一致を示した。(3)MOD.9C-MO 鋼のクリープ破断強度は板材および伝熱管材とも9CR-2MO 鋼よりも高い値を示し、MOD.9-1MO 鋼が優れたクリープ特性を有していることが明らかになった。3.リラクセーション特性(1)MOD.9CR-1MO 鋼のひずみ 0.1 0.5%の条件での応力は初期時から約50時間でほぼ緩和し、それ以降の応力緩和量は小さいものであった。これらの応力緩和量は高温、高ひずみ側ほど増大した。一方9CR-2MO 鋼は200 時間経過後も徐々に応力緩和が進展しておりM--.9C--1M- 鋼と異なった挙動を示した。(2)本試験範囲におけるリラクセーション挙動は、概ね従来のクリープひずみ式で記述できることが確認できた。本試験の結果は、今後の材料強度基準暫定値の見直しや強度評価法の高
古川 智弘; 小峰 龍司; 吉田 英一; 和田 雄作
PNC TN9410 93-042, 56 Pages, 1993/02
現在、FBR大型炉一体貫流型蒸気発生器に適用が予定されているMOD.9CR-1MO 鋼について、基本材料特性を把握するために大気中高温低サイクル疲労試験を実施した。試験は、製品形状の異なる3鋼種(伝熱管相当板12MMT 、鋼板25MMT 、鍛鋼品250MMT) について、試験温度(0650 ) 、ひずみ範囲(0.41.2 %) 、試験片採取位置および方向をパラメータにした。得られた試験結果は、以下の通りである。1)MOD.9CR-1MO 鋼は、「もんじゅ」SGに適用された2.25CR-1MO鋼と同様、初期時に若干応力が増大するが繰り返しに伴い応力が低下する傾向が認められ、いわゆる繰り返し軟化挙動を示した。2)低サイクル領域での疲労強度は、現行暫定基準が採用されている「もんじゅ」材料強度基準の2.25CR-1MO鋼の最適疲労線図より、十分に優れた強度を有しており、SUS304に匹敵するものであった。また、同じ9CR系鋼である9CR2MO鋼、低C-9CR-1MO-NB-V鋼と比較しても、低ひずみ領域で優れた疲労強度を有していることがわかった。3)鍛鋼品の寿命にばらつきが発生した。採取位置および採取方向の影響の有無を調べた結果、明瞭な特性の差異は認められず、バラツキの範囲として整理できるものであった。以上、本試験によりMOD.9CR-1MO 鋼の鋼板および鍛鋼品の大気中疲労特性を把握することができた。これらのデータは、平成4年度の暫定的な設計疲労線図の改定および強度評価手法の高度化に反映された。
和田 雄作; 小峰 龍司; 加藤 章一; 関 成一
Residual Stresses - III, Vol.2, p.1519 - 1524, 1992/00
密着型の改良9Cr-1Mo鋼製の2重伝熱管内に発生している残留応力につ発生している残留応力について,引抜き加工時に発生する応力を塑性論を用いて解析し,円周方向及び半径方向の分布を明らかにした。外管外表面ではかなり大きな残留応力が生じる。また、内外管の固着力を測定する試験に供する試験片の形状についても検討し、原型をなるべく保った形状でないと、内外管の一部を切り取るときに残留応力分布に影響を与えることを解析で示し、最適試験片形状を示した。本試験片を用い高温加熱保持後の残留応力の緩和現象を固着力の低下という形で測定し、クリープ理論で求めた簡易解析解と比較し、概ね予測可能であることを示した。これによって2重管内の残留応力の分布及び使用時の変化が解析的にある程度予測でき、使用機器の寿命末期迄の性能評価の基礎の一つを固めた。