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小田 治恵; 本田 明; 高瀬 博康*; 小曽根 健嗣*; 佐々木 良一*; 山口 耕平*; 佐藤 努*
粘土科学, 51(2), p.34 - 49, 2013/02
TRU廃棄物の地層処分では、核種の物質移動を抑制するための人工バリア要素として、低透水性のベントナイトを用いた緩衝材が考えられている。セメント由来の高アルカリ性環境では、ベントナイト緩衝材の化学的・鉱物学的変化が生じ、その結果として物質移動特性が変化する可能性がある。本研究では、生起し得る変遷経路とその過程で生じる二次鉱物を抽出し、緩衝材の鉱物学的変遷シナリオを構築した。そして、シナリオに沿った解析ケースを設定し、人工バリア領域の化学反応・物質移動解析を実施した。この結果、準安定相が生成し、安定相が生成しないケースでは、他ケースに比べて、ベントナイトの主要構成鉱物であるスメクタイトの変質が最も進行することがわかった。一方、本解析結果から求められた緩衝材の拡散係数及び透水係数は、すべてのケースにおいて、セメント系材料との界面のごく近傍を除けば、10万年程度の間初期と同等か、拡散係数では若干の低下、透水係数では数倍以内の上昇が見られた。