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酒瀬川 英雄; 野村 光生; 澤山 兼吾; 中山 卓也; 矢板 由美*; 米川 仁*; 小林 登*; 有馬 立身*; 檜山 敏明*; 村田 栄一*
Progress in Nuclear Energy, 153, p.104396_1 - 104396_9, 2022/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)ウラン濃縮施設の使用済み遠心分離機を解体する際、解体部品のウラン汚染面のみを選択的に除去できる除染技術を開発することは重要である。これは適切な除染を通じて、解体部品を非放射性廃棄物として処分、もしくは、再利用するためである。これまでの研究により、ウラン汚染面を除去できる酸性電解水を利用した湿式除染技術を開発した。ただし、実用化のためにはさらなる技術の最適化は必要である。解体部品は、様々な運転履歴、七フッ化ヨウ素ガスを使用した不均一な系統除染の状況、そして、解体後の長期保管条件の変化により、ウラン汚染状態が異なるためである。本研究は遠心分離機の低炭素鋼製ケーシングからウラン汚染状態の異なる試料を採取して酸性電解水を利用した湿式除染を実施した。その結果、ウラン汚染面のみを効果的に除去することができ、最大20分間で放射能の目標値を下回った。実際の除染時間は解体部品の大きさや形状にも依存することになるが、この方法が遠心分離機のウラン汚染部品に対する除染技術として利用できることを明らかとした。
佐久間 一幸; 北村 哲浩; Malins, A.; 操上 広志; 町田 昌彦; 森 康二*; 多田 和広*; 小林 嵩丸*; 田原 康博*; 登坂 博行*
Journal of Environmental Radioactivity, 169-170, p.137 - 150, 2017/04
被引用回数:25 パーセンタイル:64.39(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所周りの流域について水の流れと土砂の輸送による放射性セシウムの再分布を理解するために流域モデリングを実施した。懸濁態と溶存態形態の放射性セシウム移行を計算するために、既往の3次元水理地質モデルを用いた水・土砂モデルを拡張した。2011年9月の台風Rokeと2013年9つの出水時を含む2013年をシミュレーションした。2013年の勢力の強い台風Man-yiと台風Wiphaは放射性セシウムの再分布引き起こした。2013年の9つの出水時に関してCs流出量を計算した結果、観測値をよく再現した。堆積は主に氾濫原や流域下流部の河道が広がるところやダム湖で起こった。5つの流域間でのCs流出比の違いは流域内での初期フォールアウトの空間分布やダム湖の存在の有無、土地利用の違いによる河川への供給量の違いによって説明された。これらのシミュレーション結果は環境回復を支援するにあたり、将来の放射性物質の再分布を評価することが可能である。
天本 一平; 小林 秀和; 北村 直登*; 武部 博倫*; 三田村 直樹*; 都築 達也*; 深山 大元*; 長野 祐一*; Jantzen, T.*; Hack, K.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(10), p.1467 - 1475, 2016/10
被引用回数:3 パーセンタイル:28.28(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所の汚染水処理で発生した汚泥(スラッジ)の廃棄体化技術候補の一つとして、ガラス固化法に着目し、鉄リン酸塩ガラス(IPG)媒体を用いたスラッジ固化処理の適用性について検討を行っている。同検討を進めるにあたり、解析に必要とされる熱物性等のデータを充実させる必要があるが、高温雰囲気において、さまざまな成分と組成のIPG及び模擬廃棄体を作製し、それぞれに対して、多くの物性値を測定することは、時間と困難さを伴う作業となる。よって、理論解析により対象物質の挙動を推測することにより試験件数を減らし、データ取得を行った方が合理的である。本報では、既知の実験状態図から、CALPHAD法により熱力学的諸量を推算し、得られた結果を利用してIPG及び廃棄体の計算状態図を作成するとともに、同状態図から読み取ることのできる均質融体を形成するための情報と実験値との比較評価を行い、計算状態図の妥当性を確認することができた。
北村 哲浩; 操上 広志; 佐久間 一幸; Malins, A.; 奥村 雅彦; 町田 昌彦; 森 康二*; 多田 和広*; 田原 康博*; 小林 嵩丸*; et al.
Earth Surface Processes and Landforms, 41(12), p.1708 - 1726, 2016/09
被引用回数:16 パーセンタイル:52.9(Geography, Physical)福島第一原子力発電所の事故に起因して福島の地表に降下した放射性物質の将来分布予測に関連し、まず土砂の移行を物理型集水域解析モデルGETFLOWSを用いて詳細解析した。対象領域は汚染度合いを考慮し浜通り側の5流域、小高川, 請戸川, 前田川, 熊川, 富岡川とした。これらの流域の水・土砂輸送プロセスを、地表水流動、地下水流動、地表水・地下水相互作用、浸食(堆積)によって生じる浮遊砂移動現象として解析した。特に河川に流入した砂量、河川底に堆積した砂量、海へ流出した砂量などを試算した。
佐々木 隆之*; 上田 健揚*; 斉藤 拓巳; 青柳 登; 小林 大志*; 高木 郁二*; 木村 貴海; 舘 幸男
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(4), p.592 - 601, 2016/04
被引用回数:12 パーセンタイル:74.83(Nuclear Science & Technology)ナトリウム型モンモリロナイトへのEu(III)の収着に対するpH, Eu濃度,硝酸塩濃度の影響について、バッチ収着試験と時間分解型レーザー誘起蛍光分光(TRLFS)によって調査された。0.01M硝酸ナトリウム中では分配係数(Kd)はpHにほとんど依存せず、一方で、1M硝酸ナトリウム中ではKdはpHに大きく依存した。陽イオン交換モデルと1サイトの静電補正を考慮しない表面錯体モデルを組み合せたモデルによってKdデータが解釈された。Eu表面化学種に対するTRLFSスペクトルはパラレル因子分析法(PARAFAC)により解析され、1つの外圏錯体(ファクターA)と2つの内圏錯体(ファクターB及びC)への対応が示唆された。ファクターAとBは、イオン交換サイトへ収着したEu、エッジの水酸基との内圏錯体に、それぞれ対応するものである。ファクターCは比較的高いpH、イオン強度条件で支配的であり、表面におけるEu(OH)の析出物と評価された。
小林 秀和; 天本 一平; 横澤 拓磨; 山下 照雄; 永井 崇之; 北村 直登*; 武部 博倫*; 三田村 直樹*; 都築 達也*
Proceedings of 15th International Conference on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management (ICEM 2013) (CD-ROM), 6 Pages, 2013/09
福島第一原子力発電所での汚染水処理により生じたスラッジの廃棄体化候補技術として、鉄リン酸塩ガラス(IPG)媒体による固化法の適用性を検討している。本報では、スラッジに含まれる海水成分であるNaClのIPG媒体への充填挙動及びガラス物性を評価するため、100g規模の基礎試験を行った。試験の結果、IPG媒体に対してNaO及びClを約19及び15mol%まで充填できた。NaCl成分の充填によりガラスの架橋構造の分断が生じることで、ガラス転移温度及び結晶化開始温度が低下する傾向が認められた。化学的耐久性については、FeO濃度が高いIPG媒体を用いることでホウケイ酸塩系の高レベルガラスの1/10程度の浸出速度となることがわかった。
天本 一平; 小林 秀和; 横澤 拓磨; 山下 照雄; 永井 崇之; 北村 直登*; 武部 博倫*; 三田村 直樹*; 都築 達也*
Proceedings of 15th International Conference on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management (ICEM 2013) (CD-ROM), 8 Pages, 2013/09
東日本大震災で被災した原子炉の冷却に使用している大量の水は、放射性物質で汚染しているため、汚染水の浄化方法や浄化によって発生した廃棄物の安定化法について、国内でさまざまな取り組みがなされている。ここでは、発生した廃棄物の中、BaSOを主成分とするスラッジを対象として、鉄リン酸ガラスを媒体として、スラッジの廃棄体化について検討を行っている。これまでの研究の結果、ストロンチウム核種を含有するBaSOスラッジの廃棄体化に鉄リン酸塩ガラスが十分に機能することが判明した。
中村 隆司*; 小林 信之*; 近藤 洋介*; 佐藤 義輝*; 青井 考*; 馬場 秀忠*; 出口 茂樹*; 福田 直樹*; Gibelin, J.*; 稲辺 尚人*; et al.
Physical Review Letters, 103(26), p.262501_1 - 262501_4, 2009/12
被引用回数:198 パーセンタイル:97.53(Physics, Multidisciplinary)理化学研究所のRIBFにて中性子過剰核Neの1中性子分離反応の断面積を測定した。鉛ターゲットと炭素ターゲットの断面積を比較することにより、Neのクーロン分解反応断面積が540(70)mbと導出された。その断面積は通常の原子核の断面積と比べ非常に大きく、中性子が非常に弱く束縛されているハロー構造を示唆している。この原子核のクーロン分解断面積を直接ブレークアップ模型と殻模型で求めた波動関数の重なり(分光学的因子)を組合せることにより定量的に計算した結果、Ne核の最後の1個の中性子は、普通の軌道の順序であるではなく軌道を主に占め、軌道の小さな軌道角運動量により一粒子ハローを形成していることが明らかとなった。
岡野 靖; 小林 登*; 小川 隆; 大木 繁夫; 永沼 正行; 大久保 努; 水野 朋保; 尾形 孝成*; 植田 伸幸*; 西村 聡*
JAEA-Research 2009-025, 105 Pages, 2009/10
ナトリウム冷却金属燃料炉心はMOX燃料炉心に比較して、重金属密度が高く、そのため中性子スペクトルが硬く、中性子経済が良好であるという特性を持っている。これらの特性を活かした金属燃料炉心の設計を目指し、金属燃料仕様を幅広く検討し、ナトリウムボイド反応度や炉心圧損などの設計条件を柔軟に持たせて、高増殖,コンパクト,低インベントリ,低ボイド反応度などの種々の炉心概念を検討することを目的として、電力中央研究所と日本原子力研究開発機構との共同研究「金属燃料高速炉の炉心燃料設計に関する研究(3)」を平成19年度平成20年度にかけて実施することとなった。本報では本共同研究の成果として、(1)金属燃料仕様の設計範囲に関する検討,(2)高増殖炉心の設計検討,(3)高速増殖炉サイクル実用化研究で設計された金属燃料炉心の安全性に関する検討について実施した結果を示す。
小林 登; 小川 隆; 大木 繁夫; 水野 朋保; 尾形 孝成*
Journal of Power and Energy Systems (Internet), 3(1), p.126 - 135, 2009/00
MOX燃料と比較して、増殖比が高く炉心がコンパクトにできるなどの金属燃料炉心の長所を活かして、ブランケット燃料を装荷しない高増殖炉心の設計を行った。検討条件は8以下のナトリウムボイド反応度,炉心高さ150cm,被覆管最高温度650C、及びバンドル部圧損0.4MPa以下とした。燃料Zr含有率を6wt%としたとき、最終的な炉心の増殖比は1.34となった。Zr含有率を3wt%に低減することで、増殖比は1.40まで向上した。
登倉 明雄*; 前田 文彦*; 寺岡 有殿; 吉越 章隆; 高木 大輔*; 本間 芳和*; 渡辺 義夫*; 小林 慶裕*
Carbon, 46(14), p.1903 - 1908, 2008/11
被引用回数:18 パーセンタイル:50.1(Chemistry, Physical)その場放射光内殻光電子分光とラマン分光を用いて、垂直に揃ったカーボンナノチューブの原子状水素吸着が研究された。C1s内殻光電子スペクトルから単層カーボンナノチューブの炭素原子のCH結合に由来する成分を同定した。さらに、プラズモン励起が抑制されることも見いだした。これは水素吸着が結合を改質することを示唆している。単層カーボンナノチューブのラマンスペクトルからは、ラジカル呼吸モードの強度が水素吸着誘起結合改質によって減少することがわかった。さらに、小さな直径の単層カーボンナノチューブの方がその減少がより大きい。これらの結果から、水素吸着はspからspへの結合改変をもたらし、また、それは単層カーボンナノチューブの直径に依存することがわかった。
内川 貞夫; 大久保 努; 中野 佳洋; 小林 登
Proceedings of 16th Pacific Basin Nuclear Conference (PBNC-16) (CD-ROM), 6 Pages, 2008/10
革新的水冷却炉(FLWR)は、発電炉としての経験・実績が豊富な軽水炉技術に立脚して増殖による持続的なプルトニウムの多重リサイクル利用を目指した水冷却高速炉であり、同一炉心構成のもとで燃料集合体の仕様を変更することにより、将来の核燃料サイクル環境の進展に対応した柔軟かつ高度な資源の利用を実現するものである。これまでの設計研究により、1.0を越える転換比(核分裂性プルトニウム残存比)と負のボイド反応度係数を維持してプルトニウムの多重リサイクル利用が可能であることを確認している。本論文では、FLWRの全体概念と炉心設計に関する最新成果を紹介する。
大久保 努; 中野 佳洋; 深谷 裕司; 小林 登; 内川 貞夫
Proceedings of International Conference on the Physics of Reactors, Nuclear Power; A Sustainable Resource (PHYSOR 2008) (CD-ROM), 3 Pages, 2008/09
革新的水冷却炉(FLWR)は、経験と実績が豊富な軽水炉技術に立脚して将来の持続的なエネルギー供給を実現するため、原子力機構において研究が進められているBWR型の新型原子炉概念で、MOX燃料棒を三角格子稠密配列とした炉心を使用している。これにより、硬い中性子スペクトルを実現し、ウランからプルトニウムへの転換比を高めており、プルトニウムやさらにマイナーアクチニド(MA)を加えたTRUのリサイクルに適したものとなっている。FLWR炉心には、転換比の異なるHC-FLWRとRMWRの2概念があるが、0.85程度と転換比の低いHC-FLWRにおいてもMAを2%程度含むTRUリサイクルが可能であるとの結果が得られた。
大木 繁夫; 小川 隆; 小林 登; 永沼 正行; 川島 克之; 丸山 修平; 水野 朋保; 田中 俊彦*
Proceedings of International Conference on the Physics of Reactors, Nuclear Power; A Sustainable Resource (PHYSOR 2008) (CD-ROM), 10 Pages, 2008/09
日本の高速増殖炉サイクル実用化研究開発プロジェクト(FaCTプロジェクト)においてナトリウム冷却高速炉の炉心の概念設計検討が実施されている。代表MOX燃料炉心及び金属燃料炉心は、安全性及び信頼性,持続可能性,経済性,核不拡散性において優れた性能を有している。本論文では、それら炉心の特徴を炉物理的観点から概観し、さらに最近の設計検討の進展について述べる。最近の設計検討においては、軽水炉から高速増殖炉への移行期における燃料組成変化に着目するとともに、高増殖や核不拡散性の強化といった、より高い目標を満足する炉心の柔軟性を示している。
池田 佳隆; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 小林 薫; 梅田 尚孝; 秋野 昇; 海老沢 昇; 井上 多加志; 本田 敦; 河合 視己人; et al.
IEEE Transactions on Plasma Science, 36(4), p.1519 - 1529, 2008/08
被引用回数:12 パーセンタイル:41.25(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60SA用負イオンNBI加熱装置(N-NBI)は、加速エネルギー500keV, 10MW, 100秒入射の性能が求められている。JT-60SA用N-NBIの実現には、3つの課題解決が必要である。1つはイオン源の耐電圧の改善である。最近のイオン源の耐電圧試験から、大型加速管ではその電極面積の大型化に伴い長時間のコンディショニングと電界強度の設計裕度が必要であることが明らかとなった。2つ目は、電極及びビームラインの熱負荷の低減である。最近の研究によりビーム同士の空間電荷効果でビーム軌道が曲げられ電極に衝突し、熱負荷を増加していることが明らかとなった。これは空間電荷効果を考慮した3次元ビーム軌道計算に基づき電極構造を補正することで改善できる。3つ目は、100秒間の安定な負イオン生成である。このため負イオン生成に不可欠なプラズマ電極の温度制御方式を提案した。これらのR&Dを行い、JT-60SA用N-NBIのイオン源は2015年から改造を予定している。
小林 登; 大貫 晃; 内川 貞夫; 大久保 努
JAEA-Research 2008-054, 145 Pages, 2008/05
革新的水冷却炉(FLWR)の増殖型炉心と高転換型炉心とが燃料集合体以外の原子炉システムを変更することなく運転可能であることを示すため、自然循環冷却システムを採用した高転換型炉心の熱水力設計を行った。設計解析ではTRAC-BF1コードを使用し、従来の知見を反映した熱水力相関式を選択した。同一の原子炉圧力容器並びに燃料集合体入口オリフィスにより増殖型炉心と高転換型炉心とを成立させることを設計目標として、燃料集合体下部タイプレートでの圧力損失(形状損失)及び給水温度を調整することで、核設計上の要求事項(炉心平均ボイド率50%以下)並びに限界出力比の目標(CPR 1.3)を満足することを目指した。その結果、現行BWRと同等の下部タイプレート形状損失を採用し、給水温度を505Kとすることで成立する見通しを得た。
大貫 晃; 小林 登
第45回日本伝熱シンポジウム講演論文集,1, p.3 - 4, 2008/05
FLWRの燃料集合体は燃料棒間隙幅を1mm程度と稠密にする設計となっており、開発当初よりそこでの熱流動特性が主要課題として取り上げられてきた。稠密炉心の熱流動特性については、小規模体系(7本バンドル)での先行研究を経て、流路壁の影響,燃料棒間隙や燃料棒曲がりの除熱性能への影響についてデータを取得するとともに稠密炉心での限界出力予測手法等設計手法の確立を目標として、37本バンドル試験体を用いた大型熱特性試験を実施してきた。また、従来は実機形状を模擬した実物大の集合体により設計に必要な技術的知見を得てきたが、FLWRでは217本とバンドル規模が大きく、経済的な理由からもスケールダウンしたバンドル試験と解析的な評価とを組合せることで設計に取り組むこととした。本報告ではFLWRの炉心熱特性評価技術開発の現状と今後の課題を紹介する。
小林 登; 小川 隆; 大木 繁夫; 水野 朋保; 尾形 孝成*
Proceedings of 16th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-16) (CD-ROM), 9 Pages, 2008/05
ナトリウム冷却金属燃料炉心はMOX燃料炉心に比較して、重金属密度が高く、そのため中性子スペクトルが硬く、中性子経済が良好であるという特性を持っている。本研究では、これらの特性を活かした金属燃料炉心の設計を目指し、金属燃料仕様を幅広く検討し、ナトリウムボイド反応度や炉心圧損などの設計条件を柔軟に持たせて、高増殖,コンパクト,低インベントリ,低ボイド反応度,高MA変換率などの種々の炉心概念を検討することが目的である。これらの炉心概念のうち、本報では高増殖炉心について設計検討を行った。設計条件として、ボイド反応度が8以下、炉心高さが150cm以下、被覆管最高温度は650 C以下で、バンドル部圧損を0.4MPa以下とした。その結果、ブランケットなしで増殖比が1.34と得られることがわかった。
内川 貞夫; 中野 佳洋; 大久保 努; 小林 登
JAEA-Research 2008-040, 24 Pages, 2008/03
革新的水冷却炉(FLWR)の増殖型炉心を対象に、軽水炉使用済燃料の再処理に伴い回収されるウランをブランケット燃料として利用した炉心の特性及びその効果を検討した。劣化ウランに替って、Uを約1wt%程度含む回収ウランをブランケット燃料として利用することにより、劣化ウランを利用した場合と同等の炉心性能を実現するために必要な核分裂性プルトニウム量を低減でき、さらに、回収ウランをU濃縮度5wt%程度まで再濃縮して増殖型FLWR炉心の特徴である二重扁平炉心の中間ブランケット部に装荷することにより、核分裂性プルトニウム残存比を1.1に高めることが可能であるとの見通しが得られた。本炉心概念は、導入時のプルトニウム需給収支が改善されることから、軽水炉サイクルから持続的な核燃料サイクルへの移行を速やかに実現することができ、軽水炉使用済燃料からの回収ウランが利用可能な軽水炉サイクルから高速炉サイクルへの移行期の炉心として有効である。
小川 隆; 小林 登; 大木 繁夫; 永沼 正行; 久保 重信*; 水野 朋保
JAEA-Research 2007-084, 63 Pages, 2008/01
高速増殖炉サイクル実用化研究開発の主概念であるナトリウム冷却炉大型MOX燃料高内部転換型炉心についての2006年度の炉心・燃料設計に関する検討結果を報告する。(1)MA含有燃料を用いた炉心の検討では、高速増殖炉サイクル実用化戦略調査研究フェーズIIにおいて構築した大型MOX燃料高内部転換型炉心をもとに、MA含有率の高いALWR使用済燃料のTRUを用いた炉心を構築した。本検討では、燃料重金属のMA含有率を3wt%と暫定、従来概略評価にとどめていた熱特性及び燃料健全性の詳細評価を行い、設計成立の見通しを得た。(2)ブランケットへのPu添加による核不拡散性向上炉心の検討では、高速増殖炉の内的(intrinsic)な核不拡散性を向上させる一方策として、ブランケット燃料に炉心燃料用のPu(あるいはTRU)をあらかじめ添加することにより、ブランケットにおけるPuを常に原子炉級以下(Pu同位体組成比で18%)に保つ核不拡散性向上炉心概念を構築した。ブランケットへのTRU添加率を最大でも5wt%とすれば、軸方向ブランケット,径方向ブランケットともに、平均Pu組成を原子炉級に保つことができることを見いだした。