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松浦 直人*; 山田 武*; 富永 大輝*; 小林 誠*; 中川 洋; 川北 至信
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011068_1 - 011068_6, 2021/03
飛行時間分析型後方散乱分光器DNAにおける散乱強度の位置依存性を調査した。垂直方向(位置敏感一次元検出器(PSD)のピクセル方向)と水平方向(PSD毎)の両方で周期的な構造が見られた。DNAに設置されたソラースリットとアナライザー結晶の設計値を超えた過度な湾曲が、強度分布の起源であると考えられる。我々は、強度の位置依存性と弾性散乱のエネルギーオフセットを系統的に補正できるソフトウェアを開発した。このソフトウェアにより、本来の散乱強度からのずれが補正でき、エネルギー分解能などのデータの質も向上させることができる。
富永 大輝*; 小林 誠*; 山田 武*; 松浦 直人*; 川北 至信; 笠井 聡*
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011095_1 - 011095_5, 2021/03
トップローディング型冷凍機用の垂直移動型試料交換機が、J-PARC MLFのBL02に設置された中性子分光器の利用支援のために開発された。PEACEと名付けられたこの試料交換機は、中性子照射位置での試料位置の再現性を、PEEKと呼ぶ物質でできたガイドを利用して制御している。3つの試料位置でのバックグラウンド散乱のプロファイルの変化は1.6%以内であることが分かった。この結果は、垂直軸からの試料位置の偏差が0.3mmであることを考えると妥当である。
社本 真一; 安井 幸夫*; 松浦 直人*; 赤津 光洋*; 小林 義明*; 根本 祐一*; 家田 淳一
Physical Review Research (Internet), 2(3), p.033235_1 - 033235_6, 2020/08
イットリウム鉄ガーネット結晶の超低エネルギーマグノンを、非弾性中性子散乱によって45eV以下のエネルギー範囲で調べたところ、[111]方向に約0.1Tの磁場が印加した場合に、10Kで超低エネルギーのマグノン異常を発見した。
安藤 勝訓; 長谷部 慎一; 小林 澄男; 笠原 直人*; 豊吉 晃*; 大前 隆広*; 江沼 康弘*
Nuclear Engineering and Design, 275, p.408 - 421, 2014/08
被引用回数:4 パーセンタイル:30.92(Nuclear Science & Technology)JSFRの蒸気発生器のために設計された球形管板の破損形態を明らかにするために、管板試験体を用いた繰返し熱過渡強度試験を実施した。管板構造試験体はJSFRの冷却系機器配管で採用予定の改良9Cr-1Mo鋼である。試験は原子力機構の有する大型ナトリウムループを利用して実施した。600C及び250Cのナトリウムを試験体に交互に流しこんで熱過渡を発生させた。また600Cのナトリウム流入後には2時間、250Cのナトリウム流入後には1時間の定温ナトリウム流入時間を設けた。1873サイクルの試験後に液体探傷試験、破面観察、硬さ試験を実施した。また計測された温度分布履歴の妥当性を検証するために熱流動解析を実施した。これらの結果により球形管板の破損形態についてまとめた。
安藤 勝訓; 長谷部 慎一; 小林 澄男; 笠原 直人*; 豊吉 晃*; 大前 隆広*; 江沼 康弘*
Nuclear Engineering and Design, 275, p.422 - 432, 2014/08
被引用回数:12 パーセンタイル:67.4(Nuclear Science & Technology)JSFRの蒸気発生器のために設計された球形管板の破損様式を明らかにするために実施された管板構造試験体のナトリウム中繰返し熱過渡強度試験の結果ついて、試験中に得られたナトリウム温度分布およびその履歴と、試験体表面温度分布およびその履歴をもとに熱伝導解析を実施し、試験体の温度分布履歴を算定した。この結果を用いて応力解析を実施し、応力発生状況とき裂発生状況の比較、破損機構の検証、強度評価結果とき裂の関係調査などを実施した。非弾性解析結果に基づく評価では2.59mmのき裂に対してファクター3で寿命を予測できた。
安藤 勝訓; 長谷部 慎一; 小林 澄男; 笠原 直人*; 豊吉 晃*; 大前 隆広*; 江沼 康弘*
日本機械学会M&M2013材料力学カンファレンス講演論文集(CD-ROM), p.OS1510_1 - OS1510_3, 2013/10
日本原子力研究開発機構で実施した改良9Cr-1Mo鋼の構造物熱過渡強度試験結果を、高速炉規格2012年版で新たに登録された改良9Cr-1Mo鋼の材料特性値を用いてクリープ疲労評価を実施した。高速炉規格に準じた設計裕度を含むクリープ疲労損傷評価の結果、表面き裂1mmを破損のクライテリアとして仮定した場合には繰返し数で約300倍の裕度を有することが確認された。
安藤 勝訓; 長谷部 慎一; 小林 澄男; 笠原 直人*; 豊吉 晃*; 大前 隆広*; 江沼 康弘*
Nuclear Engineering and Design, 255, p.296 - 309, 2013/02
被引用回数:19 パーセンタイル:81.37(Nuclear Science & Technology)改良9Cr-1Mo鋼大型構造物の熱過渡における破損様式を確認するため、厚肉円筒試験体に対してナトリウムループを用いて1873サイクルの熱過渡強度試験を実施した。試験は600Cと250Cの流動ナトリウムにより実施し、それぞれ2時間及び1時間の過渡後保持時間を設けた。試験後に浸透探傷試験、走査電子顕微鏡による観察等を実施した。また有限要素法解析を実施し、クリープ疲労損傷値と観察されたき裂状況の比較検証を行った。
重富 洋志*; 岡 潔; 大井 豪一*; 古川 直人*; 吉田 昭三*; 川口 龍二*; 永井 景*; 春田 祥治*; 柳瀬 康仁*; 赤坂 珠理晃*; et al.
日本レーザー医学会誌, 33(2), p.131 - 135, 2012/08
原子力機構では配管内の保守・保全を目的として、配管内作業ツールの検討を行っている。本ツールに搭載する複合型光ファイバスコープは、観察とレーザー導光の光軸が同一である。これにより対象となる狭い配管内での溶接/切断作業においても、目標位置での的確な作業を容易に行うことができる。一方、奈良県立医科大学では妊孕性を考慮した子宮体部癌治療に興味を持ち、レーザー治療の研究を進めている。本件は、原子力機構がこれまでに開発した複合型光ファイバ技術をもとに、臓器内部を観察しながら同時に病変部分にレーザー光を照射する技術開発を担当し、奈良県立医科大学が内視鏡的なアプローチにより子宮体部癌の治療技術に関して研究を行い、双方が協力して子宮体癌用低侵襲レーザー内視鏡システムに関する研究を行った成果についてまとめたものである。
加藤 治一*; 小林 理気; 竹坂 智明*; 西岡 孝*; 松村 政博*; 金子 耕士; 目時 直人
Journal of the Physical Society of Japan, 80(7), p.073701_1 - 073701_4, 2011/07
被引用回数:61 パーセンタイル:89.36(Physics, Multidisciplinary)Neutron diffraction studies of CeAl ( = Ru and Os), which shows an anomalous transition at K for CeRuAl and at 29 K for CeOsAl, have been carried out using single crystal samples. In the ordered state below , obvious superlattice reflections have been found, indicating the appearance of ordered magnetic moments. The magnetic structures of both compounds could be commonly explained with a propagation vector , where collinear antiferromagnetic moments with magnitudes of 0.42(1) for CeRuAl and of 0.29(1) for CeOsAl are aligned along the -axis.
岡 壽崇; 大島 明博*; 本橋 良太*; 瀬戸 直人*; 渡邊 裕司*; 小林 亮二*; 斉藤 功樹*; 工藤 久明*; 村上 健*; 鷲尾 方一*; et al.
Radiation Physics and Chemistry, 80(2), p.278 - 280, 2011/02
被引用回数:7 パーセンタイル:48.91(Chemistry, Physical)アイソタクチックポリスチレンに種々のイオンビームを照射し、化学構造の変化を調べた。顕微赤外分光及び紫外可視分光の結果から、LETとフルエンスによって化学構造変化が大きく変化することが明らかになった。
川崎 信史; 高正 英樹*; 小林 澄男; 長谷部 慎一; 笠原 直人
Proceedings of 2008 ASME Pressure Vessels and Piping Division Conference (PVP 2008) (CD-ROM), 9 Pages, 2008/07
温度ゆらぎの疲労強度に対する周波数効果(周波数に依存する温度伝達及び応力変換割合減衰効果)を明らかにするために、正弦波温度ゆらぎを重畳させた熱疲労試験が実施された。温度振幅200度0.05Hzと温度振幅60度0.5Hzの正弦波を組合せた2重畳波の温度ゆらぎと温度振幅150度0.2Hz,温度振幅75度0.05Hz,温度振幅50度0.5Hzの正弦波を組合せた3重畳波の温度ゆらぎが試験温度条件である。20秒の基本周期に対し2重畳波の試験では73,810サイクルの3重畳波の試験では116,640サイクルの試験が実施された。熱疲労き裂発生位置は、両試験において、試験体入口部から400から600mmの位置であった。き裂発生位置における疲労寿命をパワースペクトラム密度関数と周波数伝達関数を用いて評価したところ、ファクター3の精度をもって試験寿命を評価できた。周波数効果を考慮せずに、疲労寿命を評価する場合は、疲労寿命を本手法に対しワンオーダー保守的に評価することから、これらの関数を用い周波数効果を考慮することが、高精度の寿命評価には必要となることがわかった。
村上 龍敏; 鈴木 紀一; 畑中 延浩; 塙 幸雄; 篠崎 雄; 村上 真一; 飛田 良正; 川崎 猛; 小林 良仁; 飯村 直人; et al.
JAEA-Technology 2008-017, 97 Pages, 2008/03
「もんじゅ」用低密度MOX燃料ペレットについては、平成7年度に実施した「もんじゅ」一次取替燃料の製造以降、約9年間製造されていない。この間、プルトニウム燃料第三開発室の主要工程設備の約6割が新設又は更新されるとともに、原料である混合転換粉のAm-241の蓄積が進み、発熱量が増加している。さらに、原料の一つである乾式回収粉末についても、設備の更新によりその粉末特性が大きく変化している。以上を踏まえ、次期「もんじゅ」用低密度MOX燃料ペレット製造を円滑に実施するため、平成16年10月から平成18年8月の間、従来に比べAm-241が蓄積した原料及び粉末特性の大きく変化した乾式回収粉を用いて、低密度MOXペレットの製造条件確認試験を実施した。本報告は、この試験結果をまとめたものである。試験の結果、従来に比べAm-241が蓄積した原料を用いても、製造条件を適切に管理することにより、一次取替燃料製造時と同程度の収率で低密度MOX燃料ペレットが製造可能であることを確認した。
川崎 信史; 長谷部 慎一; 小林 澄男; 笠原 直人
Proceedings of 2007 ASME Pressure Vessels and Piping Division Conference/8th International Conference on Creep and Fatigue at Elevated Temperatures (PVP 2007/CREEP-8) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/07
熱疲労試験設備SPECTRAを用いて、正弦波状の流体温度変動を与える熱疲労試験が実施された。流体温度変動の周波数は、0.05, 0.2, 0.5Hzが用いられている。所定の熱疲労サイクル数の疲労試験ののち、円筒試験体の内表面にき裂発生を確認した。0.05Hzの温度変動にて発生したき裂は、0.5Hzの温度変動のき裂と比較し、同一温度振幅,同一試験サイクル条件で、発生き裂個数が多く、き裂深さもより深いものであった。また、0.05Hz条件でのき裂発生領域は、0.5Hz条件のものよりも大きかった。周波数応答関数法を用い、疲労寿命の評価を実施し、試験結果と比較した。試験結果には、疲労寿命に対する周波数依存性が観察され、周波数応答関数法は、この依存性を評価できていた。試験結果は、周波数応答関数法に基づく疲労評価が妥当であることを示している。
川崎 信史; 小林 澄男; 長谷部 慎一; 笠原 直人
Proceedings of 2006 ASME Pressure Vessels and Piping Division Conference (PVP 2006)/International Council on Pressure Vessel Technology (ICPVT-11) (CD-ROM), 8 Pages, 2006/07
これまで、サーマルストライピング現象による破損を防止するために、サーマルストライピング評価法が検討されてきた。周波数応答関数を用いることで、流体温度履歴から構造物の温度と応力の応答を計算することができるため、周波数応答関数を用いた手法は、優れた評価手法であると考えられている。流体から構造物への温度応答を計測し、応答の周波数特性を確認するために、温度計測試験が実施された。温度計測試験においては、0.05, 0.2, 0.5Hzという3種類の異なる周期の正弦波状の流体温度履歴が周波数制御流体温度変動熱疲労試験装置(SPECTRA)を用いて与えられ、構造物内表面及び外表面の温度応答が試験体軸方向に沿って計測された。その結果、流体から構造物への温度伝達(減衰)プロセスにおける周波数効果が試験により計測・確認されるとともに、周波数応答関数評価法において採用されている有効熱伝達関数(周波数応答関数)の妥当性が示された。
笠原 直人; 長谷部 慎一; 小林 澄男; 安藤 昌教; 川崎 信史; 森田 博*
2004 ASME/JSME PVP Conference, P. 2986, 2004/00
Na温度変動に対する高サイクル熱疲労の現象解明とそれに基づく機構論的評価法の検証を目的として、温度変動の周波数特性を精密に制御できる熱疲労Na試験装置(SPECTRA)の開発を行った。装置開発にあたっては次の性能達成を目標とした。目標性能(1): 周波数をパラメータに正弦波状の温度変動を一定流量の条件下で制御できる。目標性能(2): 荷重条件の不確定性を排除した制度の良い強度データを得るため、軸対称な温度変動を試験体に与えることができる。目標性能(3): 1体の試験体でき裂の発生から進展までのデータを効率良く取得できる。また、実プラントで生じるようなランダム変動での特性を評価する一歩として、単一波だけではなく重畳波の温度変動を与えることを可能とする。
長谷部 慎一; 小林 澄男; 安藤 昌教; 笠原 直人
JNC TN9400 2003-004, 110 Pages, 2003/01
原子力プラントにおいて高温と低温の流体が合流する領域では、流体の不完全な混合に伴って温度変動が発生するため、接液する構造物の高サイクル熱疲労(サーマルストライピング現象)による破損を防止する必要がある。本研究では、サーマルストライピング現象による温度変動が構造物のき裂発生と進展挙動に及ぼす影響を解明するため、構造物熱過渡強度試験施設(TTS)を改造して、高サイクル熱疲労試験装置を開発した。試験装置の特徴は以下の通りである。 (1)循環ポンプを用いた流量制御方式により、高温ナトリウムと低温ナトリウムの流量比を連続的に変化させて、種々の周期において正弦波状の温度変動を試験体に与えることができる。 (2)ミキシング構造を噴流混合方式にして、高温ナトリウムと低温ナトリウムの混合を促進させることで、軸対称性のある温度変動を発生させることができる。 (3)短周期と長周期を重畳させた温度変動についても制御が可能である。 (4)円筒状の試験体を用いるため、熱応力解析が容易で、き裂発生から進展までのデータを取得できる。 今後は、ステンレス鋼の試験体に対して正弦波温度変動試験、ランダム温度変動試験および溶接部強度試験を実施する計画である。
立岩 尚之*; 花園 勝巳*; 小林 達生*; 天谷 喜一*; 井上 鉄太郎*; 金道 浩一*; 小池 良浩; 目時 直人; 芳賀 芳範; 摂待 力生*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 70(10), p.2876 - 2879, 2001/10
被引用回数:61 パーセンタイル:86.56(Physics, Multidisciplinary)圧力誘起超伝導体UGeの磁気的性質を、圧力下における磁化測定,中性子散乱によって求めた。その結果、圧力によって強磁性転移温度以下の異常Tが非常に明瞭になることを、確認した。またTの異常が消失する圧力で超伝導転移温度が最大になっており、この転移に関係する何らかの揺らぎが超伝導の起源になっている可能性が高い。またTの異常が消失する圧力異常で容易軸に平行に磁場をかけると、磁化にとびが現れるメタ磁性転移を示し、T以下の相が磁場によって誘起されることを発見した。さらに、圧力,磁場,温度に対してUGeの詳細な磁気及び超伝導相図を明らかにすることができた。
絹谷 清剛*; 横山 邦彦*; 小林 勝利; 本石 章司; 小野間 克行; 渡辺 直人*; 秀毛 範至*; 分校 久志*; 道岸 隆敏*; 利波 紀久*
Annals of Nuclear Medicine, 15(3), p.199 - 202, 2001/06
被引用回数:9 パーセンタイル:31.12(Radiology, Nuclear Medicine & Medical Imaging)均一な腫瘍内放射線分布を仮定したモデル解析によりそれぞれの線核種の至適治療腫瘍サイズが示されている。本研究では、ReとI標識大腸癌抗体による放射免疫療法の効果を比較することにある。均一な組織内分布を仮定した線量計算に基づき算出した腫瘍線量を同一とした場合は、Re標識抗体の効果は、I標識抗体と同程度か若干劣るものであった。全身線量を同一とした場合は、Re標識抗体の効果が明らかに優れていた。この投与量における毒性に差は見られなかった。以上の結果は、腫瘍内線量分布が現実には不均一であるため、Reの線飛程が長いがゆえに腫瘍外に漏出した割合が大きいためであると考えられる。しかし、同一の毒性でより大きな腫瘍線量が得られるためRe標識抗体がより優れているものと考えられる。
目時 直人; 小池 良浩; 松岡 由貴; 小林 達生*; 山下 正廣*
Journal of Magnetism and Magnetic Materials, 226-230(Part.1), p.414 - 416, 2001/05
NDMAZ及びNDMAPのQ(0 0 0.5)における磁気励起スペクトル測定の結果、NDMAZでは約1.7meVと約3.5meVに、NDMAPでは約0.6MeVにギャップを観測した。これらの値は帯磁率の結果から予想される値とだいたい一致している。さらにこれらの励起の分散関係及び磁場依存性の測定を行った。その結果、0Tにおける0.6MeV付近のピークがゼーマン効果によって分裂し、5Tではギャップは0.2MeV以下まで減少した。さらに、比熱測定によって報告されている臨界磁場(H~6T)以上の磁場を加えたところ、H以下で観測されていた2つの励起が観測されなくなった。これはHでエネルギー順位が交差し基底状態が入れ替わったことによると考えられる。さらに反強磁性秩序状態について調べるために、中性子弾性散乱を行った。おもにQ(0 0 0.5),(1 0 0.5)等の反強磁性の散乱ベクトル近傍を注意深く測定したが、秩序状態に伴うブラッグピーク観察されなかった。
小池 良浩; 目時 直人; 森井 幸生; 小林 達生*; 石井 ともひこ*; 山下 正廣*
Journal of the Physical Society of Japan, 69(12), p.4034 - 4042, 2000/12
被引用回数:6 パーセンタイル:46.54(Physics, Multidisciplinary)NDMAZ及びNDMAPのQ(0 0 0.5)における磁気励起スペクトル測定の結果、NDMAZでは約1.7MeVと約3.5MeVに、NDMAPでは約0.6MeVにギャップを観測した。これらの値は帯磁率の結果から予測される値とだいたい一致している。さらにこれらの励起の分散関数及び磁場依存性の測定を行った。その結果、0Tにおける0.6MeV付近のピークがゼーマン効果によって分裂し、5Tではギャップは0.2MeV以下まで減少した。さらに、比熱測定によって報告されている臨界磁場(H~6T)以上の磁場を加えたところ、H以下で観測されていた2つの励起が観測されなくなった。これはHでエネルギー準位が交差し基底状態が入れ替わったことによると考えられる。さらに反強磁性秩序状態について調べるために、中性子弾性散乱を行った。おもにQ(0 0 0.5),(1 0 0.5)等の反強磁性の散乱ベクトル近傍を注意深く測定したが、秩序状態に伴うブラッグピークは観察されなかった。