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広田 憲亮; 中野 寛子; 藤田 善貴; 武内 伴照; 土谷 邦彦; 出村 雅彦*; 小林 能直*
The IV International Scientific Forum "Nuclear Science and Technologies"; AIP Conference Proceedings 3020, p.030007_1 - 030007_6, 2024/01
沸騰水型原子炉を模擬した高温高圧水中環境下では、溶存酸素量(DO)の変化により動的ひずみ時効(DSA)と粒界型応力腐食割れ(粒界SCC)がそれぞれ発生する。これらの現象の違いを明確に理解するために、その発生メカニズムを整理した。その結果、SUS304ステンレス鋼では、DOが1ppb未満の低濃度では粒内割れによるDSAが発生し、DOが1008500ppbでは表面の酸化膜形成によりDSAは抑制されることがわかった。一方、DOが20000ppbまで上昇すると、皮膜が母材から剥離し、母材の結晶粒界に酸素元素が拡散し、粒界SCCが発生した。これらの結果から、DSAや粒界SCCによるクラック発生を抑制するためには、最適なDO濃度を調整する必要があることが示唆された。
伊藤 あゆみ*; 山下 晋; 田崎 雄大; 垣内 一雄; 小林 能直*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.450 - 459, 2023/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)The rapid dissolution of UO in molten Zr that could occur during fuel-cladding liquefaction at high temperatures and its kinetics were reformulated considering the convective mass transfer and the chemical effect at the UO/Zr interface. The mass transfer coefficient of U was obtained as a correlation including the aspect ratio term by CFD analysis. To explain the gap between the rapid dissolution rate observed in the experiments and the density-driven convective mass transfer, we introduced an idea in which the eutectic melting at the UO/Zr interface promotes the grain detachment owing to infiltration of the U-Zr-O liquid into the UO grain boundaries. The developed model was validated with UO-Zr crucible experiments at 2273 and 2373 K. The calculated mass percentage ratios of U/Zr agreed with the measurements and the transition times from rapid saturation to precipitation were consistent with the metallographic observations.
墨田 岳大*; 米川 夏津夫*; 関尾 佳弘; 佐藤 勇*; 小林 能直*; 逢坂 正彦; 前田 宏治; 赤坂 尚昭
no journal, ,
福島第一原子力発電所(1F)事故において1-3号機では燃料溶融により核分裂生成物(FP)であるCs, Iなどの高放射性核種が主として放出され、圧力容器内の構造材料部分ばかりでなく原子炉建屋内が高線量化した。今後1Fの廃止措置を進めるにあたり、適切な燃料デブリ取出し手法やアクセスルート(人の動線及び遠隔装置の経路など)の確立、炉内の低線量化及び除染の手法の決定を行うためには、シビアアクシデント(SA)時におけるCs化合物の炉内構造材料等への吸着挙動に関する知見を取得する必要がある。しかしながら、既往研究は大気圧下のみで行われており、SA環境を模擬した高圧下でのCs化合物の炉内構造材料への吸着挙動評価の例はない。本試験では、温度・圧力・雰囲気の制御が可能なCs吸着挙動評価装置を開発し、基礎試験としてSA模擬条件下でSUS304L材に対するCsIの吸着挙動に係る試験・評価を行った。吸着試験後の試料観察と元素分析から、試験片へのCsIの吸着量は、雰囲気や水蒸気の有無よりも、圧力の寄与が大きい傾向にあることが示唆された。
Zheng, L.*; 細井 一矢*; 植田 滋*; Gao, X.*; 北村 信也*; 小林 能直*; 逢坂 正彦
no journal, ,
福島第一原子力発電所の事故により生成した不溶性Cs含有粒子のSi供給源は明らかになっていない。炉内の構造材料および制御棒に用いられているステンレス鋼はSiを含有するため、その供給源となる可能性がある。本研究では、1200C水蒸気含有雰囲気中で生成したステンレス鋼酸化相およびSiの挙動を観察し、Siの気相への移行挙動について考察した。
小林 能直*; 植田 滋*; 佐藤 勇*; 逢坂 正彦
no journal, ,
福島第一原子力発電所の炉内化合物・Cs鋼材反応物および不溶性放射性粒子のケイ素源としてSiOおよびSi(OH)がある。これらの蒸気圧の酸素分圧・温度依存性の熱力学的評価を行った。また、これら炉内化合物の物質系であるCsO-SiO系に着目し、化学平衡法による実験条件を定めた。
広田 憲亮; 近藤 啓悦; 中野 寛子; 藤田 善貴; 武内 伴照; 井手 広史; 土谷 邦彦; 小林 能直*
no journal, ,
原子力分野では、沸騰水型原子炉のシュラウドや加圧水型原子炉の再循環系配管で動的ひずみ老化(DSA)が確認されている。この現象は、材料の加工硬化速度を増加させ、延性の低下を引き起こす。Rodriguezは、ステンレス鋼を用いると、この加工硬化が結晶粒の微細化に伴って増加し、DSAが発生しやすくなることを報告している。本研究の目的は、超微細粒SUS304L(UFGS)を用いて、原子炉を模擬した高温加圧水(HTPW)環境におけるDSAに及ぼす結晶粒微細化の影響を評価することである。UFGSを熱処理して粒径を0.59mから68.6mに調整し、0.2%耐力に対するホール-ペッチ則の整理を行った。本研究で得られたk値は、これまでSUS304Lで得られていた参考値とほぼ同様であった。破壊ひずみに及ぼす粒径の影響について、大気中の引張試験と溶存酸素1ppb未満の条件下で598K/15MPaのHTPW環境での低歪速度引張試験(SSRT)との比較を行うと、粒径が粗くなるにつれ、大気中よりもHTPW下において破壊ひずみが小さくなることが示された。HTPWの破壊後の顕微鏡写真では、28.4m以下の粒径材で延性破壊面が観察された。しかし、粒径が68.6mまで粗くなると、全破断面の半分以上が脆性破壊となった。HTPW下で粒径0.59mの材料では、試料の破断断面において{111}/3境界の対応粒界が多く観察された。しかし、粒径が68.6mまで粗大化すると、これらの分布はほとんど観察されなくなった。したがって、HTPW下で微細粒ステンレス鋼においてDSAによる亀裂伝播が抑制された原因は、{111}/3境界による転位蓄積の緩和によるものと推察される。
宇埜 正美*; 大石 佑二*; 小林 能直*; 植田 滋*; 永江 勇二
no journal, ,
本研究では、福島第一原子力発電所(1F)の格納容器内部調査等の現場情報や燃料デブリ周辺物質の分析データ(サンプリングデータ)に基づいた模擬実験を行い、燃料デブリの溶融・凝固メカニズム、デブリ形成プロセスを逆推定し、再現されうる事故条件を検証・評価する。