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石原 滉大*; 六本木 雅生*; 小林 雅之*; 今村 薫平*; 水上 雄太*; 酒井 宏典; Opletal, P.; 常盤 欣文; 芳賀 芳範; 橋本 顕一郎*; et al.
Nature Communications (Internet), 14, p.2966_1 - 2966_7, 2023/05
被引用回数:5 パーセンタイル:92.42(Multidisciplinary Sciences)重い電子系超伝導UTeの超伝導対称性を極低温磁場侵入長測定により研究した。異方的な低エネルギー準粒子励起が観測され、多成分カイラル超伝導を強く示唆する。このうち最も実験をよく説明するのは、カイラル非ユニタリー状態である。
石原 滉大*; 小林 雅之*; 今村 薫平*; Konczykowski, M.*; 酒井 宏典; Opletal, P.; 常盤 欣文; 芳賀 芳範; 橋本 顕一郎*; 芝内 孝禎*
Physical Review Research (Internet), 5(2), p.L022002_1 - L022002_6, 2023/04
重い電子系超伝導UTeの下部臨界磁場を決定した。直方晶UTeは軸が磁化容易軸であるがそれと垂直方向の磁場中ではが増強されかつ低温で上昇するという特徴を持つことを明らかにした。上部臨界磁場の異方性と比較することにより磁気揺らぎが超伝導に影響を与えていることが示唆された。
柴沼 清; 新井 貴; 川島 寿人; 星野 克道; 星 亮; 小林 薫; 澤井 弘明; 正木 圭; 櫻井 真治; 芝間 祐介; et al.
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.9, p.276 - 281, 2010/08
JT-60SAは日本とEU間の共同プロジェクト(幅広いアプローチ)の中のサテライトトカマクプロジェクトとして合意されたものであり、現在その設計と製作が精力的に進められている。JT-60SAの組立はプロジェクトを推進するうえで最も重要な課題である。JT-60SAは、真空容器,超伝導コイル(TFコイル, EFコイル, CSコイル),ダイバータなどの容器内機器,サーマルシールド,クライオスタットなどの主要機器から構成される。これらの機器を効率よく組み立てるために、トカマク本体室に組立専用のクレーン付き組立架台を設置することで、建家内クレーンとの作業分担を行う。本論文では、JT-60SASの主要機器である真空容器とTFコイルを中心に組立シナリオ及び組立シーケンスの検討、これらの作業を可能とするための専用組立冶具の概念設計について述べる。
田中 豊; 花田 磨砂也; 小林 薫; 鎌田 正輝; 木崎 雅志
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.8, p.1547 - 1550, 2009/09
JT-60SAでは、10MWの中性粒子ビームを100秒入射する負イオンNBI(N-NBI)が求められており、N-NBIにおける最近のR&D結果について報告する。高パワー・長パルス入射には、3段加速の負イオン源における耐電圧性能の改善と電極熱負荷の低減が課題である。耐電圧性能の改善には、放電破壊位置の特定が必要である。そのため、負イオン源大気側に取り付けている外部球ギャップの発光を利用し、絶縁破壊位置を特定するシステムを開発した。電極熱負荷は、内側ビームレットの空間電化によって、外側ビームレットが外向きに偏向し、電極に衝突することが原因である。電界補正板を引き出し電極に取り付け、加速電界を補正することにより、電極熱負荷を許容値の5%まで抑制することに成功した。
田中 豊; 池田 佳隆; 花田 磨砂也; 小林 薫; 鎌田 正輝; 木崎 雅志; 秋野 昇; 山納 康*; 小林 信一*; Grisham, L. R.*
IEEE Transactions on Plasma Science, 37(8), p.1495 - 1498, 2009/08
被引用回数:1 パーセンタイル:4.27(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60負イオン源の耐電圧は、FRP絶縁体の真空沿面放電により制限されていることが示唆されており、耐電圧改善には真空沿面放電の理解が必要である。真空沿面放電では、電子エネルギーが重要なパラメータであるものの、計測が困難なために、電子のエネルギーはほとんど実測されていなかった。そこで、本研究では、FRP沿面から放射された制動放射X線のエネルギー分布を測定し、それから電子のエネルギーを評価し、電子の挙動を明らかにした。FRP沿面からのX線のエネルギースペクトルを、3か所の視線において計測し、電極間放電のスペクトルと比較した。アノード付近のX線スペクトルは、電極間の場合と似ており、単一エネルギー電子によるものであることが判明した。カソード付近のX線スペクトルは、アノード付近と比べ、ピーク位置が低エネルギー側にシフトしていた。これは、カソード近傍における低エネルギー電子の生成を示すものである。
小林 薫; 花田 磨砂也; 秋野 昇; 佐々木 駿一; 池田 佳隆; 高橋 昌宏*; 山納 康*; 小林 信一*; Grisham, L. R.*
IEEE Transactions on Dielectrics and Electrical Insulation, 16(3), p.871 - 875, 2009/06
被引用回数:1 パーセンタイル:12.1(Engineering, Electrical & Electronic)JT-60U負イオン源の耐電圧研究の一環として、3段静電加速器(500kV, 22A)の絶縁破壊位置について実験的に検討した。この加速器の特徴は、大型加速電極(面積: 0.28m)と大型FRP絶縁体(直径: 1.8m)を用いている点にある。各加速段に高電圧を印加して耐電圧を調べた。その結果、すべての加速段で130kVの耐電圧であり、各加速段で耐電圧特性に有意な差は見られなかった。そこで、絶縁破壊位置が加速電極かFRP絶縁体のどちらであるかを絞り込むために、加速器から加速電極を取り外してFRP絶縁体のみにして高電圧を印加した。FRP絶縁体の耐電圧は、すべての加速段で設計値である170kVに到達した。これらの結果より、加速器の絶縁破壊は、大型加速電極のギャップ間でおもに発生していることが明らかになった。さらに、非均一電場や多段加速電極が耐電圧に及ぼす影響についても検討した。
木崎 雅志; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 田中 豊; 小林 薫; 笹尾 真実子*
AIP Conference Proceedings 1097, p.344 - 352, 2009/03
大面積・多孔型電極を用いた加速管中で発生する剥離電子の軌道を水平方向の磁場の非一様性を考慮して3次元計算コードを用いて計算した。水平方向の磁場の非一様性により電極の外側で発生した剥離電子が接地電極で失うエネルギーは電極中央で発生した剥離電子が接地電極で失うエネルギーの2倍以上になることがわかった。ただし、接地電極全体の熱負荷は、磁場の非一様性が顕著に現れる領域が負イオンビームの引き出し面積に比べ小さいことから一様な磁場を仮定した場合の熱負荷の1.25倍であった。
池田 佳隆; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 小林 薫; 梅田 尚孝; 秋野 昇; 海老沢 昇; 井上 多加志; 本田 敦; 河合 視己人; et al.
IEEE Transactions on Plasma Science, 36(4), p.1519 - 1529, 2008/08
被引用回数:12 パーセンタイル:41.25(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60SA用負イオンNBI加熱装置(N-NBI)は、加速エネルギー500keV, 10MW, 100秒入射の性能が求められている。JT-60SA用N-NBIの実現には、3つの課題解決が必要である。1つはイオン源の耐電圧の改善である。最近のイオン源の耐電圧試験から、大型加速管ではその電極面積の大型化に伴い長時間のコンディショニングと電界強度の設計裕度が必要であることが明らかとなった。2つ目は、電極及びビームラインの熱負荷の低減である。最近の研究によりビーム同士の空間電荷効果でビーム軌道が曲げられ電極に衝突し、熱負荷を増加していることが明らかとなった。これは空間電荷効果を考慮した3次元ビーム軌道計算に基づき電極構造を補正することで改善できる。3つ目は、100秒間の安定な負イオン生成である。このため負イオン生成に不可欠なプラズマ電極の温度制御方式を提案した。これらのR&Dを行い、JT-60SA用N-NBIのイオン源は2015年から改造を予定している。
小林 薫; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 秋野 昇; 佐々木 駿一; 池田 佳隆
JAEA-Technology 2008-042, 25 Pages, 2008/06
JT-60U負イオン源の耐電圧改善化研究の一環として、負イオン源加速器の絶縁破壊位置について実験的に調べた。本加速器の特長は、大面積多孔電極(0.45m1.1m)を有する3段の静電式加速器であり、絶縁材として内径1.8mの大型FRP絶縁体を用いている点である。試験では、加速段ごとに高電圧を印加し、絶縁破壊位置をCCDカメラやアクリル板の電子励起発光から詳細に調べた。各段の耐電圧は、ほぼ同等の120130kVであり、設計加速電圧167kVより低かった。絶縁破壊位置を絞り込むために、加速器から加速電極とその支持枠を取り除きFRP絶縁体のみにして高電圧を印加した。FRP絶縁体の耐電圧は、少ないコンディショニング時間で167kVに到達した。これらの結果から、絶縁破壊位置はおもに加速電極か支持枠で発生していることがわかった。さらに絶縁破壊位置が加速電極間か支持枠間かの同定に関しては、CCDカメラやアクリル板で観測された光の位置から、第1及び第2加速ギャップでは、放電破壊位置は加速電極支持枠で発生している可能性が高いことがわかった。一方、第3加速ギャップに関しては、絶縁破壊の多くは加速電極間で発生することが明らかとなった。
小林 薫*; 神永 雅紀; 羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 麻生 智一; 日野 竜太郎
JAERI-Review 2002-010, 52 Pages, 2002/05
大強度陽子加速器計画において、物質・生命科学実験施設の安全概念を構築するときの参考とするため、Oak Ridge国立研究所で設計/建設が進められているSpallation Neutron Source (SNS)の安全確保の考え方について調査を実施した。SNSは非原子炉原子力施設に分類され、システム構成や機器の安全機能は米国エネルギー省の法令により放射線安全上の規制を受ける。SNSの放射線安全では、DOE Order 420.1 (施設安全)とDOE Order 5480.23 (安全解析報告書)を遵守する必要がある。本報告では、これらの規制の概要をまとめるとともに、これら規制を理解するうえで重要な概念である「放射性物質の量によって施設を分類する指標(ハザードカテゴリー)」と「地震等の自然現象災害に対して機器等に求める安全対策の指標(Performance Category)」を概説した。加えて、SNSの予備的安全解析報告書を参考にして、放射線安全の基本的な項目であるハザードカテゴリー,主要機器等の安全上の要求条件と機能等についてまとめた。
小林 薫*; 神永 雅紀; 羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 麻生 智一; 勅使河原 誠; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 2002-005, 118 Pages, 2002/02
核破砕水銀ターゲットシステムの放射線安全を検討するにあたり、核破砕反応で生成される核破砕生成物の化学形態を明確にしておく必要がある。大量の核破砕生成物が存在するターゲット容器内の水銀について、水銀中の核破砕生成物の化学形態を、2元状態図と核破砕生成物の生成量に基づく熱化学平衡計算に基づき推定した。その結果、水銀は、Al, As, B, Be, Bi, C, Co, Cr, Fe, Ga, Ge, Ir, Mo, Nb, Os, Re, Ru, Sb, Si, Ta, Tc, V, Wを元素状態で、Ag, Au, Ba, Br, Ca, Cd, Ce, Cl, Cs, Cu, Dy, Er, Eu, F, Gd, Hf, Ho, I, In, K, La, Li, Lu, Mg, Mn, Na, Nd, Ni, O, Pb, Pd, Pr, Pt, Rb, Rh, S, Sc, Se, Sm, Sn, Sr, Tb, Te, Ti, Tl, Tm, Y, Yb, Zn, Zrを無機水銀化合物として溶解することがわかった。一方、セイフティハル内の冷却水については、冷却水中の酸素の核破砕反応で生成するBe-7がメンテナンス時の外部被曝の主要因となる。そこで、Be-HO系を対象とした熱化学平衡計算により冷却水中のベリリウムの化学形態を推定した。その結果、ベリリウムの冷却水中でのモル分率が10E-8以下では、陽イオン(BeOH,BeO,Be)の形態で冷却水中に存在することがわかった。
神永 雅紀; 羽賀 勝洋; 麻生 智一; 木下 秀孝; 粉川 広行; 石倉 修一*; 寺田 敦彦*; 小林 薫*; 安達 潤一*; 寺奥 拓史*; et al.
Proceedings of American Nuclear Society Conference "Nuclear Applications in the New Millennium" (AccApp-ADTTA '01) (CD-ROM), 9 Pages, 2002/00
原研とKEKは大強度陽子加速器計画の下で中性子散乱実験施設の建設計画を進めている。核破砕中性子源としては、1MWの陽子ビーム入射を想定したクロスフロー型水銀ターゲットの設計検討を実施している。本報では、水銀ターゲット熱流動設計を中心に中性子散乱実験施設建家設計の現状,水銀熱伝達試験結果及びターゲット容器の遠隔操作実証試験装置について報告する。水銀ターゲットの熱流動解析では、陽子ビームプロファイルとしてガウス分布を想定した。入口水銀温度50,入口平均流速1.0m/s,内部総発熱量約0.4MWの条件で解析を行い、水銀最高温度121.5,容器最高温度232という結果を得て、熱流動的には成立することを明らかにした。また、解析で用いた熱伝達モデルは、水銀熱伝達実験結果に基づき検証した。さらに、本施設の要となるターゲットリモートハンドリング機器については、概念設計結果を基に実規模試験に着手し、所期の性能を発揮することを確認した。
甲斐 哲也; 小林 捷平*; 山本 修二*; Cho, H.*; 藤田 薫顕*; 木村 逸郎*; 大川 内靖*; 若林 利男*
Annals of Nuclear Energy, 28(8), p.723 - 739, 2001/05
被引用回数:7 パーセンタイル:48.68(Nuclear Science & Technology)背中合わせ型核分裂計数管を用いて0.003eVから10keV領域におけるAm核分裂断面積を測定した。これらの実験は、京都大学鉛減速スペクトロメータを用いた0.03eV~10keV領域、京都大学原子炉熱中性子照射施設における0.025eV、飛行時間分析法による0.003eV~35eV領域において行った。測定結果を評価済み核データファイルJENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.5及び既存の比較して、評価済み核データの妥当性を議論した。
小林 薫*; 神永 雅紀; 羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 麻生 智一; 粉川 広行; 日野 竜太郎
JAERI-Data/Code 2000-037, 69 Pages, 2000/12
水銀を用いる核破砕ターゲットシステムの放射線安全を検討するためには、固体、液体、気体状の無機水銀化合物の物理及び熱化学データを準備する必要がある。そこで、文献調査を実施し、208個の固体状の無機水銀化合物、9個の液体化合物、22個の気体化合物についてデータを整備した。本報では、これら化合物の主要物性値である密度、融点、沸点、標準生成エンタルピー、標準生成ギブスエネルギー、定圧熱容量、蒸気圧、水銀の溶解度などを掲載した。特に、熱容量については、温度の関数であるKelley方程式で再評価した。蒸気圧は、上記の熱化学データを用いて、化学反応・平衡ソフトウェアHSCで計算した。水銀と水銀以外の元素の相互作用は2元状態図で示した。
小林 薫*; 神永 雅紀; 羽賀 勝洋; 木下 秀孝; 麻生 智一; 粉川 広行; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 2000-050, 43 Pages, 2000/08
水銀ターゲットシステムにおいて、重大事故であるギロチン配管破断によりターゲットトローリーメンテナンス室へ水銀が漏洩した場合のソースタームを解析し最大公衆被曝量を推定する。ソースタームとして、高い蒸気圧と放射能レベルを有する水銀、ヨウ素、臭素、希ガスを選定した。ソースタームの輸送量は水銀漏洩時の温度と蒸発率、そして放出時のフィルター効率や大気拡散率を考慮して解析した。漏洩水銀の温度変化はSTAR-CDコードで、蒸発速度は1次元強制対流条件で利用される物質伝達の相関式で推定した。安全裕度を十分に見込んだ条件における予備的な解析結果では、水銀、ヨウ素、臭素、希ガスに対する公衆被曝量の最大レベルは約6.310mSvであり、1年間に自然界から受ける1mSvよりも一桁以上小さい。
羽賀 勝洋; 須々木 晃*; 寺田 敦彦*; 石倉 修一*; 勅使河原 誠; 木下 秀孝; 小林 薫*; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
JAERI-Tech 99-081, p.43 - 0, 1999/11
中性子科学研究計画の下で現在検討中の重水冷却方式固体ターゲットについて、タングステンをターゲット材とし、その冷却性、冷却水の体積割合、及び熱応力を主な設計条件として一次元の概略評価を行いターゲット板の厚さ配分を決定した。さらに二次元の熱応力解析を行い、厚さ配分の妥当性を確認した結果から、40枚のターゲット板を6つの冷却流路に分割し、それぞれをワンスルーで冷却する構造を提案した。次に、汎用流動解析コードを用いて流動解析を行った結果、ターゲット板間流速で1m/sから10m/sの広い範囲にわたって均一な流量配分を実現できる見通しを得た。また、圧力損失は1.5MW及び2.5MW規模の固体ターゲットを冷却するために必要な板間流速である5m/s,7m/sで、それぞれ0.09MPa,0.17MPa程度であることがわかった。
大井川 宏之; 藤田 薫顕*; 小林 捷平*; 山本 修二*; 木村 逸郎*
Journal of Nuclear Science and Technology, 28(10), p.879 - 893, 1991/10
U及びThの135keVにおける中性子捕獲反応の自己遮蔽因子を測定した。自己遮蔽因子は、透過率及びself-indication ratioを様々な厚さの透過試料について、電子線型加速器を用いた中性子飛行時間法により測定して求めることができる。実験結果をJENDL-2、JENDL-3、ENDF/B-IVに基づく計算値と比較した。Uでは、実験による自己遮蔽因子に中性子エネルギー依存の構造が見られたが、JENDL-2及びENDF/B-IVによる計算には非分離共鳴領域においてこの構造が見られず、特に4~6keVで実験より小さい値を与える。JENDL-3の分離共鳴パラメータによる計算は、このエネルギー範囲で実験と良く一致したが、他のエネルギー範囲で実験との差異が見られた。Thでは、非分離共鳴領域で実験と計算の大きな差異は見られないが、分離共鳴領域でJENDL-2とJENDL-3は実験値よりも小さな値を与える傾向が見られた。
鎌田 正輝; 花田 磨砂也; 小林 薫; 池田 佳隆; Grisham, L. R.*; Jiang, W.*
no journal, ,
JT-60U負イオン源は、大面積多孔電極を用いた3段静電加速器によって22A(13mA/cm)のD-ビームを500keVまで加速するように設計されている。多孔電極を用いた場合、ビームレット自身の空間電荷の間に斥力が働き、周辺部ビームレットが外側に偏向する問題がある。この対策として、JT-60U負イオン源では、引出電極に電界補正板(以下、FSP)を装着している。しかしながら、最近、このFSPが最適化されておらず、周辺ビームレットが内側に偏向され過ぎて、その一部が接地電極に直接衝突して電極熱負荷を増加させていることがわかった。そこで、FSPの最適化のために、周辺部ビームレットの偏向角度のFSP形状(高さ及び電極孔からの距離)依存性を実験的に調べた。実験結果はビーム軌道計算によって定量的に説明できたため、ビーム軌道計算によって電界補正板の最適化を進めた。その結果、長パルスNB入射実験(目標30秒)で予定している加速電圧350kVにおいて、ビームレットが電極孔を通過するとともに、NBIポート位置で十分な集束を得られるFSP形状を見いだし、NB30秒入射の実現の見通しがついた。
佐々木 駿一; 小林 薫; 花田 磨砂也; 池田 佳隆; 秋野 昇
no journal, ,
JT-60Uでは、高エネルギー中性粒子入射のために、500kV, 22Aの重水素負イオン源が設計され、完成後約12年間核融合プラズマの研究に利用されている。JT-60負イオン源の問題点の一つは、3段静電加速器を有する負イオン源の耐電圧性能である。これまで、耐電圧改善のために、加速器内部の陰極3重点近傍の電界低減に大型電界緩和リングや大気側のスパークギャップの装着などの改善のための対策を行ってきたが、動作可能な最大加速電圧は約400kVであり、設定値の80%に留まっている。そこで、新たに耐電圧試験装置を建設し、JT-60負イオン源の絶縁破壊について詳細に調べた。実験では、加速段ごとに電圧を印加し、各加速段の耐電圧特性を測定し、比較した。また、加速器内部の加速電極をすべて取り除き、電極間を絶縁している強化プラスチック製(FRP)絶縁管単体の耐電圧特性についても調べた。その結果、23日程度のコンディショニングにより、FRP単体の耐電圧は170kV/段を得、設定値(単段)を満足した。これに対して、加速電極及び支持枠間の真空ギャップでの耐電圧は100130kV/段であった。これにより、コンディショニング初期における単段印加時の放電破壊は、おもに加速電極及び支持枠間の真空ギャップで生じていることがわかった。
小林 薫; 花田 磨砂也; 鎌田 正輝; 秋野 昇; 佐々木 駿一; 池田 佳隆; 高橋 昌宏*; 山納 康*; 小林 信一*
no journal, ,
JT-60U負イオン中性粒子入射装置(N-NBI)で用いられている大型FRP絶縁管(内径1.8m)を有する3段静電負イオン加速器において、絶縁破壊位置の特定を目的とする無負荷真空耐電圧試験を実施した。コンディショニングの初期においては、FRP絶縁管の沿面放電よりも、加速電極及びその支持枠で絶縁破壊がおもに発生していることを明らかにした。さらに加速電極での絶縁破壊位置を詳細化するため、加速電極の背後にアクリル板を配置し、絶縁破壊時に発生した電子が加速電極の孔を通り抜けてアクリル板に衝突したときの発光(蛍光)位置を測定した。その結果、絶縁破壊位置が1か所に固定しておらず、放電破壊位置を変えながらコンディショニングが進むことが明らかとなった。このことは大面積電極において、すべての電極面をコンディショニングするためには多くの時間を有することを示唆しており、今後のイオン源の改造の指針となる。