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富永 真哉*; Busnyuk, A.*; 松島 輝昌*; 山口 憲司; 小野 双葉*; 寺井 隆幸*; 山脇 道夫*
Fusion Science and Technology, 41(3), p.919 - 923, 2002/05
水素粒子と金属膜の相互作用において、膜表面での水素解離に対するポテンシャル障壁は大きな影響を及ぼす。中でも、表面不純物層の存在は水素の金属膜を介しての透過に決定的な影響を与える。本研究はNbならびにPdの水素透過性を調べることを目的としているが、特に、「プラズマ膜試験装置(PMTD)」を用いて、膜表面の炭素付着層がプラズマ駆動透過(PDP)に及ぼす影響を明らかにすることに重点を置いている。PMTDはBonch-Bruyevich大学(ロシア・サンクトペテルブルグ市)・A. I. Livshits教授の研究グループとの共同研究により製作された。本装置により、PDPに加えて、原子駆動透過(ADP)や分子駆動透過(GDP)を調べることも可能である。実験結果によれば、Nbにおいては、炭素付着物層の存在により、ADPとPDPは大幅に減少するが、GDPはほとんど影響を受けなかった。一方、Pdにおいては、すべての駆動様式に対して炭素付着層の影響は認められなかった。これは、炭素がPd上で安定に存在しないためと考えられた。Nb,Pdのいずれにおいても、透過の律速段階は、表面過程もしくはバルク拡散過程であると考えられるが、詳細については論文で詳論する。
山脇 道夫*; 小野 双葉*; 山口 憲司*; 古川 智弘; 上野 文義; 青砥 紀身
JNC TY9400 2001-005, 37 Pages, 2001/03
漏えいナトリウムによる高速炉構造材料の腐食機構の詳細な解明研究や、腐食抑制・防止対策を検討するに必要な、ナトリウム化合物と構造材料(主成分:鉄、Fe)との高温化学反応により形成されるNaFe複合酸化物の信頼性の高い化学熱力学特性値を取得することを目的に、複数のNaFe複合酸化物の熱分析を実施した。その結果、Na2O-Na中の主たる反応生成物であるNa4FeO3は、73515に融点を有することがわかった。さらに、この低酸素ポテンシャル下で安定なNa4FeO3は、雰囲気中の酸素と容易に反応し、Na5FeO4が形成され、両化合物が共存する状態となるとその融点は低下する傾向を示すことが確認された。また、Na5FeO4およびNa3FeO3について熱分析を実施したところ、前者は約800まで、後者は約700まで相変態を有することなく安定に存在することがわかった。
山脇 道夫*; 小野 双葉*; 山口 憲司*; 古川 智弘; 上野 文義; 青砥 紀身
JNC TY9400 2001-006, 28 Pages, 2000/03
高速増殖炉の冷却系より液体ナトリウムが漏えいした場合、鉄鋼製周辺構造材料の腐食はナトリウム酸化物と構造材料の主要元素である鉄の複合酸化物形成によって進行することが多い。このため、腐食機構の詳細な解明や、腐食制御および防止対策を効果的に施すためには主要なNaFe複合酸化物の化学熱力学的データを整備することが必要である。本研究では、-NaFeO2の生成実験と熱特性試験を実施した。これにより、以下の結果が得られた。1、市販されていない-NaFeO2について、および-Fe2O3とNa2Oとの混合物をSUS密閉容器を使用して高純度で生成する方法を確立した。また、熱分析装置(DSC)の併用により生成過程の詳細についても検討し600、10時間加熱により-NaFeO2が生成することを確認した。2、生成した-NaFeO2および市販の-NaFeO2について室温・大気中でも安定であることを確認し、大気中でのNaFeO2の取扱が容易であることがわかった。3、生成した-NaFeO2の熱分析測定(TG-DTAおよびDSC)により、転移温度は767.46.5、転移熱は16.410.45cal/gさらに分解温度は1254.94.4,分解熱は20cal/gと評価した。
山脇 道夫*; 山口 憲司*; 小野 双葉*; Huang, J.*; 原田 雄平; 日高 昭秀; 杉本 純
JAERI-Tech 2000-015, p.38 - 0, 2000/03
軽水炉のシビアアクシデント時に破損燃料から放出された核分裂生成物(FP)は、その化学形に応じて大きく異なった移行・沈着挙動を示す。これは、その化学形に応じて蒸気圧が大きく変化し、ガス状またはエアロゾル状の形態となるからである。このため、シビアアクシデント時のソースタームを精度良く評価するにあたって、シビアアクシデント条件を模擬した水蒸気や水素を含む高温条件下でのFPの化学形及び蒸気圧を精度良く知る必要がある。CsUOの蒸発挙動をKnudsenセル付き質量分析法により1273から1573Kの範囲でDO/D雰囲気下で調べた。本実験の平均温度である1423Kにおいて、試料のCs(g)分圧は、真空下で1.97Paであり、酸素ポテンシャル測定値は-148.2kJ/molであった。D(g)を導入すると、Cs(g)分圧は徐々に増加し、2.26Paに達した。また、DO(g)+D(g)を導入すると、Cs(g)分圧は1.56Paまで低下した。同様にCsUO,BaUO,SrUoの蒸発挙動を質量分析法により調べた。質量分析法で得られた実験結果は、シビアアクシデント時の環境状態に比べて狭い範囲である。そこで、計算機コードChemsageを用いて、高HO/Hの湿潤条件や低HO/Hの還元条件、2500Kまでの高温条件、1MPaまでの高圧条件などについて計算した。実験結果及び計算結果は、これらの環境条件が化合物の蒸発挙動に強く影響することを示した。本研究成果であるCsUO,CsUO,BaUO,SrUOの蒸気圧の温度依存式は、原研が実施する照射済燃料からのFP放出実験計画(VEGA)の実験結果を評価する際に利用する予定である。
山脇 道夫*; J.Huang*; 利根川 雅久*; 小野 双葉*; 安本 勝*; 山口 憲司*; 杉本 純
JAERI-Tech 98-003, 32 Pages, 1998/02
シビアアクシデント時のソースタームを精度良く評価するため、原研では照射燃料からのFP放出実験(VEGA)計画を開始している。燃料から放出されるFPは、化学形に応じて蒸気圧が異なるため、それに応じて大きく異なった移行挙動を示す。そこで、燃料から放出されたFPの高温雰囲気下での化学形及び蒸気圧を精度良く知ることにより、捕集装置までのFP移行挙動を明らかにするとともに、実炉での挙動を評価するためのモデルの開発を目指したVEGA計画の補完的な基礎研究を開始した。本研究では、FPを模擬したCs,Ba,Sr化合物をクヌッセンセルに導入し、水蒸気や水素の存在する高温雰囲気でのFPでの化学形と蒸気圧を求めるためのスコーピング実験を実施し、ソースターム評価上重要なCs,Ba,Srについて基礎的な知見を得た。