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鈴木 智也*; 大坪 右京*; 尾形 剛志*; 塩飽 秀啓; 小林 徹; 矢板 毅; 松岡 光昭*; 村山 憲弘*; 成田 弘一*
Separation and Purification Technology, 308, p.122943_1 - 122943_7, 2023/03
被引用回数:1 パーセンタイル:26.5(Engineering, Chemical)主にAgを含む使用済み製品からPd金属をリサイクルするために硝酸抽出が行われており、ほとんどのPd残留物はAg(I)含有溶液から分離される。しかし、このAg(I)溶液中には少量のPd(II)が残存していることが多い。そのため、硝酸溶液中のPd(II)とAg(I)を分離することは、Pdのリサイクルを効率的に進めるために必要不可欠である。本研究では、アミン(R-Amine),イミノ二酢酸(R-IDA),ピリジン(R-Py),ビスピコリルアミン(R-BPA)で機能化した4種類の窒素ドナー型吸着材を用いて硝酸溶液中のPd(II), Ag(I)を分離する研究を実施した。R-Amine,R-IDA,R-Pyは硝酸溶液からAg(I), Cu(II), Ni(II), Fe(III)を選択的に吸着したが、R-AmineはPdの吸着効率が低いことが判明した。一方、R-BPAはPd(II), Ag(I), Cu(II)を全濃度において90%以上吸着することができた。フーリエ変換赤外分光法及び広域X線吸収微細構造法(EXAFS)による吸着金属イオンの構造解析から、窒素ドナー型吸着剤の分離機構を明らかにした。R-IDA, R-Py, R-BPAへのPd(II)吸着は官能基(それぞれイミノ二酢酸,ピリジン,ビスピコリルアミン)へのPd(II)配位を介して起こり、R-Amineへの吸着はNOと[Pd(NO)]のアニオン交換を介して起こることがわかった。R-IDA,R-Py,R-BPAは、配位性吸着機構により、高いPd(II)吸着挙動を示すことが明らかとなった。塩酸(5.0M)およびチオ尿素(0.1M)溶離液は、それぞれR-IDAから83%およびR-Pyから95%のPd(II)を脱離させた。R-Pyは吸着選択性と脱着効率から最も効果的なPd(II)吸着剤だった。
鈴木 智也*; 大坪 右京*; 尾形 剛志*; 塩飽 秀啓; 小林 徹; 矢板 毅; 松岡 光昭*; 村山 憲弘*; 成田 弘一*
Dalton Transactions (Internet), 50(33), p.11390 - 11397, 2021/09
被引用回数:1 パーセンタイル:10.97(Chemistry, Inorganic & Nuclear)本研都市鉱山から白金(Pt)を回収するには、Pt(IV)の溶液化学を理解することが重要である。我々は、濃硝酸溶液中のPt(IV)錯体の化学種と分離を、X線吸収微細構造(XAFS)分光法によって調べた。NaPt(OH)の濃縮硝酸溶液にはPt多核錯体が支配的に存在し、Pt濃度とNaPt(OH)の溶解温度に依存することが明らかになった。0.90g-Pt/Lの加熱硝酸塩溶液と3.2g-Pt/Lの非加熱硝酸塩溶液には主に二核白金錯体が存在する。一方3.0g-Pt/Lの加熱溶液には、四核および六核錯体のような大きな多核錯体が主に存在していた。またイミノ二酢酸で機能化したキレート樹脂と硝酸トリメチルアンモニウムを有する強塩基性アニオン交換樹脂でPt(IV)イオンを吸着させると、大きなPt(IV)錯体の存在を確認した。高濃度のPt(IV)を含む加熱溶液からのPt(IV)錯体は、高い吸着効率を示すことがわかった。さらに、強塩基性陰イオン交換樹脂を使用すれば、Pd(II), Ag(I), Cu(II), Ni(II), Fe(III)が含まれる10M硝酸溶液から選択的にPt(IV)を吸着させることに成功した。
鈴木 智也*; 尾形 剛志*; 田中 幹也*; 小林 徹; 塩飽 秀啓; 矢板 毅; 成田 弘一*
Analytical Sciences, 35(12), p.1353 - 1360, 2019/12
被引用回数:3 パーセンタイル:12.7(Chemistry, Analytical)白金族金属の精錬では、Pd(II)やPt(IV)を含む混合物からRh(III)を効果的に回収することは最も難しい課題の1つである。これら元素の塩化物を含む濃塩酸水溶液に3,3'-diaminobenzidine (DAB)を加えることにより、DABからなる固相にRh(III)を隔離し、Pd(II)とPt(IV)から効果的に分離することに成功した。そこで、Rh(III), H, Cl濃度の推定とX線吸収微細構造測定から、Rh(III)に対するDAB選択性の機構を明らかにした。濃塩酸水溶液中でのRh-DAB反応は2つのステップで起こることがわかった。(1)DABのアミノ基がプロトン化されたDAB三塩酸塩が沈殿し、(2)三塩酸塩と塩化物イオンがアニオン交換し、[RhCl]が濃塩酸溶液中の主化学種であることがわかった。一方HCl濃度が5M未満ではDABによる配位錯体形成を介してPdとPtを回収することができるので、Rh(III)とPd(II)やPt(IV)を効果的に分離する要因であると思われる。
鈴木 智也*; 成田 弘一*; 尾形 剛志*; 鈴木 英哉; 松村 達郎; 小林 徹; 塩飽 秀啓; 矢板 毅
Solvent Extraction Research and Development, Japan, 26(1), p.11 - 19, 2019/06
被引用回数:3 パーセンタイル:14.27(Chemistry, Multidisciplinary)-トリメチルグリシン官能基を持つスチレンジビニルベンゼンポリマー(AMP03)を用いて、硝酸溶液からの2価のパラジウムイオン(Pd(II))の吸着試験を実施した。さらに、FT-IR、及びEXAFSによって、官能基のPd(II)に対する吸着のメカニズムを明らかにした。
鈴木 智也*; 尾形 剛志*; 田中 幹也*; 小林 徹; 塩飽 秀啓; 矢板 毅; 成田 弘一*
Metals, 8(7), p.558_1 - 558_10, 2018/07
被引用回数:10 パーセンタイル:54.54(Materials Science, Multidisciplinary)白金族元素の精製は主に溶媒抽出法によって行われるが、Ruは蒸留によってRuOとして回収される。この蒸留による方法を抽出法に置き換えることができれば、精製プロセスの簡素化が期待される。本研究では、Ruの効率的な抽出法を開発することを目的に、Ruの塩酸中での化学種についてUV-vis分光およびEXAFS法で分析し、N-2-ethylhexyl-bis(N-di-2-ethylhexyl-ethylamide) amine (EHBAA)によって抽出されたRuの特性を調査した。その結果、塩酸濃度が0.5から10MにおけるRuの主たる化学種は、塩酸濃度の上昇に伴って[RuCl(HO)]から[RuCl]へと変化することが明らかとなった。また、EHBAAによるRuの抽出率は塩酸濃度の上昇に伴って増加し、塩酸濃度が5Mで最大に達し、さらに塩酸濃度が上昇すると抽出率は下降に転ずる。抽出錯体のEXAFS分析の結果からは、Ruの内圏には5つのClと1つのHOが存在することが示された。さらに塩酸濃度が増加したときのEHBAAによるRuの抽出率の変化と[RuCl(HO)]の分布曲線がよく似ていることから、EHBAAは[RuCl(HO)]を抽出すると考えられる。
小山 真一; 須藤 光雄; 大林 弘; 竹下 健二*; 尾形 剛志*; 緒明 博*; 稲葉 優介*
Separation Science and Technology, 47(14-15), p.2024 - 2028, 2012/11
被引用回数:3 パーセンタイル:15.96(Chemistry, Multidisciplinary)照射済燃料からMAの回収を実証するため、東京工業大学がTPEN(分離錯体)を化学的に高分子ゲルに固定することに成功した。このTPENゲルで作成したカラムにより照射済燃料を用いた抽出クロマト分離試験を行った結果、0.01M NaNOH(pH4)溶液によりMAをカラムに吸着させた状態で希土類を溶離し、溶離液を0.01M NaNOH(pH2)に変えることでMAを回収できる可能性があることを明らかにした。
竹下 健二*; 尾形 剛志*; 中野 義夫*; 松村 達郎
no journal, ,
溶媒抽出法やイオン交換法などの分離プロセスでは、目的物質の分離・回収工程において大量の化学物質を必要とすることから大量の二次廃棄物発生は避けられない。そこで、溶媒抽出法に代わる新規抽出技術として感温性高分子ゲルを用いた「温度スイングクロマト分離法」を提案している。この抽出法では、感温性高分子ゲルの温度変化によって起こる体積相転移現象を利用し、ゲルに導入した高機能性配位子(包接化合物)の構造変化によって錯体形成能を制御して、目的金属イオンを高選択抽出する。原理的に目的金属の抽出・回収に化学物質を必要とせず、2次廃棄物をほとんど発生しない。本研究では包接型配位子N,N,N',N'-tetrakis(4-propenyloxy-2-pyridylmethyl)-ethylenediamine (TPPEN)を導入したN-isopropylacrylamide(NIPA)共重合ゲルを用いて、3価アクチノイド(Am(III))とランタノイド(Eu(III))の高選択分離及び3価アクチニドの温度スイング回収について検討した。その結果、ゲルの膨潤状態においてAm(III)がゲルに選択的に抽出され、分離係数は18であった。また、そのゲルを収縮状態にすることによって抽出されたAmの90%を回収することができた。
竹下 健二*; 尾形 剛志*; 中野 義夫*; 松村 達郎; 森 敦紀*
no journal, ,
TPEN誘導体であるTPPEN(N,N,N',N'-tetrakis(4-propenyloxy-2-pyridylmethyl)ethylenediamine)をNIPA(poly-N-isopropylacrylamide)と共重合した感温性ゲルを用いた温度スイング抽出法によって、Am(III)とEu(III)の抽出分離を試みた。ゲル膨潤状態(5C)においてEu(III)からのAm(III)の分離が観察され、その分離係数はpH5.2において18であった。この抽出されたAm(III)の90%以上が、膨潤状態(5C)から収縮状態(40C)へのゲルの体積相転移に伴って放出された。このゲルによるAm及びEuの抽出に対する放射線の影響について、線照射(10kGy)と核種(Cm)の長期吸着試験によって評価した。その結果、このTPPEN-NIPAゲルは、これらの試験において損傷は観察されなかった。これらの結果は、この温度スイング抽出法が分離変換技術の確立に不可欠なMA分離プロセスに適用可能であることを示唆している。
松村 達郎; 竹下 健二*; 尾形 剛志*; 森 敦紀*
no journal, ,
4f/5f元素相互分離(MA/Ln分離)のため新規配位子としてTPENの疎水化誘導体の検討を進めている。TPENのピリジン環をキノリン環に置き換えたTQENを合成し、その特性を確認した。その結果、良好に疎水化を達成していることを確認したが、抽出性能についてはAmとEuについて有意な抽出を認められなかった。これは、キノリン環が嵩高いため、錯体を形成する際に有効な包接構造をとることを阻害することが原因と考えられる。今後、MA/Ln分離プロセスに有効に適用可能な配位子の開発を進めるには、錯体の立体構造の詳細な検討が必要であろうと考えられる。
鈴木 伸一; 阿久津 和宏; 矢板 毅; 岡本 芳浩; 尾形 剛志*; 竹下 健二*; 稲葉 優介*; 池田 篤史; 小林 徹; 緒明 博*; et al.
no journal, ,
TPEN-NIPAゲルを多孔質ガラス粒子に塗布した吸着剤によるアメリシウム:Am(III)のユウロピウム:Eu(III)からの分離特性について検討した。同吸着剤を用いるカラムクロマトグラフィーでの分離特性試験からは、pH4から5程度の水溶液からAm(III)が効率よく吸着し、Eu(III)からの分離が可能であることがわかった。pH5程度の条件下におけるイオンの存在状態をEXAFSにより解明したところ、Eu(III)の周りには水のみが存在し、水和錯体として吸着剤と相互作用している一方、Am(III)の模擬であるd電子系イオンであるカドミウム:Cd(II)イオンは、一部吸着剤の窒素の直接的な配位が確認された。これらの結果から、Am(III)とEu(III)との分離においては水と吸着剤との競争反応が重要な役割を果たしていることを示唆している。
須藤 光雄; 大林 弘; 小山 真一; 関岡 健*; 竹下 健二*; 稲葉 優介*; 尾形 剛志*; 緒明 博*
no journal, ,
多座配位子を導入した高分子ゲルを用いた高効率なMA回収技術開発のため、溶離液のpHをパラメータとした抽出クロマトグラフィーにより、「常陽」で照射した燃料からMAの回収試験を行った。
鈴木 伸一; 阿久津 和宏; 矢板 毅; 塩飽 秀啓; 小林 徹; 竹下 健二*; 尾形 剛志*; 稲葉 優介*; 緒明 博*; 森 敦紀*
no journal, ,
TPEN系ゲルを導入した抽出クロマト剤によるAm(III)/Eu(III)吸着・分離特性の検討と、Ln(III)の本抽出クロマト剤に対する吸着機構の考察を行った。本抽出クロマト剤を用いてAm(III)/Eu(III)吸着試験を行った結果、pH=4の溶離液を用いた場合、Am(III)は効率よく吸着するのに対して、Eu(III)の大部分は溶離することが確認された。このことから、pH=4の溶離液を用いることでAm/Euの分離が可能であることが示された。また、クロマト剤に吸着したEu(III)の錯体構造を広域X線吸収微細構造(EXAFS)法により明らかにしたところ、Eu(III)は水和錯体として存在していることが示唆された。したがって、Eu(III)はクロマト剤と水和水を介した弱い相互作用により吸着していることが明らかとなった。
須藤 光雄; 大林 弘; 小山 真一; 関岡 健*; 竹下 健二*; 稲葉 優介*; 尾形 剛志*; 緒明 博*
no journal, ,
多座配位子を導入した高分子ゲルを用いたMA回収技術開発のため、溶離液の温度をパラメータとした抽出クロマトグラフィーにより、「常陽」で照射した燃料から希土類を含まないMA回収の見通しを得た。また、カラム温度とpHの変化に相関関係がありMA回収率の向上にはpHの制御が重要であるとを明らかにした。
鈴木 智也*; 成田 弘一*; 尾形 剛志*; 鈴木 英哉; 松村 達郎
no journal, ,
硝酸水溶液中の白金族金属は難分離性の元素である。しかしながら、近年、双性イオンであるトリメチルグリシンを官能基とする樹脂が硝酸水溶液中の白金族金属に高い吸着選択性を有することがわかってきている。これまでの研究から、-COO-がPd(II)の吸着に重要な役割をすることはわかっているが、詳細な反応は明らかではない。そこで、本研究では、トリメチルグリシン型樹脂の硝酸水溶液中からのPd(II)に関する吸着挙動を検討し、反応メカニズムの提案を行った。吸着挙動と吸着前後のFT-IRの測定結果から、HNOの吸着により生じた-N(CH)-CH-COOH・NOのHとPdカチオンが交換することで吸着が起こると予想される。
小林 徹; 矢板 毅; 横山 啓一
尾形 剛志*; 成田 弘一*
【課題】希土類元素の相互分離を小規模、低コストで実現できる新規な希土類元素の吸着剤を提供する。 【解決手段】 希土類元素を含む溶液と接触して希土類元素を吸着する吸着剤であって、基材とフェナントロリン骨格を含み、前記基材にフェナントロリン骨格がアミド結合を介して導入されていることを特徴とする希土類元素の吸着剤。